九州ジムカーナ選手権と併催のオートテストは国内B級ライセンス取得希望者が多数参戦

レポート オートテスト

2023年10月12日

10月1日にHSR九州で行われた九州ジムカーナ選手権。その大会終了後、同会場ではとびうめオートテスト2023が開催された。主に学生たちのBライセンス取得に向けた参加で盛り上がりを見せた中、ベテラン河田誠也選手がウィナーに輝いた。

とびうめオートテスト2023
開催日:2023年10月1日
開催地:HSR九州 ドリームコース(熊本県大津町)
主催:TOBIUME

 全国的にさまざまな盛り上がりを見せているオートテスト。各地区ではすでにシリーズ化やクラスの細分化が行われ、地域ごとに進化を遂げている。九州地区は導入早々からオートテストの開催に取り組んできたこともあり、その波に乗り遅れることなく、カーディーラーの支援を受けながら次のステップのために歩みを進めている。

 今大会はHSR九州のドリームコースで九州ジムカーナ選手権の開催後に行われた。そのため、地方選手権を観戦したドライバーが多く参加するなど、いつもとは違う顔ぶれが揃うオートテストとなった。

 とくに地方選手権と併催された全日本学生自動車連盟 九州支部主催の秋季全九州学生ジムカーナ大会に参加した大学の新入生が、国内B級ライセンスを取得するためのステップとして参戦。ジムカーナ競技との併催は、ライセンス取得のきっかけとなったようだ。

 そんなHSR九州でのオートテストは、1ヒート40秒を超える走り応えのあるコース設定となった。普段はショッピングセンターなどの駐車場で行われることが多いオートテストだが、しっかりとしたクローズドコースでの大会は、モータースポーツをより身近に感じられるものとなったことだろう。

 主催者はジムカーナで使用していたセクションを、いくつかのエッセンスとして残す配慮を行った。午前中に目前で繰り広げられていたジムカーナドライバーの走りを体感してもらいたい、そんな意図でレイアウトされたコースは、最後の360度ターンがポイントとなったようだ。

九州ジムカーナ選手権の終了後に行われたこともあり、福岡大学出身のPN1クラス林紘平選手も慣熟に参加した。
HSR九州 ドリームコースを使用するオートテストでは、スタンダードなガレージとラインまたぎ、そしてジムカーナ地区戦を彷彿とさせる360度のパイロンターンも採り入れられた。

 大会は通常のオートテストと同様に2ヒートを走ったうちのベストタイムが選択される。また安全性に配慮して、ゴールラインでは前輪と後輪でラインをまたいでゴール後に停止することが義務づけられた。この通称『ゴールまたぎ』に失敗すると、当然のことながら5ポイントのペナルティが加算されるシステムだ。

 第1ヒートからトップタイムをマークしたのは、ダイハツ・コペンで参戦する河田誠也選手。他地区にも遠征に行くオートテストの強者が圧倒的な速さを見せつける。2番手につけたのはガレージつかさミラジーノをドライブする大塚耕司選手で、3番手にはシビックを駆る小谷恭平選手が0.6ポイント差で追いかける。

 ラインまたぎから後退した先にあるパイロンが絶妙な障害になったようで、ここでポイントを大きく落とした選手も多く、第2ヒートでの挽回に勝負をかける選手も見られた。しかし、気温が下がり始めて路面温度も下がってきた影響なのか、前半ゼッケンからタイム更新をするドライバーが現れなかった。

 そして第2ヒート、河田選手はバックギヤに入れる際にエンジンストール気味になるミスもあり、タイムダウンを喫する。河田選手を追いかける大塚選手もタイムが上がらなかった。「ちゃんと走って、自分的にもそんな大きくミスがあったとは思えないんですが……タイムが上がりませんでした」と大塚選手。

 その後も第1ヒートで大きくミスをしていた選手を除けば、大きなタイムアップはなかった。結果、第1ヒートのタイムで順位が決定する。優勝した河田選手は「今日はスムーズじゃなかったけど、ギヤがしっかり入って走れました。最後のターンも歩幅12歩ほどあったので、軽自動車にとっては問題ない間隔でした。九州も他地区のようにシリーズ化してもらえればうれしいですね」と感想を語った。

優勝は河田誠也選手(ダイハツ コペン)。
2位は大塚耕司選手(ガレージつかさミラジーノ)、3位は小谷恭平選手(シビック)。
とびうめオートテストの表彰式。左から2位の大塚選手、1位の河田選手、3位の小谷選手、4位の柴山隼選手、5位の伊藤浩光選手、6位の藤間静雄選手。

福岡大学自動車部所属の新入生4人組

マシンのオーナーである平井友啓選手を始め、福岡大学新入生の4人組で参戦。学生自動車連盟の大会への参戦に必要な国内B級ライセンス取得のためにエントリーした。平井選手は「Bライセンスが欲しくて参加しました。オートテストを初めて走ってとても気持ち良かったです。横転しないように頑張りました。これから競技中心の生活にしていきたいですね」と初完走の想いを語ってくれた。また工学部の杉野巧馬選手は「とても気持ち良かったです。1週間前にスイフトスポーツが納車されたんですが、ちょっと怖かったんで平井選手のクルマを借りました(笑)」とコメント。中島晃輔選手は「僕もライセンス取得のために参加しました。アルトワークスを購入したので、次は自分のクルマでいろいろ走り回りたいですね」と希望を語る。最後に唯一の文系・山本英巨選手は「自分のロードスターがあるんですが、今日は借りものの車両で参加しました。ちょっと片側が浮いてしまいましたが、良い感じで走れました。これからドリフトにも参戦したいと思います」と走行後の感想と思い思いに語ってくれた。

C&Cレーシング所属の田中知香選手と柴山隼選手

ジムカーナでも活躍するC&Cレーシングに所属するふたり。来年からJAF戦に参戦すべくBライセンスを取得するためにこのオートテストに参加した。柴山隼選手は「楽しかったです。思った通りになかなか走れず難しかったですね」と感想を述べた。一方、田中知香選手は「来年はこのスイフトでジムカーナに参戦しようということになったので、ライセンスを取得するために参加しました。すごく楽しみです」と来年への希望をのせたコメントを語った。

 大会を終えたオーガナイザーの寺田泰浩氏は「今までのオートテストは福岡県が中心で、エントラントはちょっと少なかった気がします。今回は初心者の方が多く参加してくれたようで、新規参入の方が見られたのはうれしいポイントでした。学生の皆さんもそうですが、コロナ禍を経て人が戻ってきたことを実感しています」

「今回はミスコースが少なくなるようなレイアウトを心がけました。昨年までは恋の浦で開催していて、30秒くらいのコースだったんですが、今大会は40秒を超えるロングコースで走り応えがあったと思います。そして、いつもよりは随分ダイナミックなコースレイアウトにしたのも特徴的だったと思います」

「車庫入れはいつも通りで、最後はラインをまたいでのゴールがマストです。九州ではフライングフィニッシュは『止まる』ということを意識してもらいたいので、以前からずっとゴールはこのスタイルなんです」

「九州は各支部や各クラブが持ち回りでオートテストを開催しているので、今後はシリーズ化したいですね。定期的に開催できる場所を確保してきているので、しっかり形にしていきたいです」とコメントを残してくれた。これからも九州地区のオートテストの発展から目が離せそうにない。

九州および沖縄地区のオートテストの立ち上げから関わってきた寺田泰浩氏。

フォト/鈴木あつし レポート/鈴木あつし、JAFスポーツ編集部

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