関西で話題のオートテストがイオンモール大和郡山に帰ってきた! ブース出展や付帯イベントが盛り沢山。豪華ゲストも登場し、賑やかでしっかり学べるトライアルに!!

レポート オートテスト

2024年5月2日

オートテストはヘルメットやグローブなどの特別な装備が不要で、マイカーそのままで参戦できるモータースポーツとして全国で開催されているが、その国内初導入の地でもある奈良県で、新たな舞台「イオンモール大和郡山」を競技会場として賑やかに開催された。

「オートテスト2024 in イオンモール大和郡山」
開催日:2024年4月27日(土)
開催地:イオンモール大和郡山C駐車場(奈良県大和郡山市)
主催:RC.NARA 協力:JAF関西本部、JAF奈良支部

 今大会のオーガナイザーは奈良の老舗クラブである「モータースポーツクラブ奈良(RC.NARA)」が務めた。同クラブのオートテストは、近年は市内の別な商業施設での開催が定着していたが、今回は2010年にオープンした、国道24号線奈良バイパスに面した立地にあるイオンモール大和郡山に舞台を移し、規模を拡大して開催されることになった。

敷地内北側では、建設時に平城京の羅城(城壁)の一部も発掘されているイオンモール大和郡山。オートテスト会場は敷地南東側にあるC7、C8駐車場が舞台となった。

 オートテスト会場として、施設内の南東側にあるC7とC8駐車場が占用された。パドックには参加車両が交互通行できるスペースを確保しながら、トヨタユナイテッド奈良を始め、奈良スバル自動車、ボルボ・カー奈良、奈良中央三菱自動車販売、奈良日産自動車、陸上自衛隊奈良地方協力本部、奈良県警察本部郡山警察署、岡本パーツ、ダイドードリンコ、JAF関西本部・奈良支部といった10もの企業・団体による出展ブースを同居させる設計となっていた。

 イオンモール大和郡山の使用については、同クラブのオートテスト開催を長年支援し続けてきたトヨタユナイテッド奈良の協力により実現したそうで、同社では施設内に「TOYOTA CHAUPY STATION イオンモール大和郡山」を出展しており、今大会では、オートテスト会場と店舗をつなぐスタンプラリーを実施して、買い物客にも大会の存在を訴求した。

 大会のゲストとしては、全日本ジムカーナ選手権やスーパー耐久シリーズを戦うマルチドライバーで、昨年は「ドライバー・オブ・ザ・イヤー2023」を獲得した山野哲也選手が参加。そして奈良大会ではおなじみの、同じく全日本ジムカーナを戦う久保真吾選手も駆けつけ、コース委員長を務めた川脇一晃氏も含めて、3名もの全日本級のドライバーが慣熟歩行のインストラクターを始め、競技中に生じる参加者の疑問にも応える体制を敷いた。

約4,100台を収容する駐車場もお昼ごろにはすっかり埋まる賑いを見せたイオンモール大和郡山。オートテスト会場に展開された出展ブースなどにも多くの観客が訪れた。
施設内に「TOYOTA CHAUPY STATION」を出展するトヨタユナイテッド奈良の協力により実現した今大会。同社では屋外と屋内をつなぐスタンプラリーを実施した。
当日は「ドライバー・オブ・ザ・イヤー2023」に輝いた山野哲也選手と全日本ジムカーナの久保真吾選手がゲストに駆けつけ、川脇一晃コース委員長と共に講師を務めた。

 大会に参加できる車両は、登録番号標(ナンバー)付き車両で、車検に通らない改造を施した車両はNGとされた。クラス区分は、トランスミッション形式を問わない「軽自動車クラス」と「普通自動車クラス」、女性ドライバー限定の「レディースクラス」、車両重量が1,500kg以上の「ミニバン・SUVクラス」、そして過去にオートテストで上位入賞経験がある選手を対象とした「エキスパートクラス」の5クラスを設定した。

