ST-XクラスはDENSO LEXUS RC F GT3が今季2勝目を挙げるも、中升 ROOKIE AMG GT3が初タイトル確定!

レポート レース

2023年11月24日

2023年のシリーズ最終戦となるスーパー耐久シリーズ第7戦「S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス.」は、11月11~12日に富士スピードウェイにて開催。ST-XクラスではDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀組)が今季2勝目を挙げた。タイトル争いは中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也組)が3位フィニッシュし、ST-X参戦初年度でタイトル確定となった。

ENEOS スーパー耐久シリーズ 2023 Supported by BRIDGESTONE 第7戦「S耐ファイナル 富士4時間レース with フジニックフェス.」
開催日:2023年11月11~12日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 今回はST-X、ST-Z、ST-TCR、ST-Q、ST-1~5の全9クラスに59台がエントリー。前回の第6戦岡山大会では、ST-Zクラスの埼玉トヨペットGB GR Supra GT4(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/川合孝汰組)がチャンピオンを確定させており、他クラスはこの最終戦で雌雄が決することになる。

 11日の公式予選は冷たい雨が時折り降り、コースを濡らす難しいコンディション下で行われた。総合のポールポジションを獲得したのはST-Xクラスの中升 ROOKIE AMG GT3で、2番手はTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)と、メルセデスの2台がフロントローに並んだ。3番手はDENSO LEXUS RC F GT3、4番手にはディフェンディングチャンピオンのHELM MOTORSPORTS GTR GT3(鳥羽豊/平木湧也/平木玲次組)がつける。

 決勝日の12日は曇天ながら前日ほどの寒さもなく、朝早くから2万6,500人のファンが富士に詰めかけた。この大会では“with フジニックフェス.”と謳われているように、グランドスタンド下のイベント広場で肉をテーマとした”フジニックフェスティバル Powered by 水素”が開催されていた。

 ステーキやソーセージ、からあげ、炙りチャーシューといったメニューを提供するキッチンカーがズラリと並び、ランチ時には長い行列ができたほど。これらのキッチンカーは水素で発電した電気を使い、カーボンニュートラルで運営された。さらにその脇ではスーパーガレージセールも開催され、多くのファンがショップを覗き込む姿が見受けられた。

ST-Xクラス

 4時間の決勝レースは、気温12度の12時29分にスタートが切られる。オープニングラップの1コーナーでいきなり2台の車両によるアクシデントが発生し、さらに2周目の2コーナーでは接触でストップしてしまう車両もあり、フルコースイエロー(FCY)が導入されるなど波乱の幕開けとなったが、その後は大きなアクシデントもなくレースは淡々と進んでいった。

 序盤にレースの主導権を握ったのはST-Xクラス(全7台)のDENSO LEXUS RC F GT3の小高選手で、オープニングラップでトップを奪うと独走状態に持ち込んでいく。ポールを獲得したことで、6位以上でゴールすればタイトルを確定できる中升 ROOKIE AMG GT3の平良選手は無理なバトルを避け、一旦は4番手まで順位を下げたがすぐに2番手へ順位を上げて走行を続ける。

 レースは1時間半を経過しようとするころ、HELM MOTORSPORTS GTR GT3とTKRI松永建設AMG GT3に対し、走路外追い越しがあったということでピットレーンのドライブスルーペナルティが課され、一旦ポジションを落としていたDENSO LEXUS RC F GT3がトップに返り咲いた。

 残り1時間を切った時点ではHELM MOTORSPORTS GTR GT3がトップを走行していたが、最後のスティントを担当したのはジェントルマンドライバーの鳥羽選手。2番手を走行していたDENSO LEXUS RC F GT3は小高選手が2回目のスティントを担当。

 残り40分となった112周目の1コーナーで、DENSO LEXUS RC F GT3が逆転してそのまま今季2勝目を挙げる。2位のHELM MOTORSPORTS GTR GT3との差は約1分6秒で、ペナルティがなければ終盤は接近戦が展開されたかもしれない。そして中升 ROOKIE AMG GT3は堅実な走りで片岡選手が3位フィニッシュを決め、ST-Xクラス参戦初年度でST-Xクラスのタイトルを獲得した。

ST-Xクラス優勝は#31 aprのDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/嵯峨宏紀組)。
2位は#1 HELM MOTORSPORTSのHELM MOTORSPORTS GTR GT3、3位は#14 中升ROOKIE Racingの中升 ROOKIE AMG GT3。
ST-Xクラス表彰の各選手。
ST-Xクラスは#14 中升ROOKIE Racingの中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/蒲生尚弥/平良響/片岡龍也組)がタイトルを確定。

ST-Zクラス

 ST-Zクラス(全11台)は、すでに前戦の岡山大会でタイトルを確定している埼玉トヨペットGB GR Supra GT4が、今季4勝目を挙げて有終の美を飾った。4勝以外の3戦でもすべて2位表彰台獲得と素晴らしい活躍を見せたばかりか、この前の週に行われたスーパーGTのGT300クラスでも吉田選手と川合選手のコンビはチャンピオンを確定しており、チームはダブルタイトルというこの上ない1年となった。

ST-Zクラス優勝は#52 埼玉トヨペット Green Braveの埼玉トヨペットGB GR Supra GT(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/川合孝汰組)。
2位は#885 SHADE RACINGのシェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVO、3位は#22 Porsche Team EBI WAIMARAMAのPorsche EBI WAIMARAMA Cayman GT4 RS CS。
ST-Zクラス表彰の各選手。

