DAISHIN GT-R GT3が2年半ぶりに優勝! ST-ZクラスではNissan Z NISMO GT4が初優勝!

レポート レース

2024年9月19日

スーパー耐久シリーズ第4戦「もてぎスーパー耐久 5Hours Race」は、9月7日に栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎにおいて、予選から5時間レースまでのワンデイイベントとして開催され、全8クラス47台の車両が出走した。残暑の厳しいレースとなったが、ST-XクラスのDAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組)が、ほぼ独走で2022年開幕戦鈴鹿以来2年半ぶりに優勝した。また今季ST-Zクラスでは25号車 raffinee 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(植松忠雄/松田次生/佐藤公哉/名取鉄平組)が初優勝。今季GT4マシンとしてS耐デビューしたNissan Z NISMO GT4に国内レース初優勝をもたらした。

ENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE 第4戦「もてぎスーパー耐久レース 5Hours Race」
開催日:2024年9月6~7日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社、M.O.S.C.

 第4戦はST-2クラスが休みとなり、ST-X(全4台)、ST-Z(全11台)、ST-TCR(全3台)、ST-Q(全3台)、ST-1(全1台)、ST-3(全4台)、ST-4(全7台)、ST-5(14台)の8クラスでの大会となった。朝8時から行われた公式予選はA、Bドライバーのベストタイム合算で争われ、DAISHIN GT-R GT3が2戦連続のポールポジションを獲得。前回優勝のCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー・ジェフリー/太田格之進/チェン・ディーン/リアン・ジャトン組)、DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀組)、70kgのウェイトハンデを積むTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)が続いた。

ST-Xクラス

 気温32度、路面温度45度というコンディションの12時34分に、5時間のタイムレースはスタート。ポールから飛び出したDAISHIN GT-R GT3の藤波選手が1周目からダッシュをかけ、2周目にはこのレースのファステストラップとなる1分54秒936を叩き出し、1時間後には2番手のCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3に1分近いリードを築いた。1時間15分、37周で藤波選手はピットインして今田選手に交代。

 ジェントルマンドライバーである今田選手は義務周回時間の1時間15分をしっかり走り、トップを渡すことなく73周でピットインして坂口選手に交代した。この際に一瞬エンジンがかからなかったが、わずかなロスでピットアウト。その次の周に2番手に順位を上げていたTKRI松永建設AMG GT3がピットインして中山選手に交代すると順位が逆転。その差は3.7秒あったが6周で0.207秒まで縮まり、ここから中山選手と坂口選手のテール・トゥ・ノーズのバトルが演じられた。しかしTKRI松永建設AMG GT3にはFCY(フルコースイエロー)時の速度違反でドライブスルーのペナルティが科せられ、坂口選手は難なくトップに返り咲くことになった。

 坂口選手はトップを守ったまま111周で藤波選手に交代。その際にもエンジンが掛からずメカニックたちが車内を叩くとエンジンが息を吹き返した。その後TKRI松永建設AMG GT3の元嶋選手が8.6秒差に迫るが、TKRI松永建設AMG GT3のフロントバンパーが外れかかっており、それ以上ペースを上げることができず。タイヤを温存していた藤波選手が終盤はリードを開き、結果的には48秒もの大差をつけて今季初優勝。最終的にはTKRI松永建設AMG GT3に30秒のタイム加算もあり、1分18秒差での優勝となった。

 DAISHIN GT-R GT3は前回のオートポリスの最後のピット作業でエンジンを押しがけしたために1周減算のペナルティを受け、トップチェッカーながら4位となっただけに、今回は前回の雪辱を果たす形となった。優勝は2年半前の22年開幕戦以来で、もてぎでの優勝は6年ぶりとなった。2位はTKRI松永建設AMG GT3、3位はCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3だった。

ST-Xクラス優勝は#81 GTNET MotorSportsのDAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組)。
2位は#23 TKRIのTKRI松永建設AMG GT3、3位は#33 Craft-Bamboo RacingのCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3。
ST-Xクラス表彰の各選手。

ST-Zクラス

 ST-Zクラスは、クラスポールのNANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(田中優暉/平峰一貴/大木一輝組)の平峰選手とTECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき組)の安田選手がトップ争いを繰り広げた。そこへ6番手スタートの25号車 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の名取選手が序盤から順位を上げて3番手へ浮上。

