鈴鹿初の3時間レースで笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組が初優勝。GT300 はD'station Vantage GT3が圧勝

レポート レース

2024年6月6日

2024 SUPER GT Round 3は初夏の鈴鹿サーキットで3時間のタイムレースとして開催され、GT500クラスではDeloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)、GT300クラスではD'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)が、それぞれ初優勝をポール・トゥ・ウィンで飾った。

2024 SUPER GT Round 3 SUZUKA GT 3Hours RACE
開催日:2024年5月31日~6月2日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:KSCC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

予選

 今回も前戦の富士3時間同様、持ち込めるドライタイヤは6セット。決勝ではドライバー交代を伴うピット作業2回が義務付けられた。

 晴れ、気温26度、路面温度45度とやや蒸し暑いコンディションの6月1日15時から公式予選が行われ、A、Bドライバーのタイム合算により、GT500クラスは公式練習でトップと僅差の2番手につけていたDeloitte TOM'S GR Supraが、笹原/アレジ組としては初のポールポジション(PP)を獲得。アレジ選手は「ティラミスとクレムブリュレ、それ以上においしい物を全部いっぺんに食べているような幸せ」と表現した。

 2番手は公式練習でトップタイムだったARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)、3番手はENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)。以下ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8(野尻智紀/松下信治組)、KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)、前回優勝したNiterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞組)が続いた。ポイントリーダーで燃料リストリクターの装着によってトップスピードが伸びないau TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太組)は11番手となった。

 GT300クラスではD'station Vantage GT3が初のPPを獲得。チームと新人のファグ選手にとっては初のPP獲得となった。2番手はPPと同じダンロップタイヤを履くSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)、3番手にはポイントリーダーで54kgのサクセスウェイトを積むmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)がつけた。以下、シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎組)、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)、Green Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)と続いた。

前戦に続き今レースでも各チームが持ち込めるドライタイヤは6セットだった。
GT500クラスでポールポジション(PP)を獲得したDeloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)、GT300クラスはD'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)がPPを獲った。

決勝

GT500クラス

 鈴鹿は決勝前のウォームアップ走行直前にスコールのような雨に見舞われ、各チームともウェットタイヤとドライタイヤの皮むきのために各車両が何度もピットインすることになり、ピットはかなり混雑した。その後雨は上がりコースも徐々に乾いていった。

 コース上に一部ウェットパッチの残る場所はあるものの、気温24度、路面温度31度というコンディションの6月2日13時38分に3時間のタイムレースがスタートした。まずフロントローの2台が隊列から抜け出すが、ここにENEOS X PRIME GR Supraの福住選手が追いつき5周目のASURA S字コーナーでARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16をかわす。2台のスープラは1〜2秒ほどの差をキープして後続を引き離していった。

 ペースが上がらない3番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16は、早めの24周で最初のピットイン。これで3番手争いはARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8、6番手スタートのNiterra MOTUL Z、8番グリッドから順位を上げたMARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)の三つ巴となった。25周目あたりで東コースでは雨がパラパラと落ちてきたが、路面を濡らすまでには至らずやがて止んだ。

 スタートから1時間が経過した32周で2番手のENEOS X PRIME GR Supra、3番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8などがピットインすると、翌周にはトップのDeloitte TOM'S GR Supraはじめ、MARELLI IMPUL Z、Niterra MOTUL Zもピットイン。全車が最初のピット作業を終了した後も、Deloitte TOM'S GR Supraのアレジ選手とENEOS X PRIME GR Supraの大嶋選手によるトップ争いに動きはなく、少し離れて3番手がARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16、そして4番手がMARELLI IMPUL Z、さらに11番手スタートのau TOM'S GR Supraが5番手へ順位を大きく上げていた。

 レースの折り返しを過ぎた時点では、2台のスープラによるトップ争いと、MARELLI IMPUL Zとau TOM'S GR Supraによる4番手争いが接近戦となった。そして66周でトップのDeloitte TOM'S GR Supraと3番手のARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16がピットイン。これを受けて次の周にENEOS X PRIME GR Supraの大嶋選手が猛ダッシュのインラップでピットインした。福住選手に交代して、作業を済ませてピットロードに出ようとしたが、危うく他の車両と接触しそうになった。しかし、Deloitte TOM'S GR Supraの前でコースへ戻りトップが逆転したかに見えた。

