地方カート選手権 新潟シリーズFP-3部門は小林留魁選手がタイトル確定の快挙!
2023年10月13日
2023年の地方カート選手権 新潟シリーズが、10月8日の第3戦/第4戦で閉幕。第3戦では齋藤瑠哉選手(SuperRacingJunkie!)が、第4戦では小林留魁選手(アルビレックス-ユース開志国際)が優勝を飾り、小林選手がシリーズチャンピオンに確定した。
2023年JAF地方カート選手権 新潟シリーズ 第3戦/第4戦
(2023 2&4 SPNシリーズ内)
開催日:2023年10月8日
開催地:スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催:SPN、SSC
地方カート選手権の新潟シリーズは今季始まった新しいシリーズ戦である。会場は新潟県北部の胎内市にあるスピードパーク新潟。ここでJAFのカートの選手権が行われるのは、このシリーズが初めてのことだ。また、同時開催の2&4 SPNシリーズは、カートとミニバイクのレースが一緒に行われるシリーズ戦で、カートの走行が終わるとバイクがコースインしていくユニークな光景が見られた。
コースはさまざまなレイアウト変更が可能で、今回使用されるのはスタンダードな全長1049mのコース。左回りながら1コーナーを右にターンし、長いストレートとタイトなコンビネーションコーナーを駆け抜けていく、オリジナリティの高いレイアウトだ。
大会前日にコースを濡らした雨は夜のうちに止み、決勝日はドライコンディションでレースが行われることとなった。深まる秋に、朝のひんやりとした空気は気持ちよく乾いている。レースを楽しむのには絶好のコンディションと言えよう。
今回のこのシリーズは、今季の地方選手権の中で唯一、FP-3部門で行われることも特徴(他はFS-125部門)として挙げておく。エンジンは、ローカルレースでもユーザーの多い空冷100ccピストンバルブ吸気のヤマハKT100SECのワンメイクだ。
大会は2レース制で、タイムトライアル~予選~第3戦決勝~第4戦決勝というレースフォーマット。第3戦決勝のスターティンググリッドは予選の結果で、第4戦のスターティンググリッドは第3戦決勝の結果で決定される。8周の予選を経て行われる決勝の周回数は、2レースとも10周。一瞬の油断も許されない短期決戦だ。
地方カート選手権 新潟シリーズ 第3戦/第4戦
エントリーは7台。そのうち1台が出走を取り止め、6台による戦いとなった。シリーズの最終ランキングは4戦すべての合計ポイントで決まるので、計算上は今回出走するすべてのドライバーにチャンピオン獲得の可能性がある。
タイムトライアルでは小林選手が52秒634のトップタイムをマーク。齋藤選手が0.115秒差でそれに続き、この2台が52秒台に突入して他の選手たちにやや差をつけた。53秒366の3番手は、目下ポイントリーダーの泉田茂和選手(プティ レーシング)だ。
予選では齋藤選手がスタートでトップに立ち、ゴール間際の小林選手の追い上げから逃げ切って第3戦決勝のポールを獲得。2番手でチェッカーを受けた小林選手からやや間を置いて、泉田選手が3番手でこのヒートを終え、菊地春樹選手(チームハマツ)が青木諒太選手(かのせ温泉赤湯with AlbirexRT GIA)との接近戦を制して4番手を守り抜いた。
迎えた第3戦決勝。ポールの齋藤選手は後続の競り合いを利してオープニングラップで約1秒のアドバンテージを手に入れたのだが、レースはワンサイドゲームとはならず、小林選手が齋藤選手にひたひたと接近していく。残り3周、2台はほぼ一体に。それでも齋藤選手はこのピンチを乗り切り、右拳でガッツポーズを披露して真っ先にチェッカーをくぐった。今回が地方選手権初参戦の斎藤選手は、堂々のデビューウィンだ。
