反撃の狼煙! 全日本ジムカーナ選手権 第5戦スナガワラウンド

レポート ジムカーナ

2024年7月2日

全日本ジムカーナ選手権 第5戦「北海道オールジャパンジムカーナ」が6月22~23日に、北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワ ジムカーナコースで開催された。今シーズンの開幕戦&第2戦のもてぎラウンド同様に22日が第5戦、翌日の23日が第6戦の2連戦だ。

2024年JAF全日本ジムカーナ選手権 第5戦「北海道オールジャパンジムカーナ」
開催日:2024年6月22日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ジムカーナコース(北海道砂川市)
主催:C.S.C.C.、AG.MSC北海道

 全10戦が組まれている今年の全日本ジムカーナ選手権は、第5戦がシーズンの折り返しとなり、第6戦で後半戦へと突入する。各クラスのチャンピオン争いが激化する中、後半戦に向けてこの2連戦の結果が大きく影響することとなる。

 曇り空となった22日の第5戦。午前中はほとんど太陽が顔を出すことはなかったが、午後には時折日が差して路面温度も上昇するコンディションとなった。各クラス上位の決勝タイムは両ヒートで大きく変わらず、第1ヒート、第2ヒートとも0.01秒を競う緊迫した戦いが繰り広げられた。

 カートコースを周回するコースセクションは路面の舗装が粗く、ターンセクションが設定されたパイロンセクションは目が細かい舗装。 今回は、ターンセクションが例年よりもシンプルな一方、コースセクションはスタートから1コーナまでのストレート以降は、これまで全日本ではあまり設定されることがなかった細かなコーナーが連続するテクニカルレイアウトが設定された。

 タイヤは、開幕戦&第2戦のもてぎラウンドと同様に、2戦で1セット4本のみに限定。タイヤの選択肢が広いBC1~3クラスでは、2日間を見込んだタイヤ選択に、出走直前まで頭を悩ませる選手もいた。

オートスポーツランドスナガワのジムカーナコースはセクションによって路面が大きく異なるのが特徴だ。

PN2クラス

 ロードスターワンメイク状態となっているPN2クラスは、開幕2連勝のSHUN選手がランキングトップ、第4戦名阪優勝の中田匠選手が僅差の2ポイント差で2番手、今季未勝利ながらも小林規敏選手がトップのSHUN選手と7ポイント差で3番手と、この第5戦までチャンピオン争いは僅差の勝負が続いている。

 迎えた第5戦は、第1ヒート2番手の小林選手が「第2ヒートは路面温度が上がって、タイヤの良いところをうまく使えることができたと思います」とベストタイムを更新。昨年のスナガワラウンド以来、1年ぶりの優勝を飾るとともに、シリーズランキングもトップに立った。

 2位は第1ヒートのトップタイムをマークした小野圭一選手が獲得。3位には「上の2人にはかないませんでしたが、スナガワはあまり慣れていないコースなので、木曜日と金曜日にたくさん練習しました。その成果が出たと思います」という中田選手が入賞し、シリーズでは今回4位に入賞したSHUN選手と同ポイントの2番手に並んだ。

PN2クラス優勝は小林規敏選手(BS☆XPL☆EXロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から2位の小野圭一選手、1位の小林選手、3位の中田匠選手。

PN3クラス

 大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)がこの第5戦まで3勝を挙げ、シリーズを大きくリードしているPN3クラス。昨年の覇者であるユウ選手(マツダ・ロードスターRF)が第1ヒートのタイムで逃げ切り、待望の今季初優勝を獲得した。

 2位には、「第2ヒートはコースレイアウトに合わせて運転の仕方を変えました」という川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)が、第2ヒートで順位をひとつ上げて入賞、3位は「決勝に向けてなかなかうまいセットが出ませんでした」というシリーズランキングトップの大多和選手が獲得。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の黒水泰峻選手、2位の川北忠選手、1位のユウ選手、3位の大多和健人選手、5位の山口克之選手、6位の久保真吾選手。

BC1クラス

 開幕2連勝の西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)と、沖縄からシリーズ参戦している神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)のふたりが第1ヒートで1分13秒台のタイムをたたき出したBC1クラス。だが神里選手は第2ヒートで0.028秒タイムを落とすことに。

 その一方で、橋本克紀選手(ホンダ・シビック)は、西井選手が第1ヒートでマークしたベストタイムを0.087秒更新してくる。西井選手も第2ヒートで自己タイムを0.024秒タイムを上げてくるが、橋本選手のタイムには0.063秒届かなかった。

「第1ヒートはミスコースしかけてしまいましたが、そこまでの中間タイムはベストが出ていましたので、第2ヒートも自信を持って走りました」という橋本選手が、今季初優勝を飾った。2位に西井選手、3位に神里選手がそれぞれ入賞した。

BC1クラス優勝は橋本克紀選手(メカスタBS桐生鈑金シビック)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の日部利晃選手、2位の西井将宏選手、1位の橋本選手、3位の神里義嗣選手、5位の合田尚司選手、6位の宮本雅樹選手。