 参加にはJAF奈良支部のホームページから事前申し込みを行う形式で行われ、参加料金はJAF会員が5,000円、一般は6,000円を基準とし、特別コースを走行できるエキスパートクラスの参加料金は、JAF会員が6,500円、一般は7,000円という料金体系。参加者は軽自動車クラスが10台、普通自動車クラスが20台、レディースクラスが7台、ミニバン・SUVクラスが7台、エキスパートクラスが16台の申し込みがあり、合計60台のエントリーだった。

 計時は、ストップウォッチによる1/10秒、または光電管による1/100秒までの計測を用いて、リザルトは1/10秒までの表記とされた。ペナルティポイントは、フライングやスタート遅延、コース上のパイロン移動、ラインまたぎやガレージ入庫の不完全判定には5ポイント加算、ミスコースには150ポイント、そしてゴール後の停止ライン不停止にも5ポイント加算とされた。そして、走行タイム1秒を1ポイントと読み替えて、それにペナルティを加算したベストポイントをリザルトに表記する形式が採用された。

 順位については、2本を走行してどちらか良好なポイントを採用して決定する方式で、同タイムの場合は、(1)走行タイム以外のペナルティポイントが少ない参加者、(2)1本目のペナルティポイントが少ない参加者、(3)排気量の小さい順、(4)上記で決まらない場合は審査委員会の決定による、とされた。1/10秒表記の場合は”同タイム”が出やすいものだが、順位の決定に"走行タイム以外の"ペナルティポイントが少ないという基準が示されていることで、オートテストが「運転の正確さ」を比べる大会であることが強調されている。

事前申込で60名がエントリー。参加確認受付で資料をもらい、パドックで車検(安全確認)を受けて出走に備える。リザルトは1/10秒の計時をポイントに換算する方式。

 走行コースは、これまで開催されていた会場は長めのパイロンスラロームなどが設定できる横長の敷地だったが、今回の会場は走行スペース南側の走路脇に連続する縁石があったことから、メインの走行コースは正方形に近い形状の中で設計する必要があった。そこで今大会のコースレイアウトについて、コース委員長である川脇氏にポイントを伺った。

「これまでの会場ではコースの形が”長細かった”んですが、今回の会場は”真四角”に近いんですよね。それに合わせたレイアウトを考えました。最初はラインまたぎを2箇所にしようとも思いましたが、それだと走りの”流れ”が作りにくくなるんです。なので、皆さんに走りを楽しんでもらいたいなと思って、全体的に走りの”流れ”を作って、低いスピードではありますがコーナーリングを楽しんでもらおう、というのが今回のコンセプトです」

 コースレイアウトは、スタートから右方向に走り1本パイロンを右旋回するターンで始まる。その後は3本パイロンのミニスラロームに右折で入り、次の3本パイロンで構成された定常円に向けて右に大きくコーナリングする。定常円は360度以上旋回して、前進右折で隣接のラインまたぎに進入。そこから、ややオフセットしたガレージに後退で入庫して、ガレージから前進で右旋回しながら、連続する縁石を迂回して2回目のスラロームに入る。

 このスラロームは3本パイロンで構成され、ゴール手前に置くべき減速区間という意味がある。そのため、パイロンの間隔はかなり狭く設定され、しかも1本目のパイロンがアウトへのはみ出しを規制する位置に置かれており、クリアするには、ほぼ徐行する必要があった。その結果、この最終セクションでパイロンに捕まるといった逆転劇が起きる可能性が生じ、走る人も観ている人も、最後まで手に汗握るコース設定となっていた。

 そして、エキスパートクラスについては、RC.NARA名物でもある、同じコースを「2周」する「特別コース設定」が採用されている。今回のレイアウトでは、ガレージに後退で入庫した後に、2回目のスラロームには行かず、前進で大きく右旋回しながらスタート直後の1本パイロンのターンに戻る構成となり、タイム的には30秒程度長いコースだった。

