初冬のサマーランドに100台ものエントリーを集め、東京都下では6年ぶりとなるオートテストが開催!

レポート オートテスト

2023年12月28日

東京都あきる野市にあるレジャー施設の東京サマーランド 第二駐車場で、12月10日、2023JAF東京オートテスト「TMSC オートテスト in サマーランド」が開催された。

2023JAF東京オートテスト「TMSC オートテスト in サマーランド」
開催日:2023年12月10日
開催地:東京サマーランド 第二駐車場(東京都あきる野市)
主催:TMSC
協力:JAF東京支部

 日本全国で盛況を博しているオートテストは、関東近郊でも数多く開催されてきたが、東京都内での開催は実に6年ぶりとなる。12月10日に行われた「TMSC オートテスト in サマーランド」は、参加申し込み開始からあっという間に参加台数の上限である100台の枠が埋まり、JAF公認クラブ「トヨタ・モータースポーツ・クラブ(TMSC)の主催、JMRC東京ジムカーナ部会の協力によって開催された。

 今回のオートテストは「参加しやすい環境づくり」の観点にも合致した、東京サマーランドという気軽に参加できる環境が用意されている。この開催の経緯について「モータースポーツ参加の裾野を広げる、ということが大きな目標としてあります」と、運営に携わったJAF東京支部。

「近県でのオートテストに参加されていた方も多くいらっしゃると思いますが、東京都内にはたくさんのJAF会員の方が在籍してますし、もっと近場で開催すれば気軽に参加していただけるのではないかということと、6年間、東京都内での開催がなかったという現状もありました」

「都内で広い場所というのはなかなか難しいのですが、東京サマーランドさんとは、以前から交通安全の講習会等で会場をお借りしていたこともあり、オートテストの開催にも会場を提供していただけることになりました」とのことだ。

9月下旬から3月下旬まで、オフシーズンとなる東京サマーランドの第二駐車場がオートテストの会場となった。
主催はレースやジムカーナ等で豊富な開催実績を持つ、JAF公認クラブのトヨタ・モータースポーツ・クラブ。ドライバーズブリーフィングでは稲玉秀幸競技長が参加者に説明を行った。

 開催当日は朝から好天に恵まれ、ゲートオープンの8時には続々と参加者が来場。参加受付、車両検査、ドライバーズブリーフィング、そして慣熟歩行を経て競技開始となる流れだ。

 今大会のクラス分けは競技経験の有無によって区分され、初参加や自信のない人、これから頑張るという人が「わかばクラス」、ちょっとオートテスト経験者や現在がんばり中という選手が「ビギナークラス」、そしてモータースポーツ&スポーツ走行経験者やオートテスト入賞経験者が「EX(エキスパート)クラス」となっている。このEXクラスは、参加車両の排気量によって3クラスに分かれ、合計5クラスが設定された。

 コースレイアウトは、スタート後の3本パイロンによるスラローム、前進のラインまたぎを経て、後退でひとつ目のガレージに入庫し、並列した2つ目のガレージには後退の縦列駐車で入庫するという、シンプルに見えて一筋縄ではいかない設定となっていた。

 ひとつ目のガレージ入庫では、直前のラインまたぎがガレージに対してやや右側にオフセットされており、この関東らしい絶妙な味つけに気づけるかどうか、そして2つ目のガレージ入庫は、車体右側から後退で入庫する設定がどう影響するか、といったポイントが勝負の分かれ目となったようだ。

 また、今大会の順位の決定方法は、特別規則書により「2本走行にて早い方のタイムにて順位を決定」する形式が採用され、パイロンの移動・転倒・接触または境界線逸脱について5秒のペナルティが加算されるという、ジムカーナ競技に準じたものとなっている。

コ―スレイアウトは一見単純ながら、走り出すと奥深い設定となっている。

EX1クラス

 排気量660cc以下のEX1クラスは軽自動車の戦い。第1ヒートでトップタイムをマークしたのが、マツダ・AZ-1を駆る越川孝明選手で、タイムは28秒558。2番手につけたのは、コンマ13秒の差でダイハツ・コペンの小瀬誠選手。第1ヒートから僅差のバトルとなった。

 続く第2ヒート、さらなるタイムアップが期待されたが、逆転を狙う小瀬選手は1.4秒のタイムダウンを喫してしまう。同様に越川選手も縦列で苦戦し、コンマ7秒のタイムダウンに終わる。しかし第1ヒートの越川選手のタイムは後続選手でも更新することができず、タイムを守り切った越川選手がEX1クラス優勝となった。

「オートテストに参戦して約2年です。関東近県のオートテストはだいたい出場してますね。今回は右に寄せる縦列駐車が自分にとって初めてでしたので、感覚が慣れていないのもありまして上手くいきませんでした。第2ヒートでタイムダウンしてしまったのが悔しいですね」と、越川選手。第2ヒートはやや悔やまれる走りではあったものの、今大会のオーバーオールタイムでの優勝を決めた。

優勝は越川孝明選手(マツダ・AZ-1)。
2位は小瀬誠選手(ダイハツ・コペンセロ爺deアール)、3位は岡田冬樹選手(ダイハツ・コペン)。
EX1クラスの表彰式。左から4位の大嶋茂樹選手、2位の小瀬選手、1位の越川選手、3位の岡田選手、5位の永山芳樹選手、6位の林孝選手。