BC2クラス

 若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が開幕4連勝を挙げているBC2クラス。今シーズン未勝利の3年連続チャンピオンである広瀬献選手(ホンダ・S2000)にとって、後半戦に向けてなんとかこの2連戦で巻き返しを図りたいところ。第1ヒートはその広瀬選手が若林選手に0.829秒差をつけてトップに立つ。

 だが広瀬選手の第2ヒートはわずか0.003秒タイムダウンに終わる。クラス最終走者の若林選手に逆転のチャンス到来かと思われたが、その若林選手もタイムダウンに終わり、広瀬選手が待望の今季初優勝を飾った。

「短いインターバルのなかでいろいろやってきて、少し噛み合うようになりました。今シーズン、一番気持ち良く走ることができました」と広瀬選手。2位は若林選手で、3位には「第1ヒートは前日の練習走行のときよりもグリップ感がなく、少し戸惑いました」という渡辺公選手(ホンダ・CR-X)が入賞した。

BC2クラス優勝は広瀬献選手(WMマロヤBS林歯科S二千亜舎)。
BC2クラスの表彰式。左から2位の若林拳人選手、1位の広瀬選手、3位の渡辺公選手。

PE1クラス

 今季3勝を挙げているPE1クラスの山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)が第1ヒートで記録したベストタイムを第2ヒートで他の選手が誰も更新することができず、山野選手が第2ヒートを走行する前に今季4勝目が確定。さらに、第1ヒートのベストタイムを山野選手自身が第2ヒートで更新するという完璧な内容だった。2位には第4戦名阪ラウンド優勝の大橋政哉選手(アルピーヌ・A110S)が入賞、3位は古谷知久選手(ポルシェ・911GT3 RS)が獲得し、第2戦もてぎ以来となる表彰台の一角をつかんだ。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110R)。
PE1クラスの表彰式。左から2位の大橋政哉選手、1位の山野選手、3位の古谷知久選手。

PE2クラス

 PE2クラスは、両ヒートでベストタイムを刻んだ高屋隆一選手(スバル・BRZ)が、第2戦もてぎ以来となる今季2勝目を獲得。その高屋選手とダブルエントリーでこの2連戦に挑み、第1ヒートは2本のパイロンペナルティを計上してクラス最下位に沈んだ河本晃一選手(スバル・BRZ)が、第2ヒートでしっかりリカバリーして2位に入賞。

 シリーズランキングトップの下村渉選手がこの2連戦をスキップしたため、シリーズランキングでは1ポイント差で河本選手がトップに躍り出た。3位には、第3戦からPE2クラスに移ってきた大川裕選手(フォルクスワーゲン・ポロGTI)が、移籍後初の表彰台を獲得した。

PE2クラス優勝は高屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)。
PE2クラスの表彰式。左から2位の河本晃一選手、1位の高屋選手、3位の大川裕選手。

PN1クラス

「第1ヒートはミスが多かったけど、その中でうまく攻め切ることができた」という朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り今季4勝目を獲得したPN1クラス。今回、2位に入賞した斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)とのシリーズポイント差を29ポイントに広げた。1分17秒台の攻防戦となった3位争いは、第2ヒートで1分16秒台にタイムを乗せた阪本芳司選手(トヨタ・ヤリス)が、開幕戦以来となる3位表彰台を獲得。

PN1クラス優勝は朝山崇選手(DLETP・BPFヤリスITO)。
PN1クラスの表彰式。左から2位の斉藤邦夫選手、1位の朝山選手、3位の阪本芳司選手。

PN4クラス

 PN4クラスは、第3戦からトヨタ・GRヤリスGRMNを投入して第4戦まで2連勝を挙げた奥井優介選手が、第1ヒートではクラス唯一となる1分11秒台のタイムをマークしてトップに立つ。第2ヒートは、さらにベストタイムを更新。

 第1戦と第2戦を制した津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が第2ヒートで1分11秒台にタイムを乗せてくるが、奥井選手のタイムには届かず。両ヒートを制した奥井選手が今季3勝目を挙げた。2位に入賞した津川選手は、シリーズランキングトップの座を死守。3位は「前日の練習走行から、コースと走りのリズムが合わない。調子が悪い中で、なんとか3位を確保することができました」という松本敏選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が獲得した。

PN4クラス優勝は奥井優介選手(DLATSRSK茨トヨヤリス犬)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の折茂紀彦選手、2位の津川信次選手、1位の奥井選手、3位の松本敏選手。

BC3クラス

 BC3クラスは、菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が、クラス唯一となる1分10秒台のタイムでトップに立つ。第2ヒートは、大橋渡選手がタイムアップを果たすものの、1分10秒台には届かず。一方、第1ヒートのタイムで優勝を決めた菱井選手は、第2ヒートもベストタイムを0.111秒更新。今季2勝目を挙げ、シリーズポイントでも大橋選手と同点トップに立つ結果となった。

 2位に大橋選手、3位に「練習走行から調子が良く,今日もミスはあったけれど自分なりに頑張りました」という佐藤英樹選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞した。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から2位の大橋渡選手、1位の菱井選手、3位の佐藤英樹選手。

フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