【カートコース探訪】広大なコース規模を誇るスピードパーク新潟の魅力を探る

インタビュー カート

2023年10月19日

新潟県胎内市にあるスピードパーク新潟は今季、開業15年目でJAF地方カート選手権のFP-3部門を初開催、10月8日の第3戦/第4戦でそのシリーズを無事に締めくくった。1,000m超の雄大なコースを有するこのサーキットを、改めて紹介しよう。

スピードパーク新潟
所在地:新潟県胎内市松波1013-36
ホームページ:http://www.speed-p-niigata.jp/

 SPNことスピードパーク新潟は、新潟県の北部にある胎内市、日本海を間近に臨む場所にあるサーキットだ。この株式会社スピードパーク新潟の設立は2007年。翌2008年のグランドオープンでサーキットの営業がスタートした。

 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(および前身の全日本F3選手権)や地方選手権のスーパーFJに参戦するアルビレックス・レーシングチームは2010年に発足、法人としてのスピードパーク新潟に所属している。

 スピードパーク新潟のレーシングコースはJAF公認カートコースであり、カートコースとしては国内最大規模を誇る。ショートカットで区切られたコースは複数のレイアウトを採ることが可能で、10月8日の地方選手権で採用されたコースは全長1,049mだった。

 またこのサーキットではレーシングカートのみならず、ジムカーナコースとしてもJAF公認を取得しており、バイク、オートテストまで各種大会を開催。そのほか、ゴーカートライセンス取得可能コースであるとともに、一般の来場者が楽しめるレンタルカートも、初心者向けと上級者向けの2タイプが用意されている。

業界内から新潟での選手権開催を要望する声を受け、スピードパーク新潟では初の開催となった地方カート選手権。最大直線距離は170m、全長1,049mの走り応えがあるコースだ。
二輪と四輪のカテゴリーが併催されるユニークな大会「2&4 SPNシリーズ」。地元の新潟を中心に、近県からモータースポーツを楽しむ人々が多くエントリーした。

 このスピードパーク新潟について、まずは取締役社長の中村寿和氏に話をうかがった。

「ストレートの長さはこのサーキットの特色のひとつで、170mの最大直線長があります。開業当時、これだけ長いストレートを持つカートコースはまだあまりありませんでした。敷地も全日本カート選手権のOK部門が行われているサーキットと同程度の広さがあるので、どなたでもゆったり安全に楽しんでいただくことができます」と中村氏。

 開業当時のコースは右回りだったのだが、後に左回りの走行も始めたところ、こちらの人気が高まり、現在では左回りが定着しているとのことだ。

「ショートカットを多く設けたのは、いろいろな目的に使えるようにしたかったからです。小学生などお子さまの体験走行は短い距離のオーバルコースでやりますし、爽快な走りを体験したい方々の団体がいらっしゃった場合は、しっかりスピードが楽しめるレイアウトにしたりもします」

 中村氏はアルビレックス・レーシングチームのチーム代表を務めるほか、GIA新潟国際自動車大学校のモータースポーツ科や、学校法人 大彦学園 開志学園高等学校のモータースポーツ専攻の顧問を務める人物。スピードパーク新潟は元々、その学生たちの実践教育の場として設立されたものなのだと言う。

「ここはそもそも学校系が母体で、学校が休みになる週末に一般の方々にも開放しましょう、という形でスタートしました。ですので、学生たちをこの場で育ててフォーミュラの方まで引っ張り上げていくことが、この施設の一番の目的だと考えています」

 若い才能の育成、そして幅広い楽しみの提供……。中村氏の展望は大きく広がっている。

「日本海側の地域の冬季は、どうしても雪で5か月ほど営業が止まってしまうのですが、今後はたくさんの方々にできるだけオールシーズン楽しんでいただける方策を考えています。それと、アルビレックス・レーシングチームはコロナ禍の前までスーパーフォーミュラ・ライツもやっていたので、母体であるモータースポーツ学科の学生の勉強の場を、再びそこまで引き上げていきたいと思っています」

