全日本ジムカーナ選手権が開幕! 激戦のPN3クラスは大多和健人選手が逆転優勝を飾る

レポート ジムカーナ

2024年3月21日

2024年の全日本ジムカーナ選手権の開幕戦となる第1戦「もてぎスーパースラローム2024」が、3月16日に栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎ南コースで開催された。

2023年JAF全日本ジムカーナ選手権 第1戦「もてぎスーパースラローム2024」
開催日:2024年3月16~17日
開催地:モビリティリゾートもてぎ南コース(栃木県茂木町)
主催:SHAKEDOWN、ホンダモビリティランド株式会社、M.O.S.C.

 今シーズンは全10戦が組まれている全日本ジムカーナ選手権。今回の第1戦と第2戦の2戦は、3月16~17日の連日開催となっている。また6月22~23日に北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワ ジムカーナコースで第5戦と第6戦、8月17~18日に宮城県村田町のスポーツランドSUGO国際西コースで第8戦と第9戦が開催され、10戦中6戦が連日開催というカレンダーだ。

 第1戦と第2戦を通じて使用できるタイヤは、特別規則書によりダブルエントリーを含めて1台1セット(4本)に限定された。パンクなどによりタイヤを交換する場合は技術委員長に申告し、競技会審査委員会が認めた場合は交換が認められるが、申告なしでタイヤ交換を行った場合は、交換以降の全ヒートに対して2秒のタイムペナルティが課せられる。第1戦は、第2戦を見据えたタイヤ選択と走らせ方も必要となってくる。

 PE1クラスからBC3クラスの全クラスが成立した第1戦は、総勢134台がエントリー。広大なスペースにパイロンが設置されたシリーズ随一のハイスピードパイロンコースで行われる開幕戦は、コースが広くスピード域も高いため、パイロンを見失ってミスコースするドライバーも多かったようだ。クラスによっては第2ヒートの逆転劇など最後まで目が離せない展開となった。

134名がエントリーしたモビリティリゾートもてぎの開幕大会。16日に第1戦、17日に第2戦の2競技会連続開催となった。
角度が異なるターンセクションを点在させた、ハイスピード&テクニカルにレイアウトされた南コース。

PN3クラス

 PN3クラスは、第1ヒートで昨年チャンピオンのユウ選手がトップに立ったが、第2ヒートでは第1ヒートをミスコースで終えた大多和健人選手がユウの第1ヒートのタイムを0.545秒上回ってトップに立つ。逆転を狙って第2ヒートを攻めたユウ選手が、ゴール手前の最終セクションでパイロンをかわしきれずミスコースの判定。大多和選手が開幕戦ウィナーとなった。2位にユウ選手、3位には昨年のPN2クラスチャンピオンの川北忠選手が入賞した。

PN3クラス優勝は大多和健人選手(熊王TMW古泉牧速ロードスター)。
ディフェンディングチャンピオンを打ち破り、喜びを爆発させた大多和選手。幸先の良いスタートを切った。
2位はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)、3位は川北忠選手(ORC AD DLロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の安藤祐貴選手、2位のユウ選手、1位の大多和選手、3位の川北選手、5位の西野洋平選手、6位の大塚健二選手。

PE1クラス

 PE1クラスは、今シーズンに向けて新たにアルピーヌ・A110Rを投入した山野哲也選手が、「もっとツラい戦いになるかと思ったけど、結果として良いリザルトを残せたと思います」と両ヒートでベストタイムをマーク。ダブルエントリーの山野直也選手に2.076秒の大差をつけて開幕戦を制した。2位は昨年も開幕戦もてぎラウンドに出場した山野直也選手で、3位には第2ヒートでタイムを上げた大橋政哉選手が入賞した。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110R)。
2位入賞の山野直也選手と1-2フィニッシュとなった山野哲也選手。圧倒的な速さを見せつけての勝利だ。
2位は山野直也選手(EXEDY71RS A110R)、3位は大橋政哉選手(DLμG-LFWA110S)。
PE1クラスの表彰式。左から4位の深川敬暢選手、2位の山野直也選手、1位の山野哲也選手、3位の大橋政哉選手、5位の飯野弘之選手、6位の段上泰之選手。

PE2クラス

 昨年の第4戦&第5戦のスナガワラウンド以来のクラス成立となったPE2クラスは、今シーズン、スバル・BRZからマツダ・ロードスターに乗り換えた河本晃一選手が第1ヒートでベストタイムをマーク。だが、第2ヒートは今回が全日本ジムカーナのデビュー戦となる下村渉選手が逆転。見事な全日本デビューウィンを飾った。2位は第2ヒートに追い上げてきた高屋隆一選手、3位には第1ヒートトップの河本選手のベテランコンビが入賞した。

PE2クラス優勝は下村渉選手(ACWPαRIGID86DL)。
2022年に関東地区戦で初優勝を遂げて頭角を現した若手ドライバーの下村選手が、初の全日本で優勝をさらった。
2位は高屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)、3位は河本晃一選手(オーリンズBSロードスターRF)
PE2クラス表彰の皆さん。

PN1クラス

 PN1クラスは昨年チャンピオンの朝山崇選手が第1ヒートでクラス唯一の1分22秒台、第2ヒートもクラス唯一の1分21秒台をマークするという完璧な内容で、開幕戦を制した。2位は「全体的な流れは悪くなかったけど、最後の270度ターンの精度が高くなかった」という斉藤邦夫選手が入賞。そして第1ヒートはパイロンに沈んだ阪本芳司選手が、第2ヒートで3位にジャンプアップを果たした。

