ジュニアカデット部門は最終戦を待たずにチャンピオン確定! 元田心絆選手が6戦全勝で決めた
2023年9月15日
9月9~10日、岡山県和気町の中山カートウェイで、全日本カート選手権FS-125JAF部門およびFP-3部門の第7戦/第8戦が開催。FS-125JAF部門では、第7戦で伊藤聖七選手(Formula Blue Ash)が、第8戦で佐藤佑月樹選手(World YK Racing)が優勝。ともにポイントランキングの首位と2番手をキープして、今季最後のSUGO大会でチャンピオンの栄誉を競い合うこととなった。
2023年JAF全日本カート選手権 FS-125JAF部門/FP-3部門 第7戦/第8戦
2023年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門/ジュニアカデット部門 第7戦/第8戦
開催日:2023年9月9~10日
開催地:中山カートウェイ(岡山県和気町)
主催:株式会社山陽スポーツランド
全日本FS-125JAF部門およびFP-3部門の2023シリーズは、いよいよ残すところ2大会となった。チャンピオンシップの行方を大きく左右する第7戦/第8戦の舞台は、岡山県和気町の中山カートウェイ。ここは全長740mとシリーズ中もっともコンパクトなサーキットで、ふたつのレースの決勝は各30周と、もっとも周回数が多い。夏の名残りの暑さと相まって、体力面でも厳しい戦いとなる。
シリーズ終盤の大会とあって、全日本FS-125JAF部門と、同時開催のジュニアカート選手権ジュニア部門/ジュニアカデット部門では、この日の結果によっては今季ラストのSUGO大会(第9戦/第10戦)を待たずにチャンピオンが確定する可能性があった。
決勝日のサーキット上空は綺麗な青空。その空を、時を追って雲が覆い始め、最後の決勝が行われる時間にはかなり雲が厚くなってきた。近くの地域ではすでに雨が降り始めたとの情報も入ってくる。だが結局、雨がレースの邪魔をすることはなかった。ぽつりぽつりと雨粒が落ち始めたのは、まさに最後のレースがチェッカーを迎えた直後だった。
全日本カート選手権 FS-125JAF部門 第7戦/第8戦
参加6台のFS-125JAF部門は、佐藤佑月樹選手が2レースの予選と決勝すべてで1位になるとチャンピオンが確定する状況だった。その佐藤佑月樹選手は、第7戦の予選で6台一列の集団を抜け出して先頭でチェッカーを受け、チャンピオン争いの早期決着に向けて順調な一歩を踏み出したかに思われた。
ところが、佐藤選手は重量不足でまさかの失格に。この時点で選手権の決着は次のSUGO大会に持ち越されることが決まる。さらにポイントリーダーの伊藤選手も途中でリタイアし、このヒートは波乱の展開に。繰り上がりのトップとなって決勝のポールを獲得したのは松本琉輝斗選手(HRS JAPAN)だった。
迎えた第7戦の決勝。5番グリッドからスタートした伊藤選手はオープニングラップで3番手に上がると、3周目には2番手に浮上。トップを行く松本選手とともに群れを抜け出して、序盤で一騎討ちの状況をつくり上げた。
松本選手と伊藤選手はタンデムを組んだまま、3番手を1.5秒ほど引き離して淡々とラップを重ねていく。戦いの火蓋が切られるのはいつか、場内の視線は2台に注がれた。そして、そのときは残り4周でやってきた。
伊藤選手はバックストレッチで松本選手の横に並びかけると、続く4コーナーで綺麗に松本選手の前へ。その勢いのまま松本選手に数車身の差をつけた。勝者は伊藤選手だ。これで伊藤選手は7戦4勝。ただし予選がノーポイントだったため、有効得点を上積みすることはできなかった。松本選手は今季最上位の2位フィニッシュ、4度目の表彰台登壇となった。
トップ争いの後方では、最後尾から4周で3番手に上がった佐藤佑月樹選手と、セカンドグリッドから発進した佐藤こころ選手が接近戦を延々と展開したが、佐藤佑月樹選手がポジションを守り切って3位に入賞した。
第8戦の予選では、伊藤選手が1周目に3番グリッドからトップに立って独走、決勝のポールを手に入れた。2~4番手でゴールした佐藤佑月樹選手、佐藤こころ選手、松本選手は1周目から3台ひとかたまりのままラップを続け、各車の実力が伯仲していることをうかがわせた。
第8戦の決勝のスタートでは佐藤佑月樹選手がトップに、松本選手が2番手に浮上。間もなく伊藤選手が2番手まで順位を戻し、佐藤選手とともに後続を引き離した。
残り7周、伊藤選手が佐藤佑月樹選手をパスして先頭へ。これがバトル開始のゴングだった。翌周、2台は2コーナーから4コーナーまで並走して、佐藤佑月樹選手がトップを奪還。戦いを過熱させる2台に松本選手と佐藤こころ選手も追いつき、先頭集団は4台に膨らんだ。
レースが残り4周を切ると、佐藤佑月樹選手は要所のコーナーでインを閉める。迎えた最終ラップ。2コーナーへイン寄りに進入した佐藤佑月樹選手を、アウトからスピードをのせて立ち上がった伊藤選手がかわした。すると最終コーナー手前の6コーナーで、佐藤佑月樹選手がトップを奪い返す。激しい戦いは佐藤佑月樹選手の3勝目で決着した。
