178台集結の“西フェス”ジムカーナ、最激戦区のPN2は岡直樹スイフトが大金星!

レポート ジムカーナ JAFWIM

2023年11月21日

2023シーズンの JMRC西日本ジムカーナフェスティバルが11月11~12日、愛知県岡崎市のキョウセイドライバーランドで開催された。「西フェス」の愛称で親しまれているこの一戦は、その名の通り近畿、中国、四国、九州の西日本4地区のドライバーたちが参加する競技会として1997シーズンに初開催され、2001シーズンから中部地区も加わり、以降は5地区のドライバーたちがしのぎを削る一大イベントとなっている。開催地区は毎シーズン持ち回りとなっており、中部での開催となった今季は、JAF中部ジムカーナ選手権の一戦やジムカーナ練習会などを数多く運営しているチームエムアイ(M-I)が主催した。

2023年JMRC西日本ジムカーナフェスティバルin中部
開催日:2023年11月11~12日
開催地:キョウセイドライバーランド(愛知県岡崎市)
主催:M-I

 M-Iの前島孝光代表は「全日本選手権やJAFカップ以外で、他地区の選手が数多く集まる機会ってなかなかないと思います。なので、若い選手もどんどん参加して全日本の様な雰囲気を感じてもらいたいですね」。続けて、「開催するにあたって地域ぐるみで盛り上げ、次世代にも続けてもらいたいとの想いから岡崎市長を表敬訪問し、岡崎市公認イベントとして開催することができました」と開催に向けての想いを語った前島氏。その甲斐あって、エントリーは全クラス合わせて178台と大盛況。開会式は冒頭、大会名誉会長の中根康浩岡崎市長が祝辞を述べ、華々しくとり行われた。

大会名誉会長を務めた、キョウセイドライバーランドが建つ岡崎市の中根康浩市長は開会式にも登場。大一番に挑むドライバーたちを激励した。
この一戦に参戦するドライバーたち、そして西日本5地区のジムカーナの未来に続く一戦にすべく奔走した、主催したチームエムアイ(M-I)の前島孝光代表。苦労の甲斐あって、178台も集まるビッグイベントとなった。前島代表も2023年JAF全日本ジムカーナ選手権 第5戦のSA3クラスを制している全日本ドライバーだ。

 舞台となったキョウセイは、享成自動車学校が運営する施設で、コースの雰囲気はまさに自動車教習所そのもの。広大な敷地を有し、安全運転研修や車両走行テストなどにも活用されており、過去にはJAF全日本ジムカーナ選手権で数々の名勝負が繰り広げられたコース。近年、全日本は行われていないが、中部地区戦やJMRC中部ジムカーナ東海シリーズの舞台になる他、キョウセイジムカーナシリーズや練習会も頻繁に行われており、中部のドライバーには馴染み深いコースだ。

タイトでツイスティな山道の頂上に着いたとたん、広大なコースが広がるキョウセイドライバーランドがこの一戦の舞台となった。二輪・四輪問わず安全運転講習・研修をとおして運転に関する知識や技能の維持向上、ならびに事故違反を起こさない優秀なドライバーの育成を目的とする、キョウセイ交通大学の一部でもある。
名古屋名物「モーニング」のサービスをJMRC中部ジムカーナ部会とダートトライアル部会が共同で実施。朝が早く、朝食をおろそかにしがちであろうドライバーや関係者たちに大好評だった。
この一戦のコースレイアウトは、中高速コーナーとパイロンセクションを巧みに組み合わせ、キョウセイの魅力を存分に満喫できる設定で争われた。

PN2クラス

 この一戦で最多、36台もの大量エントリーとなったPN2クラス。その1本目、1分20秒213のトップタイムをマークしたのは、中部地区戦のPN2クラスでランキング3番手の島倉正利選手。2番手には東海シリーズのRPN3クラスで4番手の八田晴道選手が1分20秒570で続き、3番手以下の上位陣は1分21秒台がひしめき合う僅差で折り返す。

 そして勝負の2本目。1本目はパイロンペナルティで下位に沈んでいた、東海シリーズのRPN1クラスで2番手のKeita選手が島倉選手のタイムを0.049秒上回ると、さらに八田選手はKeita選手を0.121秒更新し、トップ争いは1分20秒台前半のせめぎ合いとなる。その均衡を破ったのが、クラスも折り返しに差し掛かった中盤ゼッケン、マツダ・ロードスター中心のこのクラスで少数派のZC32S型スズキ・スイフトスポーツを駆る、東海シリーズRPN1のチャンピオンを確定させている岡直樹選手だった。