インタビュー前日、富士スピードウェイで行われていた富士チャンピオンレースシリーズのスーパーFJに顔を出していた中村寿和氏。サーキットの社長、学校の顧問、チームの代表と多忙を極める中、常にモータースポーツに情熱を注ぎ続けている。
現役学生らによるドライバーやメカニックで構成されたGIA新潟国際自動車大学校のピット。スピードパーク新潟は、彼らにとってホームコースでもある。このような実践現場は、人材を育成していくための貴重な経験の機会となっている。

 1,000m超の規模を持つコースは、左回りながら1コーナーを右へターンし、タイトなコンビネーションコーナーを駆け抜けるユニークなレイアウトになっている。このコースの攻略法を、10月8日開催の地方カート選手権 新潟シリーズ第3戦でデビューウィンを飾った齋藤瑠哉選手(21歳/SuperRacingJunkie!)に聞いてみた。齋藤選手は現在宮城県在住ながら、学生時代はここスピードパーク新潟をホームコースとして活動していたドライバーだ。

 まず、タイムアップのポイントはコース前半にあると齋藤選手は語る。

「タイムアップで重要なのは1コーナーからV字(4コーナー)の区間です。ここをうまく走れないと、僕はコース全体で走りのリズムがおかしくなって『あれあれ?』って感じになっちゃいます」

「このコースは全般的に縁石が高いのですが、1コーナーで縁石を踏むと跳ねて外側に行っちゃうので、ここは絶対に乗りません。2コーナーも、縁石に乗りすぎると跳ねてリアが流れて3コーナーまでのスピードが乗らなくなるんですが、逆にうまく乗ると立ち上がりを速くできます」

「3コーナーからV字の区間は、その先のヘアピン(6コーナー)までのスピードに影響するところです。この3コーナーは、人によって内側から行ったり外側から行ったりと走り方が分かれます。その後のV字の縁石は、土が掘られたようになってマシンがガタンと落ちるところがあって、ここで攻めすぎるとスプロケットが路面に当たってチェーンが外れたりするので注意が必要です」

 一方、オーバーテイクのポイントとなるのは3コーナー、6コーナー、13コーナーだと齋藤選手は教えてくれた。

「3コーナーで抜くときは、1~2コーナーをできるだけスピードを殺さず走って相手よりも早く立ち上がって、イン側に飛び込むやり方でしょうか。6コーナーのヘアピンも、3コーナーとV字(4コーナー)をうまく抜けると直線スピードが乗るので、そこからしっかり相手の後ろについてインを差すっていう感じです」

「13コーナーで抜くには、インフィールド区間をうまく抜けてスピードを乗せることが大事です。ここはアウト側からは絶対に抜けないのですが、抜こうとしてインに入りすぎると、その先でスピードが乗らくなります。抜かないと見せかけてインに入ってみたり、アウト側からインに入ってみたり、インからそのままインに行ってみたりと、駆け引きのやり方がいろいろあるコーナーです」

 スピードパーク新潟を走った感想を聞くと、齋藤選手から「すごく楽しいコースです!」と即答が返ってきた。

「最終区間の1個目(13コーナー)は曲がりながらブレーキをかけてリアをちょっと流し気味に入っていったりするので、ドリフト好きな人はとくに楽しいと思います。セッティングの面では、温間のエア圧が人によって意外と違って、高い人もいればハイグリップタイヤより低いような人もいて、その辺はちょっと難しいかもしれません。リアがすごく重要なサーキットだなと思います」

今回、FP-3部門とYAMAHA-SSのダブルエントリーで2勝を挙げた齋藤瑠哉選手。スピードパーク新潟は学生時代から知る馴染みのあるコースだけに、県外在住ながらカート走行を楽しむため遠征で来ることが多いようだ。
長い直線とキツいコーナーで構成される、メリハリあるレイアウトだ。主にポイントとなるのがスタートから4コーナーまでの区間。マシンをしっかりコントロールさせ、リズミカルにコースを攻めていくように心がけたい。

 今年3月には日本海東北自動車道の胎内スマートインターチェンジが開通して、そこから車で5分ほどでサーキットに到着と、スピードパーク新潟へのアクセスはぐんと便利になった。オリジナリティの高いレイアウトを持つ雄大なサーキットへ、いちど走りに行ってみてはいかがだろうか。

フォト/長谷川拓司、スピードパーク新潟、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

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