ポール・トゥ・ウィンの三井優介選手、鈴鹿大会負けなしの4連勝!

レポート レース

2023年9月7日

8月26~27日に鈴鹿サーキットで行われた、第4大会となるFIA-F4地方選手権の第7戦と第8戦。第3大会の富士スピードウェイではTGR-DC Racing Schoolの小林利徠斗選手が連勝を飾り、シリーズを一歩リード。だが、第2大会の鈴鹿はHondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)のエースドライバーである三井優介選手が制しており、小林選手を追いかける。HFDPにとって鈴鹿はホームコースであるだけに、三井選手、そしてチームメイトの野村勇斗選手が、今大会でどこまで差を詰めてくるかが注目された。

2023年FIA-F4選手権シリーズ 第7戦/第8戦
(2023 SUPER GT Round.5内)

開催日:2023年8月26~27日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

予選

 今回も予選はA/Bの2組に分けられ、A組では野村選手がトップ。「コースイン後、ウォームアップの2周は前が混雑していていましたが、そこからうまく距離を取って、いい間合いでアタックできました。ミスのないベストなアタックだったと思います。今回はペースが悪くなく、バトルに自信もあるので、決勝では頑張ります」と野村選手。

 これにコンマ2秒遅れで続いたのは小林選手で、「クルマは良かったしアタックもちゃんとできた中、つけられたのはドライバーの差」と、きっぱり負けを認めていた。このふたりはベストタイム、セカンドベストタイムともに順位は一緒。ベストタイム3番手には大宮賢人選手、セカンドベストタイム3番手には佐野雄城選手がつけていた。

 そしてB組もベストタイム、セカンドベストタイムともに三井選手がトップ。「今回は走り出しから調子が良く、自分でも勢いがあったと思うので、かなり順調です。今回はペースもすごくあるし、バトルの力強さは向上していると思うので、自信を持って挑みます」と三井選手。

 両タイム2番手で続いたのが中村仁選手だった。「ベストなアタックはできたと思いますが、三井選手が速かったということです」と中村選手。チームメイトの小林選手ともども、決勝を前にしてすでに達観しているかの印象さえあった。ベストタイムとセカンドベストタイムの3番手と4番手は森山冬星選手と洞地遼大選手が入れ替え合っていた。

 なお、三井選手は野村選手に対してベストタイムで0.069秒、セカンドベストタイムで0.134秒上回ったことで、2戦ともにポールポジションを奪い、B組のドライバーがアウト側のグリッドに並ぶことになった。

予選ではHondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト勢が安定したタイムを刻む。三井優介選手と野村勇斗選手はランキングトップの小林利徠斗選手とのポイント差を縮めておきたいところだ。

第7戦決勝

 決勝レース第7戦はスタートから間もなくセーフティカー(SC)が入る波乱の幕開けとなった。2コーナーでインディペンデントカップ勢の多重クラッシュが発生したためだ。その直前に1コーナーへのホールショットを決めていたのが三井選手で、野村選手は中村選手にかわされて3番手に後退。4番手は小林選手がキープ。

 SCの先導は2周で終了するも、三井選手はなかなかアクセルを全開にせず。背後は大渋滞となっていた。三井選手がようやくアクセルを踏み込んだのはシケインから。当然、中村選手以下がぴたりと食らいついてオーバーテイクを試みるも、三井選手はしっかりラインを封じていた。だが、このバトルはいったん中断となってしまう。今度は130Rで単独クラッシュがあったためだ。ここでのSC先導は1周のみだが、またもリスタートで三井選手はシケインからアクセルを踏み込んだ。

 トップ3の順位は揺るがずも、小林選手には森山選手が猛然とアタック。その直後に2コーナーで2台は接触して森山選手がストップ、小林選手が大きく順位を落とす。これでトップを争うのは完全に3名に絞られた。逃げようにも逃げられずにいた三井選手ながら、中村選手と野村選手も逆転の決め手を欠いていた。そんな中、9周目のシケインでスピンしてストップした車両が……。3度目のSC導入となり、そのままチェッカーが振られることとなった。

