PN1徳山優斗選手、SA2浜孝佳選手、SC1山崎迅人選手、D田口勝彦選手が二冠達成!

レポート ダートトライアル JAFWIM

2023年11月20日

2023年のJAFカップオールジャパンダートトライアルおよびJMRC全国オールスターダートトライアル in 東北が、11月4~5日にかけて福島県二本松市郊外のエビスサーキット新南コース(スライドパーク)で開催された。東北地区でのJAFカップダートトライアル開催は、2014年の切谷内以来9年ぶりとなる。

2023年JAFカップオールジャパンダートトライアル
2023年JMRC全国オールスターダートトライアル in 東北

開催日:2023年11月4~5日
開催地:エビスサーキット 新南コース ~スライドパーク~(福島県二本松市)
主催:SiF、Team-F

 これまでドリフトの聖地として国内外に知れ渡っていたエビスサーキット南コースを全面改修して生まれた新南コースは、従来の舗装路面の一部を剥がし、粉砕したアスファルトを土や砂利の代わりに敷き詰めたコースだ。クラッシュアスファルトの厚さや散水の量によって、路面のμを変化させることができるという。

 ちなみに散水量が多いとクラッシュアスファルトが水で流れ、下地のアスファルト部分が出てくるために路面グリップは高くなる傾向。埃が舞い上がるようなドライ路面は、パウダー状のダストが路面を覆うために滑りやすくなるという。

 また散水後に路面が乾いてくると、油分を含んだクラッシュアスファルトの影響により、ぬるぬるとした感触の路面になるという。コースの管理状況によってさまざまな“滑る”状態を再現できるのが、新南コースの大きな特徴だ。

 全日本のシリーズランキング上位選手から、全国8地区の地方選手権でシリーズランキング上位を獲得した選手が一堂に会する同大会には、北海道地区から九州地区まで総勢114台がエントリー。コースレイアウトは、かつての南コースを彷彿とさせる高低差のある外周区間に、最近のダートトライアルでは珍しいパイロンセクションが採用された。

JAFカップオールジャパンダートトライアルの舞台は、旧コースのレイアウトを活かしつつ、2022年にリニューアルされたエビスサーキットの新南コース。
豪快に攻める外周区間と、繊細なマシンコントロールが必要なパイロンセクションという、緩急あるドライビングテクニックが要求された。
選手宣誓を行ったのはPN3クラスのKANTA選手と、クラスWomenの寺田みつき選手。
JAFカップではおなじみとなっている、各地区の料理が楽しめるケータリングサービス。参加した選手たちは舌鼓を打った。

クラスWomen

 2021年からJAFカップに新設されたクラスWomenには、昨年の覇者・城越明日香選手(スズキ・スイフトスポーツ)を筆頭に5台がエントリー。昨年に続き、2年連続のクラス成立となった。

 優勝は、両ヒートでベストタイムを奪い、決勝タイムはPNE1クラスでもクラス4位相当のタイムをマークした葛西芙美恵選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得。2位には、第2ヒートで約11秒のタイムアップを果たした寺田みつき選手(トヨタ・86)が入賞、3位は昨年のJAFカップを制した城越選手が獲得した。

優勝は中部の葛西芙美恵選手(YH☆ATSスイフト@RSK)。
クラスWomenの表彰式。左から4位の森元茜選手、2位の寺田選手、1位の葛西選手、3位の城越明日香選手、5位の中島幸代選手。

PNE1クラス

 PNE1クラスは、第1ヒートで鈴木正人選手(スズキ・スイフトスポーツ)がベストタイムを奪うが、第2ヒートで葛西キャサリン伸彦選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、PN2クラスの優勝タイムを上回る速さで逆転。自身初となるJAFカップ優勝を果たした。2位に鈴木選手、3位には全日本2連覇確定のノワールシゲオ選手(スズキ・スイフトスポーツ)がそれぞれ入賞した。

