スーパーGTで初めての3時間タイムレース。NISMOのZが1-2、GT300 はJLOC Lamborghini GT3が独走V

レポート レース

2024年5月8日

2024年スーパーGTシリーズ第2戦が、5月2〜4日に五月晴れとなった富士スピードウェイで開催された。GT500クラスを独走で制したのは、2年連続でシリーズ2位のNiterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞組)。2位にはMOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ組)がゴールし、NISMOのZ勢が1-2フィニッシュを遂げた。またGT300クラスではJLOC Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)が、こちらもライバルを寄せ付けない独走でポール・トゥ・フィニッシュを決めた。

2024 SUPER GT Round2 FUJI GT 3Hours RACE
開催日:2024年5月2~4日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C、株式会社GTアソシエイション

 今回のレースは、搬入日となる2日まで不安定な天候だったが、3日朝には日本晴れとなり雪を被った富士山が美しい姿を見せた。前日からの泊まり組もあり、朝早くから多くのファンがサーキットに詰めかけ、3日は3万4,500人、決勝日の4日は5万3,900人、のべ8万8,000人以上を集めた。最近は、コースサイドにテントを立てバーベキューをしながらレースを楽しむファンも増えている。

 今回はスーパーGTでは初となる3時間のタイムレース。500km以上を走破すると予想され、給油を伴うピット作業が2回義務付けられ、持ち込むタイヤは6セットとなった。また3人目のドライバー登録もでき、GT300クラスではCドライバーを起用するチームが半分近くを占めた。

コースサイドではテントを設営してアウトドア気分を味わいながらレースを観戦する家族連れも多かった。
ピット作業が2回に義務付けられたことにより、よりチーム戦略が求められるレースとなる。

予選

 3日の午後、23度という高い気温で始まった公式予選。今年からスタートしたA、Bドライバーのタイム合算でGT500のポールポジションを獲得したのは、Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進組)で、今季デビューしたホンダ・シビックとしては初のポール獲得。

 これにNiterra MOTUL Z、MOTUL AUTECH Z、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治組)、MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)が続き、トヨタ車のトップは7番手のENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)。前回優勝のau TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)は46kgのウェイトが効いて11番グリッドとなった。

 GT300クラスでは、昨年最終戦のウィナーであるJLOC Lamborghini GT3が両ドライバー共にトップタイムを叩き出してポールポジションを獲得。

 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組)、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)とヨコハマタイヤユーザーがトップ3を占め、LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治樹組)、そして開幕戦優勝で44kgのサクセスウェイトを積むmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)とブリヂストン勢が続いた。

GT500クラスでポールポジションを獲得したのは Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進組)で、GT300クラスはJLOC Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組)。

決勝

GT500クラス

 4日も朝から青空が広がり絶好のレース観戦日和となった。気温23度、路面温度41度というこの時期としては高めの温度の13時36分に3時間レースはスタートした。ここで抜群の加速を見せたのがNiterra MOTUL Zの高星選手で、2コーナーまでにAstemo CIVIC TYPE R-GTの塚越選手をかわしてトップに浮上。トヨタ勢予選トップのENEOS X PRIME GR Supraは予選でタイヤを傷めたことでピットスタートを選択し、タイヤ交換を済ませてからGT300クラスの隊列後方よりレースに加わった。

 レースは序盤の7周目あたりからNiterra MOTUL Z、Astemo CIVIC TYPE R-GT、MOTUL AUTECH Zの3台が抜け出した。16周目の2コーナーで1台の車両がストップしたことでフルコースイエロー(FCY)が2分間導入されたがトップ3に影響なし。しかし23周目の2コーナーでMOTUL AUTECH Zの千代選手がAstemo CIVIC TYPE R-GTを抜き、これでNISMOのZが1-2態勢となった。

 レースが1時間も経過しない31周で最初のピットインを済ませる車両が出始め、3番手のAstemo CIVIC TYPE R-GTも34周でピットイン。MOTUL AUTECH Zは38周で、そして1時間が経過した39周で5台の車両がピットインを済ませてレースは大きく動いていった。

 40周でトップのNiterra MOTUL Zがピットインしてドライバーは高星選手のままでトップを守ってコースへ。Astemo CIVIC TYPE R-GTの塚越選手はMOTUL AUTECH Zのクインタレッリ選手のアウトラップでこれをかわして前に出ることに成功していたが、トップとは10秒の大差がついていた。さらに41周の時点で、4番手はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8、5番手はMARELLI IMPUL Z、そして11番手スタートだったau TOM’S GR Supraがトヨタ勢トップの6番手まで順位を上げていた。

 中盤にレースが動き始めたのは4番手争いで、57周目にARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8の野尻選手がペースの上がらないMOTUL AUTECH Zの背後に迫り、71周目の1コーナーでこれをパスして3番手へ順位を上げた。スタートから2時間経過が近づいた74周で2番手Astemo CIVIC TYPE R-GTが2回目のピットインで太田選手に交代。75周でトップのNiterra MOTUL Zがピットインして三宅選手に交代。

 2時間が経過した77周でMOTUL AUTECH Zは再び千代選手に、78周でARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8は松下選手に交代すると、トップのNiterra MOTUL Zは36秒もの大差をつけて悠々とトップを独走。2番手争いはMOTUL AUTECH Z、ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8、Astemo CIVIC TYPE R-GTの3台で3秒以内に収まっていた。

 ここからARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8の松下選手、Astemo CIVIC TYPE R-GTの太田選手がサイド・バイ・サイドの激しい3番手争いを展開。20周以上も1秒以内でのバトルを続けたが、110周で先行するARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8がギヤボックスにトラブルを抱えて緊急ピットイン。勝負は予想外の結末を迎えた。このシビック同士のバトルの間にMOTUL AUTECH Zはシビックを引き離しこちらも独走の2番手をキープした。

 16時36分に3時間が経過し、Niterra MOTUL Zが117周でトップチェッカー。高星選手は通算4勝目、三宅選手はGT500クラス2戦目でうれしい初優勝。2位はMOTUL AUTECH Z、3位はAstemo CIVIC TYPE R-GT。4〜6位はau TOM’S GR Supra、KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)、MARELLI IMPUL Zという順だった。

GT500クラス優勝はNiterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞組)。
2位はMOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ組)、3位はAstemo CIVIC TYPE R-GT(塚越/太田組)。
GT500クラス表彰の各選手。

GT300クラス

 GT300クラスは、オープニングラップで5番手スタートのmuta Racing GR86 GTの平良選手が100Rまでに2台をかわし3番手へ順位を上げた。トップのJLOC Lamborghini GT3の元嶋選手は、4周目から後続を引き離して早くも独走態勢に持ち込んだ。2番手はグッドスマイル 初音ミク AMG、muta Racing GR86 GT、LEON PYRAMID AMG、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rの順で争っていたが、順位が変わることはなかった。15周目の2コーナーで、今回がデビューレースとなったGAINER TANAX Z(富田竜一郎/石川京侍組)がストップしたことで、FCYとなった。

 2分でFCYは解除となりリスタートとなるが、ここでJLOC Lamborghini GT3の元嶋選手が一気に後続を引き離し16秒以上のリードを築いた。29周と早めに2番手のグッドスマイル 初音ミク AMGが最初のピットイン。

 32周目には3番手へ順位を上げていたLEON PYRAMID AMGが、翌周にはトップのJLOC Lamborghini GT3がピットインすると、muta Racing GR86 GTがトップに躍り出た。スタートから1時間以上を過ぎた43周で2番手に順位を上げていたGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)、そして45周でトップのmuta Racing GR86 GTがピットインした。

 1回目のピット作業が落ち着いた46周目のトップはJLOC Lamborghini GT3で、2番手は13番手スタートのapr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生組)、3番手はグッドスマイル 初音ミク AMG。これにLEON PYRAMID AMG、ピット作業でタイヤ交換を左の2本で済ませてタイムを縮めたMETALIVE S Lamborghini GT3(松浦孝亮/坂口夏月組)、Green Brave GR Supra GT、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R、muta Racing GR86 GTが続いた。

 レースが折り返しから10分ほど過ぎた61周でapr LC500h GT、63周でグッドスマイル 初音ミク AMGが2回目のピットインを済ませた。同時にピットインしたGreen Brave GR Supra GTはタイヤ無交換作戦で時間を短縮。68周で後続に30秒近いリードを築いていたトップのJLOC Lamborghini GT3、残り1時間となった69周でLEON PYRAMID AMGとリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rもピットイン。

 これでmuta Racing GR86 GTが再びトップとなるが、78周でピットインと見た目の順位がつかみづらい時間帯に。その2周前には上位入賞が確実視されていたLEON PYRAMID AMGが、トラブルを抱えて緊急ピットインして戦列から離れることになった。

 83周で上位陣が2回目のピットを済ませると、JLOC Lamborghini GT3が15秒以上のリードを保ってトップを独走。2番手がGreen Brave GR Supra GTで、グッドスマイル 初音ミク AMG、リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R、apr LC500h GT、muta Racing GR86 GTが続いた。

 ここからスタンドを沸かせたのはリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rをドライブするオリベイラ選手の走りと、5番手争いだった。オリベイラ選手は終盤93周目にグッドスマイル 初音ミク AMGをかわし表彰台圏内に。さらに96周目にはGreen Brave GR Supra GTにも追いつき、97周目の1コーナーで2番手へ順位を上げた。

 また5番手apr LC500h GTはストレートが速く、6番手muta Racing GR86 GTはコーナリングスピードに勝る。muta Racing GR86 GTの堤選手が最終コーナーで逆転すると、apr LC500h GTの中村選手がストレートで追い抜くというバトルは終盤まで続いた。

 レースは3時間が経過し108周でチェッカーとなり、JLOC Lamborghini GT3は今季初優勝。2位に終盤追い上げたリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rとヨコハマタイヤユーザーが1-2フィニッシュ。3位はディフェンディングチャンピオンのGreen Brave GR Supra GT。開幕戦優勝のmuta Racing GR86 GTは、パワステにトラブルを抱えながらも6位でポイントを積み重ねポイントリーダーを守った。

GT300クラス優勝はJLOC Lamborghini GT3(小暮/元嶋組)。
2位はリアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組)、3位はGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)。
GT300クラス表彰の各選手。

フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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