2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第13戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2024」の大会概要が発表。新ステージが恵那に新設され、新城や三河湖は生まれ変わる!

ニュース ラリー

2024年7月23日

約54万人の動員を数えた2023年のWRCラリージャパン。3回目となる2024年大会は11月21~24日にWRC第13戦(最終戦)として開催される予定で、このたびラリーガイド1の発行と共に大会概要が発表された。

「FIA世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2024 大会概要発表会」
開催日:2024年7月17日(水)
開催地:豊田スタジアム・インタビュールーム(愛知県豊田市)
「FIA世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2024 メディアブリーフィング」
開催日:2024年7月22日(月)
開催地:日本自動車会館くるまプラザ第1会議室(東京都港区)
主催:ラリージャパン2024実行委員会

7月17日にラリージャパン2024の大会概要を発表

ラリーガイド1が発行された7月17日、フォーラムエイト・ラリージャパン2024の大会概要発表会が、2023年大会でスーパーSSに使用された豊田スタジアムにて開催された。

 地元のトヨタ勢が上位3位を独占し、また日本人唯一のWRCワークスドライバー、勝田貴元選手が連続SSトップタイムを記録するなど、大きな盛り上がりをみせた2023年のフォーラムエイト・ラリージャパン。2024年も愛知県と岐阜県を舞台に11月21日(木)から24日(日)に開催される。

 開催まで残り4か月となった7月17日には、エントラント向けの「ラリーガイド1」が発行され、2023年のスーパーSSが行われた豊田スタジアムのインタビュールームでは、同じく7月17日に2024年大会の「大会概要発表会」が開催された。

 この発表会では、ラリージャパン2024実行委員会の会長を務める豊田市の太田稔彦市長と、副会長を務める恵那市の小坂喬峰市長が登壇。2024年大会の総合司会を務める予定のレースアナウンサー・ピエール北川氏が発表会のMCを担当し、2023年大会を戦った新井敏弘選手や梅本まどか選手もゲストとして登場した。

 初めに太田会長から、2023年大会に引き続き2024年も「ENJOY! RALLY JAPAN」を大会コンセプトに開催されることが発表された。コアなファンにはこれまで以上にラリージャパンを楽しんでもらい、これからラリーを知ってもらうライトなファンには親しみやすく、いろいろな楽しみ方ができる大会を目指していくとのことだ。

 また、コースは豊田スタジアムでのスーパーSSを皮切りに合計10か所21本のスペシャルステージが設定されることを発表。「昨年の目玉であった豊田スタジアムでのスーパーSSを、今年も2台のラリーカーが同時スタートするデュアル方式で行われます。また、昨年のコースと比較して、皆さんがチャレンジ精神をもって大会に参加できるように、チャレンジングなステージを3つ追加します」という発表もあった。

 この3つのSSについては小坂副会長により説明があり、岐阜県恵那市にある「恵那笠置山モーターパーク」と周辺林道を使った15km程度の「笠置山(かさぎやま)SS」が新たに追加されることになった。そして「新城SS」については、2023年の本宮山スカイラン周辺ではない、新しい別のエリア(作手・つくで)で行われることも発表された。

 そして「三河湖SS」では、2024年大会は「パワーステージ」が行われることも発表。2023年とは逆走のレイアウトで「単なる逆走ではなく、後半は新設のルートとなる予定です。”神(じん)ジャンクション”として有名な熊野神社を背に駆け抜けるラリーカーを楽しんでほしいですね」との補足があった。

 また「岡崎SSS」については、2024年大会でも岡崎中央総合公園内を走るものの「レイアウトが変更されます。そして、18時30分から開催され、ナイトステージとして開催する予定です。昨年とは違った楽しみをしてほしいですね」と語っている。

 続いて、観戦チケットやホスピタリティ・プログラムの説明があり、豊田スタジアムでのスーパーSSの1階席の観戦チケットが15,000円から9,000円へと値下げされたことがトピックスとなる。これは「新たにラリー楽しみたい方へ向けて求めやすい価格に設定した」とのことで、21日(木)での豊田スタジアムでの座席指定席を購入された方には特製のハッピがプレゼントされる特典もあるという。

