全日本ジムカーナ選手権 第8戦でPN4奥井優介選手の初チャンピオンが確定

レポート ジムカーナ

2024年8月30日

全日本ジムカーナ選手権 第8戦「SUGO ALL JAPAN GYMKHANA」が、8月17日に宮城県村田町のスポーツランドSUGOで開催された。全10戦で行われている今シーズンは、この第8戦と翌日に同コースで行われる第9戦の2連戦を含め、残り3戦となる。

2024年JAF全日本ジムカーナ選手権 第8戦「SUGO ALL JAPAN GYMKHANA」
開催日:2024年8月17日
開催地:スポーツランドSUGO 国際西コース(宮城県村田町)
主催:SRSC

 全日本ジムカーナ選手権の第7戦で、PE1クラスの山野哲也選手が早々と今シーズンのチャンピオンを確定させているが、今回の第8戦も勝負の展開次第ではいくつかのクラスでタイトルが確定する。シリーズの大きな山場となる今シーズン3回目の2連戦は、128名のエントリーを集めた。

 台風7号が関東・東北地方に接近した影響により、スタート時間を当初の7時45分から1時間15分遅らせた9時からスタートした第1ヒートは、前日の夜に降ったまとまった雨の影響により、路面はハーフウェット状態。だが、真夏の太陽が路面を照りつけ、またたく間にドライコンディションとなっていった。しかし、その後第2ヒートのPN4クラスが走行中にやや多めの雨が降り、路面コンディションは再びウェット路面となり、PN4クラス以降は第1ヒートでのタイムが決勝となった。

太陽が照り付けたかと思えば雨が降るというように、目まぐるしく天候が変わる1日となった。
脱輪やパイロンペナルティを判定するために、カートレースなどで使用されている常設カメラ4台に2台のカメラを加え、映像でペナルティを確認するVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)判定が採用された。
コースは、3カ所のショートカットで内周と外周を組み合わせ、前半に1カ所の180度ターン、後半に2カ所の270度ターンの計3カ所のターンセクションが設定された。

PN4クラス

 天候が変わりやすかった第8戦。第2ヒートの中盤から雨に見舞われたPN4クラスは、「クルマは完璧な状態。あとはドライバーの問題なので、自信を持って走ります」と語っていた奥井優介選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が、2位以下を1秒以上引き離す走りで今シーズン6勝目を獲得。自身初となる全日本チャンピオンを優勝で確定させた。

 2位には、「第1ヒート勝負だというのは分かっていたけど、そこで良い走りができなかった。完敗だね」と分析する津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)が入賞。また、「第1ヒートで大きな失敗をしてしまい、第2ヒートで挽回したかったけど、第1ヒートで失敗してる時点で負けてるね」と振り返った松本敏選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)が3位に入った。

PN4クラス優勝は奥井優介選手(DLATSRSK茨トヨヤリス犬)。
レーシングサービスコシミズの小清水昭一郎代表と喜びを分かち合う奥井優介選手。
2位は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)、3位は松本敏選手(ADVICS☆TJ☆DLヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の折茂紀彦選手、2位の津川選手、1位の奥井優介選手、3位の松本選手、5位の島田直樹選手。
奥井優介選手がPN4クラスのチャンピオンを確定させた。
奥井選手へ贈られたチャンピオンズキャップには、住友ゴム工業の山本悟代表取締役社長からの直筆メッセージが刺繍で施されていた。

PN2クラス

 今シーズン3勝を挙げているSHUN選手(マツダ・ロードスター)がタイトル確定に王手をかけているPN2クラスは、逆転チャンピオンを狙う小林規敏選手(マツダ・ロードスター)が第1ヒートのタイムで逃げ切り今シーズン3勝目を獲得したかと思われたが、再車検で最低地上高が規定に満たないという判定を受け失格に。

 ランキングトップのSHUN選手も4番手タイムをマークしたが、小林選手と同じく最低地上高の規定により失格の判定となり、シリーズチャンピオンを狙うふたりがノーポイントで終わる結果となった。

 優勝は、「今シーズンはクラスやタイヤメーカーを変え、成績が安定せず苦しいシーズンでしたが、どんな形であれ優勝はうれしいです」という箕輪雄介選手(マツダ・ロードスター)が繰り上がって今シーズン初優勝。2位には第4戦名阪を制した中田匠選手が入賞し、シリーズランキングも2番手に浮上。3位には中部のベテラン鰐部光二選手(マツダ・ロードスター)が入り、今シーズン初表彰台を獲得した。