 岡選手は1本目でパイロンペナルティを喫していたが、叩き出したタイムは驚異の1分18秒792。ここで一気にハードルが上がったPN2。後半ゼッケンの動向に注目だが、1分18秒台はおろか1分20秒を切るドライバーも現れずに進行。かろうじて1本目トップの島倉選手が1分19秒台に突入するもパイロンペナルティで万事休す。この結果、岡選手が圧倒的なタイムで激戦のPN2を制した。

「第1ヒートはサイドの効きが甘かったり、パイロンペナルティでタイムが残せなかったのですが、第2ヒートは別の競技会の第1ヒートという気持ちで、しっかり切り替える事ができたのが良かったと思います」と勝因を語った岡選手。23歳の若手ドライバーが少数派のスイフトで大金星を上げた。

この一戦最激戦区のPN2クラスを制したのは、地元・JMRC中部ジムカーナ東海シリーズのRPN1クラスで2023シーズンのチャンピオン確定の岡直樹選手(SUAC☆MIコ犬スイフトYH)。「今シーズンは(東海シリーズの)2戦目にタイヤをヨコハマに変えてから調子が良くなり、以降全勝でチャンピオンを獲る事が出来ました。その流れで西フェスでも勝つ事ができて非常に嬉しいです」と喜んだ。
東海シリーズRPN3クラスから参戦の八田晴道選手(スエマツダ ロードスター)が、1分20秒台に7台がひしめいた接戦のPN2の2位争いを制した(左)。八田選手と0.121秒差で3位となったKeita選手(DLsmdMAロードスターR)も東海シリーズRPN1からの参戦(右)。優勝した岡選手はじめ東海シリーズのドライバーたちが、地区戦勢を上回る下剋上を果たした。
PN2は左から、4位の島倉正利選手(DL菅沼自工VTμロードスター)、2位の八田選手、優勝した岡選手、3位のKeita選手、5位の佐藤公彦選手(TOOLBOXロードスターDL)、6位の吉田公保選手(505ロードスター)が表彰を受けた。

PN3クラス

 排気量1600ccを超える二輪駆動のPN車両で争われるPN3クラス。第1ヒートでトップタイムをマークしたのはZC33S型スイフトを操る田村直選手。参戦した20台中半数近い8台がスイフトだが、田村選手を筆頭にトップ6は4台のスイフトが占めてライバルたちを圧倒した。

 第2ヒートになっても田村選手のタイムは更新されず、田村選手自身もパイロンタッチを喫してしまい、第1ヒートのタイムで後続を待つ。膠着状態のなか競技は進行していくが、ラスト4台、GR86の磯村良二選手が中間計測では田村選手を約0.2秒上回るタイムで通過、しかしゴールタイムは0.17秒及ばず2番手どまり。そしてラストゼッケン、第1ヒートは2番手につけていたGR86を駆る中部PN3クラスチャンピオン確定の鈴木勇一郎選手は痛恨のタイムダウンに終わり、第1ヒートのタイムを守り切った田村選手が優勝となった。

「今シーズンは競技を休んでいて、西フェスに出るために中部地区戦の最終戦だけ出ました。第1ヒートは確実にタイムを残す走りに徹して、それなりの走りができたので、第2ヒートは思い切って攻めようと思ったら裏目に出てしまいました(笑)」と語った田村選手は、2022シーズンの中部PN2チャンピオン。ブランクを感じさせない走りでこのクラスを制した。

1分20秒台で優勝が争われたPN2クラスを制したのは田村直選手(M-Iスイフト)。2022シーズンのJAF中部ジムカーナ選手権PN2クラスでチャンピオンに輝き、今季の中部地区戦PN2は1戦のみの参戦とのことだが、衰えていない速さを第1ヒートで見せつけた。
第1ヒートはパイロンタッチに沈んだ中部PN3クラスで4番手の磯村良二選手(ItzzBRIDEセラ86)だったが、第2ヒートで挽回を見せてPN3の2位を獲得(左)。2本とも1分20秒台でまとめたものの、第2ヒートはタイムダウンを喫して3位の鈴木勇一郎選手(AZUR熊王マキタGR86DL)は今季の中部PN3チャンピオン確定済。このクラスも地元・中部勢の活躍が光った(右)。
PN3で表彰を受けた6選手。左から4位の横山洋一選手(Proμスイフト)、2位の磯村選手、優勝した田村選手、3位の鈴木勇一郎選手、5位の黒水泰峻選手(C&C☆DL☆WAKO’S86)、6位の赤沢雄太選手(DLμ222Tアシスイフト)。