ST-1クラス

 ST-1クラス(全2台)は、走り屋コンビが18年ぶりにタッグを組むことで注目を集めたD'station Vantage GT8R(織戸学/谷口信輝組)が、90秒ピットストップというハンディキャップがありながらも優勝。レース中にトラブルはあったものの、完走したシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)が、タイトル確定となった。

ST-1クラス優勝は#47 D'station RacingのD'station Vantage GT8R(織戸学/谷口信輝組)。
ST-1クラスの表彰式。左から2位の#2 Ksフロンティア KTMカーズ、1位の#47 D'station Racing。
ST-1クラスは#2 Ksフロンティア KTMカーズのシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)がタイトルを確定。

ST-2クラス

 ST-2クラス(全5台)は、完走すればタイトル確定となるはずだったENDLESS GR YARIS(花里祐弥/石坂瑞基/伊東黎明/岡田整組)が、エンジントラブルのためにレース中にエンジン交換をすることに。交換後はレースに復帰したが、規定周回数(優勝車両の70%)に届かずノーポイントに終わる。一方、開幕戦以来2回目のクラス優勝を遂げたHonda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/小林大翔組)が大逆転でタイトルを奪った。

ST-2クラス優勝は#743 Honda R&D ChallengeのHonda R&D Challenge FL5(石垣博基/木立純一/小林天翔組)。
2位は#6 シンリョウレーシングチームの新菱オートDIXCEL夢住まい館エボ10、3位は#7 シンリョウレーシングチームの新菱オートDIXCELエボ10。
ST-2クラス表彰の各選手。
ST-2クラスは#743 Honda R&D ChallengeのHonda R&D Challenge FL5(石垣/木立/小林組)がタイトルを確定

ST-3クラス

 ST-3クラス(全5台)は、逆転でエアバスター WINMAX RC350 TWS(眞田拓海/伊藤鷹志/藤田真哉組)が優勝し、3位でフィニッシュしたヒグチロジスティクスサービス RC350 TWS(尾崎俊介/石森聖生/鶴賀義幸/石塚崇宣組)がチャンピオンを確定させた。

ST-3クラス優勝は#39 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスター WINMAX RC350 TWS(眞田拓海/伊藤鷹志/藤田真哉組)。
2位は#15 OKABEJIDOSHA motorsportの岡部自動車フェアレディZ34、3位は#38 TRACYSPORTS with DELTAのヒグチロジスティクスサービス RC350 TWS。
ST-3クラス表彰の各選手。
ST-3クラスは#38 TRACYSPORTS with DELTAのヒグチロジスティクスサービス RC350 TWS(尾崎俊介/石森聖生/鶴賀義幸/石塚崇宣組)がタイトルを確定。

ST-4クラス

 ST-4クラス(全8台)は、ディフェンディングチャンピオンであるTOM'S SPIRIT GR86(矢吹久/松井孝允/河野駿佑/坪井翔組)が今季初優勝を遂げ、2位フィニッシュのエアバスター WINMAX GR86 EXEDY(石井宏尚/冨林勇佑/水野大組)が戴冠確定となった。

ST-4クラス優勝は#86 TOM'S SPIRITのTOM'S SPIRIT GR86(矢吹久/松井孝允/河野駿佑/坪井翔組)。
2位は#41 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスター WINMAX GR86 EXEDY、3位は#18 浅野レーシングサービスのWedsSport GR86。
ST-4クラス表彰の各選手。
ST-4クラスは#41 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスター WINMAX GR86 EXEDY(石井宏尚/冨林勇佑/水野大組)がタイトルを確定。

ST-5クラス

 ST-5クラス(全13台)は、今季4勝目を挙げたOHLINS Roadster NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉組)が悲願の初タイトルを獲得した。

ST-5クラス優勝は#72 日本自動車大学校のOHLINS Roadster NATS(金井亮忠/山野哲也/野島俊哉組)。
2位は#17 TEAM NOPROのDIXCELアラゴスタNOPROデミオ、3位は#88 村上モータースの村上モータースMAZDAロードスター。
ST-5クラス表彰の各選手。
ST-5クラスは#72 日本自動車大学校のOHLINS Roadster NATS(金井/山野/野島組)がタイトルを確定。

ST-Qクラス

 メーカーの開発車両によるST-Qクラス(全6台)は、6台すべてが完走を果たした。またST-TCRクラス(全2台)のシビックは2台とも車両トラブルによりリタイア。そして今季はタイトルも成立しなかった(5戦以上のクラス成立が必要で、第1~3戦はエントリーがなかった)。

ST-Qクラス1位は#271 Team HRCのCIVIC TYPE R CNF-R(武藤英紀/伊沢拓也/大津弘樹組)。
2位は#28 ORC ROOKIE RacingのORC ROOKIE GR86 CNF concept、3位は#55 MAZDA SPIRIT RACINGのMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept。
ST-Qクラスのセレモニー。左から#12 MAZDA SPIRIT RACING、#28 ORC ROOKIE Racing、#32 ORC ROOKIE Racing、#55 MAZDA SPIRIT RACING、#61 Team SDA Engineering、#271 Team HRC。

フォト/今村壮希、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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