肥後国・熊本でJAF九州地方選手権&JMRC九州シリーズ戦表彰式が開催
2024年2月1日

1月21日、九州管内の2023年モータースポーツを総括するJAF九州地方選手権表彰式/JMRC九州シリーズ戦表彰式が、熊本県熊本市のANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイで華々しく開催された。
2023年JAF九州地方選手権表彰式/2023年JMRC九州シリーズ戦表彰式
2024年JMRC九州新年総会および九州モータースポーツ表彰式 in 熊本
開催日:2024年1月21日
開催地:ANAクラウンプラザホテル熊本ニュースカイ(熊本県熊本市)
主催:JAF九州本部、JMRC九州
振り返ると2023年は激動の1年と言っても過言ではない九州管内のモータースポーツだが、その集大成となるJAF地方選手権およびJMRCシリーズ戦の表彰式が1月21日に開催された。例年、九州管内の表彰式は九州各県持ち回りとなっているが、今回はその舞台が熊本県に移り、熊本市内のANAクラウンプラザホテル熊本スカイホテルで執り行われた。熊本開催ということでJMRC九州 熊本支部が表彰式の主担当を務める。
表彰式の直前まで、JMRC九州運営委員会の各役員らが出席する2024年第1回の会議が実施され、星野元運営委員長から年頭の挨拶、JAF本部モータースポーツ部業務課の小林修課長ならびにJAF九州本部の丸山哲也事務局長から挨拶、続けて役員紹介が行われた。そして第1号議案の前回会議議事録(案)確認、第2号議案の2023年決算・監査報告、第3号議案の2024年予算、その他2024年振興策について、配布された資料をもとに報告や討議が進められた。



200名を超える招待者が集まる中、最初に行われたのは2024年のJMRC九州新年総会で、開会の挨拶はJMRC九州 熊本支部の中野秀幸支部長、続いてJMRC九州の星野運営委員長が年頭挨拶を行う。司会進行は昨年に続きJMRC九州運営委員の榊淳一氏が務めた。
来賓紹介では住友ゴム工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、トヨタカローラ福岡株式会社、株式会社ダンロップタイヤ、株式会社オートポリス、HSR九州、株式会社エーワン、日刊自動車新聞社、合同会社サンク、全日本学生自動車連盟の来賓者氏名が読み上げられ、併せて一般社団法人日本自動車連盟の職員も紹介された。
まずはJAFを代表して九州本部の丸山事務局長が挨拶し、住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部の竹内二郎部長、トヨタ自動車株式会社GAZOO Racing Company GR商品・ラリー事業部の横田修司氏、全日本学生自動車連盟九州支部の岡田敬生常任委員長が、ステージ上から挨拶と祝辞を述べていく。
そして2024年のJMRC九州運営委員会の役員および支部長の紹介となり、当日出席した24名がステージに上がる。その中から佐藤裕副運営委員長が代表して挨拶を行った。新年総会もつつがなく終わった後は九州モータースポーツ表彰式へ移行し、乾杯の音頭はJAF本部の小林課長が務めた。円卓には空腹を刺激する飲食が揃って宴の準備が整い、各クラスの表彰式がスタートする。
クラスごとに表彰対象者がステージに登壇して賞典を受け取り、チャンピオンだけがプレゼンターによる表彰状読み上げの授与となった。第1部はレース部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ、カート部門のJMRC九州A-ONEカートシリーズ、ラリー部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズの順で行われた。
例年ではここで第2部の前にJMRCの支部アトラクションがあるが、今回は省略。続いてダートトライアル部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ/JMRC九州ジュニアシリーズ、ジムカーナ部門のJAF九州選手権シリーズ/JMRC九州チャンピオンシリーズ/JMRC九州ジュニアシリーズ、そしてJMRC九州ジムカーナ沖縄シリーズの表彰となった。
特別表彰は、JAFカップオールジャパンジムカーナ/JMRC全国オールスターシリーズ、西日本ジムカーナフェスティバルと、JAFカップオールジャパンダートトライアル/JMRC全国オールスターシリーズ、西日本ダートフェスティバル上位入賞の選手に楯が贈られる。それぞれ賞典を受け取ると、会場内からは大きな拍手で成績を称えられていた。
なお以上の表彰のプレゼンターは、レース部門がJAF九州本部の丸山事務局長とJMRC九州の菅一乗レース部会長、カート部門が株式会社エーワンの石橋陽一氏、ラリーがJAF本部の小林課長とJMRC九州の徳尾慶太郎ラリー部会長、ダートトライアルがJAF九州本部事業部の永松純一部長とJMRC九州の橋本和信ダートトライアル部会長、ジムカーナがJAF九州本部の永松部長とJMRC九州の佐藤ジムカーナ部会長が務めた。
すべての表彰を終えると、会場にいる全員がお待ちかねの九州モータースポーツ表彰式の抽選会に。事前に購入した抽選券に願いを込めた出席者がステージに用意された大量の賞品に注目。番号が呼ばれると、次々と賞品を受け取っていった。なお今年の目玉賞品はHSR九州の協賛による液晶テレビとプレイステーション5だった。
九州モータースポーツ表彰式のトリはJMRC九州の荒谷理事による一本締め、JMRC九州 熊本支部の中野支部長の閉会挨拶で楽しい式典はお開き。2023年の健闘を称え合いながら、2024年のシーズン開幕に向けて新たなスタートが切られた。
















