PN4クラス

 ロードスターRFとZN6/ZC6型トヨタ86/スバルBRZの後輪駆動対決となったPN4クラス。第1ヒートで1分23秒327のトップタイムをマークしたのは、2023年JAF中国ジムカーナ選手権PN3クラスのチャンピオン確定済の内田敦選手だが、その内田選手から7番手の選手までのタイム差が僅か0.5秒という接戦で折り返す。

 第2ヒートになると、同じ中国の田伏雅樹選手が内田選手のタイムを0.05秒更新してトップが入れ替わると、その後は中部の鈴木省三選手が田伏選手を約0.3秒更新、さらに近畿の胸元貴大選手が鈴木選手を0.061秒更新と、目まぐるしくトップタイムが更新されていく。そして迎えたラストゼッケン内田選手。この時点で順位は4番手まで落ちていたが、内田選手は中間計測をクラスで唯一50秒を切るタイムで通過。そのアドバンテージを活かし、ゴールタイムは胸元選手を0.361秒上回り、逆転で優勝を決めた。

「キョウセイは初走行です。中国地区にはない広くて楽しいコースですね、ただ、自分にとっては苦手要素が多く、何とか合わせて勝つことができました。」と笑顔で語った内田選手。初コースで西フェス初優勝を飾った。

2023年JAF中国ジムカーナ選手権PN3クラスのチャンピオンを確定させている内田敦選手(DLエナペタルロードスターRF)が2本ともトップタイムをマークしてPN4クラスで優勝。「西フェスは10年くらいチャレンジしているのですが、優勝は初めてなのでとでも嬉しいです」と、念願の勝利に顔をほころばせた。
第1ヒートはPN4で8番手と出遅れた胸元貴大選手(DL来夢S+BRZ)だったが、第2ヒートで2秒近くタイムアップを果たして挽回、2位を獲得した(左)。地元勢の鈴木省三選手(トヨタ自動車86 DXL DL)は第2ヒートで一時は暫定トップに立ったが、胸元選手が僅差で更新、さらに内田選手にも更新されたものの、3位表彰台に上がった(右)。
PN4クラスの上位6選手。左から4位の田伏雅樹選手(DLトーマスSP+ロードスター)、2位の胸元選手、優勝した内田選手、3位の鈴木省三選手、5位の則包壮大選手(白の86)、6位の小林輝史選手(M-I☆DL☆Proμ☆BRZ)。

PN5クラス

 PN1~PN4に該当しないPN車両という規定により4WDで争われ、GRヤリスが大勢を占めたPN5クラス。第1ヒートをトップで折り返したのはクラス唯一、三菱・ランサーエボリューションXで参戦した、2023年JAF近畿ジムカーナ選手権PN5クラスチャンピオンを確定させている西川佳廣選手。しかし生タイムではパイロンタッチでペナルティを喫しているものの、中部PN5クラスチャンピオン確定済の高木健司選手が約0.3秒上回っており、第2ヒートに注目となった。

 その第2ヒートになると、第1ヒートで2番手につけていた中部PN5で2番手の杉本季優選手が1秒近くタイムアップを果たすも、西川選手には0.149秒届かず順位変わらず。そして更なるタイムアップを狙いたい西川選手だったが約0.02秒のタイムダウンに終わり、第1ヒートのタイムでラストゼッケン高木選手の走りを見守る。第1ヒートのタイムを出すことが出来れば逆転となる高木選手の中間計測地点までは、自身の第1ヒートとほぼ同タイムで通過。しかし後半区間が伸び悩み3番手タイムでフィニッシュ、西川選手が逃げ切って優勝となった。