 そして、子供たちの無料招待も実施される。3歳から中学生以下の子供を、豊田スタジアムSSSは先着1万名、岡崎SSSには先着1千名で招待される。ただし、子供だけでの入場は不可で、有料チケットを持つ大人との同伴による観戦が条件となるので注意が必要だ。

 併せて2024年大会のキービジュアルも発表された。テーマは「日本から世界にワクワクを」。ラリーの臨場感と日本の伝統や里山風景を取り入れたデザインで、日本の伝統色であり、海外では「ジャパン・ブルー」として人気の藍色をベースとし、日本の季節をオレンジの里山と紅葉で表現するとともに、開催地の愛知県と岐阜県のシルエットを林道に溶け込ませて、開催前から楽しんでいただけるデザインを目指したそうだ。

 また、2024年大会ではラリー競技以外のコンテンツの充実も図られるという。ラリーが始まる21日(木)には航空自衛隊 第11飛行隊 ブルーインパルスの展示飛行が行われ、豊田スタジアムでのスーパーSSが実施されない22日(金)には、コースウォークやフリースタイルモトクロスを開催。その他、豪華アーティストによるライブも開かれる。

 そして、2024年大会もタイトルパートナーを務める「フォーラムエイト」が、2023年に引き続きメタバースを活用した「FORUM8 Rally Japan Metaverse 2024」を実施する。

 2023年大会では、メタバースプラットフォームに豊田スタジアムSSSを走行体験できるゾーンや、関係6自治体の観光地を巡る自治体ゾーンを構築し、開催市町の小学生などにサービスを提供していたが、2024年は「こども」をテーマとし、対象を全国の小中学生に拡大。バーチャルラリー教室やラリーNFTという二つの新コンテンツを提供する。

 例年以上にエンターテインメントコンテンツが増えた理由として、太田会長は「ラリーそのものを楽しんでいただくことはもちろんですが、それ以外のさまざまなコンテンツも用意しました。家族で、老若男女を問わず幅広く、楽しんでいただける大会を目指していますので、一人でも多くのお客様に体験していただきたいです!」と語った。

 実行委員による概要説明の後には、新井選手と梅本選手、ピエール北川氏によるスペシャルトークセッションが行われた。ここでは、まずM-SPORTS FORD WRTのエイドリアン・フルモー選手やHYUNDAI SHELL MOBIS WRTのティエリー・ヌービル選手、TOYOTA GAZOO Racing WRTの勝田貴元選手、またWRC公式ライブ配信でおなじみのベックス・ウィリアムズ氏によるビデオメッセージが紹介された。

 トークセッションでは、ラリーJP4車両のスバルWRX S4で参戦する新井選手は「道が狭くて、落ち葉が積もっていて、雨や雪が降ったりで、本当に難しいラリーです。2年連続リタイアなので(苦笑)、今年は万全の準備をして完走したいです!」と目標を語った。

 コ・ドライバーとして参戦する予定の梅本選手は「新井選手と違って私たちは完走していますが(笑)」と、かなり強めのジャブを撃ちながら「ジムカーナコースからの山間部に入る笠置山SSが楽しみですね。コドラは道案内だけでなく、時間管理や燃費計算、時にはタイヤ交換など本当に忙しいんです。(私の)地元なので、ファンのみんなとお祭りとして楽しみながら、3年連続で表彰台に乗れるように頑張ります」と意気込みを語った。

フォーラムエイト・ラリージャパン2024実行委員会の太田稔彦会長が大会概要を説明。
日本の伝統色”ジャパン・ブルー”を基調とした2024年大会のキービジュアルも発表。
実行委員会の小坂喬峰副会長から笠置山(かさぎやま)ステージの新設が明らかにされた。
2024年大会では豊田スタジアムの観戦料金の変更があり、公式グッズも公開された。
今年もフォーラムエイトによる「FORUM8 Rally Japan Metaverse 2024」が実施される。
ゲストの新井敏弘選手と梅本まどか選手、ピエール北川氏によるトークセッションも実施。
2024年も東海地区のテレビ局5社のアナウンサーによる「応援サポーター」が盛り上げる。

