全日本ダートラ丸和ラウンドでPN2佐藤卓也選手が初タイトル確定ほか2クラスでも
2024年9月13日
全日本ダートトライアル選手権の第7戦「DIRT-TRIAL in NASU Rd.2」が、8月31日~9月1日に栃木県那須塩原市郊外の丸和オートランド那須を舞台に開催された。今季、同会場で全日本ダートトライアル選手権が開催されるのは、4月20~21日に開催された第2戦以来2回目となる。
2024年JAF全日本ダートトライアル選手権 第7戦「DIRT-TRIAL in NASU Rd.2」
開催日:2024年8月31日~9月1日
開催地:丸和オートランド那須(栃木県那須塩原市)
主催:360R
勢力が強い台風10号が西日本をゆっくりと横断し、西日本だけではなく東海や関東、東北など東日本や北日本も台風に伴う大雨に見舞われた週末。鉄道の運休や高速道路の通行止め、飛行機の欠航など交通機関に大きな影響を与えた。全国各地のイベントが中止や延期を発表する中、全日本ダートトライアル選手権 第7戦の大会組織委員会は協議により開催することを決定。移動の際の安全面を考慮した12名の選手が欠場したが、競技が行われた9月1日には141名の選手がパドックに集まった。
台風10号に伴う雨雲は、各地で記録的な大雨をもたらし、丸和オートランド那須もコース奥の通称「象の鼻」付近が広く水没した状態となった。日曜日は時折晴れ間がのぞく天候となったが、コースの一部には湧き水のように雨水が溢れ出た大きな水たまりが点在し、気温が上がった第2ヒートは前半区間がドライ、中盤から後半にかけてはフルウェット状態という、タイヤ選択が難しい路面コンディションとなった。
PN2クラス
PN2クラスは、第5戦と第6戦を連勝した佐藤卓也選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第2ヒートの逆転劇で今季3勝目を獲得。最終戦を待たず、この第7戦で自身初となる全日本チャンピオンを優勝で確定させた。0.399秒差の2位に濱口雅昭選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞、ディフェンディングチャンピオンの中島孝恭選手(スズキ・スイフトスポーツ)は、「第2ヒートは抑えすぎたかなぁ……」と悔やむ3位となった。
SC1クラス
SC1クラスは、丸和をホームコースとする深田賢一選手(ホンダ・シビック)が、「ドライとウェットが混在する難しいコースコンディションでしたが、逆にこういうコンディションだからこそ、僕にとってはチャンスだと思って気合い入れて走りました」と両ヒートを制する走りで今季初優勝。
2位には「公開練習も決勝第1ヒートも全然ダメだったので、思い切ってセッティングを大きく変えたことが結果につながりました」という山下貴史選手(三菱・FTO)が入賞した。このラウンドを制してチャンピオン争いを最終戦まで持ち越したかった鶴岡義広選手(スズキ・スイフトスポーツ)は3位に終わり、今回はゴール前でスピンを喫したため10位となった山崎迅人選手(三菱・ミラージュ)がシリーズチャンピオン獲得を確定させた。
Dクラス
Dクラスは、「第2ヒートは思ったよりもタイムが伸びなかった」という炭山裕矢選手(三菱・ミラージュ)が、「ハイドロプレーニングになりかけたけど、攻め切ることはできたと思う」という鎌田卓麻選手(スバル・BRZ)を0.186秒差で抑え、今季初優勝を獲得。2位に鎌田選手が入った。第1ヒートはエンジンストールの症状が出たためにタイムを大きく落とした田口勝彦選手(三菱・ランサーエボリューションX)が第2ヒートでリカバリーして3位に入賞したため、田口選手の2年連続チャンピオン獲得が確定した。
PNE1クラス
2勝ずつ挙げている小山健一選手(スズキ・スイフトスポーツ)と葛西キャサリン伸彦選手(スズキ・スイフトスポーツ)のふたりにチャンピオン候補が絞られたPNE1クラスは、このコースをホームとする小山選手が両ヒートでベストタイムをたたき出す走りで今季3勝目を獲得。2位には、「直線でハイドロプレーニング状態となり、加速できなかった」という葛西選手が入賞。3位には山部恭裕選手(スズキ・スイフトスポーツ)が第1ヒートのタイムで入賞した。
PN1クラス
ここまで毎戦勝者が変わる激闘が繰り広げられているPN1クラスは、今回も第1ヒートで4人のドライバーが1分30秒台で並ぶ接戦となった。その中、第1ヒートはトップの太田智喜選手(マツダ・デミオ)と0.342秒差で3番手だった奈良勇希選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第2ヒートで逆転。この一戦まで未勝利だった奈良選手が今季初優勝を挙げた。
