齋藤太吾選手が圧巻の2連勝! 奥伊吹の惜敗を覆して王座復権を誓う

レポート ドリフト

2024年7月5日

日本ドリフト選手権は開幕から約1か月半のインターバルを経て舞台を筑波サーキットに移し、第3戦と第4戦が開催された。前戦の奥伊吹大会で2戦連続追走部門2位の齋藤太吾選手が好調ぶりを発揮、2021年以来の優勝を遂げるとともに2勝目もつかんだ。

2024年日本ドリフト選手権
D1グランプリシリーズRd3/Rd4
筑波大会

開催日:2024年6月28~30日
開催地:筑波サーキット コース2000(茨城県下妻市)
主催:株式会社サンプロス

第3戦&第4戦

追走部門

 かつてD1グランプリだけでなく、アメリカのフォーミュラ・ドリフト、そしてフォーミュラ・ドリフト・アジアでシリーズチャンピオンを獲得した齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)は、2019年にデビューしたてのGRスープラを投入する。以降、今日までに1勝してはいるものの、ホイールベースが短いピーキーな特性からか、これまで苦戦しているシーンを見ることが多かった。

 ゆえに2024年はスーパーGTの元GT300マシンのAMG-GTをリメイクして投入する予定だったが、予想外の製作の遅れから、GRスープラでの参戦を余儀なくされた。しかしこれが正解だったのかもしれない。実はこのGRスープラ、2023年で通算3代目なのだが今年は2代目を復活させている。

「3代目はボディ剛性やジオメトリー的にもコントローラブルとは言えなかったんです。2代目の方が特性はマイルドかもしれません」とのことで、これが今年からサポートを受けることになったシバタイヤとのマッチングが良かったのだと言える。

 第1戦と第2戦の奥伊吹大会の追走部門で連続2位を獲得した齋藤選手は、今回の筑波大会で2連勝を果たし、まさに破竹の勢いでライバルたちを撃破した。第1戦で敗れた中村直樹選手(TEAM VALINO × N-STYLE)とは準決勝で、そして第2戦で敗れた日比野哲也選手(SHIBATA RACING TEAM)とは決勝戦で対決して連続勝利と、これほどまでに完璧なストーリー展開は本人も予想していなかったに違いない。

 2008年、そして2016年にシリーズチャンピオンを獲得した後、ランキング首位からしばらく遠のいていた眠れる獅子は、今回の勝利で通算19勝となり、D1グランプリ歴代トップの最多勝利の座も獲得している。GRスープラでの参戦の第一人者は、GRスープラで初のチャンピオンを目指すこととなった。

 ここ数年多かったマシントラブルやクラッシュ(攻めすぎたことでの接触)も筑波ラウンドでは起きず、チーム運営兼ドライバーとしてなにか心境変化があり、それが走りにいい方向で影響したのではないだろうか。いずれにせよ、今季を制せばシバタイヤユーザーとしても初のタイトルとなる。8年ぶりの王座獲得をめざして「世界のダイゴ」にかかる期待は大きい。

第3戦は2本目の1コーナーで先行の上野高広選手のVERTEX elf LEXUS RC-Vがアクセルの不調によるスローダウンとなり、ドリフトを再開することができず、齋藤太吾選手(GR SUPRA)が2021年の第1戦ぶりに優勝を遂げた。
齋藤選手は第4戦も勝利したことでD1グランプリ通算19勝となり、川畑真人選手を抜いて最多記録を更新。開幕3連勝で年間5勝を挙げた2016年の驚異的な成績を彷彿とさせる活躍ぶりだった。
追突を恐れない追走が持ち味の齋藤選手。ゆえに自滅することも多いが、第1戦の決勝で敗れた中村選手との対戦となった第3戦は後追い点11.3を獲得する。
第2戦では決勝戦に進出するも、日比野哲也選手を相手にスタート直前のトラブルで走行できず2位。この奥伊吹ラウンドの借りを完璧に返した第4戦となった。
第3戦の優勝は齋藤選手、2位は上野選手、3位は中村選手、4位は田中省己選手、5位は田野結希選手、6位は村上満選手、7位は横井昌志選手、8位は日比野選手、9位は茂木武士選手、10位は森孝弘選手、11位は加納広貴選手、12位は藤野秀之選手、13位は岩井照宜選手、14位は目桑宏次郎選手、15位は内海彰乃選手、16位は田所義文選手。
第4戦の優勝は齋藤選手、2位は日比野選手、3位は川畑真人選手、4位は中村選手、5位は横井選手、6位は田中選手、7位はヴィトー博貴選手、8位は目桑選手、9位は米内寿斗選手、10位は藤野選手、11位は田野選手、12位は松山北斗選手、13位は山中真生選手、14位は蕎麦切広大選手、15位は田所選手、16位は茂木選手。

D1グランプリの“鉄人”が躍動!

シリーズ最年長の52歳であり、これまで23年の歴史を誇るD1グランプリで唯一の全戦出場者であることから、D1グランプリの鉄人の異名を持つ上野選手。ここで勝利すれば約20年ぶり、そして168戦ぶりの優勝(2勝目)となるところだったが、惜しくも追走部門2位。
スローダウンしてピットに戻り、トラブルの原因が分かった瞬間。電子制御スロットルの配線関係だろうか、アクセルやエンジンは無反応だった。ちなみに上野選手が駆るレクサスRCは出場者中で最重量。

第3戦

単走部門

 単走部門では98点台が3名と混戦模様の中、98.66点でトップを獲得したのが中村選手だ。第3戦で総合3位を獲得したことでランキングトップに躍り出るかと思いきや、さらに高得点を求めてギヤ比を変更した翌日の単走は97.04点で14位のあわや予選落ちの結果に。なお第4戦の練習走行ではDOSSで100点をマークしていたことで、中村選手本人も困惑しているようだった。

第3戦 単走部門優勝は中村選手(V8 VALINO N-STYLE SILVIA)。

第4戦

単走部門

 奥伊吹大会の第2戦で優勝した日比野選手は、第3戦が単走部門9位からの追走部門ベスト4敗退、そして第4戦では単走部門2位から決勝進出と確実に勝ち上がってきた。SHIBATA RACING TEAMとしては蕎麦切広大選手がエースの扱いだが、ここまでのランキングは12番手。一方の日比野選手は首位から19点差の2番手。今年はチーム内の順列が逆転するかもしれない。

第4戦 単走部門優勝は日比野選手(MOTUL GR86 SHIBATIRE 18)。

2戦連続の悲運に泣いた目桑宏次郎選手

第3戦は予選通過後のベスト16で直前にエンジン始動不能のトラブル、第4戦はルーキーの田野選手に後追い点12をマークして撃破したものの、続く準決勝で中村選手と対戦して1本目でコースアウト。そのときにビードが落ちて失格。E92投入の2年目で成績も上り調子だったにも関わらず不運な連戦となった。

TEAM TOYO TIRES DRIFTの憂鬱

トーヨータイヤ勢は第4戦でTEAM TOYO TIRES DRIFTとTEAM D-MAX RACINGを合わせて5台とも予選通過を果たす快挙だったが、最上位はエース川畑選手の追走部門3位。タイヤメーカーの順位争いでシバタイヤ&ヴァリノに後塵を拝する結果となった。

観客席で繰り広げられたタイヤメーカーバトル

サブスタンドにはタイヤメーカー別(トーヨー、ヴァリノ、シバ、ダンロップ)の席が用意された。勝敗に観客からの完成や拍手が湧き起こり、会場にはこれまで以上に一体感が生まれていた。

フォト/SKILLD レポート/SKILLD、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