香川県善通寺市の陸上自衛隊駐屯地の教習所でオートテスト初開催! JAF四国“モビリティファンイベント”に多くの観客が詰めかけた!!

レポート オートテスト

2024年2月20日

マイカーで気軽に参加できるモータースポーツ「オートテスト」が善通寺市に初上陸。しかも会場は自衛隊駐屯地の教習所ということで、上限を超える53台が全国各地から集結して、マイカーでは滅多に走ることができない教習所でのスポーツ走行を楽しんだ。

「オートテスト in 善通寺自衛隊駐屯地教習所」
開催日:2024年2月11日(日)
開催地:善通寺自衛隊駐屯地教習所(香川県善通寺市)
主催:OWL
協力:JMRC四国オートテスト部会

オートテストの会場は、香川県善通寺市の中心部にある善通寺自衛隊駐屯地教習所。大型トラックの教習にも使われる施設のため、広めのコース幅を持つことも特徴となっている。
広大な敷地をフル活用して、オートテストの走行コースと参加者のパドック、そして「善通寺市×JAF四国 モビリティファンイベント」の乗車体験コーナーが所内に同居した。
オーガナイザーは香川県の老舗JAF加盟クラブ「モータースポーツアウル」。審査委員長の金井宣夫氏率いるJMRC四国オートテスト部会が今大会を完全バックアップした。
コースレイアウトは教習所を活かしたクランクや縦列駐車が特徴。90度後退のガレージ入庫や方向転換、最後の縦列駐車については、ラインまたぎと組み合わせた設定だった。
事前申し込みで53台を数えた今大会。参加者は自分のパドックに駐車後、参加確認受付を行い順次、慣熟歩行を開始。競技役員がパドックを回る車検も同時進行で行われた。
ドライバーズブリーフィングでは、OWLの藤澤繁美会長やコース委員長を務めたJMRC四国オートテスト部会の正岡秀康副部会長による競技の説明や信号旗の確認などが行われた。
開会式には善通寺市の辻󠄀村修市長が訪れた。「最後まで安全かつ、ほどほどに素早い走りを目指して頑張ってください」と参加者にエールを贈り、スタートフラッグも担当した。
香川県警察の協力により、パトカーによるオートテストのデモ走行が行われた。ドライバーは地元の2022年全日本ジムカーナ選手権JG4クラスチャンピオンである田中康一選手。

 2月11日に香川県善通寺市にある善通寺自衛隊駐屯地教習所でオートテストが開催された。この大会はJMRC四国に誕生したオートテスト部会の支援により開催されているシリーズの一戦で、1月14日に高知県高松市の「高知ぢばさんセンター」で行われた大会に続く2戦目となり、2月25日には高松市の「イオンモール高松」で3戦目が予定されている。

 今大会は「善通寺市×JAF四国 モビリティファンイベント」の一環として行われ、善通寺市役所広場で同日開催される「市民ふれあいフェスティバル」とのコラボレーションも果たしている。自衛隊駐屯地教習所ではオートテストの他に、自衛隊車両や警察車両の展示や次世代モビリティの乗車体験コーナーも併設され、衆目を集めるイベントとなっていた。

 オートテストには上限50台を上回る53台の事前申し込みがあり、西日本を中心に多くの選手がマイカーで駆けつけた。今大会は保安基準に適合した登録番号標付き四輪自動車を対象に、軽自動車クラスと普通車クラス(MT、ATミッション混合)、チャレンジクラス(初参加および数回出ているが自身がない人向け)、エキスパートクラス(国内Bライセンス所持者もしくは参加経験が豊富で入賞経験がある人向け)の4クラスを設定した。

 出走した52台中、軽自動車クラスには8台、普通車クラスには16台、チャレンジクラスには10台、そしてエキスパートクラスには18台が出走するなど、オートテスト経験者が多めに参加するイベントとなった。エキスパートクラスには、日紫喜俊夫選手や篠原賢爾選手、浜屋雅一選手や藤塚伊織選手など、黎明期から全国的に活躍する選手も揃っていた。

 コースレイアウトは教習所の走路を活かした設定が採用され、幅広で十字の交差点付近でのパイロンスラロームやターンを軸としながらも、狭路通過や縦列駐車のセクションが設けられた。この2箇所は、普通車用ではなく大型トラック向けにコース幅が広くなっており、慎重かつ正確な運転操作があれば、余裕をもってクリアできる走路となっていた。

 今大会は計測タイムを1秒1ポイントとして計算し、パイロン移動や転倒、ガレージの入庫不足は5ポイント、ミスコースやフィニッシュライン通過には10ポイントのペナルティが加算される。そして計測は2ヒートで少ない方の得点を採用して順位が決定される。

 オートテストは、大会の応援に駆けつけた善通寺市の辻󠄀村修市長のスタートフラッグにより始まる。香川県警察の協力でパトカーがコースクリアを担当し、ドライバーは2022年全日本ジムカーナ選手権JG4チャンピオンの田中康一選手が務めた。田中選手は電子制御を調整して車両のトラクションを十分に活かす走りを披露。その後、軽自動車クラスの1号車から練習走行、第1ヒート、第2ヒートという合計3本の走行がスタートした。