PN1クラス優勝は朝山崇選手(DLETP・BPFヤリスITO)。
朝山選手が2ヒートともにクラストップタイムを叩き出し、開幕戦で幸先良い勝利を収めた。
2位は斉藤邦夫選手(ネッツ群馬ジースパイス ヤリス)、3位は阪本芳司選手(エリアスポーツヤリス71RS)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の長畑年光選手、2位の斉藤選手、1位の朝山選手、3位の阪本選手、5位の中根卓也選手。

PN2クラス

 昨年のチャンピオン川北忠選手がPN3クラスへと移り、チャンピオン不在となったPN2クラス。第1ヒート4番手のSHUN選手が、第2ヒートで「あまり気負わず、タイヤも効いてくれたので平常心で走ることができました」と大逆転。2018年の第10戦以来となる全日本優勝を飾った。2位には第1ヒートトップの箕輪雄介選手が入賞、3位は前日の練習走行から好調をキープした若手の中田匠選手。

PN2クラス優勝はSHUN選手(BS XPL ロードスター)。
2018年の全日本優勝以来となる、久々の全日本勝利をつかんだSHUN選手。握りしめる拳にも力が入っていた。
2位は箕輪雄介選手(DLペトロナスXPロードスター)、3位は中田匠選手(DLクスコWm小倉ロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の若林隼人選手、2位の箕輪選手、1位のSHUN選手、3位の中田選手、5位の小林規敏選手、6位の奥浩明選手。

PN4クラス

 最高峰クラスのBC3クラスで幾度もタイトルを獲得してきた津川信次選手がPN4クラスに移り、第1ヒートから他選手の追従を許さない圧倒的な走りを披露した。クラス唯一の1分18秒台をマークすると、第2ヒートではさらに自身のタイムを約0.9秒も更新、勝利を飾った。2位は松本敏選手が獲得、3位には石原昌行選手が入賞を果たした。

PN4クラス優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
津川選手の第2ヒートは1分17秒214を刻み、BC2クラスの上位陣に匹敵する圧倒的なタイムだった。
2位は松本敏選手(ADVICS☆TJ☆DLヤリス)、3位は石原昌行選手(SエボTS☆DLランサーBPF)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の折茂紀彦選手、2位の松本選手、1位の津川選手、3位の石原選手、5位のいながわひろゆき選手、6位の奥井毅選手。

BC1クラス

 昨年のチャンピオン野原博司選手が不在のBC1クラスは、その野原選手とタイトルを争った2022年チャンピオンの西井将宏選手が、第2ヒートで逆転優勝。第1ヒートは電気系トラブルのため出走せず、第2ヒートの一発勝負となった山越義昌選手が2位、3位には第1ヒートトップの若手ドライバー石澤一哉選手が入賞した。

BC1クラス優勝は西井将宏選手(アイスペックインテグラDL)。
第1ヒートはパイロンタッチで下位に沈むも、第2ヒートでキッチリと決めて西井選手が勝利。
2位は山越義昌選手(BS茨中摩摺セラ渦シビック)、3位は石澤一哉選手(YHM'sインテグラUPG)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の橋本克紀選手、2位の山越選手、1位の西井選手、3位の石澤選手、5位の神里義嗣選手、6位の佐野光之選手。

BC2クラス

 3年連続チャンピオンの広瀬献選手と、昨年その広瀬選手と最終戦までタイトルを争った若林拳人選手が、3番手以降を2秒以上引き離す異次元のバトルを展開したBC2クラス。第1ヒートは広瀬選手を0.376秒差に抑えた若林選手が、第2ヒートはクラス唯一となる1分16秒台に突入する。

 広瀬選手も第1ヒートのタイムを塗り替えてくるが、若林選手のタイムには届かず、若林選手が優勝となった。「自分の組み立てたプランどおりの走りはできたけど、結果的にそのプラン自体が合っていなかった」という広瀬選手が2位、今シーズンに合わせてマシンの仕様を変更してきた藤井雅裕選手が3位入賞した。

BC2クラス優勝は若林拳人選手(若自速心コサ犬ZRエキシージ)。
「第2ヒートもタイムアップしないと、絶対に広瀬選手にタイムを塗り替えられると思い、集中を切らさず走りました」と若林選手。
2位は広瀬献選手(WMマロヤBS林歯科S二千亜舎)、3位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の葛西悠治選手、2位の広瀬選手、1位の若林選手、3位の藤井選手、5位の岩崎玲生選手、6位の梅村伸一郎選手。

BC3クラス

 BC3クラスは、第1ヒートでクラス唯一の1分15秒台をマークした昨年チャンピオンの菱井将文選手が、第2ヒートでもさらにタイムアップを果たして完勝。2位に第2ヒートで1分15秒台に入れてきた大橋渡選手が入賞し、3位は第1ヒートからひとつ順位を上げた一色健太郎選手が獲得した。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
大橋渡選手に第2ヒートで詰め寄られるも、2024年チャンピオンの菱井選手が逆転で第1戦を制した。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は一色健太郎選手(ATSWmDLRSKヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の大澤勝紀選手、2位の大橋選手、1位の菱井選手、3位の一色選手、5位の千葉真一選手、6位の堀隆成選手。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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