岡山でスーパーGT合同テスト開催。新方式の予選シミュレーションも実施

レポート レース

2024年3月22日

スーパーGTシリーズの今季初となる合同テストが、3月16〜17日に岡山国際サーキットにおいて開催。今季年間エントリーしたGT500車両15台、GT300車両27台のうち、車両が間に合わないGT300車両2台を除く計40台がそろった。そして今季変更されるスポーティング規則に則り、新たな予選スタイルのシミュレーションを行うセッションも組み込まれた。初日はドライコンディション、2日目は途中からウェットコンディションとなり、最後はレインタイヤでのテストとなった。

2024 SUPER GT 公式テスト岡山
開催日:2023年3月16~17日
開催地:岡山国際サーキット(岡山県美作市)

 テスト初日となる16日は例年より比較的暖かい朝となり、テストが始まる9時の時点で気温は11度。ここから20度ほどまで上昇した。朝のセッション1は3時間で、各チームともセッティングやタイヤの確認を進め、新しいドライバーを迎えたチームは慣熟走行とそれぞれのメニューに沿った走行を続けた。

 今季のスーパーGTではスポーティング規則の変更がいくつかあり、まずはレース距離が全体的に長くなった。開幕戦の岡山と第6戦のSUGOは従来のままの300kmで変更ないが、第2戦富士、第3戦鈴鹿、そして第7戦オートポリスは3時間、そして残りの第4戦富士と第5戦鈴鹿が350kmに。3時間レースはドライ路面の場合、530〜540kmを走る計算となる。

 そして300kmレースで持ち込めるタイヤは4セット16本に減る。予選はA、Bドライバーのタイム合算で争われ、予選で履けるタイヤは1セットのみでそのタイヤで決勝をスタートしなければならない。

今季のGT500クラスのホンダ勢は、これまでのNSX-GTに代わりシビック・タイプ R-GTでの参戦となる。
スーパーフォーミュラに参戦中の岩佐歩夢選手が、体調不良の牧野任祐選手に代わって急遽STANLEY CIVIC TYPE R-GTで参加することになった。
スポーティング規則の変更によって、年間のレース距離は伸び、使用できるタイヤセット数は減ることになる。

1日目(セッション1、2)

 規則の変更も考慮しながらのセッション1で、GT500クラスではENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)の福住選手が1分17秒591のトップタイムをマーク。これにau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)、MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ組)、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)、Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)が続いた。

 GT300クラスでは、#88 TBN(小暮卓史/元嶋佑弥組)の小暮選手が今回のテスト最速となる1分25秒826でトップを奪い、これにmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)、UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/小出峻/三井優介組)、昨年のチャンピオンであるGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)、K-tune RC F GT3(新田守男/高木真一組)が続く。

 ランチタイムにはピットビューイングも行われ、多くのファンが今季用車両やドライバーの姿を写真に収めていた。そして午後のセッション2は新しい予選方式のシミュレーション(模擬予選)となり、まずはQ1(GT300クラスA組、同B組、GT500全車)が行われる。続けてQ2(GT300のQ1下位9台によるGr.2、同クラスのQ1上位16台によるGr.1、GT500全車)が行われ、Q1とQ2の各ドライバーの合算タイムで翌日のセッション4のグリッドが確定した。

 GT500クラスではau TOM’S GR Supraがポールポジションを獲得し、ENEOS X PRIME GR Supra、DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)とスープラ勢がトップ3を独占。これにSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴選手)、MOTUL AUTECH Zが続く順となった。なおQ1でENEOS X PRIME GR Supraの福住選手が、このテスト最速となる1分17秒317をマークしている。

 またGT300クラスでは、apr LC500h GT(小高一斗/中村仁組)がポールポジションを獲得。これにGreen Brave GR Supra GT、スーパーGT初登場となるPONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ選手)、Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)、UPGARAGE NSX GT3が続く。なお、この模擬予選はタイヤの交換ができ、またQ1とQ2のドライバーを同じドライバーが務めても良いというものだった。

TOM'S勢のエースナンバー「36」を背負うau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)が1日目のGT500クラス総合1位となった。
GT500クラス1日目の総合2位はENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)、3位はDENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一組)。
apr LC500h GT(小高一斗/中村仁組)がGT300クラスの初日総合トップとなった。
GT300クラス1日目総合2位のGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)、3位はPONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ選手)。

2日目(セッション3、4)

 テスト2日目となる17日は朝から雲が広がり、気温も12度からあまり上がらないようなコンディション。この3時間のセッション3のGT500クラスで注目されたのはSTANLEY CIVIC TYPE R-GT。体調不良の牧野任祐選手に代え、スーパーフォーミュラに参戦している岩佐歩夢選手が初のGTドライブを得た。このテスト参加は経験を積むためのものだったという。セッション中盤から雨が落ちて来て、全車がピットイン。セッティングを変更しレインタイヤを履いた車両から再びコースインして、ウェットコンディションでのテストとなった。

 セッション3のベストタイムはドライコンディション時にau TOM’S GR Supraの山下選手がマークした1分17秒418。これにENEOS X PRIME GR Supra、KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)とここでもスープラ勢がトップ3を独占。これにMOTUL AUTECH Z、MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)と続き、6番手にARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治組)がつけた。

 GT300クラスではVELOREX FERRARI 296 GT3(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)のメリ・ムンタン選手がトップを奪い、LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹組)、Green Brave GR Supra GT、シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎組)、PONOS FERRARI 296、UPGARAGE NSX GT3の順に。

 テスト最終となるセッション4はスタート練習からスタート。前日の模擬予選で確定したグリッドを基に、ポールシッターがコースインした。そしてウェットコンディションのためにセーフティカー(SC)スタートで始まった。GT500クラスではブリヂストンが、GT300ではヨコハマが新しいパターンのレインタイヤを持ち込んでおり、それらの感触を確認するようなテストが続けられていた。

 セッションは途中から雨量が減り、路面の水量も終盤には減るようなコンディションとなった。GT500クラスでは、このタイミングでリアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平組)の松田選手がトップタイムをマーク。Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進組)、MARELLI IMPUL Z、Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき組)、MOTUL AUTECH Zの順で続いた。

 GT300クラスではStudie BMW M4(荒聖治/ニクラス・クルッテン/ブルーノ・スペングラー組)、VELOREX FERRARI 296 GT3、UPGARAGE NSX GT3、Syntium LMcorsa GR Supra GT、PONOS FERRARI 296がトップ5に。トップは昨季も雨で速さを見せたミシュランタイヤだったが、ヨコハマやダンロップも上位に顔を覗かせた。

 2日間でトラブルを抱えた車両は数台あったものの、全体的に大きなアクシデントもなく無事終了した岡山での合同テスト。開幕戦は同じ岡山サーキットで4月13〜14日にキックオフとなる。

セッション4で1分17秒418を出したau TOM’S GR Supraが、初日に続いて2日目のGT500クラス総合1位となった。
2日目GT500クラス総合2位となったENEOS X PRIME GR Supraと、3位のKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)。
セッション3でGT300クラストップのVELOREX FERRARI 296 GT3(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)が、2日目総合1位となった。
2日目GT300クラス総合2位のLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹組)と、3位のGreen Brave GR Supra GT。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