四国ダートラでPN+西岡章夫選手、N橋本充弘選手、SD2谷正史選手のチャンピオンが確定!

レポート ダートトライアル JAFWIM

2024年7月12日

2024年JAF四国ダートトライアル選手権の第4戦が、6月30日に香川県さぬき市の香川スポーツランドで開催された。今シーズンも全5戦のスケジュールが組まれている四国地区戦。なお、昨シーズンまでは全戦が香川スポーツランドで開催されてきたが、今シーズンの最終戦は、広島県安芸高田市のテクニックステージタカタで九州地区戦との併催が予定されている。

2024年JAF四国ダートトライアル選手権 第4戦
2024年JMRC四国ダートトライアルシリーズ 第4戦
「2024 OWL ほのぼのダートトライアル」

開催日:2024年6月30日
開催地:香川スポーツランド(香川県さぬき市)
主催:OWL

 四国地区戦のクラス区分は、昨シーズン同様全4クラスだが、PNクラスに変更が施され、2輪駆動のPN車両に加えて、2輪駆動の気筒容量1500cc以下のSA車両、SAX車両、ラリー車両(RJ車両を含む)も参加可能となり、クラス名もPN+クラスとなった。

「少しでも参加者を増やしたいという想いで、PN規定を外れている車両や、県外や他地区の方も気軽に参加できるように枠を広げました」と話すのが、ドライバーでもあるJMRC四国の萩原豪ダートトライアル部会長。

 これに加えて参加者を増やす策として取り入れたのが、レンタル車両での競技参戦だ。「タイヤ代やガソリン代も込みで、エントリーフィーと5000円ポッキリで競技に参加できます。特に初心者の方にダートトライアルを体験してもらいたくて企画したのですが、現役選手も含めて2名まで誰でもレンタル可能です」と萩原部会長。レンタル車両として用意されたのはMTのホンダ・フィット。テイン製の足回りを始め、LSDやロールケージ、バケットシートも装備されている。前回は、近畿地区からダートラ未経験が2名参加、今回はPN1+クラスに出場している豊岡明宏選手が、このフィットで参戦した。

 車両運搬の関係からレンタル車両で参加できるのは、香川スポーツランドで行われる競技会のみとなっており、今シーズンは今回で終了となったが、来シーズンも続けていく予定だ。

 シリーズは既に3戦を消化しており、後半戦に突入。梅雨時ということもあり、予報では当日の降水確率は50%。しかし、朝方は曇り空ではあったものの、日中は時折陽が射す蒸し暑い気温の中で競技が行われた。コースはウェットコンディションを考慮し、若干短めの設定となったが、前夜に降った雨の影響でコース上の至る所に水たまりやぬかるみが発生。これに加えて、競技の進行とともに深くなっていくワダチをどのように攻略していくかが勝負のカギとなった。

ダートトライアル仕様に仕立てられた“レンタル・フィット”を用意することで、競技参戦の敷居が一気に低くなった。
コース各所に水たまりやぬかるみが発生。路面は全体にウェットコンディションだった。
比較的スタンダードな印象のレイアウト設定。ウェットコンディションを考慮して短めの設定となった。

PN+クラス

 PN+クラスは、マツダ・デミオで参戦の白形利文選手が第1ヒートをトップで折り返す。一方、今シーズン2勝を上げてポイントリーダーに立っている西岡章夫選手はATのスズキ・スイフトスポーツを投入するも、最終のターン区間で失速してしまい4番手と出遅れる。そして第2ヒート。白形選手は約3秒のタイムダウンに終わり、自己タイムを更新することができない。このチャンスを活かしたかった西岡選手だが3番手タイムに終わり、白形選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。

