箕輪卓也選手が4位獲得でツーリングカー選手権のタイトルを確定
2023年10月4日

2023年からJAFツーリングカー地方選手権として開催される、ロードスター・パーティレースIIIのジャパンツアーシリーズ。全国の主要サーキットを転戦し、全7戦で競われるシリーズの第6戦が、9月24日に富士スピードウェイで行われた。最大の焦点となっていたのは、ここまで4戦に出場してすべて勝っている箕輪卓也選手がチャンピオンに王手をかけていたことだ。誰の優勝を許そうとも、箕輪選手自身が4位以上でゴールすれば確定とあって、かなり有利な立場にあったのは間違いない。
JAFツーリングカー選手権 ロードスター・パーティレースIII ジャパンツアーシリーズ 第6戦
(2023 富士チャンピオンレースシリーズ 第4戦内)
開催日:2023年9月23~24日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、MSCC
予選
富士チャンピオンレースシリーズが行われる富士スピードウェイは、土曜日は雨が降ったり止んだりを繰り返す不安定な天気だったが、日曜日になると好転。しかも連日のように続いた猛暑からようやく解放されて、まさに秋晴れになっていた。そんな最高のコンディションの中、ロードスター・パーティレースIIIのNDシリーズには21台、NDクラブマンには12台がエントリーし、計33台で予選が行われた。
計測1周目のトップは昨年の西日本シリーズ王者で、今回はスポット参戦の織田祥平選手。次の周に再び織田選手がタイムアップを果たすも、さらに上回ってきたのが箕輪選手だった。だが、勝負はこれで終わらない。計測3周目には、それまで3番手につけていた南澤拓実選手がコンマ3秒の短縮を果たしてトップに浮上。さらにもう1周、ダメ押しのタイムを記してポールポジション(PP)を獲得し、南澤選手が箕輪選手をコンマ4秒差で従えた。
実は南澤選手は2021年の東日本シリーズ王者で、パーティレース1年目の箕輪選手を従えていたドライバーなのだ。「2年ぶりの参戦になります。『ちょっと出てみないか』とお誘いをいただいて出ることになったんですが、このクルマに乗るのは初めてなので、慣れるのに2周ぐらいかかっちゃって、3周目でやっと納得のいくアタックができました。2年前、一緒にレースをしていた仲の箕輪選手に負けないように戦いたいと思います」と南澤選手。
一方、箕輪選手は「今回、南澤選手や織田選手のような強敵も加わってきたので、スリップストリームの効く富士であれば、誰がPPになっても、誰が勝ってもおかしくない状況です。あまりPPは意識していなくて、最低2列目にいられればいいかなと思っていたので、とりあえず1列目が獲れて良かったです。優勝したいのはやまやまなんですけど、チャンピオン狙いを優先順位と考えて、落ち着いてレース運びしていきたいと思います」と語っていた。

決勝
決勝レースはシリーズ恒例のローリングスタートでの開始だ。誰より鋭いダッシュを決め、箕輪選手を従えて1コーナーに飛び込んだのはPPの南澤選手。上位に変動はなく、以下、織田選手、吉田恭将選手、本多永一選手、上田純司選手の順で続いていく。
1周目を終えた時点で南澤選手のリードは早くも1秒3。これに対して2番手争いの激しさが増す。1コーナーで織田選手がインを差すも、ここでは逆転を防いだ箕輪選手が、続くコカ・コーラコーナーで先行されてしまう。さらに吉田選手も急接近。このバトルが南澤選手の逃げを加速させる。
3周目の1コーナーでは、箕輪選手が再び2番手に。どうやら守りに入ろうという意識はまったくなさそうだ。それに応えようとばかりに本多選手と上田選手もバトルに加わるように。最終コーナーでは本多選手が吉田選手をかわすが、ストレートで吉田選手はすぐ再逆転。
4周目の13コーナーでは、織田選手が再び箕輪選手の前に。箕輪選手は最終コーナーで吉田選手にも抜かれてしまう。この間、すでにトップ南澤選手のリードは3秒に広がっていた。5周目の1コーナーでは吉田選手が織田選手を抜いて2番手に浮上。バトルはまだまだ続き、次の周にはストレートからコカ・コーラコーナーでの攻防で、織田選手、箕輪選手、吉田選手という順に変化する。
最終ラップの1コーナーに至っては、スリーワイドで飛び込むまでに。接触するとノーポイントになる独自のレギュレーションが設けられているため、吉田選手は一瞬引いた形ながら、それでもコカ・コーラコーナーまでに箕輪選手をかわす。最後のストレートでのバトルも注目されるが、ここでの順位変動はなかった。
その結果、最後はアクセルを緩める余裕さえ見せた南澤選手が久々の優勝を飾り、2位を織田選手、3位を吉田選手が獲得。表彰台には上がれなかったものの、4位となった箕輪選手のジャパンツアーシリーズ2連覇と、初のJAF地方選手権チャンピオンが確定した。5位は予選11番手から徐々に順位を上げてきた野村充選手が獲得。
「いいペースで走れました。バックミラーで(2番手争いを)しっかり見ていて、最後はもうペースを上げずに。チェッカーを受けることを目標に走っていました。機会があったらまた出たいですね」と南澤選手。
一方の箕輪選手だが、「一応マージンは取りましたけど、表彰台に上がった人たちとは一緒にレースしたことがあって信頼関係はあるので、アクシデントもなくバトルができました。ちょっと僕の戦略ミスもあって、仕掛けがもうちょっと早かったら、また違った結果になっていたかもしれません。チャンピオンの実感はまだですね。せめて表彰台に上がっていれば……」とレース後にコメント。それは偽らざる心境だろう。
このレースで最も喜びを表していたのが、NDクラブマンで優勝の鷲尾拓未選手だった。予選クラストップから一度もポジションを譲らず、総合でも8位となっていた。「うれしいです、初優勝なので。普段は東日本シリーズに出ていて、今回のジャパンツアーシリーズはスポット参戦だったので、クラブマンで出させていただきました。アクセルとかブレーキを丁寧に操作して、あとは接触しないよう心がけて走ったことが勝因かもしれません」と、最高の笑顔で語ってくれた。







フォト/髙橋学 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部
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