雨天のスーパーフォーミュラ第3戦は赤旗終了で野尻智紀選手が今シーズン2勝目
2024年6月28日
全日本スーパーフォーミュラ選手権の第3戦が宮城県村田町のスポーツランドSUGOで開催された。予選ではTEAM MUGENが熾烈なポールポジション争いを演じ、チームメイトを下した野尻智紀選手が今シーズン初ポールを獲得。一夜明けた決勝日は朝から雨に見舞われ、フリー走行からクラッシュが続発。決勝レースはスタートから14周で赤旗終了となり、ポールシッターの野尻選手が今季2勝目を飾ることとなった。
2024年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第3戦
開催日:2024年6月21~23日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SSC
開幕戦、第2戦ともにドライバー変更となっているITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車は、今回も新ドライバーがステアリングを握ることになった。昨年、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦しランキング2位となった平良響選手だ。平良選手は、このSUGOラウンドでスーパーフォーミュラデビューを果たす。
その平良選手は走り出しとなる予選日のフリー走行では16番手とまずまずのスタートを切った。このフリー走行でトップタイムを記録したのは昨年のポールシッター、大湯都史樹選手(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)で、2番手の福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)に約0.29秒差をつける。
予選
気温31度、路面温度は50度を示す汗ばむ陽気の中で行われた公式予選は、TEAM MUGENが他を圧倒する。野尻選手がQ1のA組をトップタイムで突破すると、岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)も負けじとB組で同じくトップタイム通過を果たす。そしてポールポジション争いのQ2は2台が続けてのアタックとなった。
先を走る岩佐選手がセクター1で全体ベストタイムをマークすると、続くセクター2では野尻選手がベストタイムを奪い、セクター3は岩佐選手のタイムを野尻選手が塗り替えるなど、TEAM MUGENの2台がずば抜けた次元の走りでタイムを削っていく。岩佐選手が先にコントロールラインを通過して1分5秒364をマーク。そして野尻選手は1分5秒244をマーク。岩佐選手を約0.1秒上回ってタイミングモニターのトップに躍り出た。
セクター4の全体ベストタイムをマークしたのは、前戦オートポリス大会で涙の初優勝を飾った牧野任祐選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だったが、前半のタイムが伸び悩み1分5秒633でTEAM MUGENの2台には届かず。逆に1分5秒500をマークした坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM'S)に3番手を奪われてしまった。フリー走行トップタイムでポールポジションを期待されていた大湯選手が5番手、山下健太選手(KONDO RACING)が6番手に入り、野尻選手の今季初ポールポジションが決定した。
決勝
真夏のような予選日が嘘のように、翌日の決勝日は朝からどんよりと分厚い雲が立ち込め、雨が降り続いた。併催の全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権決勝レースはセーフティカー(SC)でゴールを迎えたが、その後から雨脚が強くなっていく。
フリー走行は定刻にスタートしたものの、開始約5分で岩佐選手がクラッシュ。最終コーナーを立ち上がりホームストレートに入ったところで水に乗ってしまい、スピンしたままコンクリートウォールにヒットしてしまった。セッションはすぐさま赤旗が提示され中断。コース上の破損パーツを回収した後は、コースコンディションの回復を待ったが雨脚が弱まる気配はなく、セッションは再開ならず。タイム計測ができたのは21台中10台と半分にも満たなかった。
この状況によりレーススケジュールは変更に。当初は8分間だった決勝直前のウォームアップ走行が20分間に延長されることとなった。ところが今度は、そのウォームアップ走行で山本尚貴選手(PONOS NAKAJIMA RACING)がクラッシュしてしまう。最終コーナーの立ち上がりでリアが滑り、アウト側のガードレールにヒット。ドライバーが自力でマシンを降りる映像は映し出されたが、このアクシデントでウォームアップ走行は赤旗中断。
ガードレールの修復作業も行う必要があり、なかなかセッション再開のアナウンスはされなかった。このアクシデントから約1時間後、ウォームアップ走行は再開されない代わりに、グリッドへの試走がピットロードを通過することでコースの周回が可能となる10分間のレコノサンスラップへと変更になることが発表。15時を回ったところで各車がピットを離れグリッドへ。決勝レースはセーフティカー(SC)先導のもとスタートした。
SCが隊列を離れたのは5周を終えるころ。6周目からレーシングスピードでの戦いが始まった。トップ3に順位変動はなくコントロールラインを抜けていくが、その後方では雨と霧の中、小林可夢偉選手(Kids com Team KCMG)、阪口晴南選手(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)が3ワイドで1コーナーへ入っていくシーンも。
ここから激しいバトルが展開されるかと思われた矢先、後続でクラッシュが発生。今季ベストグリッドの8番手からスタートした大嶋和也選手(docomo business ROOKIE)が最終コーナーでスピンし、アウト側のタイヤバリアにぶつかっていたのだ。ドライバーの無事は確認されたものの、レースは再びSCが入ることとなった。
12周を終えてSCがピットロードへと向かい、2度目のリスタート。ここでは2番手の岩佐選手に3番手の坪井選手が迫り、バックストレートでテール・トゥ・ノーズにまで近づく。岩佐選手はマシンをふらつかせながらもなんとか坪井選手を抑え込みながら野尻選手を追いかけていく。
だがトップ3台が14周目に入ったところで、最終コーナーでまたもクラッシュが発生する。今度は12番グリッドからスタートした阪口選手で、山本選手や大嶋選手と同じような場所でガードレールにヒットしていた。コース上にパーツも散乱していたことからレースは赤旗が掲示され、いったん中断となった。
その後、天候の回復が望めず、ガードレールの修復にも時間がかかるということからレースの終了が決定される。トップ車両は14周目に入っていたところだが、レギュレーションにより12周終了時点の順位で正式結果とされ、野尻選手が優勝。2位に岩佐選手、3位に坪井選手というトップ3となった。レース周回数の70%に達していないことから選手権ポイントはハーフポイントが与えられることになり、野尻選手は予選ポイントと合わせて13ポイントを獲得。ランキングでは単独トップに浮上している。
フォト/石原康、大野洋介 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部