木村偉織選手が最終ラウンドで逆転タイトルを確定
2023年11月29日

全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の2023シリーズ最終大会となる第16~18戦は、11月18~19日にモビリティリゾートもてぎで開催された。第16戦と第17戦でポール・トゥ・フィニッシュを飾った木村偉織選手(B-MAX RACING TEAM)が、逆転でタイトルを確定。またマスタークラスでは、欠場した3レースを除く15戦中11勝を挙げた今田信宏選手(B-MAX RACING TEAM)が3連覇を果たした。
2023年JAF全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第16戦/第17戦/第18戦
(2023もてぎチャンピオンカップレース 第4戦内)
開催日:2023年11月18~19日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:M.O.S.C.、BSC、ホンダモビリティランド株式会社
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権 第16戦/第17戦/第18戦
9月の第5大会から2か月以上のインターバルを置いてもてぎで開催された第6大会の第16~18戦には、マスタークラスの2台を含む12台がエントリーした。このレースウィークが始まる時点では、ポイントリーダーの平良響選手(TOM'S)が92点、ランキング2番手の木村選手が82点、同3番手の小出峻選手(TODA RACING)が76点と、タイトル争いはこの3名に絞られている。
18日朝に行われた公式予選は快晴。前日までの雨がコース上に残っていたが、ラインはドライコンディションとなった。このセッションで第16戦と第17戦のポールポジション(PP)を奪ったのは木村選手で、PP2戦分の2点を追加して平良選手とのポイント差を8点に縮めることに成功。なおデビッド・ビダーレス選手(B-MAX RACING TEAM)は、マシントラブルのために予選に出走できず。その後、レースにも出走することはかなわなかった。
予選の結果、第16戦はポールの木村選手に小出選手と菅波冬悟選手(B-MAX RACING TEAM)、イゴール・オオムラ・フラガ選手(B-MAX RACING TEAM)、野中誠太選手(TOM'S)、古谷悠河選手(TOM'S)と続き、平良選手は7番手に沈む。また第17戦は木村選手にオオムラ・フラガ選手、平良選手、菅波選手、小出選手、野中選手の順で続く。

第16戦
18日午後に行われた第16戦は14周のレース。晴れでドライというコンディションの13時48分にスタートが切られ、木村選手が好スタートを決めると、これに続いたのは菅波選手で、2コーナー先で2番手に浮上して木村選手に迫った。
出遅れた小出選手はオオムラ・フラガ選手にもかわされて4番手へ順位を落としてしまう。そしてその背後には平良選手がポジションを2つ上げて迫ってきた。今回、スポット参戦でスーパーフォーミュラ・ライツ選手権のデビュー戦となった小川颯太選手(Rn-sports)は、スタートミスで9番手から最後尾まで順位を落とすことに。
2周目の3コーナーで小出選手は平良選手にアウトからパスを許すと、5コーナーでは野中選手、さらには古河選手にもかわされて7番手まで順位を落とす。一方、トップを走る木村選手は、菅波選手との距離を2秒まで広げて独走状態を築きつつあった。
トップの木村選手から4番手の平良選手までは2秒弱の等間隔。連なって周回を続けていたが、レース後半までそのままで推移し、木村選手が今季5勝目を挙げた。終盤には2番手の菅波選手にオオムラ・フラガ選手が0秒782差まで迫ったが、一歩及ばず。4位は平良選手、5位は野中選手、6位は古谷選手だった。この第16戦はB-MAX RACING TEAM勢が表彰台を独占する。
レースは木村選手が6周目にファステストラップも叩き出し、PPの1点と合わせてフルマークの12点を追加。平良選手は4位で3点を加算したが、これで木村選手は第17戦のポールポジションの1点を加算すると合計95点となり、平良選手に並ぶことになった。一方の小出選手は7位ゴールで無得点に終わり、タイトル争いから脱落。
また木村選手が優勝したことで、最終戦・第18戦のポールポジションも獲得となる。タイトル争いがますます激しくなってきた。なお、マスタークラスは今田選手が今季9勝目を挙げ、B-MAX RACING TEAMの活躍が目立ったレースとなった。