優勝は中部の葛西キャサリン伸彦選手(YHGC ATSスイフトRSK)。
PNE1クラスの表彰式。左から4位の山部恭裕選手、2位の鈴木正人選手、1位の葛西選手、3位のノワールシゲオ選手、5位の藤田直人選手、6位の宇野祐哉選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、両ヒートともクラス先頭ゼッケンで北海道からエントリーの内山壮真選手(スズキ・スイフトスポーツ)のタイムがクラス後半ゼッケンに入ってもなかなか破られない状況が続いたが、両ヒートともクラス最終ゼッケンの全日本チャンピオン確定・徳山優斗選手(トヨタ・ヤリス)が、2位以下を大きく引き離すベストタイムをマーク。全日本に続きJAFカップも制し、2冠を達成した。2位には内山選手、3位には全日本2位確定の工藤清美選手(ホンダ・フィット)が入賞した。

優勝は北海道の徳山優斗選手(ADVANオクヤマFTヤリス)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の佐藤羽琉妃選手、2位の内山壮真選手、1位の徳山選手、3位の工藤清美選手、5位の川島靖史選手、6位の北原栄一選手。

PN2クラス

 スズキ・スイフトスポーツのワンメイク状態のPN2クラスは、第1ヒートで全日本チャンピオン確定の中島孝恭選手がトップタイム、2番手に鳥居晴彦選手、3番手に山田将崇選手という全日本ベテラン勢が上位につける。

 第2ヒートは北海道の張間健太選手がベストタイムを更新。さらに全日本2位確定に甘んじた鶴岡義広選手が第1ヒート4番手から大きくポジションを上げる走りを見せて逆転優勝。3位には中島選手が入賞し、鶴岡選手と張間選手の新鋭選手たちがベテラン勢を圧倒した。

優勝は関東の鶴岡義広選手(S・DL・クスコ・WMスイフト)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の大須賀智史選手、2位の張間健太選手、1位の鶴岡選手、3位の中島孝恭選手、5位の竹村由彦選手、6位の山田将崇選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、ドリフトで活躍するKANTA選手が、今シーズンの全日本ダートトライアル選手権でPN3クラスを制した竹本幸広選手のトヨタ・GR86で出場。ダートトライアルは「地区戦に2~3戦出場した程度です」というKANTA選手が、JAFカップの大舞台でも多彩なドライビングテクニックを披露。

 公開練習でも他選手を大きく引き離す走りを見せたKANTA選手、決勝でもライバルたちを寄せつけず完勝した。2位には、第1ヒート最下位からリカバーした中部のベテラン寺田伸選手(トヨタ・86)が入賞。3位は全日本でもここ最近上位入賞を果たしている中部の齊藤道夫選手(トヨタ・GR86)が獲得した。

優勝は東北のKANTA選手(YHFKSチャンピオンGR)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の森戸亮生選手、2位の寺田伸選手、1位のKANTA選手、3位の齊藤道夫選手、5位の山﨑裕汰選手、6位の和泉泰至選手。

Nクラス

 第1ヒートは1分34秒台で5人の選手が並んだNクラスは、「こういった滑る路面は嫌いじゃないです(笑)」と言う北海道の宝田ケンシロー選手(トヨタ・GRヤリス)が、第1ヒートとともに第2ヒートもベストタイムをマーク。2016年、2019年に続く3回目のJAFカップウィナーとなった。

 2位には両ヒートで宝田選手にコンマ差まで迫った東北の星盛政選手(三菱・ランサーエボリューションIX)、3位には昨年のJAFカップを制した関東の大橋邦彦選手(三菱・ランサーエボリューションIX)がそれぞれ入賞した。

優勝は北海道の宝田ケンシロー選手(YHオクヤマFT小松GRヤリス)。
Nクラスの表彰式。左から4位の矢本裕之選手、2位の星盛政選手、1位の宝田選手、3位の大橋邦彦選手、5位の三輪智広選手、6位の西ノ谷駿斗選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、今シーズンの全日本ダートトライアル選手権と全日本ジムカーナ選手権で活躍した志村雅紀選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、両ヒートでベストタイムをマーク。JAFカップダートトライアルで初優勝を飾った。

 志村選手は2006年のJAFカップジムカーナでも優勝を飾っており、両カテゴリーのJAFカップを制したこととなる。2位には、第2ヒートで志村選手に約0.6秒差まで迫った関東の小山健一選手(ホンダ・シビック)が入賞、3位は中部の北淳選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得した。