伊藤選手はあと一歩で5勝目を取り逃すも、予選トップが効いてビッグポイントの獲得に成功する。3位には松本選手が入り、2戦連続表彰台で中山大会を締めくくった。
ポイントランキングは伊藤選手が首位を、佐藤佑月樹選手が2番手をキープ。両者の有効得点は156点と154点で、タイトル争いは僅差のままSUGO大会へと引き継がれることになった。また、ランキング3番手の松本選手と4番手の中尾正義選手(チームナガオ)もチャンピオン獲得の可能性をわずかに残している。
全日本カート選手権 FP-3部門 第7戦/第8戦
FP-3部門も出走6台。第7戦の予選では、タイムトライアルで4番手に留まった酒井龍太郎選手(ミツサダ PWG RACING)が発奮し、最終ラップの逆転でトップを獲って決勝のポールについた。そして決勝では酒井選手を先頭に横山優之介選手(SPS川口)、山代諭和選手(quaranta sei YRTwithGEMINI)、藤村太郎選手(Formula Blue HKC)の4台が序盤から一列に連なり接近戦を繰り広げる。
酒井選手は前大会のアクシデントで骨折した左腕がまだ治癒していない状態のまま、体に厳しいことで知られる中山のレースをリードしていく。その熱闘は報われた。逃げる速さはなかったが、集中力を切らさず走り続けた酒井選手は、後続に逆襲のチャンスを与えることなく30周を耐え抜いて2勝目を手に入れた。
2位は復調を感じさせる速さでタイムトライアルのトップを獲った横山選手。山代選手が僅差の3位となった。
第8戦の予選では山代選手が横山選手を逆転して先頭でゴールし、初の決勝ポールを獲得した。それに続いたのは横山選手と酒井選手だ。そして決勝では、スタートで2番手に上がった酒井選手が、8周目に山代選手をパスしてトップに浮上し、またも後続を引き連れたままフィニッシュして2連勝、今季3勝目を遂げた。
酒井選手の背後では山代選手と横山選手がたびたび順位を入れ替えたが、残り2周の逆転で2位は横山選手のものに。山代選手が3位でゴールし、トップ3は第7戦と同じリザルトとなった。
ポイントランキングは横山選手が有効157点で首位をキープ、この大会2連勝の酒井選手が有効得点を140点に伸ばし、6番手から2番手に急浮上する。2023シリーズを締めくくるSUGO大会を残し、チャンピオン候補はこのふたりに絞られた。
ジュニアカート選手権 ジュニアカデット部門 第7戦/第8戦
本庄大会の不成立で全8戦/有効4戦のシリーズとなったジュニアカデット部門では、開幕4連勝中の元田心絆選手(ASPEED with SOVLA)が第7戦をポール・トゥ・ウィンで制し、いち早くチャンピオンを確定させた。
今季ラストのSUGO大会の開催日は、MAX Challengeの世界大会に参加する日本代表選手を決める2023 ROTAX MAX Festivalと重なっており、そちらに参加するためにも今回でタイトル争いを決着させたかった元田選手は、これで肩の荷が下りた形だ。
オープニングラップに元田選手をパスして半周ほどトップを走った佐藤天斗選手(HEROES)は、フロントホイールが外れて無念のリタイアに。岡本紘吉選手(WORLD YK RACING)が2位、下羅睦貴選手(チームナガオ)が3位に入賞した。
元田選手は続く第8戦もトップ独走でフィニッシュし、今季出場した6戦すべてポール・トゥ・ウィンという圧巻の強さを見せつけた。第8戦の2位は単独走行の佐藤選手、3位は岡本選手だった。
ジュニアカート選手権 ジュニア部門 第7戦/第8戦
ジュニア部門第7戦の決勝では、石田馳知選手(SUPER CREWS withZEAL・WM)が3番グリッドからトップに浮上して独走フィニッシュを果たしたが、フロントフェアリングのペナルティを受け、初優勝は幻に終わった。代わってウィナーとなったのは中西凜音選手(チームナガオwithEnergyJAPAN)。第6戦優勝の村田鉄磨選手(Ash)が2位、ポイントリーダーの木原太一選手(FLARE with HRT)が3位に入った。
同第8戦では、中西選手がポールからの独走で今季4勝目を獲得した。村田選手が2戦連続の2位、石田選手が3位に。この大会でチャンピオン確定の可能性があった木原選手は4位のフィニッシュで、タイトル争いはSUGOに持ち越しとなった。
ポイントリーダーに立ったのは、今大会の2連勝で有効得点を120点とした中西選手。5点差の2番手に木原選手が続く。さらに3番手の村田選手と4番手の石田選手も100点越えの有効得点を稼いでおり、チャンピオン争いは混迷の様相を呈している。
フォト/JAPANKART レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部