PN5クラスは2023年近畿ジムカーナ選手権のPN5クラス王者を確定済の西川佳廣選手(DLFTチャレンジャーランサー)が地区戦初チャンピオンを確定させた勢いそのままに、2ヒートともトップタイムで優勝をさらった。
キョウセイで開催された中部地区戦の第6戦でPN5クラスを制している杉本季優選手(アブロードプレジャーヤリス)は第2ヒートでタイムアップを果たすも、西川選手に届かずPN5クラスの2位となった(左)。中部PN5チャンピオン確定済の高木健司選手(DL速心PRSコーワヤリス)は第1ヒートでのパイロンタッチからの挽回を果たし、3位を獲得した(右)。
PN5で表彰を受けたのは左から、2位の杉本選手、優勝した西川選手、3位の高木選手。地元のプレジャー勢が表彰台の両端を占めた。

ATクラス

 ミッションがオートマチックやデュアルクラッチ、CVTの車両が競ったATクラスは、ポルシェ・ケイマンを駆る段上泰之選手が、そのパワーを遺憾なく発揮し、第1ヒートからトップタイムをマーク。第2ヒートでも自己タイムを約1.7秒更新し圧勝となった。2位にはフォルクスワーゲン・ゴルフGTIを操る樋口智哉選手、そして3位には第1ヒート4番手から逆転で妖怪J清本選手のホンダ・フィットが入賞した。

表彰台では「地区戦で勝つよりも、西フェスで勝てた事が嬉しい(笑)」と笑顔を見せた、近畿地区戦2PDクラスのチャンピオン確定済の段上泰之選手(YHケイマン)。全日本PE1クラスにも参戦する実力を発揮して、ATクラスを制圧した。
ATの2位は、この一戦に参戦した全車両のトップバッターを務めた樋口智哉選手(ADVAN BASISゴルフ)が2本とも2番手タイムで獲得。近畿2PD勢がトップ2を占めた(左)。今季の中部ATクラスを制した妖怪J清本選手(DL妖怪フィット4号機)3位を獲得、地元勢の意地を見せた。
近畿勢の活躍が光ったATで表彰を受けた4選手。左から樋口選手とダブルエントリーで4位獲得の砂田光恵選手(ADVAN MOTULゴルフ)、2位の樋口選手、優勝した段上選手、3位の杉本選手。

B1クラス

 1500cc以下のB車両及び軽自動車のB車両で争われたB1クラスは、トップから上位4台が0.1秒以内という超接戦となった。第2ヒート開始早々、クラスファーストゼッケンでダイハツ・カプチーノを駆る、2023年JAF九州ジムカーナ選手権B1クラスのチャンピオン確定済の池武俊選手が1分24秒020をマークして、トヨタ・ヴィッツを操る近畿B1クラス3番手の玉木航選手が第1ヒートで刻んだトップタイムを更新、勝負は完全に仕切り直しとなった。

 2番目に登場した、2023年JMRC近畿ジムカーナミドルシリーズBR1クラス2番手の大高直郁選手が駆るカプチーノはトップに0.03秒差まで迫る2番手タイム。更に玉木選手も好タイムでゴールするが0.036秒遅れでトップ奪還ならず。

 ここまでギリギリのところでトップを保持していた池選手。しかし、勝負を決めたのは第1ヒートはパイロンペナルティで沈んでいた、ラストゼッケンで近畿B1の2番手、よこ山弘之選手だった。池選手とのダブルエントリーで走行間隔を空けてのスタートとなったが、中間計測地点をトップで通過。そしてゴールタイムは池選手のタイムを0.045秒更新し、逆転優勝を飾った。

「鈴鹿や名阪は得意なのですが、キョウセイのような幅が広すぎるコースや、パイロンセクションは苦手なので、とにかく前半セクションでタイムを稼ぐ事と、タイヤの縦のトラクションを活かす事だけ意識して走りました」と勝因を語った、よこ山選手が僅差のバトルを制した。

「上位陣の状況を見ていたので、もの凄いプレッシャーでした」と勝負を決めた第2ヒート前を振り返った、よこ山弘之選手(YH木村自OSカプチーノTLD)がB1クラス優勝。わずか2ポイント差でチャンピオンを逃した、近畿BR1クラスでの鬱憤を晴らすかのような逆転劇を見せた。
2023年JAF九州ジムカーナ選手権のB1クラスを制した池武俊選手(木村自臨時快速三河路カプチーノ)が、よこ山選手とWエントリーでB1に参戦。2位獲得で、よこ山選手とワン・ツーを果たした(左)。第1ヒート3番手の大高直郁選手(DMSC☆ポリバケツカプチーノ)は、第2ヒートで自身も2秒以上タイムアップを果たすも順位は変わらず3位獲得となった(右)。
B1で表彰を受けた、左から2位の池選手と優勝したよこ山選手、3位の大高選手。トップ3をダイハツ・カプチーノ使いが占めた。

