Deloitte TOM’S GR Supraが13台抜きで今季2勝目! GT300はLEON PYRAMID AMGが14台抜きで連勝!

レポート レース

2024年9月26日

スーパーGTシリーズ第6戦は、第5戦鈴鹿が台風10号の影響で12月に延期となったこともあり、8月4日の第4戦富士以来、約1か月半ぶりの開催。この大会も天候が不順で、公式練習の結果により決勝グリッドが決定するという変則的なものとなった。濡れた路面が徐々に乾いていくという状況でのレースは、GT500クラスでは14番手スタートのDeloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)が13台抜きで第3戦鈴鹿以来の2勝目を挙げ、GT300クラスでは15番手スタートのLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)が14台抜きで連勝を飾った。

2024 SUPER GT Round6 SUGO GT 300km RACE
開催日:2024年9月20~22日
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県村田町)
主催:株式会社菅生、SRSC、株式会社GTアソシエイション

 前回の第5戦鈴鹿は台風10号の接近により、レースウィークの水曜午後に12月7〜8日に延期されることとなった。したがって今回の第6戦は第4戦富士以来、約1か月半ぶりのレース開催だ。この大会は開幕戦以来の300kmレース。予選方式が変更(タイヤはQ1とQ2で2セット使用可能。GT300クラスのQ1は全車走行)となった初のラウンドとなり、予選日から見どころが多い大会となるはずだった。

 しかしレースウィークの天候は不順で、搬入日の9月20日から冷たい雨が降り続いた。21日朝も気温17度の雨の中、9時15分から公式練習がスタートしたが、開始早々にGT300クラスの昨季チャンピオンであるGreen Brave GR Supra GT(吉田広樹/野中誠太組)がSPコーナーで水に乗りクラッシュ、赤旗中断となった(同車両はリタイア)。前夜、各チームに「公式予選が行われない場合、公式練習のタイムでグリッドを決める可能性がある」という通達があり、スタート直後から各車がベストタイムをマークしようとコースインしていた。その後も雨量が増したりコースアウトを喫する車両があり、5回目の赤旗中断をもって公式練習は終了となった。

雨が降り続く中で始まったスーパーGTシリーズの第6戦SUGO。ヘビーウェットコンディションで公式練習は赤旗中断となった。
あいにくの雨模様となった会場だが、ピットウォークには多くの熱心なファンが訪れていた。

予選

 公式予選は14時45分にスタートすることになっていたが、雨量は減らず3回にわたりディレイとなり結局キャンセルに。この結果、朝の公式練習のタイムで決勝のグリッドが決定となり、GT500クラスはKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)、ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺組)、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)、au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太組)の順でトップ4をスープラ勢が独占。5、6番グリッドにMARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)、Modulo CIVIC TYPE R-GT(伊沢拓也/大草りき組)となった。なお予選のポイントは付与されない。

 またGT300クラスは、シェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎組)、SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組) 、D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)、Studie BMW M4(荒聖治/ニクラス・クルッテン組)、PONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥー組)、Syntium LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑組)と上位をミシュラン勢とダンロップ勢が独占した。

GT500クラスはKeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹組)、GT300クラスはシェイドレーシング GR86 GT(平中克幸/清水英志郎組)がポールポジションを獲得。

決勝

GT500クラス

 決勝日の22日も朝から雨となり、サポートレースも中断後に打ち切りとなるなど開催は危ぶまれたが、天気予報では天候は回復傾向にあると伝えられていた。12時に予定されていたウォームアップ走行は1時間遅れでスタートしたが、クラッシュがあり中断するなどし、決勝レースは14時22分フォーメーション開始とアナウンスされた。

 コースはまだ濡れていたが、曇りで気温20度というコンディションの14時22分、決勝はセーフティカー(SC)先導でスタート。GT500車両は全車がウェットタイヤを選択していた。3周完了の時点でSCが隊列から離れバトルが始まった。2番グリッドのENEOS X PRIME GR Supraが出遅れて6番手へ順位を落とした。9周目には10番グリッドスタートのAstemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進組)が4番手へ順位を上げていく。

 16周目のハイポイントコーナーでau TOM’S GR Supraの坪井選手がトップを奪うと、19周目にはAstemo CIVIC TYPE R-GTの塚越選手が2番手へ浮上。しかし23周目の1コーナーで順位を落としていたENEOS X PRIME GR Supra の大嶋選手が塚越選手を捕らえて2番手へ順位を戻す。25周目にGT300クラスのアクシデントが発生し、1台がコース脇に停止したためSCが導入。これで4.2秒あったトップ2台の差はほぼなくなった。そして驚くことに4番手に浮上していたのが14番グリッドスタートのDeloitte TOM’S GR Supraの笹原選手だった。

 クラスごとの隊列を整えて31周完了でリスタート。Deloitte TOM’S GR Supraの笹原選手はその周に3番手へ順位を上げると、37周目の4コーナーで2番手、そして馬の背でENEOS X PRIME GR SupraとAstemo CIVIC TYPE R-GTを従えてトップに。前の周までトップだったau TOM’S GR Supraは4番手へ順位を落としてしまった。

