全日本ジムカーナ選手権 第7戦でPE1クラスの山野哲也選手が24回目のチャンピオン確定!

レポート ジムカーナ

2024年7月26日

全日本ジムカーナ選手権 第7戦「Super Gymkhana in IOX-AROSA」が、7月20~21日に富山県南砺市郊外のイオックスアローザスポーツランドで開催された。同会場での全日本開催は、2022年大会以来2年ぶりとなる。

2024年JAF全日本ジムカーナ選手権 第7戦「Super Gymkhana in IOX-AROSA」
開催日:2024年7月20~21日
開催地:イオックスアローザスポーツランド(富山県南砺市)
主催:ABC

 今大会の舞台は、スキー場の駐車場を利用したコースで、今年の3月に栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎ南コースで行われた開幕戦と第2戦の2連戦以来となる、フルパイロンコースが設定された。

 冬の期間にこの駐車場に溜まった雪を融雪するために設けられたコース中央の排水溝を挟んで、前半セクションと後半セクションに仕切られたコースは、5か所のパイロンターンを設定。さらに、ゴール前にはダブルフリーターンが設けられた。全日本でダブルフリーターンが設定されるのは、2018年の第4戦以来、6年ぶりとなる。

 今回はこのゴール前に設定されたダブルフリーターンが鬼門となり、パイロンペナルティを受けた選手やバックギヤに手がかかる選手、ターンを小さく回ろうとしてフリーターンのゲートパイロンを通過せずにミスコースの判定を受ける選手が続出。勝敗に大きく影響することとなった。

 参加台数は、全クラス合わせて139台が出走。前日に行われた公開練習では、突然の大雨や突風に見舞われる不安定な天候となったが、決勝当日は真夏の太陽が路面を照りつけ、気温は36度まで上昇。路面温度が50度弱まで上がるという、クルマにとってもタイヤにとってもドライバーにとっても過酷な条件での勝負となった。

ゴール直前のダブルフリーターンが勝負の分かれ目になったクラスが多かった。

PE1クラス

 PE1クラスは、山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)が第1ヒートでベストタイムをマークしてトップに立つ。第2ヒートは、第1ヒート2番手の大橋政哉選手(アルピーヌ・A110S)がフリーターンでパイロンペナルティ。第1ヒート3番手で、今回はメルセデス・ベンツのメルセデス-AMG A45Sからポルシェ・911GT3に乗り換えてきた角岡隆志選手が、フリーターンでミスコース判定を受けた。両者ともタイムアップならず、第1ヒートのタイムで逃げ切った山野選手が今季6勝目を獲得し、早くも今シーズンのシリーズチャンピオンを確定させた。

「電気式パーキングブレーキのクルマなので、今回のフリーターンは最短距離を攻めるのではなく、最も効率の良い走行ラインを走りました。攻めるだけではなく、考えて攻略するというのもジムカーナの醍醐味のひとつ。楽しいコースでした」と山野選手。通算24回目となる全日本チャンピオン確定を、優勝で決める結果となった。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110R)。シリーズチャンピオンが確定した。
PE1クラスの表彰式。左から4位の深川敬暢選手、2位の大橋政哉選手、1位の山野選手、3位の角岡隆志選手、5位の牧野タイソン選手。

PE2クラス

 PE2クラスは、第5戦&第6戦のスナガワ2連戦をスキップした下村渉選手(トヨタ・GR86)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り、高屋隆一選手(スバル・BRZ)に並ぶ今シーズン3勝目を挙げた。2位に河本晃一選手(マツダ・ロードスターRF)が入賞し、シリーズポイントでは高屋選手を1点上回るランキングトップに浮上。3位には、第2ヒートでタイムを上げてきた有田光徳選手(マツダ・ロードスターRF)が入賞し、今シーズン2回目の表彰台を獲得した。

PE2クラス優勝は下村渉選手(DLαACWPリジットGR86)。
PE2クラスの表彰台。左から4位の高屋隆一選手、2位の河本晃一選手、1位の下村選手、3位の有田光徳選手、5位の芳賀絢音選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、第1ヒートでクラス14台中7台がパイロンペナルティを計上するという状況の中、今シーズン4戦目の出場となる長畑年光選手(トヨタ・ヤリス)が1分20秒640のトップタイムをマークする。第2ヒートは、第1ヒート2番手の井上賢二選手(トヨタ・ヤリス)が長畑選手と同じ1分20秒台にタイムを乗せてくるが、長畑選手には0.313秒届かず。

 このまま長畑選手が逃げ切るかと思われたが、第1ヒートはパイロンペナルティに終わった斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)が1分20秒147でベストタイムを更新。クラス最終走者の朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)も1分20秒台のタイムをたたき出すが、斉藤選手に0.106秒届かず。斉藤選手が今季3勝目を獲得した。2位に朝山選手、3位には第1ヒートトップの長畑選手が入賞した。

PN1クラス優勝は斉藤邦夫選手(ネッツ群馬ジースパイス ヤリス)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の井上賢二選手、2位の朝山崇選手、1位の斉藤選手、3位の長畑年光選手、5位の緒方崇之選手、6位の加田充選手。

PN2クラス

 マツダ・ロードスターのワンメイク状態となっているPN2クラス。第1ヒートは1分18秒台の攻防戦となり、今シーズンの第1戦と第2戦を制しているSHUN選手がトップタイムをマーク。地元の島倉正利選手が0.112秒差の2番手、そして今シーズンは第4戦名阪Cで2位に入賞している古田公保選手がトップから0.204秒差で3番手につける。

