SLTジムカーナシリーズ最終戦、お祭りムード満点のうちに2023シーズン閉幕

レポート ジムカーナ

2023年12月13日

スポーツランドTAMADAを舞台に開催されているシリーズ戦、SLTジムカーナシリーズ2023の第6戦が12月3日に開催された。このSLTジムカーナシリーズは主に初心者を対象としたジムカーナのシリーズ戦で、2023年から始まって全6戦が組まれている。最終戦となった今回は「TAMADAジムカーナフェスティバル2023」と併催で、全日本や地区戦ドライバーも多数参加しての大会となった。

TAMADAジムカーナフェスティバル2023
SLTジムカーナシリーズ2023 第6戦

開催日:2023年12月3日
開催地:スポーツランドTAMADA(広島県広島市)
主催:SLT.C

 SLTジムカーナシリーズ2023のクラス分けは、排気量、駆動方式、車種等によって8クラスの設定だ。タイヤはJMRC中国Rクラス指定タイヤか、T28タイヤを装着することになっていて、指定タイヤ以外の場合、銘柄によっては当該ヒートに5秒が加算される。また、各クラスの優勝者は次戦においてハンディキャップとして0.5秒が走行タイムに課せられ、そのタイムは優勝する毎に加算されていくが、4位以下になった場合は0.5秒免除されるなど、SLTジムカーナシリーズ独自のユニークなルールが設けられている。

 競技コースは、通常はスポーツランドTAMADAの東ショートコースを使用したフルパイロンジムカーナで争われるが、今回はフェスティバルということで、東ショートコースに加えてカートコースも使用。2つのコースを2ヒート走行し(各コース1本の練習走行付き)、それぞれのベストタイムの合計で順位が決められた。また、最終戦は獲得ポイントが2倍となるため、シリーズ順位の行方も気になるところだ。

コースを2つ使うため、競技は前半クラスと後半クラスに分かれ、各コース同時進行で行われた。午前中は、前半クラスがカートコース、後半クラスが東ショートコース。午後は入れ替えで、それぞれ練習走行を含む3ヒートを走行した。

 実況アナウンスは、カートコースが河本晃一氏、東ショートコースは久保真吾氏と、全日本ジムカーナ選手権でチャンピオン経験のある2名が特別参加。軽快なトークで大会を盛り上げた。また、会場ではケータリングとして、タマダ食堂のメニューに加え、焼き牡蠣や鶏もも肉の炭火鉄板焼きメニューが振る舞われ、お祭りムード満載の競技会となった。

今回特別参加の久保真吾氏(左)と河本晃一氏(右)。実況アナウンスで場内を盛り上げてくれた。
牡蠣がますます美味しいシーズンの開催とあって、身体を暖めてくれるケータリングは好評を博した。

KCクラス

 軽自動車および1500cc以下の前輪駆動の車両で争われるKCクラスは、全日本ドライバー井上賢二選手も参戦。「ガチで走ります(笑)」と、やる気満々の井上選手は、やはりカートコースと東ショートコースともにトップタイムをマーク。圧倒的な速さで優勝となった。一方シリーズ争いは、MMRキャロル選手がチャンピオンを獲得した。

KCクラス優勝は井上賢二選手(アクティブヤリス)。
2位は星川栞人選手(広工大ビート)、3位はMMRキャロル選手(HMCキャロル)。
KCクラス最終戦の表彰。左から2位の星川選手、1位の井上選手、3位のMMRキャロル選手。
KCクラスシリーズ表彰の皆さん。
「数多く参加しているので(笑)、練習も兼ねて頑張ってきた結果だと思います」と、第2戦から欠かさず参戦しているMMRキャロル選手がチャンピオンを獲得した。

FFクラス

 1500ccを超える前輪駆動の車両で争われるFFクラスは、池澤亮太選手が午前中のカートコースでベストタイムを刻んだ。2番手には0.4秒遅れで宮部貴盛選手が続き、中国地区戦のPN3クラスでシリーズ上位に食い込む選手がトップ争いを展開。続く午後の東ショートコースでも、池澤選手はトップタイムをマーク。宮部選手は池澤選手に100分の2秒まで迫るも、2番手タイムとその差を覆すことができず、池澤選手が優勝となった。

FFクラス優勝は池澤亮太選手(DL鴎ワークス激遅☆スイフト)。
2位は宮部貴盛選手(URG☆ATIKスイフトITO)、3位はDON選手(SLTCクアトロCRX)。
FFクラス最終戦の表彰。左から2位の宮部選手、1位の池澤選手、3位のDON選手。

