酒井龍太郎選手が開幕から4連勝を挙げて早々にFS-125部門のタイトル確定!
2024年6月24日

全日本カート選手権FS-125部門/FP-3部門の2024シリーズ第3戦/第4戦が6月15~16日、宮城県村田町のスポーツランドSUGO西コースで開催。FS-125部門では酒井龍太郎選手が第3戦と第4戦を連勝して、早くもチャンピオンを確定させた。
2024年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 第3戦/第4戦
2024年JAFジュニアカート選手権 ジュニア部門 第3戦/第4戦(ラウンドシリーズ2)
開催日:2024年6月15~16日
開催地:スポーツランドSUGO西コース(宮城県村田町)
主催:SSC
2024年の全日本カート選手権で最北の開催地、宮城県村田町のスポーツランドSUGO。その西コースは、インターナショナルレーシングコースの最終コーナーのインフィールドに設けられた全長984mの多目的コースだ。ここは何度かコースレイアウトの変更を受けながら、長年にわたってカートレースのビッグイベントが開催されてきた歴史ある舞台。カート時代のアイルトン・セナが1978年のジャパンカートグランプリを戦った地としても名高いコースだ。
サーキットの路面は今年初旬にトラックリミット内が全面再舗装され、よりフラットになった。ドライバーたちのコメントをまとめると、路面のグリップが上がった感覚はあまりなく、以前と同じフィーリングで走れるが、タイムは上がっている模様。また、重要なオーバーテイクポイントである4コーナーの入口アウト側に新しく設けられた短い縁石は、そこがブレーキングポイントということもあって、ドライバーたちに心理的な影響を与えているようだ。




全3大会/6戦で行われる全日本FS-125部門/FP-3部門の2024シリーズは、早くも折り返し点を迎えた。決勝日のサーキット上空は快晴。日差しはまぶしく、夏の到来が近いことを感じさせる厳しい暑さだ。
公式練習開始30分前の7時半、ホームストレートのメインポスト下にはコースマーシャルたちが集まり、救急救命講習会が実施された。この日のテーマは「ドクターパッド」と呼ばれている小型の可動式クラッシュパッドの使用法についてだった。
コース内に停止したマシンを移動する際、どこにパッドを置いて作業を行うか、コースマーシャルが1名の場合と2名の場合ではマシンの移動とパッドの撤去の優先順位がどう変わるか、といった内容が手際よくレクチャーされた。その説明に真剣な面持ちで聞き入るコースマーシャルたちの表情は、安全なレース運営に対する強い熱意を感じさせるものだった。


全日本カート選手権FS-125部門 第3戦/第4戦

FS-125部門には21台が参加した。そのタイムトライアルで39秒420のトップタイムを叩き出したのは、昨年のFS-125CIK部門のSUGO大会で2連勝を飾った地元勢の髙田陽大選手。0.017秒差の2番手は、前回の新東京大会で2戦連続ポール・トゥ・ウィンを遂げている酒井選手。レースはこのふたりの手に汗握る接近戦となった。
第3戦の予選では、先行する髙田選手を中盤に酒井選手がかわし、決勝のポールを獲得。髙田選手は2番グリッドから逆転優勝を目指すこととなった。3、4番手は双子の兄弟、白石麗選手と白石庵選手だ。
決勝の周回数は第3戦、第4戦とも22周。第3戦の決勝は酒井選手、髙田選手そろってのポジションキープで幕を開けた。タンデム状態でラップを重ねる2台は5周目あたりから3番手以下を徐々に引き離し、マッチレースへと突き進んでいった。酒井選手と髙田選手の間隔は約2車身。その差は周回数が3分の2を過ぎてもまったく変わらない。
イーブンのペースで全力疾走を続ける2台の静かな攻防に、場内には緊張感が漂う。その状況に少しの変化が訪れたのは、残り4周のこと。酒井選手のリードがわずかに広がった。最終ラップ、トップの座を守り抜いた酒井選手は拳を握って最終コーナーを回り、ピットにナンバー1サインを示しながらコントロールラインを駆け抜けた。
一瞬の油断も許されない神経戦の結末は、酒井選手の3連勝だった。髙田選手は0.631秒差の2位でフィニッシュ。中盤に3番手へ上がった白石庵選手は17周目にエンジンが止まって戦列を去り、3位は白石麗選手のものに。桑原航佑選手が12番グリッドからの挽回で4位入賞を果たした。