トップと0.086秒差の2位には第6戦優勝の工藤清美選手(ホンダ・フィット)が入賞。第1ヒートトップの太田選手を第2ヒートでかわした北原栄一選手(日産・ノート)が、今季2回目となる表彰台3位を掴んだ。第6戦を終えてシリーズランキングトップだった飯島千尋選手(スズキ・スイフトスポーツ)は9位に沈み、最終戦となる第8戦は奈良選手、飯島選手、工藤選手、太田選手の4人でタイトルを争うこととなった。
PN3クラス
PN3クラスは、シリーズランキングトップのパッション崎山選手(トヨタ・GR86)が、第2ヒートをトップタイムでゴールを駆け抜けたものの、パイロンペナルティが加算され幻のベストタイムという結果で終わる中、第1ヒートの1コーナーでイン側の岩にホイールをヒットさせてタイムを残せなかった浦上真選手(トヨタ・GR86)が、「第2ヒートはミスが多かったけど、第1ヒートでタイムを残せなかったので大事に走ったことが結果につながった」と今季初優勝。
2位は、「前半のドライ区間を意識して第2ヒートは硬質路面用タイヤを選択したけど、その前半区間で思ったよりもタイムを稼ぐことができなかった」という小関高幸選手(スバル・BRZ)が獲得した。3位には、「今シーズンはここまで不調だったドライビングを、この第7戦でなんとか立て直すことができた」という徳山優斗選手(トヨタ・GR86)が入賞した。
Nクラス
Nクラスは、マイナーチェンジ後のトヨタ・GRヤリスを投入した岸山信之選手が、第2ヒートの逆転で今季初優勝。シリーズポイントランキングでも、このラウンドをスキップした細木智矢選手(三菱・ランサーエボリューションX)を上回りトップに躍り出た。
岸山選手と同じく九州から駆け付けた馬場一裕選手(三菱・ランサーエボリューションX)が、「第2ヒートでウェットタイヤを選択したことが結果に結びついたと思います」と自身最高位となる2位に入賞。そして、全日本3戦目となる地元の中島明彦選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が、2年前の全日本デビュー戦と同じ3位入賞を果たした。
SA1クラス
SA1クラスは、前戦で16年ぶりとなる全日本チャンピオンを確定させた河石潤選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、難しいコンディションとなった第7戦でも強さを発揮。両ヒートでベストタイムを奪う走りで今季4勝目を獲得した。今回が全日本デビュー戦となる関東の若手、渡邉知成選手(ホンダ・シビック)が、大金星となる2位に入賞。3位には、全日本のジムカーナとダートトライアルの2カテゴリーで優勝を獲得している志村雅紀選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入った。
SA2クラス
SA2クラスは、第1ヒートトップの北村和浩選手(トヨタ・GRヤリス)が、第2ヒートのバックストレートでハイドロプレーニングを起こし、そのまま土手を駆け上がり転倒するという波乱の展開となった。その中、第1ヒートを北村選手に0.179秒差の2番手で折り返した岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が、第2ヒートで逆転優勝。シリーズポイントランキングもトップに躍り出た。
2位には、「まさか、コースの中に流れている川が、SA2クラスになっても残っているどころか水量が増えているとは思わなかったよ」と苦笑いするベテランの荒井信介選手(三菱・ランサーエボリューションX)が入賞。第2ヒートは転倒でタイムを出せなかった北村選手が、第1ヒートのタイムで3位に入った。
SC2クラス
SC2クラスは、前戦の第6戦エビスラウンドでエンジンを損傷し、今回は新たに製作したエンジンを搭載して挑んだ目黒亮選手(トヨタ・GRヤリス)が、両ヒートで2番手以下を1秒以上引き離す速さを披露し、今季2勝目を獲得した。2位には、ベテランの大西康弘選手(三菱・ランサーエボリューションX)が第2ヒートで大きくポジションを上げて入賞。第6戦までシリーズランキングトップの亀田幸弘選手(スバル・インプレッサ)は、「不安定な路面で硬質路面用タイヤをうまく使うことができませんでした」と言いながらも3位を獲得し、その座を守った。
フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部
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