 レースが3時間を経過したころ、トップのNANIWA DENSO TEAM IMPUL Zに対しドライブスルーのペナルティが発表された。FCY中の速度違反だった。これで難なくTECHNO FIRST R8 LMS GT4の加納選手がトップに立つことになったが、ここに25号車 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4の松田選手が追いつき、93周目のS字出口でトップを奪う。その後は佐藤選手がトップを守ってチェッカー。Z GT4の国内初優勝を飾った。2位はTECHNO FIRST R8 LMS GT4、3位はNANIWA DENSO TEAM IMPUL Z。ポイントリーダーの埼玉 GB GR Supra GT4(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太組)は70kgのウェイトハンデもあり6位だったが、9点を加算しクラストップを守っている。

ST-Zクラス優勝は#25 TEAM ZEROONEのraffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(植松忠雄/松田次生/佐藤公哉/名取鉄平組)。
2位は#34 TECHNO FIRSTのTECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき組)、3位は#20 TEAM IMPULのNANIWA DENSO TEAM IMPUL Z(田中優暉/平峰一貴/大木一輝組)。
ST-Zクラス表彰の各選手。

ST-TCRクラス

 ST-TCRクラスは2台のシビックを退け、エヴァRT初号機RS3 LMS(藤原能成/霜田誠友/田ヶ原章蔵組)が初優勝を決めた。

ST-TCRクラス優勝は#430 Audi Team SHOW APEXのエヴァRT初号機 RS3 LMS(藤原能成/霜野誠友/田ヶ原章蔵組)。
ST-TCRクラスの表彰式。左から2位の#98 M&K Racing、1位のAudi Team SHOW APEX。

ST-1クラス

 ST-1クラスはシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)がノントラブルで完走&4連勝、総合でも4位だった。

ST-1クラス優勝は#2 Ksフロンティア KTMカーズのシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)。

ST-3クラス

 ST-3クラスは16号車岡部自動車Z34(小松一臣/田中徹/田中哲也/甲野将哉組)がこのメンバーとなっての初優勝を遂げた。これで日産車がST-X、ST-Z、ST-3と3つのクラスを制覇した。

ST-3クラス優勝は#16 OKABEJIDOSHA motorsportの岡部自動車Z34(小松一臣/田中徹/田中哲也/甲野将哉組)。
2位は#38 TRACYSPORTS with DELTAのTRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS、3位は#39 TRACYSPORTS with DELTAのエアバスター WINMAX RC350 TWS。
ST-3クラス表彰の各選手。

ST-4クラス

 ST-4クラスは、最終盤にペースの上がらないシェイドレーシング GR86(影山正彦/国本雄資/山田真之亮/鶴田哲平組)の国本選手に、ENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河諒組)の菅波選手が追いついた。レースは最後の最後まで読めない展開になりそうだったが、残り2分のヘアピン先で菅波選手があっさり逆転して今季2勝目。シェイドレーシング GR86はファイナルラップにガス欠でピットインし、無念のノーチェッカー&ノーポイントとなり、このクラスのポイント争いが激化することになった。

ST-4クラス優勝は#3 ENDLESS SPORTSのENDLESS GR86(坂裕之/菅波冬悟/小河諒組)。
2位は#41 TRACY SPORTS with DELTAのエアバスターWINMAX GR86 EXEDY、3位は#66 OVER DRIVEのodula TONE MOTUL ROADSTER RF。
ST-4クラス表彰の各選手。

ST-5クラス

 5月の富士24時間以来のレースとなったST-5クラスは、クラスポールの88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平組)が今季2勝目を挙げ、ポイントリーダーに立った。

ST-5クラス優勝は#88 村上モータースの村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平組)。
2位は#17 TEAM NOPROのDXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2、3位は#4 チーム BRIDEのTHE BRIDE FIT。
ST-5クラス表彰の各選手。

ST-Qクラス

 メーカーの開発車両によるST-QクラスはROOKIE Racingやマツダのエントリーがなかったが、GR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/関口雄飛組)、SUBARU HighPerformanceX Future Concept(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史組)、Honda CIVIC TYPE R CNF-R(大津弘樹/三井優介/桂伸一組)と3メーカーの3台全車が完走した。

ST-Qクラスで1番目にゴールした#92 GR Team SPiRITのGR Supra Racing Concept(加藤恵三/山下健太/河野駿佑/関口雄飛組)。
2番目にゴールした#61 Team SDA EngineeringのSUBARU HighPerformanceX Future Concept、3番目にゴールした#271 Team HRCのHonda CIVIC TYPE R CNF-R。
ST-Qクラスのセレモニー。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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