「不完全燃焼感はありますね。何周したんだろうっていうレースでしたから。でも優勝は優勝なので! リスタートは、僕のシケインのペースが週末を通して良くなかったので、そこで詰められて抜かれる可能性もあったから、そこでのリスクを最小限にしたかったというのがありました。抜かれていないので、正解だったと思います」と三井選手。

 4位は洞地選手で、5位は大宮選手、6位は佐野選手。シリーズ前半には、このあたりにいなかったフレッシュなドライバーが上位につけるようになってきた。そしてインディペンデントカップでは齋藤真紀雄選手が久々に優勝。「一時は後ろに近づかれましたが、こっちの方がペースは良かったので離せましたし、とくにプレッシャーはなかったですね。今日は家族がみんな来ていて、その前で優勝できたので、よりうれしいですね」と齋藤選手。

第7戦優勝は三井選手(HFDP RACING TEAM)。
2位は中村仁選手(TGR-DC RS トムススピリット F4)、3位は野村選手(HFDP RACING TEAM)。
第7戦表彰の各選手。
第7戦インディペンデントカップ優勝は齋藤真紀雄選手(CSマーケティングAKILAND F110)。
第7戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位の仲尾恵史選手、1位の齋藤選手、3位の小嶋禎一選手。

第8戦決勝

 絶えず「暑い」と言い続けていた週末だったが、土曜日の晩に強い雨が降ったことで、第8戦決勝レースはダンプコンディションでの戦いになるかと思われた。しかし、そんな心配は無用だった。相変わらずの強い日差しが、路面をあっという間に乾かしていたからだ。

 ここでも好スタートを切ったのは三井選手。今度は上位のポジションチェンジはなく、三井選手、野村選手、中村選手、小林選手、そして洞地選手の順で1コーナーを立ち上がる。しかし、トップを行く三井選手のペースが速い。1周目を終えると1.1秒の差をつけ、その後もじわりじわりとリードを広げていた。

 だが、5周目の1コーナーで接触があって1台がストップ。当然SCが導入される。ここでの先導は2周。さて三井選手はリスタートをどう切るか? 第7戦と一緒なら、もう手の内は見透かされている。しかし、三井選手は130Rで早くもアクセルオン! 結果、1コーナーには危なげなく飛び込んでいく。それでも野村選手だけが食らいついていくが、残り周回で2台は等間隔だったあたり、三井選手がペースを合わせていたのは間違いない。

 その後方での3番手争いはなおも続き、まず10周目のシケインで小林選手が中村選手に迫るも逆転ならず。むしろ立ち上がりで加速が鈍った小林選手を、洞地選手が逃さなかった。最終ラップに突入したばかりの1コーナーで、洞地選手が4番手に浮上。表彰台には届かなかったものの、洞地選手は2戦連続で大いに存在感をアピールした。

 三井選手はこれで鈴鹿大会4連勝。「昨日のSCのタイミングでいろいろ言われたので、それを今日試そうと自分の中で練ってきました。試す機会ができたのは自分の中でもポジティブでした。130Rから加速してあれだけリードが築けましたし、今日はシケインのペースが良かったので、今日はあそこからを選べたんです!」と、その表情には明らかな満足感があった。なお小林選手が第7戦で無得点、第8戦も5位に終わったことで、三井選手は6ポイント差にまで急接近!

 一方、インディペンデントカップでは今田信宏選手が今季2勝目をマーク。「今週は調子が良かったので、自分の走りができればそうそう抜かれることはないと。とにかく自分の走りを心がけて、若い子とは変にバトルせず『どうぞ』って感じで抜かせてあげて、逆にスリップ使って後ろを離すことに専念しました。いつもこんな楽なレースできたらいいですけどね」と語っていた。

第8戦優勝は三井選手(HFDP RACING TEAM)。
2位は野村選手(HFDP RACING TEAM)、3位は中村選手(TGR-DC RS トムススピリット F4)。
第8戦表彰の各選手。
第8戦インディペンデントカップ優勝は今田信宏選手(JMS RACING with B-MAX)。
第8戦インディペンデントカップの表彰式。左から2位のDRAGON選手、1位の今田選手、3位の仲尾選手。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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