第17戦
第17戦は19日の朝、晴れでドライというコンディションの8時58分に、20周レースとしてスタートが切られた。木村選手とオオムラ・フラガ選手のフロントローの2台は好スタートを切ったが、3番手スタートの平良選手が出遅れ、菅波選手が3番手へ順位を上げる。しかし5番グリッドからのスタートとなった小出選手が3~4コーナーで菅波選手をかわして3番手へ。さらに出遅れた平良選手も4番手へ順位を戻す。菅波選手は4コーナーでコースからはみ出し、順位を9番手まで下げてしまった。
トップの木村選手は3周目にファステストラップを刻み、5周終了時点では2番手のオオムラ・フラガ選手との差を3秒にまで広げて独走状態に持ち込んだ。一方、オオムラ・フラガ選手の背後には小出選手が張りつくが、並ぶまでには至らず。
木村選手はその後もオオムラ・フラガ選手との差を広げ、この週末で最も長い20周レースで6.5秒の差をつけて連勝。ファステストラップの1点を追加し、ついに単独のポイントリーダーに立った。またこの木村選手の優勝で、B-MAX RACING TEAMがチームのタイトルを確定させた。
2位は小出選手との攻防で順位を守りきったオオムラ・フラガ選手、3位は小出選手。4位でゴールした平良選手はオープニングラップの3~4コーナーで走路外走行をしたということで、レース結果に5秒のペナルティが課され、4位には野中選手が繰り上がり、5位が平良選手ということになった。
これで木村選手と平良選手は逆転となり9点差、木村選手が有利な状態で最終戦を迎えることに。6位はエンツォ・トゥルーリ選手(TOM'S)だった。マスタークラスは今田選手が3連勝となる10勝目を挙げる。これでマスタークラスのタイトルを確定させ、3連覇達成となった。



第18戦
今季の最終レースとなった第18戦は14周のレース。このレースのグリッドは前日に行われた第16戦の結果で決まり、PPは木村選手、フロントローに菅波選手、3番手にオオムラ・フラガ選手。以下、平良選手、野中選手、古谷選手という順でグリッドにつく。
快晴となった13時3分にスタートが切られたが、2コーナーまでに菅波選手が木村選手をかわしてトップに。さらに平良選手もオオムラ・フラガ選手をかわして3番手へ順位を上げた。このレースにフレッシュタイヤを残していた菅波選手は徐々に2番手との差を開き、木村選手と平良選手の2番手争いが接近戦となった。
しかし周回が進むにつれて木村選手と平良選手の間隔は徐々に広がっていく。10周目に菅波選手はファステストラップを刻み、2位に2.3秒の差をつけ、第7戦・鈴鹿以来の今季2勝目を挙げた。2位は逃げ切った木村選手で、3位は平良選手。4位以下はオオムラ・フラガ選手、古谷選手、トゥルーリ選手の順だった。マスタークラスは今田選手とDRAGON選手(B-MAX RACING TEAM)が接近戦を繰り広げたが、今田選手が逃げ切って今季11勝目で有終の美を飾った。
これで木村選手は平良選手に11点差をつけて逆転チャンピオンを確定。シリーズ2位は平良選手、同3位は小出選手となった。



タイトルを獲得した木村選手は「うれしいです。それだけです。2年間スーパーフォーミュラ・ライツに参戦しましたが、1年目は何をやっても噛み合わず本当に辛かったです。最終戦はPPを2回獲り、3連勝するしかチャンピオンになれないと、そこしか考えていませんでした。これまでずっと海外でレースがしたいという思いがあり、カートから戦って来ました。将来は海外で速いドライバーを目指したい」とチャンピオン確定を喜び、さらにその先を見据えていた。

フォト/石原康、大野洋介 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部
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