■2023年JAF九州地方選手権「初」チャンピオンインタビュー

フォーミュラエンジョイで頭角を現してスーパーFJにステップアップ、苦戦を強いられる場面もあったが、これまで各地に遠征するなどライバルたちと腕を磨いてきた宇髙希選手。27歳となる2023年はオートポリスのスーパーFJを主戦場とし、JAF地方選手権のチャンピオンを獲ることを目標に日々邁進してきたという。「予選でポールポジションが一度も獲れなかったことが悔まれる1年でしたが……、全5戦のシリーズで4戦終了時点でチャンピオンが確定できたことは良かったと思います」と優勝2回と3位2回で毎戦表彰台を獲得する安定したレースを繰り広げ、初タイトルを手中に収めて感無量の様子だ。「今回、初めてJAFの表彰式に出席させていただきましたが、たくさんの表彰対象者がいる中で、自分がチャンピオンとして表彰してもらえたことは非常にうれしく思います」と表彰式の雰囲気を存分に満喫して笑顔を見せてくれた。

林大河選手は九州工業大学の学生で、念願の初チャンピオンに輝いた。「大学の自動車部にいた河本拓哉先輩に憧れたのがモータースポーツを始めたきっかけです。河本先輩の速さを目指してラリーに挑戦しました」と表彰対象として同会場に招待されていた河本選手の方を向いてはにかんだ。「2023年は学生最後の年となるので、狙いはチャンピオン1点のみでした。初戦からポンポンと優勝できたことで少し調子に乗ってナメていた部分もありましたが、夏のグラベルでリタイアを喫してから考え方を改めたんです。本気でシリーズチャンピオンを獲ることに焦点を当て、ポイントを確実に取る戦略へ切り替えました。先を見据えながら戦った1年だと思います」と振り返る。「チャンピオンになれてうれしさはありますが、クラブの方々から『頑張れよ』と叱咤激励があったので、それらの期待に応えられて安心したというのが今の正直な気持ちです」と語った。

「一番最初はラリチャレのコ・ドライバーからです」と地区戦は3年目となる門田実来選手。モータースポーツのお誘いを受けて参加したのがきっかけで、始めてみたらすぐにラリーの虜になってしまったそうだ。「ラリーはドライバーとコ・ドライバーとクルマのパッケージで、戦略を練ったりしながらタイムを競えるところが魅力でしょうか。ドライバーと一緒にラリーの映像を見て、走りの研究するのも楽しいです。あとはたくさんの道を走れることもいいですね」とイキイキと話す表情から、本当にラリーが好きなんだと伝わってくるほどだ。「まだまだ経験が浅いですけど……、ドライバーが困ったりミスをしたり、調子が崩れそうなとき、うまく声をかけて早く立ち直らせることができるようになれたかな? という成長を感じた1年でした。 一緒に組んだドライバーがチャンピオンを獲れなかったので、今年はそのリベンジとして再び地区戦への参戦を予定しています」

ラリー参戦3年目で念願の初タイトルを手にした山下公章選手は「シリーズ7戦フル参戦でき、コ・ドライバーとの関係もうまく構築でき、上位に入賞することもできたという、非常にありがたい1年でした」と言うとおり、4戦で表彰台登壇を果たして2勝を挙げた。「練習でいろいろ試しながらセッティングを煮詰め、自分に合ったマシンコンディションで参戦しまして、前半戦はそれがマッチングして上位に行けたものの、後半戦はライバルたちの追い上げもあり……、最終的に前半のリードで逃げ切ることができました。コ・ドライバーの鹿田選手との息も合ってしっかりタイムが出せたのが大きい要因ですね。鹿田選手は意思疎通が非常にやりやすいタイプのコ・ドライバーでした。2024年は地区戦に参戦予定で、目指すは2年連続タイトル! 全日本は……まだまだ修行の身なので、まずは地区戦の方でしっかり頑張らせてもらい、そういう機会があれば目指したいと思います」

