TEAM TOYO TIRES DRIFTのトヨタ・GR86が連勝でシリーズチャンピオン争いは混戦に!

レポート ドリフト

2023年9月8日

第4戦終了時点で首位から10ポイント圏内に7名がいる混戦状態で幕を開けたD1グランプリシリーズ第5戦/第6戦。舞台は福島県二本松市の“ドリフトの聖地”ことエビスサーキット西コース。今シーズン上位入賞を果たした選手が予選落ちするなど番狂わせが起こる中、TEAM TOYO TIRES DRIFTの川畑真人選手と藤野秀之選手がそれぞれ優勝した。

2023 D1グランプリシリーズ 第5戦/第6戦「2023 EBISU DRIFT」
開催日:2023年8月26~27日
開催地:エビスサーキット 西コース(福島県二本松市)
主催:株式会社サンプロス

 第4戦で優勝してドライバーズランキングトップに立った蕎麦切広大選手(SHIBATIRE RACING)、そして第3戦で優勝してランキング2番手の植尾勝浩選手(VALINO VAZESTRA)がそろって第5戦で予選落ちする番狂せとなったエビスラウンド。ますます混戦となることが予想される真夏の戦いは、8月26~27日にエビスサーキット西コースで行われた。

 今年も審査区間は昨年の第4戦&第5戦と同じだが、新たにセクター1のラインに規制線が設けられた。これが影響してゾーン1へのアプローチは難易度が増したように思われる。実際にゾーン1を外したりラインからはみ出るなど、減点対象となった選手も多かった。

1コーナーの手前に設けられた規制線。イン側とアウト側にラインが引かれ、進入には逆振りが求められた。

第5戦

 コース幅の規制やゾーンの位置変更により、進入速度は昨年より平均10km/hほど低下し、予選通過得点も下回った。そんな中、一歩抜きん出たのは98.39点をマークした藤野秀之選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)と村上満選手(Repair Create × 326power)だ。2本目の得点の高さで、藤野選手がGR86では3度目となる単走優勝に輝いた。

ともに98.39点のベストスコアをたたき出した藤野秀之選手と村上満選手。セカンドスコアで98.03点の藤野選手が単走優勝となった。

 追走トーナメントの準決勝は中村直樹選手(TEAM VALINO N-style)と川畑真人選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)、そして村上選手と田中省己選手(SHIBATIRE RACING SEIMI STYLE D)という顔ぶれ。すべて2JZ搭載のマシンだ。

 決勝に勝ち上がったのは川畑選手と村上選手。ちなみに村上選手が今シーズンから投入したGR86は、かつて川畑選手のD1GPマシンの製作&メカニックを勤めたチューニングファクトリーゼウスの倉川久範氏が「打倒川畑号」を掲げて製作。5戦目にして早くも直接対決するまでに仕上がった。

 しかしこの対戦は、村上選手が後追いでコースアウトによる減点を喫する。川畑選手は落ち着いた後追いで、GR86では3勝目、自身18勝目を挙げた。初決勝戦の村上選手に対し、川畑選手の追走経験が上回ったと言えるだろう。

GR86同士の決勝を制したのは川畑真人選手。「走りの内容は世界チャンプにふさわしくなかったかも。もっとD1の走りを磨かねばと」と反省の弁も。
川畑選手の冷静に勝ちを狙いに行った姿勢はやはり王者の貫禄だろう。2位の村上選手は広島出身で昨シーズンまでシルビアで参戦しており、長いD1GP参戦歴で2位は自身最上位。3位の田中省己選手は開幕戦から5位、10位、6位、6位、3位と好調で、ランキングも4番手からトップに引き上げた。
第5戦の優勝は川畑選手、2位は村上選手、3位は田中選手、4位は中村直樹選手、5位は藤野選手、6位は松山北斗選手、7位は岩井照宜選手、8位は日比野哲也選手、9位は Chanatpon Kerdpiam選手、10位は目桑宏次郎選手。