EX2クラス

 排気量661~1500ccまでの車両で争われるEX2クラスは、FFコンパクトカーがメインとなった。第1ヒートでトップタイムをマークしたのは往年の名車で、かつてはジムカーナ界を席巻したホンダ・シティ(GA2)を駆る西塚正選手。このクラスでは群を抜く30秒637というタイムを刻んで、トップで第2ヒートに折り返した。

 しかし第2ヒートで西塚選手のタイムをコンマ4秒更新してきたのが、アバルトを駆る小嶋正巳選手。クラス唯一となる輸入車でシティを上回るタイムを叩き出して、このまま逃げ切るかと思われたが、続く西塚選手が自己タイムをコンマ7秒更新。走行タイムも29秒台まで突入し、第2ヒートでの逆転優勝を決めた。

「クルマはGA2シティですが、ジムカーナはほとんど経験がありません(笑)。オートテストは2017年から出場しています。前と左右の車両感覚はつかんでたのですが、バック走行も上手くなりたいと思ったのがオートテストを始めたきっかけです」

「今回は第1ヒートでトップタイムを出せたことで、第2ヒートは攻めつつも、落ちついて自分の走りができたことが勝因だと思います」と振り返った西塚選手は、もう1台の愛車である日産・ノートAURAでも優勝経験があり、今後も2台体制でオートテストに挑戦する意欲を語ってくれた。

優勝は西塚正選手(ホンダ・シティ)。
2位は小嶋正巳選手(アバルト)、3位は佐藤尚敬選手(スズキ・スイフト)。
EX2クラスの表彰式。左から4位の森本康之亮選手、2位の小嶋選手、1位の西塚選手、3位の佐藤尚敬選手、5位の須永一嘉選手、6位の鶴博之選手。

EX3クラス

 EX3クラスは排気量1501cc以上の車両で争われ、FFやFR、4WDまで、駆動方式を含めてさまざまな車種が入り乱れての戦いとなった。第1ヒートからトップタイムを刻み、第2ヒートでは1秒以上のタイムアップを果たしたフォルクスワーゲン・ゴルフの富田啓介選手が優勝を飾った。

「オートテストは一昨年から参戦してます。JAFのホームページで手軽な競技があることを知ったのがきっかけです。今回はパイロンペナルティでタイムを落としてた選手が結構いたので、確実にタイムを残すことに集中しました。バックの走りを失敗しないことも重要ですが、AT車なので、どうしてもバックギアのタイムラグが発生してしまうので、切り替わったら思い切りアクセルを踏むという操作を心掛けました」とは富田選手。新型車にはつきもののビハインドを、冷静な判断で克服して勝利を収めた。

優勝は冨田啓介選手(フォルクスワーゲン・ゴルフ)
2位は古賀亜希子選手(スバル・BRZ)、3位は木村宏幸選手(トヨタ・カローラスポーツ)。
EX3クラスの表彰式。左から4位の長谷川誠選手、2位の古賀選手、1位の富田選手、3位の木村宏幸選手、5位の木村佳祐選手、6位の外山玄人選手。

ビギナークラス

 出走24台と激戦となったビギナークラスは、ほとんどの選手が第2ヒートでタイムアップを果たす健闘を見せたが、その中で優勝を勝ち取ったのが、第1ヒートからトップタイムを刻んでいたスバル・BRZの片岡慎太郎選手。

「オートテストには昨年、友人に誘われて初めて参加しました。今回で3回目です。ヘルメットなどの準備がなく、フラっと来て走れる気軽さが良いですね。また、いろんなクルマの走りを観られることも楽しいです。スポーツカーだけではなく、一般大衆車やオフロードカーが、ドライバーによって全く違う動きになるのも、オートテストの魅力だと思います」と片岡選手。観る競技としてのオートテストの楽しみ方を語ってくれた。

優勝は片岡慎太郎選手(スバル・BRZ)。
2位は髙橋智昭選手(トヨタ・GR86)、3位は渡邉恵一選手(スズキ・アルトワークス)。
ビギナークラスの表彰式。左から4位の間瀬文太郎選手、2位の高橋選手、1位の片岡選手、3位の渡邉選手、5位の岡田祥生選手、6位の大木寅慶選手。

わかばクラス

 ビギナークラスに次いで22台と盛況だったわかばクラスは、スバル・WRX STiの黒田雅人選手が第1ヒートをトップで折り返す。黒田選手は第2ヒートでも自己タイムを1秒近く更新する走りでトップを堅守するが、そのタイムを上回ったのが、第1ヒートで2番手につけていた日産・サニーを駆る相田憲司選手。黒田選手のタイムをコンマ5秒更新すると、後続の選手はそのタイムを抜くことができず、相田選手が逆転優勝となった。

「第1ヒートはほぼ慣熟歩行でイメージした走りができました。第2ヒートは気負わずにそれを冷静に繰り返したのが良かったと思います。第1ヒートよりも上手く走れてタイムもベストだったので、イメージしたことが間違ってなかったのかなと思います(笑)」と相田選手。SRエンジンを積んだ希少なサニーで、今後は夫人と一緒に参加する予定であることも語ってくれた。

優勝は相田憲司選手(日産・サニー)。
2位は黒田雅人選手(スバル・WRX STi)、3位は山川優太朗選手(マツダ・ロードスター)。
わかばクラスの表彰式。左から4位の越田翔選手、2位の黒田選手、1位の相田選手、3位の山川選手、5位の綿貫美穂選手、6位の奥脇秀規選手。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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