東京都港区では7月22日に「メディアブリーフィング」を開催

一般社団法人日本自動車連盟も入る東京都港区の日本自動車会館では、WRCラリージャパンを取材予定のメディアを対象とした「メディアブリーフィング」を開催した。

 7月22日(月)には、東京都港区にある日本自動車会館にて、ラリージャパン2024の取材を予定しているメディア向けのブリーフィングが開催された。このイベントでは、タイトルパートナーであるフォーラムエイトから代表取締役副社長の武井千雅子氏らが出席。「FORUM8 Rally Japan Metaverse 2024」の詳細発表があった。

 同社では「F8VPS」という独自プラットフォームを用いてメタバース技術を活用したラリー振興プログラムをラリージャパン開催に併せて実施しているが、2024年大会では前述した通り、「こども」をテーマとした「バーチャルラリー教室」と「ラリーNFT」サービスを新たに提供することになった。

 バーチャルラリー教室では、これまで開催市町の小学生を主な対象とした、リアルな「ラリー教室」を実施してきたが、2024年はさらにメタバースを活用して、全国の小中学生に対象を拡大して、楽しくラリーや交通安全を学ぶ場を設けることになった。

 進行役は同社のCMでもおなじみ、お笑い芸人のパックンマックンを起用し、2023年大会や全日本ラリーにも参戦する清水宏保選手と、コ・ドライバーとして全日本ラリーなどで活躍する槻島もも選手をゲストに迎えてラリーを学んでいくという内容だ。

 開催日時は10月27日(日)で、14時からと15時30分からの2回。各回の定員は40名で、2024年9月からラリージャパン2024公式サイトにて申し込みを開始する。参加費は無料。

 ラリーNFTについては、ラリージャパンのリアルなSS会場やメタバースの各シーンを巡ってパーツNFTを獲得し、宝探しやクイズで100以上のパーツNFTを入手して、オリジナルラリーカーを完成させるコンテンツとなっている。

完成したラリーカーはメタバース内でコレクションしたり展示することが可能で、メタマスク(トークンを保管できるソフトウェア・ウォレット)を通じてオープンなNFTマーケットに展開することも可能となっている。参加費は無料で詳細は順次発表される。

 武井副社長は「もともとラリーは全国イベントですよね。でも、地域に根ざしすぎている印象もあって、もっと全国でラリーを見ていただいて、全国で盛り上げていただければいいなという思いがありました。まだまだラリーを知らない方がたくさんいらっしゃるので、そういう方たちに少しでも分かっていただけることを目指しています」と語る。

 そして「メタバースという技術はそういうときに威力を発揮するので、(ラリー開催がない)東京の方々を始め、いろいろな方々にラリーを知っていただき、モータースポーツそのものが盛り上がってくれることを望んでいます。『モータースポーツが発展している国は交通事故が少ない』と聞いてますし、モータースポーツの発展が、私達が手掛けている自動運転などにも必要なことだと捉えておりますから」と、思いを語ってくれた。

大勢のメディア・関係者が詰めかけた会場で、2024年大会の詳細が発表された。
ラリージャパン2024実行委員会の中神泰次事務局長を始め、同事務局の今村友幸氏や、オーガナイザーであるM.O.S.C.O.にて競技事務局を務める高橋浩司氏らが登壇した。
ブリーフィングにはフォーラムエイトの代表取締役副社長である武井千雅子氏も出席し、今大会に向けた同社によるラリー競技の認知度向上に寄与する取り組みを解説した。
フォーラムエイトは将来有望な選手育成を目的に「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」という顕彰制度を設定しており、選手に贈られるトロフィーの実物も展示された。

PHOTO/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、大野洋介[Yousuke OHNO] REPORT/遠藤樹弥[Tatsuya ENDOU]、JAFスポーツ編集部[JAFSPORTS]

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