 ゲストの山野選手にコースの印象を伺うと「ミスコースする確率も低いですし、シンプルな中に、先を考えなければいけないレイアウトになっているのがいいですね。ちゃんと立ち上がることを考えないと、行き詰まったりタイムが伸びない設定になっています。かなりコンパクトな敷地なのに安全面が確保されていて、かつ楽しく走れるコースですね。攻略のポイントは第1コーナーですね。ここを”直感”で入ると、立ち上がりで詰まって、次のスラロームの進入が苦しくなり、その次のパイロンでも詰まるといった感じになります。第1コーナーをしっかりアウトから入ることがコース攻略のポイントで、そうすれば、その後のセクションも、リズムを維持しながら走れるようになるんです」と語ってくれた。

エキスパートクラスは他クラスとは異なる「特別コース」を走行。同じコースを途中から2周する設定だが、休む間もなく1分以上の走行となるため、多くの選手は疲労困憊……。

 大会では、朝8時のゲートオープンと同時に参加確認受け付けや車検(安全確認)が行われ、8時30分から慣熟歩行が始まる。その後に開会式とドライバーズブリーフィングが行われ、ブリーフィングでは信号旗の種類の説明やペナルティの基準などの説明と質疑応答が行われた。ラインまたぎやガレージにおける判定方法は、配布資料にイラストでOK/NGの基準が解説されていて、判断基準をだれもが理解できる配慮もあった。そして、参加者に対して、走行コースを低速で模範走行(山野選手が担当)しながらポイントを解説してくれる、RC.NARA名物でもある走行説明も行われた。

 参加者による1回の練習走行が行われ、約1時間の昼休憩を挟んで、いよいよ12時から本番走行がスタートするスケジュール。軽自動車クラスからゼッケン順に、2回の本番走行が用意された。天候は曇りベースで一時的な降雨もあったものの、駐車場ということで路面には細かい砂利が堆積する場所もあったが、終始コースマーシャルらによる除去作業が行われたことも奏功して、ライン上では一定のグリップが得られる路面となっていた。

 イベントのMCは近畿エリアのスピード競技ではおなじみの蓬茨夕美氏が担当し、練習走行での場内実況も務めた。そして2回の本番走行では、コース委員長の川脇氏とゲストの久保選手が場内実況を担当。計測結果の読み上げだけではなく、参加選手の経歴を紹介しながら走りの評価を加えるスタイルで、走行中の車内でも聞こえる仕組みを導入していたため、観客だけでなく、参加選手にも有益な情報が終始提供されていた。

ブリーフィングでは信号旗の説明やペナルティ基準の解説があり、最後にはRC.NARA名物の「走行説明」を実施。丁寧かつ徹底したコース清掃もこの大会の特徴となっている。
大会のMCは蓬茨夕美氏が務め、本番2回の走行では川脇一晃氏と久保真吾選手が場内実況を担当した。参加者にも観客にもわかりやすい解説が好評を博している。

 軽自動車クラスは、アルトワークスを駆る髙村達也選手が優勝した。1回目の走行では髙村選手がタイムとしては最速だったものの、大量のペナルティを食らって沈没。髙村選手は2回目の走行で自己タイムを更新できなかったが、2回目はノーペナルティでゴールできたことから、2位のエッセを駆る山内喜裕選手や、3位のAZワゴンを駆る稲上佳彦選手を秒差で引き離すベストポイントを獲得して、髙村手が逆転勝利をさらった。

 髙村選手は、”頑張りません”という自己紹介文の割に、走りでは激しい挙動を見せていたが「せっかく広島から関西に引っ越したし、こう書いたら皆さんツッコんでくれるかなと思って書きました(笑)。オートテストは走るとクルマの限界がわかるので、クルマとの距離感を詰められますよね。このアルトはMTミッションのFF車ですが、昔乗っていた4駆のアルトよりも乗りやすく走りやすいことがわかりました。今回はエコタイヤなので、タイヤを替えたりして、エキスパートクラスの参戦を目指します」と意気込みを語った。

軽自動車クラスの優勝はアルトワークスの髙村達也選手。2位はエッセの山内喜裕選手、3位はAZワゴンの稲上佳彦選手、4位はエッセの家本欣明選手、5位はセルボの安堂賢選手。