優勝は関東の志村雅紀選手(LAILE☆カヤバYHスイフト)。
SA1クラスの表彰式。左から4位の杉浦忠洋選手、2位の小山健一選手、1位の志村選手、3位の北淳選手、5位の和田悟選手、6位の中山祐太郎選手。

SA2クラス

 SA2クラスは、濃霧の第2ヒートを東北の加藤琢選手(スバル・インプレッサ)が豪快な攻めの走りでベストタイムを奪うが、絶妙なマシンコントロールで滑る路面をグリップ走行で攻める全日本チャンピオン確定の浜孝佳選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が逆転。

 浜選手は全日本に続きJAFカップを制し、2冠を達成した。2位は加藤選手、3位には第2ヒートでポジションを上げた九州期待の若手・岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)がそれぞれ入賞した。

優勝は九州の浜孝佳選手(XPL・ADVANランサー)。
SA2クラスの表彰式。左から4位の岸山信之選手(代理)、2位の加藤琢選手、1位の浜選手、3位の岡本泰成選手、5位の増村淳選手、6位の笠原陸玖選手。

SC1クラス

 SC1クラスは、全日本チャンピオン確定の山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)が、第1ヒートで2番手を2秒以上、第2ヒートでも1秒以上引き離す走りで完勝。全日本に続きJAFカップを制した。2位には、第2ヒートでポジションを上げてきた中国の坂井秀年選手(ホンダ・シビック)が入賞、3位は東北でも活躍した関東の佐藤史彦選手(スバル・インプレッサ)が獲得した。

優勝は関西の山崎迅人選手(YHマックスゲンシンミラージュ)。
SC1クラスの表彰式。左から4位の深田賢一選手、2位の坂井秀年選手、1位の山崎選手、3位の佐藤史彦選手、5位の山下貴史選手、6位の松田宏毅選手。

SC2クラス

 全日本の上位陣がほぼ顔を揃えたSC2クラスは、全日本チャンピオン確定の上村智也選手(三菱・ランサーエボリューションX)が第1ヒートのトップタイムを奪うが、第2ヒートは「前半セクションで土手にヒットしてしまったけど、諦めずに最後まで攻めました」という大西康弘選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、外周中心の後半セクションでタイムを稼ぎ逆転優勝。

 大西選手は2015年、2016年以来となるJAFカップウィナーとなった。1分27秒台に6台が並ぶという壮絶な戦いとなった2位争いは、上村選手を0.014秒上回った岩下幸広選手(三菱・ランサーエボリューションX)が獲得した。

優勝は東北の大西康弘選手(YH・TEIN・AGランサー)。
SC2クラスの表彰式。左から4位の吉村修選手(代理)、2位の岩下幸広選手、1位の大西選手、3位の上村智也選手、5位の奥村直樹選手、6位の熊川嘉則選手。

Dクラス

 Dクラスは、全日本チャンピオン確定の田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)と、全日本3位確定の谷田川敏幸選手(スバル・BRZ)が、第1ヒートで1分26秒台の勝負を展開し、田口選手が約0.6秒リード。

 第2ヒートは、このふたりに関東の國政九磨選手(スバル・インプレッサ)が割って入る展開となり、國政選手がトップのまま最終走者の田口選手を迎えることとなったが、ここで田口選手が國政選手を約1秒引き離す走りで逆転。

 田口選手が全日本に続きJAFカップも制した。2位は昨年に続き2位表彰台を獲得した國政選手、3位には昨年のJAFカップを制した谷田川選手がそれぞれ入賞した。

優勝は中国の田口勝彦選手(HKSランサーエボリューション)。
Dクラスの表彰式。左から4位の亀山晃選手、2位の國政九磨選手、1位の田口選手、3位の谷田川敏幸選手、5位の五味直樹選手、6位の星野伸治選手。

 また、JMRC全国オールスターダートトライアル地区対抗戦は、北海道/中国連合チームが優勝を飾った。

JMRC全国オールスターダートトライアルの表彰式。左から2位のJMRC関東、1位のJMRC北海道/JMRC中国、3位のJMRC東北。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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