B2クラス

 前輪駆動のB車両が対象のB2クラスは、東海シリーズ上位陣の争いとなった。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、東海シリーズRA-1クラスのチャンピオンを確定済の岡田和規選手。2番手には東海シリーズCRA-1クラスでチャンピオンを確定させて、この一戦の開会式で選手宣誓の大役を担った森下弘之選手が約1秒差でつけた。

 第2ヒートになると、東海シリーズRA-1で2番手の土岐武也選手が1分19秒904でトップタイムを更新。続く岡田選手はタイムダウンを喫してしまい、トップに返り咲く事ができずにフィニッシュとなるが、次の森下選手は外周で大きく姿勢を乱すも、気迫の走りで土岐選手を0.162秒上回るタイムを叩き出す。後半ゼッケンに入っても森下選手のタイムは更新されず、第2ヒートでの逆転で森下選手が優勝となった。

この一戦の開会式で選手宣誓を務めた森下弘之選手(PTAマキタスピードインテグラ)がB2クラスで逆転優勝。表彰台では「昨年の(四国で開催した)西フェスで、選手宣誓を行った山崎聡一選手が優勝して、その良いジンクスを今年も引き継ぐ事ができて大変喜しいです(笑)」と笑顔で語った。
第1ヒートはパイロンタッチに泣いたB2の土岐武也選手(スタッフオン!ルマンインテグラ)が第2ヒートで奮起、森下選手に逆転を喫するも2位を獲得した(左)。岡田和規選手(BMSCマキタSP☆インテグラ)は第1ヒートでトップタイムをマークした勢いを活かせず、第2ヒートでタイム更新ならず。それでも3位を守った(右)。
B2は左から4位の木村優介選手(グルS牧速ATIKスイフト)、2位の土岐選手、優勝した森下選手、3位の岡田選手、5位の鈴木利英子選手(AZURりえくまRCインテグラ)、6位の堀央尚選手(S+Wおざきシビックルマン)が表彰を受けた。

B3クラス

 後輪駆動のB車両で争われたB3クラス。第1ヒートは2023年JAF四国ジムカーナ選手権R3クラスチャンピオン確定の仙波秀剛選手がトップで折り返す。第2ヒートになると、クラスで2番目にスタートした東海シリーズRA2クラス6番手の坂本竜男選手が第1ヒートの自己タイムを約1.6秒更新し、トップタイムを塗り替える。続いてスタートを切った東海シリーズRA2で5番手の石川智祥選手も、自己タイムを2秒以上更新し、坂本選手を約1.1秒上回りトップに立つ。

 完全な仕切り直しとなったこのクラスは、この後も大幅なタイムアップ合戦が繰り広げられるかと思われた矢先、懸念していた雨が降り出してしまう。幸い大雨にはならず、中間計測では石川選手を上回る選手も多々見受けられたが、後半区間で伸び悩み、トップが更新されない。

 しかしこの状況を打ち破ったのがラストゼッケンの仙波選手。中間計測で石川選手を約1秒上回るとそのアドバンテージを活かして石川選手を0.183秒抑えてトップ更新。厳しい状況ながら、最後に見事な逆転勝利をおさめた。

B3クラスはホンダS2000を駆る仙波秀剛選手(YHポリバケツブルーS2000)が2ヒートともトップタイムを譲らず完勝。JAF四国ジムカーナ選手権R3クラス6連覇中の強さを見せつけた。
中部地区でミドルシリーズを担う東海シリーズで活躍するロータス・エキシージ勢が活躍したB3。第1ヒートから2番手タイムをマークして好調だった石川智祥選手(エキシージ+1)は第2ヒートでも仙波選手には及ばなかったものの、タイムアップを果たして2位を守った(左)。第1ヒートは5番手だった坂本竜男選手(久與コサリックワンEXIGE)は第2ヒートでのタイムアップで順位を上げて3位を獲得した(右)。
B3で表彰を受けた6選手。左から4位の山崎聡一選手(SPEC-DLオメガEXIGE)、2位の石川選手、優勝した仙波選手、3位の坂本選手、5位の下内渉選手(PITS岡崎スエマツダRX-7)、6位の今泉利隆選手(きゅうよ!MR2)。

