第53回日本プロスポーツ大賞の授与式典が都内で開催。宮田莉朋選手が「敢闘賞」を受賞し、TOM'Sの舘信秀会長が文部科学省「スポーツ功労者顕彰」を受賞
2023年12月25日

日本のプロスポーツ界の健全な発展と振興に寄与するために開催される「日本プロスポーツ大賞」と、文部科学省によるプロスポーツ関係者に対するスポーツ功労者顕彰の2023年の表彰式典が行われ、2022年に続きモータースポーツ界からも受賞者が選出された。
「第53回内閣総理大臣杯日本プロスポーツ大賞」/
文部科学省「スポーツ功労者顕彰」授与式典
■開催日:2023年12月21日(木)
■開催地:ホテルニューオータニ(東京都千代田区)
■主催:公益財団法人日本プロスポーツ協会
その年の各スポーツ界で顕著な活躍を見せた選手や団体が表彰を受ける「日本プロスポーツ大賞」。その第53回表彰式が2023年12月に東京都内のホテルで開催された。
ここ数年は国内モータースポーツ界から選出される人材が増えており、2022年にはレーシングドライバーの野尻智紀選手が敢闘賞を受賞している。2023年はスーパーフォーミュラとスーパーGTシリーズでドライバーチャンピオンを獲得した宮田莉朋選手が敢闘賞を受賞。女子プロゴルフの山下美夢有選手と女子サッカー日本代表の宮澤ひなた選手らと並んで登壇した宮田選手は、多くの報道陣が注目するなかクリスタルと賞状を受け取った。
2023年はスーパーフォーミュラとスーパーGTで合計5勝を挙げる活躍を披露した宮田選手。2024年はFIA F2や欧州ル・マンシリーズ(ELMS)など海外への挑戦が決まっている将来有望なレーシングドライバー。今回の受賞を機に、今後はモータースポーツ界のみならず、各スポーツ界からも注目を集める存在になってほしいところだ。
この日は、錚々たるメンバーとともに記念撮影に応じた宮田選手だが、翌年の準備で海外を飛び回っおり、時差ボケに悩まされていたとのこと。それでも「これから実感が湧いてくるんだろうなと思います。その時は『ようやく、そういうところに行けたんだな』という気持ちが大きくなると思います」と語った。
また、文部科学省は、日本のスポーツ振興に関して特に功績が顕著な人材を「スポーツ功労者」として顕彰を行っており、日本プロスポーツ大賞の式典に併せて顕彰式典が行われている。令和5年度のプロスポーツ分野におけるスポーツ功労者顕彰には、TOM'S会長を務める舘信秀氏が選出された。
かつてレーシングドライバーとして、マカオグランプリをはじめ国内外のレースで大活躍した舘会長。現役引退後は後進の育成に尽力し、国内屈指のレーシングチームであるTOM’Sを率いて、数々のチャンピオンドライバーを輩出してきた。TOM’Sは2024年に設立50周年を迎えるという節目の年でもある。これら舘会長の功績に対して、日本レースプロモーションの推薦を受けて、このたび顕彰される運びとなった。
実は、舘会長はこの顕彰に選ばれたことを聞いた時に「ずっとドッキリだと思っていました!」と式典直前まで信じていなかったという。それでも、顕彰式典の壇上で盛山正仁文部科学大臣から賞状を受け取ったことで、やっと実感が湧いたという様子だった。
「18歳から(レースを)始めて、もうすぐ60年。ただ好きなことをやってきただけだから、まさか僕なんかがもらえるわけないと思っていました。『そろそろ身を引こう』といつも思うんですが、こういった賞をいただくと『やっぱりもう少し頑張ろうかな』と思うようになりますよね」とは舘会長。
国内モータースポーツは、コロナ禍における世界選手権開催時の査証発給取りまとめなどにおいて、文部科学省管轄のスポーツ庁との関係が深まった経緯がある。ここ数年は、スーパーフォーミュラを運営する日本レースプロモーションの働きかけも奏功して、日本プロスポーツ大賞やスポーツ功労者顕彰に選出される機会が増えている。
舘会長は「モータースポーツは、プロとアマチュアと混在しているカテゴリーもあるので、その部分はうまく棲み分けして、レース界においてもプロスポーツという認識を作っていきたいですね。目指すはモータースポーツのJリーグのような感じにしていきたいです」と、モータースポーツ界の発展に寄与する独自の取り組みへの意欲を見せていた。
一方の宮田選手は、そんな舘会長のもとで、フォーミュラ3からスーパーフォーミュラ・ライツ、スーパーフォーミュラ、そしてスーパーGTを戦ってきた。宮田選手とって、舘会長と同じ会場で名誉ある賞を得られたことは感慨深かったようで、「約7年間、一度もTOM'Sを離れずにレースをすることができました。本当にTOM'Sには感謝しかないですし、その関係があったから、現在の結果を残せたと思っています」と語っていた。
なお、2023年の第53回日本プロスポーツ大賞は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)優勝を果たした「侍ジャパン」が選ばれて、栗山英樹前監督が代表して登壇。今回の授与式典にも岸田文雄首相が登場し、栗山前監督に内閣総理大臣杯を手渡した。





フォト/大野洋介 レポート/吉田知弘、JAFスポーツ編集部