 今大会で最多台数となった普通自動車クラスは、CR-Zを駆る中西英登選手が昨年8月の大会に続いて優勝した。1回目から軽自動車クラスに迫るベストポイントをマークした中西選手。昨年の大会でも2位に惜敗したFITの中井大選手と、今大会には職場の仲間を連れて参戦したGR86の礒尾欣也選手がコンマ5秒差の争いを展開する中で、後続に1.4秒の大差を付けた中西選手が逃げ切って優勝となった。しかし、中西選手は「今回も納得いってません……。昨年出た奈良の大会の反省が活かせなくて。皆さんからもアンダーステアを出すなと言われてましたし、滑る路面だなという感覚はあったんですが、踏んでしまったんです……。うーん、頑張って、どうにか対応したいと思います」と反省しきりだった。

普通自動車クラスの優勝はCR-Zの中西英登選手。2位はFITの中井大選手、3位はGR86の礒尾欣也選手、4位はスイフトスポーツの前田勲選手、5位はWRX STIの安田一凱選手、6位はスイフトスポーツの石崎裕基選手、7位はBRZの岡本茂選手、8位はアクアの森久雄選手。

 レディースクラスは、GRヤリスの伊藤知子選手が1回目の走行で驚愕の走行タイムを叩き出したがペナルティをもらってしまう。しかし、プリウスを駆る廣野和代選手にコンマ1秒差を付けて暫定トップに立った。2回目の走行では、ゴルフカブリオレの近藤育美選手が自己タイムを4秒近く更新してトップに立ち、続く伊藤選手は、1回目の走行を上回るタイムを刻んだものの再びペナルティを受けて、近藤選手のコンマ9ポイント差の2番手につけた。そして最終走者の廣野選手は、自己タイムを2秒以上更新してノーペナルティ。近藤選手をコンマ7ポイント上回って、レディースクラスでの逆転優勝を果たした。

 廣野選手は「今回は師匠に助手席に乗ってもらって、”メリハリのある操作を”というアドバイスを受けたんです。”ここは踏んで、ここは抑えて”といった指摘を忠実に守ったら、2回目にタイムが出せたんです。今までは、とりあえずコーナーに突っ込んでドタバタ操作していた、ということは自分でも感じてましたが、何をどうすればいいのかは理解できていなかったんです。それが、アドバイスをもらって実践すると、こんなに違うんや、メリハリのある運転というのがこんなに大事なのか、ということがよくわかりました」と目を輝かせる。運転操作をレベルアップさせる大きなきっかけを掴んだようだ。

レディースクラスの優勝はプリウスの廣野和代選手。2位はゴルフカブリオレの近藤育美選手、3位はGRヤリスの伊藤知子選手、4位はセルボでダブルエントリーした安堂佳子選手。

 ミニバン・SUVクラスは、CX-5を駆る藤田輝男選手が、師匠である川那辺学選手と浅田恵亮選手とのトリプルエントリーで参戦。川那辺選手の走りに注目が集まったが、1回目の走行では大量ペナルティで沈没。代わりにトップ争いを演じたのは、乗り換えたばかりのレヴォーグ・レイバックで参戦した庄司博哉選手とCX-5のオーナー藤田選手。僅かコンマ2秒差で庄司選手がトップに立って1回目を折り返した。2回目の走行では藤田選手が自己タイムを大きく上げたもののペナルティに泣き、庄司選手はタイムダウンに終わってしまう。そして、自己タイムを5秒以上も更新したエクリプスクロスの村上享選手が大逆転を演じ、2位の川那辺選手を約2秒差に抑えてミニバン・SUVクラスを制した。

 村上選手は「昨年からオートテストにちょこちょこ出ていて、名阪スポーツランドや富士スピードウェイの大会にも出たこともあります。昔はギャランVR-4やコルトVRとかで走行会にも出てて、しばらく離れていて、今乗ってるのはSUVですが、久々に何かやってみたいなと思って始めました。オートテスト、面白いすよ。単に速いだけではアカンのやと思いますし、ホントに”運転の正確さ”が必要ですよね。今ではこっちの方が楽しいと思ってるくらいですわ」と語る。今回はレディースクラスの村上愛苗選手と父娘参戦となった。