B4クラス

 4WDのB車両で争われるB4クラスは、PN5とは逆にランエボが多数派のなか、GRヤリスで孤軍奮闘の九州地区戦B2クラス4番手の堂本直史選手が、第1ヒートでクラス唯一の1分20秒を切る、1分19秒995のトップタイムをマークする。

 このクラスも第2ヒートは雨模様となったが、それでも路面はタイムアップ可能な状況で、各選手続々と自己タイムを更新する。しかし1分20秒を切る選手は現れず、堂本選手に至ってはタイムダウンを喫してしまい、ラストゼッケン、近畿BR4クラス2番手の日野良一選手のタイムを待つ。

 その日野選手は、自己タイムを約4秒更新する走りを魅せるが1分20秒の壁は高く、約0.2秒及ばず2位どまり。堂本選手が第1ヒートのタイムを守り切り優勝となった。

B4クラスの堂本直史選手(BPF・RSK・エナぺ・ヤリス)の第1ヒートはクラスでただひとり、1分19秒台に突入し、九州地区戦の第8戦でB2クラスを制した速さを見せる。第2ヒートでのタイム更新はならなかったものの、逃げ切り優勝を果たした。
第1ヒートはB4の4番手だった日野良一選手(FA猫ランサー8YH SSM)は第2ヒートで4秒近いタイムアップを果たし、2位の座を奪った(左)。地元勢の八重梅崇選手(ラック★OTICS★ランサー)は2ヒートとも1分20秒台で揃え、日野選手に逆転は喫するも、3位を獲得した(右)。
B4は左から4位の鈴木敏之選手(ファインアートcatランサー)、2位の日野選手、優勝した堂本選手、3位の八重梅選手が表彰を受けた。

BSC1クラス

 1600cc以下で2WDのB・SC・SAX車両が競ったBSC1クラスは、第1ヒートから1分19秒台の攻防戦が繰り広げられた。その第1ヒートをトップで折り返したのが、中部SA1クラス6番手の酒井昭選手でタイムは1分19秒442。

 第2ヒートになると、第1ヒートで3番手に着けていた東海シリーズSA1クラスチャンピオンを確定させている早坂怜選手が、酒井選手を約0.2秒上回るタイムを出すも2つのパイロンペナルティで幻に。そして酒井選手はタイムダウンで自己タイムを更新する事が出来ず、後続のタイムを待つ事になった。

 そのチャンスを逃さなかったのが次ゼッケン、中部SA1で5番手の小木曽弘之選手。中間計測では第1ヒートの酒井選手から約0.2秒の遅れをとるが、後半区間で巻き返し、ゴールタイムでは0.267秒上回る1分19秒175を叩き出す。そして最終ゼッケン近畿SB1クラスチャンピオン確定済の大原秀樹選手は、中間計測では小木曽選手を凌ぐタイムを出すものの、この時点で既にパイロンペナルティを受けており逆転は絶望的。ゴールタイムも1分20秒台に終わり、小木曽選手が第2ヒートの逆転でこのクラスを制した。

BSC1クラスでは中部SA1クラスで5番手の小木曽浩之選手(エナペタルMアYHμシビック)が優勝。第1ヒートから2番手タイムを出した好調を維持し、第2ヒートのタイムアップで逆転。今季初優勝を手にした。
中部SA1の5番手で、小木曽選手としのぎを削っていたBSC1の酒井昭選手(YHガレージ中西CRXμ)は第1ヒートでトップタイムをマークするも、第2ヒートではタイムダウン。ライバルに逆転は喫するも2位を獲得した(左)。東海シリーズSA1クラスを制している早坂怜選手(小西タイヤADVANμCRX)は逆転優勝を期した第2ヒートはパイロンタッチに沈んだが、3位に入る健闘を見せた(右)。
BSC1は左から2位の酒井選手と優勝した小木曽選手、3位の早坂選手、EK型シビックとEF型CR-Xのホンダ車を操る地元・中部勢によるトップ3が表彰を受けた。