小林選手は逆転優勝こそならなかったが、前大会から2戦連続の2位でポイントを44点に伸ばした。その後方でホットな集団戦を展開した泉田選手、青木選手、菊地選手のセカンドグループは、泉田選手の3位フィニッシュで決着。ポイント圏内に滑り込んだ泉田選手は、67点でランキング首位の座を堅持した。
15時すぎ、新潟シリーズの初代チャンピオンの座をかけた第4戦決勝が始まった。そのレースとチャンピオン争いは、ドラマティックな決着を迎えることとなる。各車のエンジンが始動してメインストレート上のダミーグリッドを離れると、タイヤを温めようとマシンを振ったポールの齋藤選手が、1コーナーでまさかのスピン。再スタートしてローリングの隊列には追いついたのだが、最後尾からのスタートになってしまったのだ。
1周目をトップで終えたのは小林選手。齋藤選手は前のマシンをかき分けて2番手までポジションを戻してくる。その齋藤選手の勢いは止まず、3周目に小林選手のテールを捕らえると、最終セクションでの攻防を制して先頭の位置に戻り、一気に0.8秒ほどのリードを築いた。
だが、ドラマはこれで終わりではなかった。第3戦の惜敗に闘志をかき立てられた小林選手が、折り返し点を過ぎると齋藤選手のリードを削り取って前の背中に追いつき、残り3周の再逆転でトップに復帰したのだ。
斎藤選手は懸命の逆襲を仕掛け、一旦は小林選手の前に出るのだが、小林選手も譲らずすぐにトップを獲り返す。熱戦を制したのは小林選手。うれしい初優勝でシリーズを締めくくり、ポイントを69点まで積み上げた。
一方、トップ争いの後方では泉田選手、青木選手、菊地選手がまたもバトルを繰り広げ、残り3周の再々逆転で青木選手が初表彰台となる3位を獲得。泉田選手はポイント圏外の4位フィニッシュとなり、67点のままでシリーズを終えた。この結果、自身の優勝と泉田選手のノーポイントしか戴冠の可能性がなかった小林選手が、わずかな可能性をものにして初代王者に確定。こうして初年度の新潟シリーズは幕を閉じた。
同時開催の2&4 SPNシリーズ第5戦では、カートによるふたつのレースが行われた。
SLカートミーティング SPNシリーズ YAMAHA-SS/YAMAHA-スーパーSS/KART-OPEN
9台のYAMAHA-SS、4台のスーパーSS、3台のカートOPENと3つのクラスが混走したレースでは、YAMAHA-SSの齋藤選手がポールから独走、1時間前に行われた地方選手権 第3戦の勝利に続いて総合優勝を飾った。2位には序盤の4台によるバトルから抜け出した髙井翼選手(HMC-racing)が入賞。地方選手権にも参戦の小林選手が3位となった。
スーパーSSでは、高橋治文選手(R.T.シャイニング)がYAMAHA-SSのマシンに交じって戦いを繰り広げ、総合4位でフィニッシュしてクラス優勝。その黒田選手と好ヒートを展開した泉田選手は最終ラップにスピンを喫したが、クラス2位を手に入れた。
押しがけ始動の直結エンジンも使用可能なカートOPENでは、クラスのトップを走っていた小林次郎選手(RACING SQUARE-GEN)が終盤のマシントラブルで後退、岡本真和選手(FREAKS with GIA)が13番グリッドから7ポジションを上げて総合6位でチェッカーを受け、クラス優勝を果たした。クラス2位の鈴木琢麻選手(MoonMask from GIA)も、14番グリッドから総合10位に浮上しての入賞だった。
SLカートミーティング SPNシリーズ MZ200スプリント
レンタルカートでも一般的なヤマハ製4ストロークエンジンを使用するMZ200スプリントには、1台の賞典外参加を含む10台が出走して、なかなかの盛り上がりをみせた。このレースでは、ポールの横内充秀選手(胎内☆ 星を見る会 with KAMS)が徐々にリードを広げながら今大会最長の15周を走り切って優勝。2位には平野達雄選手(PS30)が、3位には遠藤雅昭選手(アルキレックスRT)が入賞した。
フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部