酒井選手は今大会の結果次第で、次の中山大会を待たずしてチャンピオンを確定できる。タイトル争いの早期決着に意欲を燃やす酒井選手は、第4戦の予選でも序盤で髙田選手をかわして、決勝のポールとシリーズポイント10点を手に入れた。髙田選手は後半にペースを抑えて2番手に。3番手にはホームコースで速さを見せる木幡直生選手が、4、5番手には白石庵選手と白石麗選手が続いた。
そして迎えた第4戦の決勝は、スタート直後からヒートアップ。髙田選手がオープニングラップの4コーナーで酒井選手のインを刺してトップへ。すると9~10コーナーで酒井選手が髙田選手の前に出て、1周たたずに先頭の座を奪還する。4周目、髙田選手が再び4コーナーで酒井選手の前へ。酒井選手は今度もこの周のうちにトップを取り戻し、速さでは互角の髙田選手に対して前を走ることにこだわる姿勢を見せつけた。
ここからは第3戦決勝のリプレイのような、酒井選手と髙田選手の一騎討ちだ。2台の0.4秒強の間隔は、終盤戦に至っても100分の1秒単位でしか変化しない。互いの精神力を削り合うような迫真の追走劇は、今度も酒井選手の逃げ切りで決着した。チェッカーの瞬間、緊張から解放された酒井選手は絶叫ポーズで喜びを爆発させた。
髙田選手はホームコースでの勝利こそ飾れなかったものの、ウィナーと同等の速さを披露して2戦連続の2位でSUGO大会を終え、ポイントランキングも2番手に浮上した。白石庵選手はスタートで大きくポジションを下げ、代わって4番手に上がった白石麗選手が、序盤戦で木幡選手を抜いて今回も3位表彰台に立った。
酒井選手は開幕戦から無傷の4戦連続ポール・トゥ・ウィンで合計得点140点、有効得点105点の満点を獲得。これを上回る可能性を持った選手は誰もおらず、2024シリーズのチャンピオンは、残る第5戦/第6戦の結果を待つことなく酒井選手に確定した。





全日本カート選手権FP-3部門 第3戦/第4戦

FP-3部門には13台が出走した。その第3戦決勝では、ポールからトップを行く寺島知毅選手に、終盤戦になって吉井亮仁選手が迫り、さらに残り2周で高島恒太選手も追いついてきた。
トップを目の前に捕らえた吉井選手は、最終ラップに寺島選手の前へ。しかし、寺島選手はふたつ先のコーナーでトップの座を取り返してこの戦いを制した。これで寺島選手は、新東京サーキットでの第2戦からの2連勝だ。
2位は寺島選手に続いて吉井選手をパスした高島選手のものに。初優勝にあと一歩と迫った吉井選手は3位に終わった。




第4戦の予選では、寺島選手がトップの座を守り続けて2戦連続の決勝ポールを獲得。2番手でゴールした吉井選手はプッシングのペナルティで12番手に降格となり、塚本聖成選手が2番手、高島選手が3番手に繰り上がった。
第4戦の決勝が始まると、先頭をキープして発進した寺島選手は、オープニングラップに勃発した背後のバトルを利して、3周で約0.7秒のリードを手に入れた。2番手にいた塚本選手は3周目のバトルでコースを外れてポジションダウン。代わって4番グリッドから2番手に上がった高木彪乃介選手は、寺島選手に0.4秒差まで迫ったところでスローダウンして無念のリタイアに。これで寺島選手は、2番手浮上の高島選手に対して1秒強のアドバンテージを得ることになった。
寺島選手と高島選手の差はレースが残り3分の1を切ってじわりと縮まったのだが、寺島選手は背後に安全な距離を保ったままゴールまで走り切って勝利を遂げた。これで寺島選手は3連勝、2戦連続のポール・トゥ・ウィンを飾り、ポイントリーダーとして残る中山大会に臨むこととなった。
高島選手は寺島選手から0.5秒弱の後れでチェッカーを受け、2戦連続の2位で暫定ポイントランキングの2番手につけた。その後方では、吉井選手がスタートから8周で9台を抜き去り3位でフィニッシュ。これで吉井選手は未勝利ながら4戦すべてで表彰台登壇を果たしている。




ジュニアカート選手権ジュニア部門 第3戦/第4戦(ラウンドシリーズ2)
同時開催のジュニアカート選手権ラウンドシリーズ2の第3戦/第4戦は、ジュニアカデット部門が不成立となり、ジュニア部門のレースが参加6台で行われることとなった。
その第3戦では、2023年のジュニアカデット部門王者の元田心絆選手が、ポールからの独走で初優勝を飾った。2位はジュニア選手権デビュー戦の高橋芽選手。2番グリッドからスタートでトップに立ち、3周で4番手に後退、そこから追い上げて最終ラップに2位浮上を果たした。序盤から2番手を走り続けた中野貴介選手は最終ラップにコースアウトを喫したが、そのダメージを1ポジションダウンに留めて3位でゴールした。




第4戦ではスタートで2番グリッドの高橋選手がトップに立ち、ポールの元田選手は3番手まで後退した。しかし、元田選手はすぐ2番手に戻ると、1秒以上先を行く高橋選手を追い詰めて大集団でのトップ争いに持ち込み、中盤以降の中野選手とのバトルにも競り勝って2連勝を遂げた。これで元田選手はポイントリーダーに浮上だ。
中野選手はたびたびラップリーダーに立ち、自己最上位の2位でフィニッシュ。それに続いて織田大和選手がチェッカーをくぐり、第2戦に続く3位入賞を果たした。




フォト/JAPANKART、今村壮希、長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部