 軽自動車クラスは、第1ヒートで最小減点を獲得したKeiの入江真揚選手を第2ヒートで見事に逆転した、ライフを駆る瀬来尚則選手が38.74ポイントの獲得で優勝を果たした。

 優勝した瀬来選手は「毎回、毎回、60点です。四国のオートテストは縦列駐車があるので、今回あるのかなと思ったらありました。でも、練習してなかったので、そこが予習不足で、悔やまれるところです。今日はまっすぐが多い設定で、ターンが少なかったので、だいぶラクでした。縦列駐車はみんな得意じゃないと思うので、そこでうまくいけばタイムアップできると思いますので、練習してきます」とリベンジを誓った。

 普通車クラスは、CR-Zを駆る前川腕選手が第1ヒートでブッちぎりの最小減点を獲得したが、第2ヒートは13番手に沈没。ここでラリー車両のアクアを駆る小野守選手が38.14ポイントに迫ったが、前川選手が第1ヒートの37.71ポイントで逃げ切って優勝した。

 優勝した前川選手は「1本目はミスなくいけたので良かったんですが、2本目は縦列駐車でミスして、それが大きかったと思います。また次回出るときは2本とも、何事もなく、ミスなく走れたらいいなと思っています。やはり自分としては縦列駐車がヘタだったので、そこを頑張って対策したかったんですが、難しかったです。縦列駐車を練習して、出直してきます(笑)」と反省しきりだった。

 チャレンジクラスは、コペンGR SPORTを駆る中谷誠選手が、第1ヒートで46.51ポイントの最小減点を獲得して、若山香選手が丁寧な走りで獲得した47.44ポイントを押さえてトップで折り返した。しかし、第2ヒートでも中谷選手がポイントを減らし、第2ヒートで45.41ポイントを獲得した中谷選手が、2本とも最小減点を獲得して完全勝利した。

 優勝した中谷選手は「同じコペンでも、エキスパートクラスの人が10秒速いので、ちょっとびっくりしています(笑)。オートテスト自体が今回初めてだったんですが、自分なりにシミュレーションして、他の人の走りを見て対策しました。皆さん、最初のガレージでは切り返しが大きくなっていたので、そこを意識したりしました。この調子なら、次のイベントも申し込んでみようかなと思っています!」と次戦への意気込みを見せた。

 エキスパートクラスは、オートテストの全日本選手とも言える日紫喜俊夫選手や篠原賢爾選手、藤塚伊織選手、川原偉生選手らが軒並み順位を落としてしまう。代わって好調な走りを見せたのはGRヤリスRCを駆る桝田努選手。4駆ターボの利点を活かして第1ヒートは33.71ポイントの驚異的な最小減点を獲得。第2ヒートではゴール手前でスライドしたものの34.53ポイントの最小限点を獲得して、2本とも最小減点で完全勝利をモノにした。

 優勝した桝田選手は「1本目は良かったんですが、2本目はタイヤが冷えすぎていて、思ったよりグリップしませんでした。2本目ではもう1秒削りたくて、各セクションを頑張ったんですが、最後の最後でアクセルを踏み込んでしまったのが裏目に出ました。光電管を壊さなくて良かったです(笑)。今回のポイントは縦列駐車だと思いますが、自分としてはクランクでタイムを稼ぐほうがいいと思って、クランクでは速度を落として踏む、止まるをしっかりと正確にやって、タイムアップを狙いました。クランクと縦列駐車の間にある、ラインまたぎからの切り返しもポイントだったと思います。そういう設定は2駆のほうがスムーズに走れると思いますが、自分は4駆なのでデフも効いちゃって曲がりにくかったので、スピードは諦めて、他で稼ぐようにしました」と自分の走りを分析した。

 会場となった善通寺市には、1898年に旧陸軍第十一師団が創設されており、現在は陸上自衛隊善通寺駐屯地(第14旅団)が市内に置かれ、四国四県の防衛警備や災害派遣などの任務にあたっている。善通寺市内には当時の施設として建設された明治時代の建築物が数多く遺されており、これら近代遺産は善通寺市のランドマーク的な存在となっている。

 このような衆目が集まるエリアにおけるオートテスト開催は、JAF香川支部の協力で実現したそうで、JAF香川支部によれば「善通寺市とJAF香川支部が包括連携協定を結んでおりまして、善通寺市にとって自衛隊は大きな存在ですし、自動車をテーマとした催しならJAF、ということで、オートテストを初開催できることになりました。善通寺市役所を通じて自衛隊の皆さんと交渉を重ねることになりましたが、昨年は善通寺市が市政70周年を迎え、総本山善通寺の弘法大師誕生1250年という記念の年でもありましたから、市長にも市のPRや地域振興についてご理解をいただくことができました。当初は昨年2月に開催する予定でしたが、コロナ禍の影響で今年になりまして、自動車やモータースポーツを新しい集客の手法とする試みが、このたび実現することになりました」とのことだ。

 そして、JMRC四国の運営委員長に就任し、JMRC四国オートテスト部会長を務める金井宣夫氏。今大会では審査委員長を務めており、善通寺市での初の試みをこう締めくくった。