「今回はラリーの練習ということで参加しました。ダートトライアルは何十年振りかな?といったところです。第1ヒートは、どこで何をしていたのか分からない状態で走ってましたので、第2ヒートは色々と策を練ったのですが、全て裏目に出てしまいタイムを上げられませんでした。余計なことを考えてはダメなんだということが良く分かりました(笑)」という白形選手は、JAF中四国ラリー選手権を戦うラリードライバー。スポット参戦のダートトライアルで優勝を決めた。

 2位は、「2週間前の練習会で、(レンタルカーの)フィットを運転させてもらったのですが、自分のデミオよりも速いなと思って(笑)今回レンタルしました。足回りも良いですし、ブレーキもよく止まりますし結構良いなと感じてます」とレンタル車両で参戦した豊岡選手。

 そして西岡選手は今回の3位でチャンピオンが確定した。「勝って決めたかったけどね(笑)。今回から本格的にAT車での競技となったけど、第1ヒートは何かの制御が介入したらしくエンジンが吹けなくなってしまった。第2ヒートは制御が入らないように、フルブレーキを避けたり大廻りして、デフもオープンなのでアクセルコントロールでなるべく空転を抑えたりしながら走りました」と、今回の走りを振り返り、続けて「ここ(香川スポーツランド)は性に合うというか、好きなコースで4年前から遠征してます。今年は2勝しましたが、クルマに乗せられてるっていう感じですね(笑)。地元の近畿地区は使用できる会場の問題がありますので、今後は四国以外にも遠征して、コースによってMTとATを使い分けていこうと思います」と、ここまでの経緯と今後について語った西岡選手。近畿地区から毎戦遠征し、初の地区戦チャンピオンを獲得した。

PN+クラス優勝は白形利文選手(IRWデミオ)。
2位は豊岡明宏選手(萩原様提供レンタルフィット)、3位は西岡章夫選手(TAKUMI CATSスイフト)。
PN+クラスの表彰式。左から2位の豊岡選手、1位の白形選手、3位でチャンピオン確定の西岡選手、4位の松原健一選手。

SD1クラス

 優勝者が毎戦変わり、シリーズ争いが混戦となっているSD1。その第1ヒートでトップタイムをマークしたのが、昨シーズンはPNで二連覇を決めると最終戦からこのクラスに移籍し、今シーズンの第2戦でSD1初優勝を果たした萩原豪選手。2番手には開幕戦の覇者、ポイントリーダーの田川知明選手。そして3番手に第3戦を制したディフェンディングチャンピオンの谷芳紀選手と続く。

 そして注目の第2ヒート。萩原選手は中間計測地点では第1ヒートとほぼ同タイムで通過するものの、後半区間で伸び悩み約1.8秒のタイムダウンを喫してしまう。ここでトップを奪いたい谷芳紀選手は3秒以上のタイムアップを果たすも、萩原選手に1.2秒及ばず2番手。田川選手も第2ヒートは大幅なタイムダウンとなってしまい、萩原選手が第1ヒートのタイムで優勝、今季2勝目を挙げた。

「最近は第1ヒートのタイムで勝負が決まることが多く、特に今回、第2ヒートは路面がヌルヌルになって、FF車ではタイムアップは期待できないと思ってましたので、第1ヒートから本気で攻めました」と、萩原選手。2位に終わった谷芳紀選手は「ラインを外してしまったところも多く、第1ヒートの自己タイムは更新できるけど、トップタイムに届くかなと思って走りました。今一歩攻めきれませんでしたね」と振り返った。そして未だポイントリーダーを保持している3位の田川選手は「運良くシリーズはトップですが、このクラスの本命は、谷(芳紀)選手と萩原選手なので(笑)。第2ヒートはアウト側のフカフカにのってしまい失敗してしまいました」と、悔しいコメントを残した。

 この結果、シリーズ順位は萩原選手が谷芳紀選手を抜いて2位に上がったが、チャンピオンの行方は最終戦のタカタラウンドに持ちこされることになった。

SD1クラス優勝は萩原豪選手(菓舗ふくおかDLフジイスイフト)。
2位は谷芳紀選手(CMSCホワイツアスティRX)、3位は田川知明選手(フジイ自動車・ちあきブーンX4)。
SD1クラスの表彰式。左から2位の谷芳紀選手、1位の萩原選手、3位の田川選手。