 第2ヒートは、ダブルフリーターンをいかにコンパクトかつ素早く曲がるかの勝負となったが、上位勢はここでミスコース判定になるか、曲がり切れずバックギヤを使って大きくタイムダウンするという結果に。最終的に上位勢は第1ヒートのタイムで逃げ切った。

 SHUN選手が今シーズン3勝目を挙げ、シリーズランキングもトップに浮上。2位には島倉選手が入賞し、全日本初表彰台を獲得、3位には古田選手が入賞し、今シーズン2回目となる表彰台の一角をつかんだ。

PN2クラス優勝はSHUN選手(BS XPL ロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の箕輪雄介選手、2位の島倉正利選手、1位のSHUN選手、3位の古田公保選手、5位の小野圭一選手、6位の前田清隆選手。

PN3クラス

 今シーズン4勝を挙げている大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)が、自身初となるチャンピオン獲得に王手をかけているPN3クラス。大多和選手を追いかけるディフェンディングチャンピオンのユウ選手(マツダ・ロードスターRF)、川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)とも、このラウンドを含めた残り4戦すべてを制さなければ逆転チャンピオンの道はないという状況の中、第1ヒートはユウ選手がダブルフリーターンをまるでひとつの円を描くような完璧な攻めで、1分15秒124のタイムをマーク。

 第1ヒートはパイロンペナルティに終わった川北選手が第2ヒートでリカバリーして2位、同じく第1ヒートは1分20秒台のタイムに終わった大多和選手も3位に食い込んでくるが、2位以下を1秒以上離す走りを披露したユウ選手が今シーズン2勝目を挙げ、逆転チャンピオン獲得に望みをつないだ。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の野島孝宏選手、2位の川北忠選手、1位のユウ選手、3位の大多和健人選手、5位の西野洋平選手、6位の安仲慶祐選手。

PN4クラス

 PN4クラスは、トヨタ・GRヤリスGRMNを投入した第3戦から第6戦まで4連勝を挙げている奥井優介選手が、両ヒートで1分14秒台のタイムをマークする安定した走りで5連勝を達成。シリーズランキングでもトップに躍り出た。2位には、この第7戦に最高出力が272psから304psに進化したマイナーチェンジ後のGRヤリスを投入した津川信次選手が入賞。3位には、2022年からGRヤリスに乗り換えた中国地区の佃真治選手が、GRヤリスでは初となる表彰台を獲得した。

PN4クラス優勝は奥井優介選手(DLATSRSK茨トヨヤリス犬)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の松本敏選手、2位の津川信次選手、1位の奥井選手、3位の佃真治選手、5位のいながわひろゆき選手、6位の折茂紀彦選手。

BC1クラス

 西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)と橋本克紀選手(ホンダ・シビック)と細木智矢選手(スズキ・スイフトスポーツ)がそれぞれ2勝ずつ挙げているBC1クラスは、細木選手がこのラウンドを欠場。第1ヒートでダブルフリーターンを最短&最速でクリアした東毅選手(ホンダ・インテグラ)が逃げ切り、全日本初優勝を獲得。2位には第2ヒートでリカバリーしたランキングトップの西井選手が入賞。3位には沖縄県からエントリーしている神里義嗣選手が入賞し、シリーズランキングも3番手に浮上した。

BC1クラス優勝は東毅選手(LM☆MJ☆S+YHインテグラ)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の橋本克紀選手、2位の西井将宏選手、1位の東選手、3位の神里義嗣選手、5位の佐野光之選手、6位の石澤一哉選手。

BC2クラス

 BC2クラスは、シリーズランキングトップの若林拳人選手(ロータス・エキシージ)が、第1ヒートでダブルフリーターンを完璧に攻めて、クラス唯一となる1分14秒台のタイムをマーク。第2ヒートは「もっと完璧に攻めようと思った」とフリーターンを果敢に攻めるも、ターン入口を規制するパイロンをリアが通過していないと判定され、ミスコースという結果に。それでも1分14秒台に突入する選手は皆無で、2位以下を大きく引き離す走りで今シーズン5勝目を獲得した。

 2位には、「NSXはホイールベースが長いので、フリーターンは最初から走行する距離は長くなるけど、確実にターンができる8の字を選択したことが、結果に結びついたと思います」という渡辺公選手(ホンダ・NSX)が入賞。3位には、全日本2戦目となる比嘉誠選手(ホンダ・S2000)が、「ミスが多く、反省することも多いのですが、なんとかタイムを残すことができました」と自身初となる表彰台を獲得した。

BC2クラス優勝は若林拳人選手(BS若自速心コ犬ZRエキシージ)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の藤井雅裕選手、2位の渡辺公選手、1位の若林選手、3位の比嘉誠選手、5位の金子進選手、6位の冨田好輝選手。

BC3クラス

 BC3クラスは、「みんな勝負どころはフリーターンと言っているけど、僕はほかのターンも含めて今日のコースはすごく面白く、攻めがいがあった」という菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が、第1ヒートのタイムで勝負を決め、今シーズン3勝目を獲得した。

 シリーズランキングトップの大橋渡選手(スバル・インプレッサ)は、第1ヒートの中盤でドライブシャフトが折れてタイムを残すことができなかった。が、第2ヒートでリカバリーして2位に入賞。「フリーターン以外の部分で負けている部分をなんとかしなければならない」という一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が3位に入賞した。この結果、シリーズランキングでは菱井選手と大橋選手がふたたび同点となり、次戦以降激しいトップ争いとなりそうだ。

BC3クラス優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の野中信宏選手、2位の大橋渡選手、1位の菱井選手、3位の一色健太郎選手、5位の飯坂忠司選手、6位の桃井守選手。

フォト/CINQ レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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