第6戦

 前日の第5戦とコース設定が変わらないゆえ、選手たちは慣れてきたこともあって、前日よりわずかに単走の得点がアップ。しかし、前日に優勝した川畑選手が予選落ちする番狂せが発生。チームメイトの藤野選手が予選最終組で98.56点を出してまたも単走優勝かと思わせたが、同じ組ですぐその後に出走の松山北斗選手(+LenoRacing watanabe)が98.75点を出してトップを奪取した。

 DOSS(D1オリジナルスコアリングシステム)の特性的にGRスープラの短いホイールベースにアドバンテージがあるとしながらも、ギリギリの角度に耐えるコントロール幅の狭さには苦戦したようだ。しかしそれを克服できればGR86よりも高得点が出せることを証明した。

松山選手のエビス西のうまさは定評があり、昨年のエビスラウンド(第5戦)でも優勝している。

 第6戦の追走の決勝は松山選手と藤野選手。第5戦終了時点でシリーズランキング2番手と3番手の戦いとなり、勝った方がランキングトップに出る。天候が不安定でたびたびにわか雨に見舞われたが、準決勝からはウェット路面の難しいコンディションとなった。

 松山選手先行の1本目、少しインに刈り込んで小さくなった松山選手に藤野選手がうまく合わせて後追い13点をゲット。後追いの松山選手はそれを上回れず、やはりインに刈り込み気味に。ウェットドライ路面の難しさがスープラに露呈した感があった。なお、両車のホイールベースを比較するとGRスープラがGR86より100mm短い。

2017年シリーズチャンピオンの藤野選手。常に上位にいるイメージがあるが、実は5年ぶりの優勝(2018年第2戦舞洲以来の通算4勝目)。
第5戦で単走優勝の藤野選手と、第6戦で単走優勝の松山選手の戦いは、藤野選手に軍配が上がる。3位には中村選手が入賞した。
第6戦の優勝は藤野選手、2位は松山選手、3位は中村選手、4位は日比野選手、5位は横井昌志選手、6位は田中選手、7位は石川隼也選手、8位は蕎麦切広大選手、9位は北岡裕輔選手、10位は森孝弘選手。

■2023 EBISU DRIFT TOPICS

 今ラウンドのエントリー39台の中で、S15型シルビアが13台ともっとも多く、続いてGR86が7台だった。決勝トーナメント進出車両に絞り込むと、第5戦ではS15が4台でGR86が6台、第6戦ではS15が3台でGR86が5台。さらに2戦合わせてベスト4に入ったS15がわずか1台に対し、GR86は6台という興味深い結果に。

単走優勝、追走優勝&準優勝がGR86という結果となった。ベスト8の時点でGR86が5台もいたことから、定番ドリフト競技車両と言っていいだろう。そのすべてが2JZエンジンに換装されている。
GR86の参加台数が増加しているとはいえ、GR86での優勝はまだTEAM TOYO TIRES DRIFTの川畑選手と藤野選手の2名だけ。
今やGR86の定番メニューとなっている2JZエンジンに、ワイズファブアームの組み合わせを最初に試した車両でもある。大幅な切れ角アップが可能になり、ステアリングラックをハブ中心より前方に移動できることで「逆関節」という症状に陥りにくいのがメリットだ。

■2023 EBISU DRIFT 注目ドライバー

第5戦の単走で9位の齋藤太吾選手は、その順位よりも進入速度で目立った。166km/hはエビス連戦を通じてトップ。単走優勝選手よりも10km/h以上速く、観客をおおいに沸かせた。
今年からGR86でD1GPに参戦している石川隼也選手(広島トヨタ team DROO-P)は、第6戦のベスト16で前日2位の村上選手と対戦して勝利。2JZ搭載の村上選手に対し、石川選手のGR86はクラウンの2GRエンジンをツインターボ化して搭載している。

フォト/SKILLD、小竹充 レポート/SKILLD、JAFスポーツ編集部

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