 ENEOS X PRIME GR Supraの福住選手は2番手を約9秒差まで引き離したが、ここでピット作業終了後の動きがアンセーフリリースと判断され、ドライブスルーのペナルティを受けることになってしまった。福住選手はペナルティを消化して優勝争いから脱落したものの4番手でコースへ戻ると猛追を見せて72周目には3番手、78周目には2番手に順位を戻したがトップとの差は11秒も開いていた。

 レース終盤はDeloitte TOM'S GR Supraの笹原選手がリードを保ち92周でトップチェッカー。笹原選手、アレジ選手共にSUPER GT初優勝を飾った。2位はピットアウト時のミスが悔やまれるENEOS X PRIME GR Supra、3位はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16。ポイントリーダーのau TOM'S GR Supraは、5位フィニッシュで着実に6点を加算してランキングトップの座を守った。日産勢は3位を僅差まで追い上げたMARELLI IMPUL Zの4位が最上位だった。

GT500クラス優勝はDeloitte TOM'S GR Supra(笹原/アレジ組)。
2位はENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)、3位はARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮組)。
GT500クラス表彰の各選手。

GT300クラス

 スタートはD'station Vantage GT3、SUBARU BRZ R&D SPORT、muta Racing GR86 GTのトップ3台が後続を引き離した後方で、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIが4番手に順位を上げた。D'station Vantage GT3の藤井選手は2番手以下を引き離しにかかり、12周目には約5秒の差をつけて独走状態に持ち込んだ。

 SUBARU BRZ R&D SPORTの山内選手に抑え込まれていたmuta Racing GR86 GTの平良選手は、15周目の日立アステモシケイン進入でインから抜き2番手へ。そして19周目には7番手スタートだったapr LC500h GT(小高一斗/中村仁/根本悠生組)の小高選手が5番手へポジションアップ、さらに27周目には3番手にまで順位を上げた。

 スタートから1時間が経過すると、29周で3番手を争っていたSUBARU BRZ R&D SPORTがピットイン。2番手に約15秒差をつけていたトップのD'station Vantage GT3は30周でピットへ。上位陣が34周までに最初のピットインを済ませるとタイヤ無交換でピット滞在時間を短縮したapr LC500h GTがトップで、約8秒後方にD'station Vantage GT3。さらにGreen Brave GR Supra GT、SUBARU BRZ R&D SPORT、UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI、アウトラップでタイヤが温まらずポジションを落としたmuta Racing GR86 GTの順となった。

 レースに動きが出たのは折り返しを過ぎたころ。44周目のNISSINブレーキヘアピン立ち上がりでSUBARU BRZ R&D SPORTがタイヤ無交換作戦のGreen Brave GR Supra GTを抜き3番手へ。45周目のスプーンカーブではD'station Vantage GT3のファグ選手がapr LC500h GTを捕らえトップを奪回した。

 だが、47周目のヘアピン先で、3番手走行中のSUBARU BRZ R&D SPORTが駆動系トラブルのためにストップした。48周で3番手に浮上したGreen Brave GR Supra GTが2回目のピットイン。51周目には2番手のapr LC500h GTもピットインすると、トップのD'station Vantage GT3は2番手のUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIに33秒もの大量リードを築いていた。この時、3番手にはmuta Racing GR86 GTが順位を上げていた。

 レースが2時間を経過した58周で2番手のUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIがピットインすると、トップのD'station Vantage GT3も61周でピットイン。これでmuta Racing GR86 GTが暫定トップに立ち69周まで引っ張りピットイン。ここで残りの周回分だけの給油を済ませてmuta Racing GR86 GTの堤選手は2番手でコースに戻った。

 レースはD'station Vantage GT3の藤井選手が後続を引き離してトップチェッカー。4年ぶりに復帰したスーパーGTで、D'station Racingがチームの初優勝をポール・トゥ・ウィンで飾った。ファグ選手はスーパーGT参戦2戦目での初優勝だった。2位はmuta Racing GR86 GTでポイントリーダーを守った。3位はUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARIで、今季からSUPER GTデビューしたフェラーリ296 GT3がシリーズ初表彰台を獲得した。

GT300クラス優勝はD'station Vantage GT3(藤井/ファグ組)。
2位はmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)、3位はUNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン組)。
GT300クラス表彰の各選手。

フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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