個人的にサーキットに行って友人たちとの走行経験はあるものの、公式のモータースポーツとしてはラリーが初の挑戦となった鹿田裕太選手。「元々インプレッサに乗っていたこともあって、ラリーには憧れがありました。いろいろとラリーの動画を見たりしましたね。コ・ドライバーについては“ドライバーをいかに操れるか”に魅力がありました。一緒にペアを組んだ山下選手については安心感がありましたね。お互いに意見を言い合いつつ、楽しくラリーができたと思います。シーズンを振り返ると……アッという間の1年でした。中でも最終戦はドライバーこそ変わったんですけど、道が見えないナイトラリーで面白いラリーだったのが印象に残っています」とコメント。そして2024年の予定については「またラリーに参戦したいですね。コ・ドライバーのラリーも好きなんですけど、ゆくゆくはドライバーとしても参戦したいです」と新たな挑戦への抱負を語ってくれた。

「兄がラリーをやっていて、そのコ・ドライバーをやったのがきっかけです」と言う糸永敦選手は、ラリーを始めて13年目となる。ペースノートを読み上げることにコ・ドライバーの楽しさとやり甲斐を見出し、作成したペースノートをもとに間違いなくSSをクリアできたときが一番うれしい瞬間とのことだ。「2023年はコ・ドライバーとして9割くらい役割を果たせたと思います。残り1割はペースノートの読み間違えですね……」と少し苦笑いの表情を見せる。そして過去に幾度もチャンピオンを獲得しているスイフトスポーツを駆る白𡈽辰美選手とのコンビについては「誰であれ、初めて組むドライバーとはうまくいくかどうか不安があるんですが、第1戦からうまくいけた点が良かったです」と初戦で優勝に導けたことを挙げた。「今年は仕事で北海道におりまして、もしかしたら9月に帰ってこられた際は地区戦に出ようかなと思っています」と、復帰参戦時の活躍に期待したい。

「お金はないですけど(笑)、クルマをイジったり走ったりする時間はたっぷりあります」とキャンパスライフを満喫している納富瑠衣選手は、大学に進学するときにやりたい部活を探していたら自動車部を見つけて、面白そうだなと思ってモータースポーツの世界に足を踏み入れたそうだ。「大学の先輩のクルマの横に乗せてもらったときに『ラリーってスゲーな』と感じたのが、ラリーを始めたきっかけです。ジムカーナやダートトライアルとは違い、ラリーは毎回違う林道が走れ、路面や景色が変わるのが好きですね」と魅力を語る。CR-Zを武器に臨んだ2023シーズンについては「毎戦、自分の悪いところを潰していき、うまい人の運転やライン取り、ペースノートのつくり方を学んでいきました。いろいろと取り込めた甲斐あって成長できました」と実りある1年だったようだ。「今年は全戦とはいかないですけど、再び地区戦で頑張ります。いずれ全日本選手権で勝つのが夢ですね」

コンビを組んで2023シリーズを戦った納富選手とは同じ大分大学の自動車部所属だという、学生ラリーストの出雲正朗選手。クルーそろっての初チャンピオン獲得となった。「ラリーがほかのモータースポーツ競技と違うのは、1人で戦うのではないというところでしょう。1人よがりに自分の理想だけで走って良い結果を出すことは難しい競技だと思います。ドライバーとの連携はもちろん重要ですが、コ・ドライバーとしてクルマのことをよく熟知しておくことも大切だと感じました」と自身のコ・ドライバー像を説く。参戦車両のCR-Zについては「RH-6クラスではアクアやフィットなどがいる中で珍しいクルマでした。ですが、これだけ輝かしい成績を残せるということは、ポテンシャルは相当にあるクルマだと思います」と好評価。「2024年は九州大学の大学院に進学します。今はまだ未定ですが自動車部があれば何らかの形でモータースポーツに携わっていきたいですね」

「“JYUICHI”は子供の名前です」と言う、JYUICHI選手こと伊藤篤史選手。レーシングドライバーの脇阪寿一選手が好きで、それにあやかってモータースポーツではこの名前を使っているそうだ。「2011年から2013年までジムカーナをしていたんですが、一旦止めていた時期を経て、2023年に復帰しました。実はこれまでジムカーナは走行会程度の嗜みで、本格的にやっていなかったんです。元々はインテグラタイプRに乗っていて、スイフトスポーツにクルマを替えて臨んだらなかなか感覚がつかめず……、また主戦場であるHSR九州も時間貸しというのがなく、練習に行けなかったこともあり……、2位の黒水選手とは最終戦で同ポイントだったり……と、振り返ると結構キツい1年でした。ですが、復帰してチャンピオンをどうしても獲りたいって強い気持ちがあったので、人には言えませんが基礎の反復練習など努力はしてきたつもりです。それが通用して良かったなと思います」
フォト/西野キヨシ、JAFスポーツ編集部 レポート/JAFスポーツ編集部