Nクラス

 開幕から3連勝と、横綱相撲を取り続けているNクラスの橋本充弘選手。今回も第1ヒートから2番手以降を大きく引き離し、第2ヒートでもタイムアップを果たし、危なげなく優勝を飾った。

「第1ヒートでミスが3、4カ所あったので、それをなくせば第2ヒートは3秒位タイムアップするだろうと思っていたのですが、大きなミスもなく、路面も良くなっていたにも関わらず、コンマ5秒しか上がらなかったのは反省点ですね」と、橋本選手。走りの内容には課題が残ったようだが、この勝利で今シーズンの満点チャンピオンを決めた。

「これまで4~5年落ちの中古タイヤをだましだまし使っていたのですが、今シーズンはフル参戦するということで新品タイヤを用意しました(笑)。満点でチャンピオンを獲れたのはそのおかげですね。JAFのタイトルは決まりましたが、JMRCのG1クラスはSD2クラスの谷(正史)選手との最終戦勝負に持ち越したので、負けないよう頑張ります」とJAFタイトルは決めた橋本選手は、JMRCとのダブルタイトル確定に向けて意気込みを語った。

Nクラス優勝は橋本充弘選手(ランサーです)。
2位は吉川直毅選手(ランサー)、3位は池田善久選手(竹下ランサー)。
Nクラスの表彰式。左から2位の吉川選手、1位でチャンピオン確定の橋本選手、3位の池田選手。

SD2クラス

 タイムアップ合戦となった第2ヒートのSD2クラスで、オーバーオールタイムを叩き出し優勝を遂げたのが、SD1から移籍した谷正史選手。今シーズン、ディフェンディングチャンピオンの梶田昌弘選手がシーズン全休となったが、王者不在の中で谷正史選手はその穴を埋めるべく開幕から3連勝。そして今回4勝目を上げ、満点チャンピオンを達成した。

「第2ヒートは、タイムアップは狙いましたが、まさかこんなに上がるとは思いませんでした(笑)」という谷正史選手は、1分43秒台で第1ヒートからトップに立っていた。が、第2ヒート、松原宏選手がそのタイムを約0.2秒更新したのを皮切りに、続く岩見文輝選手が1分42秒台、そして豊田薫選手が1分41秒台と、続々とトップタイムを塗り替えた。だが、ラストゼッケン谷選手は1分36秒台と、約7秒も自己タイムを更新。圧倒的なタイム差をつけての勝利となった。

「(前走の)Nクラスの橋本選手のタイムがあまり上がらなかったので、それより少しでも良いタイムを出そうと思って走ったのですが、全て上手く噛み合ったのだと思います」と戦いを振り返った谷選手。そして、「久しぶりの4WD車ということで、以前乗っていた4WD車に比べると小回りは効くし、乗りやすい面はありますが、毎戦上手く乗りこなせていたわけではなく、常に課題はありました。クルマに救われましたね(笑)。満点チャンピオンは上出来です。梶田選手から『チャンピオン獲りよ!』と言われてましたので、それが達成できて良かったです」と、チャンピオン獲得について笑顔でコメント。最後に「梶田さん、来シーズン待ってます!」と昨シーズンのチャンピオンへのエールを送った。

SD2クラス優勝は谷正史選手(フジイ自動車ランサー)。
2位は豊田薫選手(トヨティンランサー)、3位は岩見文輝選手(IRW岩見自動車ランサーSAC)。
SD2クラスの表彰式。左から2位の豊田選手、1位でチャンピオン確定の谷正史選手、3位の岩見選手、4位の松原宏選手、5位の生田博選手、6位の山平実選手、7位の武内有加選手、8位の和氣哲弘選手。

フォト/友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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