 そしてシリーズチャンピオンを獲得したのは、シーズン4勝を挙げた西島公一選手。今回はタイム的には好タイムを刻むも、ハンディキャップタイムの影響もあって4位に甘んじたが、中国地区戦T28クラスでシリーズ2位を獲得した実力者でもある。

FFクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの西島公一選手は「地区戦ではチャンピオンを逃しましたが、最後にチャンピオンを獲ることができて、悶々とせずに新年を迎えられます(笑)」と、笑顔でコメントを残した。

FRクラス

 マツダ・RX-7、トヨタ・MR2(AW11、SW20)そして日産・180SXと、往年の名車のバトルとなったFRクラスは、カートコースではRX-7の影山幸輝選手がトップタイムをマーク。続く東ショートコースではAW11 MR2の武政重夫選手がトップタイムを刻むが、カートコースでのタイム差を守り切った影山選手が0.2秒の僅差で優勝となった。「勝てたのはうれしいのですが、至るところでミスしてしまいました……。走りの内容は今ひとつでしたが、細かいところは抜きにして楽しめましたね(笑)」と影山選手。シリーズでは「速いサイドターンを目指して修行中です。今回も必要がないところでサイドを引いて練習しました(笑)」

FRクラス優勝は影山幸輝選手(山愛しいたけRX-7)。
2位は武政重夫選手(昭和枯れすすきMR2)、3位は赤SW20 V型NA選手(MR2(SW20改)V型NA)。
FRクラス最終戦の表彰。左から2位の武政選手、1位の影山選手、3位の赤SW20 V型NA選手。
FRクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの岡田和浩選手は、今回の順位は4位に甘んじたものの、ハンディキャップタイム1秒を背負いながらも、カートコースではベストタイムをマークしてチャンピオンを獲得した。

AWクラス

 AWDの車両で争われるAWクラスは、スバル・インプレッサ、トヨタ・GRヤリス、三菱・ランサーエボリューションIXと、4WDターボ車による三つ巴の戦いとなったが、インプレッサを駆る日高洋選手がカートコース、東ショートコースともにトップタイムをマーク。「今日はトヨタ車と三菱車に勝ててうれしいです(笑)」と言う日高選手が、最終戦優勝とともにシリーズチャンピオンも獲得した。

AWクラス優勝は日高洋選手(丸目インプレッサ)。
2位はまっすん選手(GRヤリス RC)、3位は川上智久選手(普段は妻のランサー)。
AWクラス最終戦の表彰。左から2位のまっすん選手、1位の日高選手、3位の川上選手。
AWクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの日高選手は「フルパイロンジムカーナが好きなので、SLTジムカーナシリーズに第1戦から参加しました」と参戦経緯を明かした。

NSクラス

 サイドブレーキの使用が禁止されているNS(ノーサイド)クラスは、AWクラスでも優勝した日高選手とWエントリーのみーにゃ選手が優勝。カートコース、東ショートコースそれぞれ2番手タイムではあったが、総合タイムで優勝を勝ち獲った。「(前走の)旦那がタイヤを暖めてくれたおかげで勝てました。なかなか1位になることがないので、とてもうれしいです」と、笑顔のみーにゃ選手。

NSクラス優勝のみーにゃ選手(丸目インプレッサ)。
2位は高橋空選手(QRR空☆ロードスター)、3位はりょうすけ選手(トヨタ86)。
NSクラス最終戦の表彰。左から2位の高橋選手、1位のみーにゃ選手、3位のりょうすけ選手。

 そしてシリーズチャンピオンはフォルクスワーゲン・ゴルフVIIを駆る乗本和子選手が獲得。今回は東ショートコースのパイロンペナルティが響いて4位に甘んじたが、クラス中唯一、2.5秒のハンディキャップタイムを課せられながらも、カートコースではベストタイムをマークした。

NSクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの乗本和子選手は「毎戦(協賛の)広島トヨタさんの素敵な商品や、試乗会等で楽しめました。1年間参戦して自分が成長できたこともうれしく思います」とシーズンを振り返った。

RSクラス

 今回、最多13台の参加となったのが、初代のNAからNB、NC、ND形式のマツダ・ロードスターで争われるRSクラス。後半クラスのRSクラスは東ショートコースからの競技となるが、ここでトップタイムを刻んだのが乗本佳樹選手。続いて0.2秒差でレディスドライバーおじょー選手、さらに100分の2秒差でモリゾウ選手がつけ、早くもコンマ差の接戦が繰り広げられる。シリーズでは乗本選手が5ポイント差でポイントリーダーのモリゾウ選手を追う展開となっているが、このタイトル争いに他の選手がどうに絡んでくるかが注目だった。