BSC2クラス

 1600ccを超える前輪駆動のB・SC・SAX車両で争われたBSC2クラスは、主力車種のDC2型ホンダ・インテグラを駆る大石博之選手が第1ヒートでトップタイムをマーク。2番手には同じDC2型インテグラの最上佳樹選手。そして3番手にはZC33S型スイフトの牧田祐輔選手と、いずれも中部の選手が1分17秒台で上位を占めた。

 第2ヒートでは牧田選手がタイムダウン、大石選手は中間計測でもトップタイムを更新し、ゴールタイムは1分16秒台の好タイムを刻むもパイロンペナルティ。ふたりは第1ヒートのタイムで後続の結果待ちとなった。

 その隙を突きたかった最上選手だが、中間計測で既に大石選手から約1秒遅れ、ゴールタイムは1分17秒台に入れたものの、やはりタイムダウンで2番手は変わらず。そして、このクラスでは数少ない近畿勢として一矢報いたかった、ラストゼッケンの近畿BR2クラスのチャンピオン確定済の張靖遠選手はDC2型インテグラで1分20秒台と振るわず。大石選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。

今季は中部SA2クラスで3番手の成績を収めた、BSC2クラスの大石博之選手(YH鳥居自動車三共μインテグラ)が第2ヒートはパイロンタッチでタイム更新ならなかったものの、第1ヒートのトップタイムで逃げ切って今季初優勝を果たした。
2022年JAFカップオールジャパンジムカーナのJG3クラスを制している、地元・中部勢の最上佳樹選手(YHエムアーツWmインテグラ)が第2ヒートでタイム更新ならずもBSC2の2位を獲得(左)。今季、地元の鈴鹿サーキット南コースでの全日本第9戦、BC1クラスで2位に入った牧田祐輔選手も第2ヒートはタイムダウンしたが、3位に入った(右)。
地元勢が表彰台を占めたBSC2は、左から4位の隅田敏昭選手(YH三共ITO★WHインテグラ)、2位の最上選手、優勝した大石選手、3位の牧田選手、5位の山本貴嗣選手(YHS+ITOFAスイフトMI)、6位の東毅選手(ル・Mjoln・YHインテグラ)が表彰を受けた。

BSC3クラス

 1600ccを超える後輪駆動のB・SC・SAX車両が集ったBSC3クラスは第1ヒート、中部SA3クラス3番手でホンダS2000を駆る冨田好輝選手がクラス唯一の1分18秒台を刻みトップで折り返す。

 第2ヒートになると、クラスファーストゼッケンで第1ヒートでは2番手につけていた、沖縄から参戦の比嘉誠選手が、冨田選手には及ばなかったものの1分18秒台をマークするも順位はそのまま。その後は1分18秒台を刻む選手は現れず、冨田選手もタイムダウンを喫して第1ヒートのタイムで後続を待つ事になった。

 その冨田選手の中間タイムを大きく上回ったのが、ラストゼッケン小澤忠司選手。約1秒のアドバンテージを持って後半区間へと突入したが、ゴールタイムは、1分18秒台には入れたものの、0.362秒届かず2位どまりで、冨田選手が優勝となった。

第1ヒートでBSC3クラス唯一の1分18秒台を叩き出した冨田好輝選手(K1アルパカS二千μしゅぱYH)だったが、第2ヒートは1分19秒台。「第1ヒートでタイムを残す事ができましたが、自分としては完全な走りではなかった」と優勝したものの反省しきりだった。
中部SA3クラスのチャンピオンを確定させている小澤忠司選手(YH速心Wmxレイズ超久RX7)は地区戦のライバル、冨田選手に届かなかったものの、第1ヒートの3番手からタイムを上げてBSC3の2位を獲得(左)。JMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズのB-FR2クラスを二連覇中の比嘉誠選手(SPMヨンチンRW☆S2000)は、第1ヒートで0.095秒届かなかった1分18秒台を第2ヒートでマークして3位表彰台、沖縄勢の速さを見せた(右)。
BSC3で表彰を受けた6選手。左から4位の岩崎玲生選手(ADVANラブカDXL☆MR2)、2位の小澤選手、車名にもあるアルパカに変身して登場の優勝した冨田選手、3位の比嘉選手、5位の水谷政博選手(URGキュウヨYHトヨタMR2)、6位の安部洋一選手(山本タイヤ久與RX-7 BS)。

