フォーミュラ・ビート年間表彰式がアットホームな雰囲気で開催
2024年2月19日

1月28日、愛知県名古屋市のJR名古屋駅近くにあるAP名古屋において、日本フォーミュラ・フォー協会が主催するフォーミュラ・ビート地方選手権シリーズの年間表彰式が行われた。表彰対象となるのは全レース対象となるグランドチャンピオンとジェントルマンクラスの各上位3名だ。
2023年度 Formula Beat 地方選手権シリーズ F4協会表彰式
開催日:2024年1月28日
開催地:AP名古屋(愛知県名古屋市)
主催:日本フォーミュラ・フォー協会
JAF F4ことフォーミュラ4地方選手権は、2023年からフォーミュラ・ビート(F-Be)地方選手権シリーズに名称が改められ、そのF-Be最初となる年間表彰式が1月28日に名古屋で執り行われた。式典は、司会を兼任する株式会社日本フォーミュラ・フォー協会の福永亜希子会長による開会挨拶から始まる。
協会理事で特定非営利法人 日本自動車レース工業会(JMIA)の戸田幸男会長は「このたびは2023年度のF-Be選手権において入賞された皆さん、大変おめでとうございます。また、モータースポーツ関係者の皆さんのご尽力によってシーズンを終えることができました。本当にありがとうございます」と挨拶。
続いて住友ゴム工業株式会社モータースポーツ部の安岡生人氏、そして株式会社トヨタカスタマイジング&デベロップメント TRD事業部の海老原祐介氏と、来賓による挨拶の後、株式会社イケヤフォーミュラの池谷信二代表によって乾杯の儀が行われた。







その後はしばらく和やかな雰囲気の中、歓談や会食が行われた。そしてまずは45歳以上のドライバーを対象とするジェントルマンクラスの表彰式が行われる。チャンピオンに輝いたのは、12戦中8戦に出場し、そのすべてを制した河野靖喜選手だ。2位は舩井俊仁選手、3位はKAMIKAZE選手だった。
河野選手は1972年生まれで、神奈川県横浜市出身。JAF F4のころから参戦を始め、苦節8年目にして初のタイトル獲得だ。「2023年から体制を改めまして、少しでも上位に入りたいと思ってシーズンのスタートを切りましたが、最初のレースから想像以上の順位が獲れて、その勢いのまま1年間が過ぎた感じで、僕にとって最高のシーズンでした」と述べた。
続いて国土交通大臣賞の授与が行われる。対象となった車両は型式F108のファーストガレージ&ISP、コンストラクターはZAPSPEEDで、重厚なトロフィーやクリスタル、そして賞状が贈られた。




そしていよいよトリのグランドチャンピオンの表彰が行われる。チャンピオンを獲得したのはベテランの佐々木孝太選手。12戦中10戦に出場し、優勝5回の高勝率が決め手に。佐々木選手はF4時代の1998年にも鈴鹿シリーズを制しており、実に25年ぶりの王座返り咲きともなった。
また全12戦を有効としたグランドチャンピオンでは、同じ95ポイントを獲得したドライバー3名が並ぶこととなったが、上位入賞回数によって2位は卜部和久選手、そして3位はハンマー伊澤選手が獲得した。
「ベテランのハンマーさん、若手ピチピチの卜部くん、ほかのドライバーの人たちとも、昨年はすごくいいレースができました。ファーストガレージとしてもすごくチーム力が増して、2年目にしてチャンピオンを獲らせてもらうことができました」と喜びの声を発したのは佐々木選手。
2位の卜部選手は「昨年はF-Beには12戦中5戦しか参戦できませんでしたが、それでもランキング2位が獲れてうれしく誇りに思っています。今年も第2戦の富士にスポットで出ようと思っているので、また注目して見てください」とコメント。
「年間表彰式にお招きいただき、ありがとうございました。F-Beの2024シーズンを少しでも盛り上げられるように活動できたらいいなと思っているので、よろしくお願いします」とは、3位となった伊澤選手だ。




これまでF-Beでアドバイザーを務めていた土屋武士氏が、自ら率いるGTチームの事情によってしばらく休むこととなり、すべての表彰が終わった後、代役として谷川達也氏の就任が発表される。さらに、F-Be応援団長(?)に元嶋成弥選手が就くこともアナウンスされた。
谷川氏は「昨年も何回かアドバイザーを務めさせていただきましたが、2024年も引き続きということになりました。個人的には激しいレースを期待していますが、その中でもお互い思いやりを持った、きれいなバトルをしていただきたいので、今シーズンも頑張ってください。ドライビングのアドバイスなど、気軽に聞いてほしいです」と挨拶。



年間表彰もつつがなく終了し、またF-Be初年度がひと段落したばかりの福永会長へ話をうかがった。
「F-Beと名称を改めた2023年、エントラントの皆さんも『一緒に盛り上がっていくぞ~』って気持ちが高まっていてとても良かったのですが、一番の問題点は遠隔の開催地が続いてしまったことですね。最初に鈴鹿、もてぎ、富士が続いて本州の真ん中が前半戦で終わってしまい……、その後に北海道(十勝)とオートポリス、そしてSUGOと、行ったり来たりになってしまいました」と振り返る。
「遠征の件もそうですが、物価高の問題もあって、協会でも支援できないか考えたんですが、仮にエントリー代を下げたとしても、フェリー代のご負担が大きかったり。とくに反省すべきは8月の北海道開催で、世間的にはまだお盆休みの終盤だったこともあり、トップシーズンの帯広での宿泊は1泊何万もしていたから、高いハードルを築いてしまったと痛感しました」
「せっかく2021年、2022年と順当に平均台数が増えてきたのに、2023年はさまざまな要因があって減ってしまいました。2024年に向けては、昨年見えてきた問題をいかにうまくこなし、どれだけ台数をキープできるか、ですね」と洗い出した課題と改善にしっかり取り組む姿勢を見せた福永会長。
また今後に向けては「この先、フォーミュラカテゴリーはどうしてもワンメイクが主流になっていくと思いますが、ワンメイクはいつかその役目を終えてどこかで世代交代するのが必然の運命になっているので、そういうマシンがF-Beでまた楽しめるっていう世界観をうまく出していきたいと思っています」と展望を語った。
この年間表彰をもって2023シーズンの区切りがつき、いよいよ2024年に向かってF-Beが新たに始動する。表彰式後日には車両規則の見直しとともにF-Be D(ダッシュ)クラスが新設されることが発表され、FIA-F4のトムスTZR42エンジン搭載車が対象となったと明かされた。
F-Beはフラットボトムであることがレギュレーションで定められている。第1世代シャシーの童夢F110はステップドボトムであるため、若干の改造を要するものの、今まで許されなかった改造が可能となったのだ。そんな2年目を迎えるF-Beの盛り上がりが大いに期待されるだろう。

フォト/谷内壽隆、JAFスポーツ編集部 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部