PN2クラス優勝は箕輪雄介選手(DLペトロナスXPロードスター)。
うれしい今シーズン初優勝となった箕輪選手。
2位は中田匠選手(DLクスコWm小倉ロードスター)、3位は鰐部光二選手(DLエナペワコーズロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の古田公保選手、2位の中田選手、1位の箕輪選手、3位の鰐部選手、5位の米澤匠選手、6位の多田安男選手。

PN3クラス

 今シーズン4勝を獲得している大多和健人選手(マツダ・ロードスターRF)が自身初となるタイトルに王手をかけているPN3クラスは、シリーズ逆転で4連覇を狙うユウ選手(マツダ・ロードスターRF)が第1ヒートのタイムで逃げ切り、値千金となる今シーズン3勝目を飾った。シリーズポイントでもトップの大多和選手に5点差まで迫った。2位は、0.121秒の僅差で川北忠選手(マツダ・ロードスターRF)が獲得。大多和選手は3位に入賞したが、有効ポイントを加算することはできなかった。

PN3クラス優勝はユウ選手(BS DRONE☆ロードスター)。
今シーズン3勝目となり逆転チャンピオンへ望みをつないだユウ選手。
2位は川北忠選手(ORC AD DLロードスター)、3位は大多和健人選手(熊王TMW身延牧速ロードスター)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の西野洋平選手、2位の川北選手、1位のユウ選手、3位の大多和選手、5位の野島孝宏選手、6位の黒水泰峻選手。

BC1クラス

 西井将宏選手(ホンダ・インテグラ)と橋本克紀選手(ホンダ・シビック)、細木智矢選手(スズキ・スイフトスポーツ)が2勝ずつを獲得し、東毅選手(ホンダ・インテグラ)が1勝を挙げ、タイトル争いが混沌とした状態となっているBC1クラス。タイトルを争う西井選手が4位、橋本選手が16位と順位を落とす中、第1ヒートのタイムで逃げ切った神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)が今シーズン初優勝を獲得。

 昨シーズンから本格的に全日本を転戦する牧田祐輔選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、わずか0.005秒差で2位に入賞。ダートトライアルとジムカーナの二足のわらじを履く志村雅紀選手が3位に入った。

BC1クラス優勝は神里義嗣選手(DLMotys渦RACCR-X)。
僅差を制して今シーズン初勝利を果たした神里選手。
2位の牧田祐輔選手(協和整美S+YHマキタスイフト)、3位の志村雅紀選手(LAILE☆カヤバYHスイフト)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の西井将宏選手、2位の牧田選手、1位の神里選手、3位の志村選手、5位の清水翔太選手、6位の町田和雄選手。

BC2クラス

 今シーズン5勝を挙げている若林拳人選手(ロータス・エキシージ)がタイトル確定に王手をかけているBC2クラスは、逆転チャンピオンの可能性を残す広瀬献選手(ホンダ・S2000)が、若林選手に1秒以上の差をつけて今シーズン3勝目を獲得。4連覇に望みを繋いだ。

 2位の若林選手は、「今回の2連戦は、しっかりとポイントを加算することが大事。そういった意味では、悪い結果ではなかったと思います。明日は勝って終わりたいですね」と、翌日の第9戦に照準を合わせていた。3位には、「SUGOはRX-7と相性が良いコースなので、明日(第9戦)も頑張りたい」という藤井雅裕選手(マツダ・RX-7)が入賞した。

BC2クラス優勝は広瀬献選手(WMマロヤBS林歯科S二千亜舎)。
PN3クラスのユウ選手同様、逆転チャンピオンの可能性を残した広瀬選手。
2位は若林拳人選手(BS若自速心コ犬ZRエキシージ)、3位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の飯野哲平選手、2位の若林選手、1位の広瀬選手、3位の藤井選手、5位の梅村伸一郎選手。

PE1クラス

 PE1クラスは、ハーフウェット路面の第1ヒートで大橋政哉選手(アルピーヌ・A110S)が第7戦で24回目のチャンピオンを確定させた山野哲也選手(アルピーヌ・A110R)に0.013秒差まで迫った。