ミニバン・SUVクラスの優勝はエクリプスクロスの村上享選手。2位はCX-5の川那辺学選手、3位はレヴォーグ・レイバックの庄司博哉選手、4位はCX-5の藤田輝男選手。

 エキスパートクラスには、S660の篠原賢爾選手やSAIの藤塚伊織選手、GRヤリスの桝田努選手、NDロードスターの川原偉生選手らオートテストで精力的に活動するベテランのほか、スイフトスポーツの道下貴広選手やCR-Xの山本雪選手、NDロードスターの定松舞子選手ら奈良大会の常連組が顔を揃えた。また、昨年12月に名阪スポーツランドDコースで初めて開催された「ドリフトテスト」において、1本目に見事な”ドリフト駐車”を決めて栄えある初代ウィナーに輝いた、GRヤリスを駆る余吾泰衡選手も参加していた。

 大会ではエキスパートらしい僅差の勝負となり、1回目の走行ではNDロードスターの上地秀樹選手と山本選手がコンマ5秒差の首位争い、MR-Sの丹羽基夫選手と桝田選手がコンマ2秒差の3位争いを展開した。2回目の走行では大きくタイムを上げた選手も多く、1回目でトップに立っていた上地選手が自己タイムを更新して再びトップに立つと、後半出走の篠原選手が1本目のミスを修正して上地選手を逆転。続く桝田選手は4駆の利を活かして篠原選手をコンマ1秒逆転してトップに立ち、ラス前出走の丹羽選手が桝田選手を1秒引き離すノーペナルティのベストポイントを獲得するという逆転劇が続いた。この結果、自己タイムを4秒上げたMR-Sの丹羽選手がエキスパートクラスの逆転優勝を果たした。

 丹羽選手は「今回はこれ以上の走りはできないというくらい、できることはやれたかなと思っています。今回のコースは難しくもあり、楽しかったコースですね。いろいろ出ていると、ただハンドルを切るだけのコースもあったりするんですが、それらに比べるとよく考えられたコースかなと感じました。オートテストはクルマの優劣ではなく、クルマの能力を引き出した人が速いと思っています。フルノーマル車でも速い人はいますし、ドライバーの領域が大きいモータースポーツなんだなと思っています」と締めくくってくれた。

エキスパートクラスの優勝はMR-Sの丹羽基夫選手。2位はGRヤリスの桝田努選手、3位はS660の篠原賢爾選手、4位はNDロードスターの上地秀樹選手、5位はNDロードスターの定松舞子選手、6位はCR-Xの山本雪選手。

 ゴールデンウィークの初日とあって、イオンモール大和郡山は約4,100台を収容する駐車場もほぼ満車になる盛況だった。トヨタユナイテッド奈良「TOYOTA CHAUPY STATION イオンモール大和郡山」にはJAFブースの出張出展があり、子ども安全免許証の発行も行われて家族連れ等で賑わった。トヨタユナイテッド奈良によるスタンプラリーの効果により店内からオートテスト会場への誘導もなされ、モータースポーツを知らない一般客に対するモータースポーツの周知に貢献していることが伺えた。

 オートテストのパドックでは、参加者や来場者を対象とした奈良県警察郡山警察署による交通安全講習も行われた。講習では見通しの悪い交差点を模して、歩行者が横断歩道を渡る際の注意点等が提供され、歩行者と運転者のアイコンタクトや状況判断などの重要性が講義された。さらに、チアダンスチーム「STYLEY(スタイリー)」の皆さんも駆けつけて、イベントの合い間に演舞を披露。表彰式では表彰台の横で表彰対象者をメンバー総出で祝福してくれるという、参加者にとってかなり貴重な経験も提供してくれた。

 今回の会場では大会当日に搬入から撤収までを行う必要があったため、早朝から搬入・会場設営・コース設定を行った。約90分という短時間で会場を整備した点も注目だった。交通アクセスも良く、多くの衆目を集める会場を舞台とした今大会。多くの企業・団体からの支援を受け、交通安全に寄与する講習も受けられて、著名ゲスト選手の助言をもらいながら攻め甲斐のあるコースを走行できて、同好の仲間たちとの交流を堪能した一日。まさに盛り沢山の楽しみが提供された奈良の人気イベントは、今回も無事に閉幕となった。