 42周目にGT300車両がレインボーコーナーでコースオフすると、上位5台は即座にピットイン。直後にフルコースイエロー(FCY)となり、2分後にはSCが導入された。49周完了でリスタートしコースにステイしていた車両がピットインすると、トップはDeloitte TOM’S GR Supraのアレジ選手で、MARELLI IMPUL Zの平峰選手、KeePer CERUMO GR Supraの大湯選手が2番手を争い58周目に大湯選手が前へ。

 アレジ選手は周回ごとに2番手の大湯選手との差を広げ、20秒近い大差で独走のチェッカー。スタート時のタイヤ選択がズバリと決まり、実に13台抜きの今季2勝目を遂げ、ランキングもトップと2ポイント差の2番手へ急上昇した。2位はKeePer CERUMO GR Supra、3位はMARELLI IMPUL Zだった。ホンダの最上位は5位ゴールのSTANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任佑組)だった。

GT500クラス優勝はDeloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)。
会心の勝利を称え合う笹原選手とアレジ選手。「スタートのタイヤはギリギリまで悩んだのですが、正解だったかなと思います」と笹原選手。「アグレッシブに攻めたことが本当に良かった」とアレジ選手は大逆転の優勝を喜んだ。
2位はKeePer CERUMO GR Supra(石浦/大湯組)、3位はMARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット組)。
GT500クラス表彰の各選手。

GT300クラス

 GT300クラスはバトル開始の4周目、レインボーコーナーでD’station Vantage GT3の藤井選手がSUBARU BRZ R&D SPORTをかわして2番手へ順位を上げた。SUBARU BRZ R&D SPORTが7周目に4番手へ順位を落とすと、8周目にはPONOS FERRARI 296のコッツォリーノ選手、Studie BMW M4のクルッテン選手、D’station Vantage GT3の3台による2番手争いとなった。

 コッツォリーノ選手はトップを走るシェイドレーシングGR86 GTの清水選手に追いつくと、13周目のSPコーナーインでトップを奪い後続を引き離していった。20周目にはクルッテン選手が清水選手をパスして2番手へ順位を上げると、21周目には清水選手の右リアホイールが外れて緊急ピットイン。ハブ周辺のトラブルによってピットでレースを終えることになった。23周目には3台のGT300車両が絡むアクシデントがあり、1台がコース脇にストップ。ここでSC導入となり、コッツォリーノ選手が築いていた14.5秒のマージンは一気になくなってしまった。

 PONOS FERRARI 296、Studie BMW M4、D’station Vantage GT3、SUBARU BRZ R&D SPORT、Syntium LMcorsa GR Supra GTの順でリスタートを迎えることになったが、この後ろ6番手につけていたのは15番グリッドスタートのLEON PYRAMID AMGだった。

 30周完了でリスタートとなると、32周目の馬の背でD’station Vantage GT3がコースオフして順位を落とし、33周でSUBARU BRZ R&D SPORTが早めのピットインを済ませた。41周目に1台のGT300車両がレインボーコーナーでコースオフすると、上位陣がピットイン。直後にFCYとなり2分後にSC導入となった。

 トップはPONOS FERRARI 296のワドゥー選手で、5台の周回遅れを挟んでLEON PYRAMID AMGの篠原選手という状態の47周完了でレースはリスタートした。わずか2周で篠原選手はワドゥー選手に追いついたが、真後ろで慎重にチャンスをうかがった。20周ほどが経過した67周目の最終コーナーでチャンスと見た篠原選手はワドゥー選手に並びかけ、コントロールラインを先に通過してついに1コーナーで前に出た。そこから篠原選手はワドゥー選手を引き離しにかかり、4.6秒の差をつけて79周でトップチェッカー。14台抜きで連勝を飾り、一気にポイントリーダーのトップとなった。

 2位はPONOS FERRARI 296、3位はD'station Vantage GT3。ワドゥー選手の2位は、スーパーGTにおける女性ドライバーの最高順位となった。前戦までのポイントリーダーだったmuta Racing GR86 GT(堤優威/平良響組)は8位でゴールして、ポイントランキングは2番手となった。

GT300クラス優勝はLEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗組)。
大逆転での勝利を喜ぶ蒲生選手と篠原選手。「まさか勝てるとは思わなくて本当にびっくりしていますしうれしい」と蒲生選手。「もう少し早く(トップを)仕留めたかったのですが、きちんと1位でゴールできて良かった」と篠原選手は、残り3戦でもベストレースをしたいと語った。
2位はPONOS FERRARI 296(ケイ・コッツォリーノ/リル・ワドゥー組)、3位はD'station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ組)。
GT300クラス表彰の各選手。
会場では、ドクターやオフィシャルたちが実車を使った救出訓練に取り組んでいた。

 次の第7戦オートポリスは、3時間レースとして10月19〜20日に開催予定。サクセスウェイトは半減ではなくフルのままでの開催となる。

フォト/石原康、遠藤樹弥、吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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