都内初開催! E-Tokyo Festival2024で開催されたJAF公認eモータースポーツリーグ「UNIZONE EX Match」はイゴール・フラガ選手が勝利!

レポート その他

2024年4月10日

国内唯一のJAF公認eモータースポーツリーグ「UNIZONE」が、東京ビッグサイトで行われた「E-Tokyo Festival2024」内にて、2回目となるエキシビションイベントを開催。実車プロドライバーやeモータースポーツ世界大会優勝者など、選抜された6名がステージ上のシミュレーターを使用してレースを展開した。

UNIZONE EX Match at E-Tokyo Festival2024
開催日:2024年3月31日
開催地:東京ビッグサイト東3ホール 特設ステージ(東京都江東区)
主催:JeMO

 一般社団法人日本eモータースポーツ機構(Japan e-Motorsport Organization=略称:JeMO)が主催する、JAF が公認した国内唯一のeモータースポーツリーグである「UNIZONE」。2023年12月のメディア向け発表会を経て、2024年2月には同イベントとして初の一般公開イベントとなった「UNIZONE EX Macth Powered by SUPER FORMULA」を開催し、木村偉織選手と佐々木唯人選手のペアの優勝で幕を閉じた。

 そんなUNIZONEが、2025年の本リーグに向けた第2回目となるエキシビションレースを実施。3月31日、東京ビッグサイトで催された「E-Tokyo Festival2024」のイベント内コンテンツとして行われた。この前日には日本初開催となる電気自動車によるレース、フォーミュラeも東京ビッグサイト周辺道路で行われており、都内でのモータースポーツ関心が深まる中での開催となった。

 国内トップeモータースポーツプレイヤーや、トップドライバーより選抜された6名によるエキシビションレース「UNIZONE EX Match at E-Tokyo Festival2024」には、浅賀颯太選手、イゴール・フラガ選手、石野弘貴選手、木村偉織選手、野尻智紀選手、宮園拓真選手の6名が出場。そしてMC・実況に辻よしなり氏、解説に山中智瑛氏、スペシャルゲストにタレントの貴島明日香氏を迎えて行われた。

浅賀颯太選手

(車体色:黄)

イゴール・フラガ選手

(車体色:白)

石野弘貴選手

(車体色:赤)

木村偉織選手

(車体色:緑)

野尻智紀選手

(車体色:青)

宮園拓真選手

(車体色:黒)

レースフォーマット

 レースフォーマットは、大会主催者で組み合わされた1vs1のバトル形式で行う「マッチレース」と、6台全車が一斉にスタートして順位を争う「スプリントレース」の2つのレース。合計の獲得ポイントが最も多かった選手が優勝となる。

マッチレース

  • コース
    富士スピードウェイ
  • 周回数
    3周
  • 使用車種
    SF23
  • 開催日時
    3月31日11時00分
  • スタート方式
    スタンディング
  • メカニカルダメージ
    リアル
  • 獲得ポイント
    先行車と後続車のギャップが1秒以内…勝者:2pts、敗者:1pt
    先行車と後続車のギャップが1秒以上…勝者:3pts、敗者:0pt

スプリントレース

  • コース
    鈴鹿サーキット
  • 周回数
    6周
  • 使用車種
    SF23
  • 開催日時
    3月31日11時00分
  • スタート方式
    スタンディング
  • メカニカルダメージ
    リアル
  • グリッド
    予選により決定
  • 獲得ポイント
    1位…8pts、2位…6pts、3位…4pts、4位…3pts、5位…2pts、6位…1pt

※合計獲得ポイントが最も多い選手が勝者となる。

UNIZONEではお馴染みとなった辻よしなり氏がMC・実況、山中智瑛氏が解説を務める。今回はさらにタレントの貴島明日香氏がスペシャルゲストとして登場。
東京ビッグサイトの特設ステージに、6台のeモータースポーツ用筐体「DRAPOJI」を並べて開催。老若男女約300人が観客席に詰めかけた。
大人のレーシングドライバーに交じり、実車の免許を未取得の14歳でステージに立つ石野選手。観客席から「かわいい~」という声も響くが、グランツーリスモ国民体育大会県代表にもなった実力者だ。

マッチレース

 第1レースは、eモータースポーツで互いに世界大会優勝経験のあるフラガ選手vs宮園選手という“世界王者対決”の組み合わせとなった。先行スタートとなったフラガ選手に、いきなり1コーナーアウト側から仕掛けていく宮園選手。負けじとイゴール選手もコカ・コーラコーナーから並びかけ、100R、ヘアピン、そしてダンロップコーナーとサイドバイサイドのままバトルを続ける両者。

 ホームストレートではオーバー・テイク・システム(OTS)を駆使しての攻防が続き、最終的にはイゴール選手が先頭でチェッカーを受けるが、宮園選手もギャップを0.902秒差に抑える好走を見せた。獲得ポイントはイゴール選手が2pts、宮園選手が1ptと、初戦から白熱したバトルを繰り広げた。

 第2レースは、国内最高峰のフォーミュラレース、スーパーフォーミュラで2度の王者に輝いている34歳の野尻選手と、eモータースポーツ少年の部大会やiRacingでの輝かしいeモータースポーツ実績を持つ14歳の石野選手の“年の差20歳差対決”。

 eモータースポーツならではと言える組み合わせの対決は、スタートで野尻選手が出遅れ、約2秒のリードをもって石野選手の先行で開幕する。しかし、その直後のコカ・コーラコーナー立ち上がりで、縁石に足を取られてしまった石野選手がスピンし、バリアにクラッシュ。このアクシデントにより、労せずして野尻選手が勝利を飾り、3ptsを獲得することとなった。