 だが、ドライ路面となった第2ヒートで山野選手は大橋選手を1.304秒引き離し、有効戦数で満点となる今シーズン7勝目を獲得。24回目のタイトル確定に華を添えた。大橋選手が今季3回目の2位を獲得、3位には第1ヒートで脱輪ペナルティを受けた古田孝一選手(アルピーヌ・A110S)が第2ヒートで挽回し、自身初となる全日本表彰台を掴んだ。

PE1クラス優勝は山野哲也選手(EXEDY71RS A110R)。
第4戦名阪を除いて優勝し、前戦ですでにチャンピオンを確定させている山野選手。
2位は大橋政哉選手(DLμG-LFWA110S)、3位は古田孝一選手(R-SPEC柿崎DLA110S)。
PE1クラスの表彰式。左から4位の角岡隆志選手、2位の大橋選手、1位の山野選手、3位の古田選手。

PE2クラス

 高屋隆一選手(スバル・BRZ)と下村渉選手(トヨタ・GR86)が3勝ずつを獲得しているPE2クラスは、第1ヒートで下村選手がトップタイムを奪うものの、第1ヒートはパイロンペナルティに終わった高屋選手が逆襲。下村選手に0.257秒差で今シーズン4勝目を獲得し、シリーズポイントランキングでもトップに立った。

「SUGOはカートで走ったことがあるんですが、ジムカーナでは初めてです。今回は、最初のターンの立ち上がりで詰まったのがタイムに響きました」と語った下村選手が2位に入賞。3位に入った全日本初出場の畠山佳選手(BMW・MINI)は、いきなり表彰台に上がった。

PE2クラス優勝は高屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)。
高屋選手が制したPE2クラスは、僅差でのポイント争いが続く。
2位は下村渉選手(DLαACWPリジットGR86)、3位は畠山佳選手(BSQMコニシタイヤミニ)。
PE2クラス表彰の各選手。

PN1クラス

 朝山崇選手(トヨタ・ヤリス)が4勝、斉藤邦夫選手(トヨタ・ヤリス)が3勝で迎えたPN1クラスは、両ヒートを制した斉藤選手が、朝山選手に並ぶ今シーズン4勝目を獲得。シリーズポイントでも朝山選手に並んだ。2位は、「内容的には良かったんですけど、今回のコースに対する慣熟度が低かった」という朝山選手が入賞。3位には中根卓也選手(トヨタ・ヤリス)が、昨年の第9戦以来となる今シーズン初表彰台を獲得した。

PN1クラス優勝は斉藤邦夫選手(ネッツ群馬ジースパイス ヤリス)。
今回の斉藤選手の勝利によって、朝山崇選手とのポイント争いがさらに激しさを増した。
2位は朝山選手(DLETP・BPFヤリスITO)、3位は中根卓也選手(DLwmRYP弟ヤリスITO)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の小林伸人選手、2位の朝山選手、1位の斉藤選手、3位の中根卓也選手、5位の矢島融選手、6位の阪本芳司選手。

BC3クラス

 第7戦を終え、有効ポイントでは大橋渡選手(スバル・インプレッサ)と菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が同点で並ぶBC3クラスは、菱井選手が第1ヒートのタイムで逃げ切り今シーズン4勝目を獲得したかと思われたが、PN2クラスの小林選手やSHUN選手と同様に再車検で最低地上高が規定に満たないと判定され失格という結果に。

「今までのセッティングとは違う方向にセットアップしてきた中で、ある程度手応えを掴むことができた。明日(第9戦)は、自力で優勝を獲得したいですね」という一色健太郎選手(トヨタ・GRヤリス)が優勝。大橋選手が2位に入賞し、シリーズポイントでは単独トップに立った。また、3位には堀隆成選手(トヨタ・GRヤリス)が、自身初の全日本表彰台を獲得した。

BC3クラス優勝は一色健太郎選手(ATSWmDLRSKヤリス)。
PN1クラス2位に終わりチャンピオン確定を次戦以降に持ち越した朝山選手が、一色選手の優勝を讃えに訪れていた。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は堀隆成選手(DL・WM・SDヤリス)。
PN1クラス表彰式。左から4位の飯坂忠司選手、2位の大橋選手、1位の一色選手、3位の堀選手、5位の茅野成樹選手。

フォト/CINQ、遠藤樹弥、JAFスポーツ編集部 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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