 午後のカートコースになると、東ショートコースでは0.3秒差で4番手につけていた中、宮川弘基選手がトップタイムをマーク。乗本選手は第2ヒートで2番手タイムを刻むも、痛恨のパイロンタッチを喫していまい9番手に。モリゾウ選手は4番手タイムでカートコースを終え、最終的な順位はカートコースのタイムで稼いだ宮川選手が逆転優勝を決め、モリゾウ選手は5位、乗本選手は8位となった。優勝の宮川選手は「競技が始まる前に乗本選手から『ポイントが迫っているので考えて走れよ(笑)』と言われていたのですが、割って入ってすいません、とても気持ち良かったです(笑)」と笑顔でコメント。そして最終戦で逃げ切り、シリーズチャンピオンを獲得したのはモリゾウ選手となった。

RSクラス優勝は宮川弘基選手(DLJTロードスター)。
2位はおじょー選手(ロードスター)、3位は小原怜大選手(DLトーマス砂色ロードスター)。
RSクラス最終戦の表彰。左から2位のおじょー選手、1位の宮川選手、3位の小原選手。
RSクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンのモリゾウ選手は「ハンディキャップタイムと、最終戦はポイントが2倍ということで、今回で全てが決まるというところ。乗本選手のパイロンペナルティに助けられたこともありますが、シリーズ優勝できてうれしいです」。そして最後に「ワタシが元祖モリゾウです(笑)」と付け加えた。

86クラス

 トヨタ・86(ZN、ZC)およびトヨタ・レビン/トレノ(AE86)、そしてスバル・BRZで争われる86クラスは、武内靖佳選手が東ショートコースでトップタイムをマーク。武内選手は午後のカートコースでも好タイムを刻むが、両ヒートともにパイロンペナルティを喫してしまう。そのチャンスを逃さなかったのが、東ショートコースで2番手につけていた伊達佑希選手。1.4秒のタイム差を覆し、2.5秒逆転しての優勝となった。「武内選手のパイロンペナルティで何とか救われました」と伊達選手。シリーズチャンピオンは、今回6位の川口裕充選手が獲得した。

86クラス優勝は伊達佑希選手(JTSPOGR86)。
2位は武内靖佳選手(トーマス豊田GR86)、3位は武田ともこ選手(チャレンジャーGR86)。
86クラス最終戦の表彰。左から2位の武内選手、1位の伊達選手、3位の武田ともこ選手。
86クラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの川口裕充選手は「自制心が芽生えると思って、このシリーズに参加しましたがダメでした(笑)」とのコメント通り、最終戦でタイムは及ばなかったが、東ショートコース、カートコース全てのコーナーで迫力のドリフト走行でタイトルを決めた。

EXクラス

 地区戦チャンピオンから全日本ドライバーまで参戦したEX(エキスパート)クラスは、中国地区PN3クラスチャンピオンの内田敦選手と、四国から参戦の全日本ドライバーであるケンタロー選手が激しいトップ争いを展開した。

 東ショートコースでトップタイムをマークしたのは内田選手だが、2番手ケンタロー選手とのタイム差はわずか100分の5秒。勝負はカートコースとなったが、ここでケンタロー選手は内田選手を0.7秒上回るタイムを叩き出し、このタイム差でケンタロー選手が逆転勝利を決めた。

「内田選手もいたので、ムキになってカートコースでは1分切りを目指したのですが、実力が足らず叶いませんでした。それでも優勝できて良かったです(笑)」と、借り物ロードスターながらも優勝したケンタロー選手。シリーズチャンピオンは、開幕戦から参戦している根岸雅也選手が獲得した。

EXクラス優勝はケンタロー選手(ロードスター)。
2位は内田敦選手(ロードスターRF)、3位はたけだあきひと選手(チャレ・ITO・GR86)。
EXクラス最終戦の表彰。左から2位の内田敦選手、1位のケンタロー選手、3位のたけだ選手。
EXクラスシリーズ表彰の皆さん。
チャンピオンの根岸雅也選手は「パイロンは苦手なのですが、1年間楽しく走れました(笑)」と笑顔でコメントを残した。

フォト/友田宏之 レポート/友田 宏之、JAFスポーツ編集部

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