 第3レースは、スーパーフォーミュラのドライバーであり、iRacingのレースにも多数参戦経験のある木村選手と、今回使用する筐体DRAPOJIを販売する長谷川工業社員でもある浅賀選手の“iRacingトップランカー対決”だ。まずは先行の木村選手が1周目をリードするが、2周目1コーナーで浅賀選手が前に。

 3周目1コーナーでも攻防が続き、木村選手が前の状態で最終コーナーを立ち上がるが、スリップストリームを活かした浅賀選手が並びかける。ほとんど同着でフィニッシュするが、木村選手がデバイストラブルによりスタート時にフライングがあったとして、浅賀選手が3ptsを獲得する結果となった。

フラガ選手と宮園選手の世界王者対決。激しいバトルを繰り広げながら、フラガ選手が逆転勝利を収めて2ptsをゲット。
年の差20歳差対決となった野尻選手と石野選手。石野選手が序盤でまさかのクラッシュを喫し、逃げ切った野尻選手が3pts獲得。
木村選手と浅賀選手の戦いはiRacingトップランカー対決。結果は木村選手にフライングが課され、浅賀選手が3ptsの勝利に。

スプリントレース

 スプリントレースはスターティンググリッドを決める各選手3周の予選タイムアタックからスタートする。ここではフラガ選手が3周目に1分36秒792というタイムを記録してポールポジションを獲得。2番手に宮園選手が0.730秒差で続き、以下木村選手、石野選手、浅賀選手、野尻選手というポジションでスプリントレースのスタートを迎えることとなった。

 シグナルブラックアウト直後、まさかのクラッシュが発生。レーススタート時に石野選手の機材にトラブルが発生したことが要因で、レースはやり直しとなる。このトラブル解決のためにディレイしたことで、本来6周行われるはずだったスプリントレースは3周に短縮された。

 仕切り直しで開始されたスプリントレース決勝は、ポールスタートのフラガ選手がややホイールスピン多めの発進。2番手の宮園選手に並びかけられて1コーナーに進入するが、これを抑えてフラガ選手がトップを死守。また3番手スタート木村選手もミスがあり、石野選手が3番手で1周目を消化する。

 2周目ホームストレートで2番手の宮園選手の背後につけ、OTSで間合いを詰めた石野選手が、1コーナーアウト側から豪快に宮園選手をオーバーテイク。マッチレースでのクラッシュの悪夢から、文字通り這い上がる走りを魅せた。一方、マッチレースで3ptsを獲得していた浅賀選手と野尻選手は、ともに苦戦を強いられる展開に。野尻選手は3周目2コーナー立ち上がりでクラッシュを喫してしまい万事休す。

 スタートから1度もトップの座を譲らなかったイゴール選手が、貫禄のチェッカーを受けて優勝。マッチレースでの獲得ポイントを合計した総合でも単独トップとなり、UNIZONE EX Match at E-Tokyo Festival2024の勝者となった。

スプリントレース開始直後、石野選手のマシンが動けない状態に陥り、後続車両が追突。機材トラブルによるもので、再レースとなった。
各マシンがキレイに並んでストレートから1コーナーに突入。宮園選手とのホイール・トゥ・ホイールの接近戦を制し、ホールショットはフラガ選手が奪う。
後続を抑え切ったフラガ選手がトップでチェッカーフラッグ。2位は健闘の走りで会場を沸かせた石野選手、そして宮園選手が3位入賞を果たした。
総合1位を獲得したイゴール・フラガ選手は、最初のマッチレース“世界王者対決”の宮園選手について「いやぁ、速かったですね」と振り返りつつ、しっかりと勝利を収めた。またスプリントレースは「スタートが肝心なので、誰かがボクをオーバーテイクしなければ、ミスなく最後まで行って勝てる自覚はあったんですよ、良いペースを持っていたので。きちんとやり遂げられたので、個人的には(優勝は)うれしいです」と感想を述べた。「UNIZONEは今回が初めてだったんです。こういった会場でいろんな観客も入ってくれたりして、エキシビションマッチだったとしても、すごく大会に出ている感じがありました。そんな環境でレースをして自分もいいレースができたので、気持ちよかったですね。モータースポーツを知らない人たちにもいいレースを見せることができたことがポジティブだったと思います」とまとめてくれた。
エキシビションマッチ終了後は、グラスルーツ活動の一環として来場者向けのレーシングシミュレーターが設置されたUNIZONEブースにドライバーが集結し、デモ走行を披露した。

 2024年に入り、早くも二度のエキシビションマッチを開催したUNIZONE。2つの大会で木村選手、イゴール選手と、リアル・バーチャルともに一流の技量を持った選手が勝利をつかみ、この大会がバーチャルの技量だけでなく、リアルレースで培われた“本番力”も問われるeモータースポーツイベントであることを物語った。2025年の本リーグ開幕に向け、今後どのような動きがUNIZONEにあるのか注目したい。

フォト/UNIZONE、E-Tokyo Festival2024、遠藤樹弥 レポート/岡田衛、JAFスポーツ編集部

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