「8割ぐらいは成功かと思っています。ですが、教習所ということで、やはり縁石の処理が課題ではあります。エキスパートの皆さんからも指摘がありましたし、一般の参加者の皆さんも若干の不安があったようですので、そこをどうにか改善しつつ、そしてこの会場使用が許されるならば、年1回の大きなイベントとして継続していくことはアリなのではないかと感じております。教習所の施設ですから、一時停止の標識とラインを活用して、オートテストのゴール後の完全停止を表現することで、日常の交通ルールの徹底をモータースポーツと融合して周知できるのではないかと考えておりますし、ゴール周辺のオフィシャル配置の省力化にもつながる部分もあります。施設も広いので、60~70台ほど収容できるのではないかと思ってますので、可能性がある場所、大会になると考えています」。

第2ヒート終了後の表彰式では入賞者に四国の名産品が副賞として贈られ、辻󠄀村市長がプレゼンターを務めた。また、参加した女性ドライバーには特別賞が贈られていた。
8台が出走した軽自動車クラスの優勝は、ホンダ・ライフを駆る瀬来尚則選手。
軽自動車クラスの2位はスズキ・Keiの入江真揚選手、3位はダイハツ・コペンの平井信吾選手。
軽自動車クラスの表彰。優勝は瀬来選手、2位は入江選手、3位は平井選手。4位はスズキ・ワゴンRの亀川法昭選手、5位はホンダ・N-WGNの平田和史選手、6位はホンダ・S660の田村浩司選手。
16台が出走した普通車クラスの優勝は、ホンダ・CR-Zを駆る前川腕選手。
普通車クラスの2位はトヨタ・アクアの小野守選手、3位はトヨタ・パッソの中広敦選手。
普通車クラスの表彰。優勝は前川選手、2位は小野選手、3位は中広選手。4位はマツダ・RX-7の黒田大輔選手、5位はマツダ・ロードスターの齋藤浩選手、6位はスズキ・スイフトスポーツの早川友康選手、7位はフィアット・アバルト124スパイダーの大崎俊之選手、8位はスズキ・スイフトスポーツの鈴木真悟選手、9位はホンダ・S2000の岡野昭彦選手、10位はBMW・ミニクロスオーバーの中村耕士選手。
10台が出走したチャレンジクラスの優勝は、トヨタ・コペンGR SPORTを駆る中谷誠選手。
チャレンジクラスの2位はマツダ・ロードスターの若山香選手、3位はダイハツ・コペンGR SPORTの弘永祐一郎選手。
チャレンジクラスの表彰。優勝は中谷選手、2位は若山選手、3位は弘永選手。4位はスズキ・スイフトスポーツの日高剛瑠選手、5位はスズキ・スイフトの髙谷瑞希選手、6位はルノー・メガーヌRSの竺原博文選手。
18台が出走したエキスパートクラスの優勝は、トヨタ・GRヤリスRCを駆る桝田努選手。
エキスパートクラスの2位はスズキ・スイフトスポーツの浜屋雅一選手、3位はマツダ・RX-8の大橋弘誉選手。
エキスパートクラスの表彰。優勝は桝田選手、2位は浜屋選手、3位は大橋選手。4位はホンダ・S660の篠原賢爾選手、5位はダイハツ・コペンの田村政幸選手、6位はスバル・ヴィヴィオの三好範学選手、7位はトヨタ・SAIの藤塚伊織選手、8位は日産・ノートオーラの野津剛選手、9位はマツダ・ロードスターの日紫喜俊夫選手、10位はスズキ・アルトラパンSSの大松年朗選手。
場内実況は坂東慎太郎氏が担当し、正岡コース委員長と田中選手が参加者の走行を見守った。第1ヒートの結果は公式掲示板に貼り出され、参加者は次の走行に役立てていた。
現役の教習所を活かしたコースの中で出色だったのは、クランクによる狭路通過と、後退で入る縦列駐車。縁石やバーへの接触に気をつけつつ、教習さながらのアタックとなった。
今回のコースでは、ゴール後の完全停止と実際の交通ルールをシンクロさせる試みとして、ゴール後の完全停止の目印に、教習所内の一時停止標識と停止ラインが流用されていた。
もはや四国名物となった1913年式T型フォードを元木和豊選手が持ち込んだ。また、教習所での開催ということで「コンフォート教習車」で参加したお二人も注目を浴びていた。
今回の大会は「善通寺市×JAF四国モビリティファンイベント」の一環で開催され、教習所内ではオートテストと並行して次世代モビリティの乗車体験イベントなどが行われた。
教習所に隣接する善通寺市役所広場では善通寺ライオンズクラブによる「市民ふれあいフェスティバル」が同日開催され、“雪の滑り台”などが登場して家族連れで大いに賑わった。
市役所広場にはJAFブースが出展され、JAFとヤマハが提携するヤマハの「グリーンスローモビリティ」を用いて、訪れた観客らが広場と教習所を往復する乗車体験も行われた。

PHOTO/大野洋介[Yousuke OHNO]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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