開幕のゴールドカップレース、スーパーFJは吉元陵選手が辛勝

レポート レース

2024年4月12日

JAF地方選手権のスーパーFJが、オートポリスで3月31日に「ゴールドカップレース第1戦」と併せて開催された。オートポリスと言えば、阿蘇山中に位置する高地のサーキットだけに、気まぐれな天気でお馴染み。レース当日も早朝から霧が発生して「あわや」と思わせたものの、予選が始まる前には視界良好に。晴れ間こそ見えなかったが、この時期としては暖かめな上々のコンディションの下、激しいバトルが繰り広げられた。

2024年JAFオートポリススーパーFJ選手権 第1戦
(2024 ゴールドカップレース 第1戦内)

開催日:2024年3月30~31日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、株式会社オートポリス

 開幕戦のエントリーは14名ながら、そのうち13名がオートポリスをホームコースとする“常連”。FJ協会が定める全国シリーズの「ジャパンリーグ」の初戦でもあったが、遠征ドライバーはわずか1名だった。だがその1名が、フォーミュラ・ビートの開幕戦・鈴鹿でデビューウィンを飾った酒井翔太選手であるとなると話は別だ。すでに鈴鹿や筑波でスーパーFJのレースも経験済み。コースの隅々まで知り尽くした常連たちとどう渡り合うか注目された。

予選

 予選では、昨年の最終戦で初優勝を飾ったランキング2位の永原蒼翔選手のリードから始まる。これに注目の酒井選手が続いて計測1周目の1、2番手につけていたが、老獪なドライバーたちが若手のふたりに、良い思いをさせ続けてはくれなかった。計測2周目には篠田義仁選手がトップに立って、2020年の最終戦以来の参戦となる吉元陵選手が続く。

 計測3周目には吉元選手が篠田選手のタイムを上回ってトップに立つも、この2名は以降のタイムが伸び悩んで早々にピットに戻る。そんな中、ラストアタックで2番手に食い込んできたのが、昨年の第2戦ウィナーでランキング3位だったKOUKI SAKU選手だった。一方、酒井選手も永原選手もタイムを縮めていたが、トップ3には及ばず、それぞれ4、5番手に甘んじた。ちなみにこの5名のタイム差はわずかコンマ7秒。激戦が期待できそうだ。

「久々のレースでした。昨年まで車両をレンタルしていたドライバーが、今年は鈴鹿のレースに専念するというので、じゃあ自分が出ようかと。ただ、どこからか分からないのですが、水が漏れているようで……水温が上がってしまったんです。もうちょっと行けたかなという印象ですが、決勝ではクルマが最後まで保つか少し心配です」と吉元選手。

決勝

 決勝レースには予選に挑んだドライバーがひとりも欠くことなく並んだ。上空では雲が浮かんでいたが、すぐに雨が降りそうな様子はまったくなく、むしろ穏やかなコンディション。注目のスタートでは吉元選手が出遅れてしまう。KOUKI SAKU選手が1コーナーにトップで飛び込むも、3コーナーで早くも逆転したのが篠田選手。一方、吉元選手はなんとか3番手に留まり、その後方では酒井選手と争い合っていた永原選手が、第1ヘアピンの立ち上がりで4番手に浮上する。まさに激動のオープニングラップだ。

 2周目に突入すると早くもトップグループは4台で形成され、ストレートで篠田選手のスリップストリームから抜け出したKOUKI SAKU選手がトップを再奪取。酒井選手はやや遅れてしまった格好に。そして3周目の1コーナーで吉元選手が篠田選手を抜いて2番手に順位を戻す。

 なおも4台でのトップ争いは続くが、6周目にKOUKI SAKU選手のペースが急に鈍る。これは「昨年の最終戦からエンジンが突然止まる症状が出ていて……。每周出るわけじゃないけど」という理由による。そのため、1コーナーでは吉元選手に、第2ヘアピンでは篠田選手にも抜かれてしまう。さらに7周目の1コーナーでKOUKI SAKU選手は永原選手にも先行され、4番手に後退。

 トップに立った直後の吉元選手はプッシュをかけて差を1秒1にも広げるが、それまでのタイヤの酷使でラスト2周はまさに三つ巴の争いとなった。中でも勢いがいいのが永原選手で、ファステストラップも記録したが、時すでに遅しの感も。それは篠田選手にも当てはまった。「後ろから見ていたらタイヤを使い込んでいたのか挙動も乱れていたので、捕えるのが1周遅かった」と、のちに反省することしきり。

 2016年のチャンピオン、吉元選手がブランクを少しも感じさせずに久々の優勝を飾るも、篠田選手とはコンマ3秒差、永原選手とはさらにコンマ2秒差の辛勝でもあった。「水が漏れていたのがエンジン本体だったので、最後まで保ってくれるか心配でした。それでウォームアップもできなかったし、4年ぶりぐらいのスタンディングスタートだったので大失敗しました(苦笑)。トップに立った後、頑張ってプッシュしたんですが、最後はタイヤがタレてきたのか、タイム上がらなかったので、守るのが精いっぱいでした。今後もできるだけ出ようと思います」と吉元選手。ただライバルにしてみれば、勝ち逃げなんて絶対に許さないという心境だろう。

 なお、今年からオートポリスシリーズには50歳以上のドライバーを対象とする「ジェントルマンクラス」が新設。映えある最初のウィナーには、4位でゴールのKOUKI SAKU選手が輝いた。そして注目の酒井選手は、こと中盤以降は上位陣に大きく離されることはなかったものの、順位を上げられず5位でゴール。「スタートの失敗と、その後の判断ミスで悔しい結果に終わりましたが、次につながる経験になったと思います」と語っていた。

優勝は吉元陵選手(安藤商会オートパンサーNEOデザインED)。
2位は篠田義仁選手(イワモトレーシング/制動屋/SJ)、3位は永原蒼翔選手(ピットワークながはら/MYST)。
第1戦表彰の各選手。
第1戦ジェントルマンクラスの表彰式。左から2位の碓井ツヨシ選手、1位のKOUKI SAKU選手、3位の楊昌樹選手。

フォト/皆越和也 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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