BSC4クラス

 4WDのB・SC・SAX車両で争われたBSC4クラスは中部勢のベテラン、岡部隆市選手が第1ヒートからトップタイムを奪うと、第2ヒートではこの一戦全体でも2位のタイムとなる1分16秒697まで更新して圧勝。

「今年は全日本では車両トラブルや、タイヤの選択ミスで成績を残せませんでしたが、最後の西フェスで勝てて良かったです。今回は路面とタイヤのパフォーマンスがマッチして、タイム的にも納得のいく走りができました」と今季を振り返ってくれた。

BSC4クラスの岡部隆市選手(BSレイズDマスターランサーX)は第1ヒートでトップタイムを奪うと、第2ヒートでさらに加速。クラス唯一の1分16秒台のタイムを叩き出し、全日本ドライバーのウデを見せて優勝した。
中部B・SC2クラス7番手の今津誠選手(今津オフィス・URG・ランサー)は第1ヒート2番手につける好発進を見せるが、第2ヒートではタイムアップならず。それでもBSC4の2位獲得で今季初の表彰台に上がった(左)。大前尚史選手(モンテカルロADVANランサー)は第2ヒートでタイムを更新したが、今津選手を超えるには至らず3位となった(右)。
BSC4で表彰を受けた4選手。左から4位の松尾勝規選手(URGフォルテDL國盛ランサー)、2位の今津選手、優勝した岡部選手、3位の大前選手と、中部B・SC2勢が独占した。

Dクラス

 Dクラスは、佐藤宗嗣選手が第1ヒートから安定した走りで1分15秒台のトップタイムをマーク。第2ヒートはタイムダウンに終わるも、D車両の面目躍如を果たすこの一戦の全体トップタイムで優勝。

 佐藤選手が「若手にタイヤウォーマーをやってもらったので、自分はゼンカイで攻める事ができました」と感謝を語った、Wエントリーで佐藤選手を優勝に導いた20代の岸正隆選手は4位入賞。2位は五十嵐豊光選手、3位には四国から参戦の西村修一選手が入った。

中部Dクラスでチャンピオンを幾度も獲得している佐藤宗嗣選手(丸久クジメモータース☆TG47)は「キョウセイで育ったので、思い入れのあるコースでDクラスを実現させようと、若手ドライバーの育成を口実に部会長にお願いしました(笑)」と、願いがかなったDクラスで勝利を挙げた。
今季は3勝を挙げて中部Dで2番手になった五十嵐豊光選手(塩岡SP丸久YHオスカー)が2ヒートとも2番手タイムをマークして2位を獲得した(左)。第1ヒートは6番手タイムと調子が上がらなかった西村修一選手(SPD☆テックスポーツ☆FS隼)は第2ヒートで6秒以上更新して3位に入った(右)。
Dでは左から4位の岸正隆選手(丸久クジメモータース☆TG47)、2位の五十嵐選手、優勝した佐藤選手、3位の西村選手、5位の関谷光弘選手(丸久Wmチーム熊崎R☆MS02)が表彰を受けた。

Lクラス

 今回は女性ドライバーを対象に、参戦したクラスのトップタイムと自身のベストタイムの差で順位を決める、Lクラスが設定された。優勝はPN4でトップとの差が1.154秒だった、かつこ選手。2位は第2ヒートのパイロンペナルティが悔やまれたが、同じくPN4の佐伯希選手で、1.258秒差。そしてB2で5位入賞を果たした鈴木利英子選手が、2.621秒差で3位となった。

女性ドライバーが参戦したクラスのトップタイムと自身のベストタイムとの差で競ったLクラスではPN4で7位、近畿PN3クラスでも4番手に入った、かつこ選手(FORTUNEコサリック犬86)が最小タイム差で優勝を果たした。
Lの2位は、かつこ選手と同じPN4で9位に入った佐伯希選手(MOTIVEロードスター)が獲得。四国地区戦PNクラスで6番手のドライバーだ(左)。B2で5位入賞の活躍を見せた鈴木選手がLの3位を獲得。東海シリーズWomen’sクラスでも2番手に入っている(右)。
Lは左から4位でPN4に参戦した加納和佳選手(AZURマキタスピード86)、2位の佐伯選手、優勝したかつこ選手、3位の鈴木選手、5位のATでは4位入賞の砂田選手、6位はPN2に参戦したみさき選手(スエマツダ♥ロードスター♥)、6名の女性ドライバーが表彰を受けた。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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