当日は降雨が予報されていたため、公式掲示板の掲示物には防水処理が施されていた。また、参加者配布資料はゼッケンを含めてビニール袋に封入されパッケージ化されていた。
走行コースのバリアを介した隣にはイスとテントを配した観戦スペースが設けられた。落ち着いて走りを観察できる場所が提供され、観客だけでなく参加者にも好評だった。
ストップウオッチによる手動計測と光電管計測を併用する計時体制を敷いた今大会。公式掲示板には1回目と2回目の走行リザルトが張り出された。
「ドライバー・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者でもある山野哲也選手は訪れた気さくにサインやアドバイスに応じ、サプライズでサイン会も行って大会の盛り上げに尽力した。
オートテスト会場と店舗内の「TOYOTA CHAUPY STATION イオンモール大和郡山」にJAFブースを出展。店舗内には子ども安全免許証の発行も行われていた。
JAF奈良支部の声がけで見学に訪れた中学生グループ。向畠陽咲さんと政颯人さん、利久真一さん、山本温陽さんは、山野選手との交流も体験し、お土産いっぱいで大会を堪能。
地元の郡山警察署は、警察車両の同乗や記念撮影などのブース出展のほか、見通しの悪い交差点における安全な横断方法等を解説する、交通安全講習を開催してくれた。
イベントの合い間にはチアダンスチーム「STYLEY」による演舞も披露された。表彰式ではチームメンバー総出で上位入賞者の表彰を祝福してくれる嬉しい配慮も。
大会の終盤では、ゲストドライバーによる同乗走行が行われた。RC.NARA名物の、オートテスト参加者の車両を講師が運転する同乗走行も行われ、貴重な経験を持ち帰った。

 今回は「オートテスト2024 in イオンモール大和郡山」の開催に合わせて、JAF地方本部のモータースポーツ担当職員を対象とした、JAFモータースポーツ部による「モータースポーツ実務担当者向けオートテスト研修」も開催された。大会前日にはJAF奈良支部にてセミナー形式の研修、大会当日にはイオンモール大和郡山の会場で実地研修が行われた。

今大会に合わせて、JAF地方本部のモータースポーツ実務担当者を対象としたオートテスト研修が行われ、全国から8名のモータースポーツ担当者が奈良・大和郡山に集まった。

 座学研修ではJAFモータースポーツ部の村田浩一部長も臨席し、全国で開催されるオートテストの実例や、FIAや他国ASN、JAF専門部会や分科会の検討事項などの最新情報が披露された。そして各地方の担当者からは、各地区の独自の取り組みや各地で抱える課題などの情報共有がなされた。また、トヨタユナイテッド奈良の協力により、児嶋順一執行役員から自動車ディーラーとオートテストの関わりについての講義も行われ、RC.NARAの小西俊嗣会長からは、同クラブがこれまで主催したイベントを題材に、参加者・競技役員向け資料を共有しながら、安全なコース設定のポイント等について事例解説も行われた。

 実地研修では、ゲートオープンの前に川脇コース委員長によるコース制作のポイントを解説する時間が設けられ、関西の人気イベントを開催するオーガナイザーの運営手順等の視察も行われた。オートテストをテーマとした、各地方のモータースポーツ担当者が一堂に介する研修はJAFとしても初開催だった。オートテストが国内導入10年を迎える現在、イベント運営の平準化や、さらなる安全対策の充実、参加者のステップアップ先の創出など、解決すべき課題は多い。グラスルーツ競技として日本にしっかりと根付いた感のあるオートテストが全国的に整備が進み、より魅力的なイベントへと進化することに期待したい。

トヨタユナイテッド奈良の児嶋順一執行役員やRC.NARA小西俊嗣会長による講義を始め、各地域が抱える課題や成功事例などが共有され、発展的な議論の場となっていた。

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS] REPORT/JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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