全日本ラリードライバー勝田範彦選手が能登半島地震に被災した小・中学生を応援!

レポート ラリー その他

2024年10月1日

ラリージャパン2024実行委員会は、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の被災者への応援企画として、11月21~24日に愛知県と岐阜県で開催される2024 FIA World Rally Championship FORUM8 Rally Japan 2024(ラリージャパン2024)に石川県在住の方1,000名を招待することをこのほど、発表した。そして、その応援企画の一環として、9月13日に石川県志賀町に建つ、町立富来(とぎ)中学校でラリー教室が開催された。

FIA世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2024
能登半島地震被災者応援企画
富来中学校ラリー教室

開催日:2024年9月13日
開催地:志賀町立富来中学校(石川県志賀町)
主催:ラリージャパン2024実行委員会

 富来地区は最大震度7を記録した志賀町の中でも被害が大きかった地区で、地区内にはいまだにブルーシートをかけた家屋が散見されるほか、道路の陥没なども見られる。志賀町には、ラリージャパン2024の主催団体である豊田市から応援のために職員が派遣されており、そうした繋がりもあって同町立の学校でラリー教室が開催される運びとなった。

 1月の地震により、同地区の志賀町立富来小学校も校舎に損壊等が生じて使用が困難となったため、富来中学校の校舎の一部を借りて授業が行われている。現在も仮設住宅から通学する生徒もおり、復興はまだまだ途上だが、今回のラリー教室には富来小学校75名、富来中学校64名の全校児童・生徒が参加し、昼休み後の約2時間、ラリーの醍醐味に触れた。

ラリー教室が開催された志賀町立富来中学校では授業が行われているそうだが、校舎の一部では同地区内の志賀町立富来小学校の児童も授業を受けている。また、周辺でも損壊した家屋や道路の陥没が残るなど、地区内には令和6年能登半島地震の爪痕がまだ残っているようだ。

 授業では、まずラリー競技の仕組みのほか、FIA世界ラリー選手権やJAF全日本ラリー選手権についての簡単な紹介が行われた後に、特別講師を務めた2024シーズンも全日本ラリーJN1クラスに参戦しているラリードライバーの勝田範彦選手が、スライドを使って自らのラリー人生のこれまでの歩みを振り返った。

 勝田範彦選手は、アクシデントによってフロントが大きく凹んだ競技車の横に立つ、アマチュア時代の自身の写真などをスライドで紹介しながら、「こういう挫折を経験するたびに何度もラリーをやめようと思ったけれど、家族やクラブの先輩・仲間に支えられたおかげで続けることができました。失敗や挫折がなければ、成功もないことを自分は経験から学びました」と、語った。

 さらに「自分の夢は自分の中に秘めているよりは、人にどんどん話した方がいいです。そうすれば応援してくれる人も増えてくるはずだし、何より自分の意識というものが変わってくるんです」と、夢を持つことと、それを伝えることの大切さについてもアドバイスした。

ラリー教室は、特別講師の2024年JAF全日本ラリー選手権JN1クラスで活躍する、ラリードライバーの勝田範彦選手による、彼のラリー人生を辿る授業でスタート。勝田範彦選手が幼かった頃の勝田家は家族旅行も競技車両で行くという、まさにラリー一色だったそうだ。
質疑応答の場も設けられ、好奇心溢れる児童・生徒たちは勝田範彦選手に積極的な質問攻勢を浴びせたようだ。

 その後、校庭に移動して、いよいよ実技(!?)に移り、まず勝田範彦選手がGRヤリスの競技車両を駆って派手に砂埃を巻き上げながら、デモランを披露。そして小・中学生の各学年から選ばれた9名の児童・生徒たちが勝田範彦選手のサイドシートを体験した。ヘルメットを被って車両に乗り込む児童・生徒には、同級生たちから大きな声援が飛んだ。同乗走行を終えた男子児童は、「クルマがずっと、かたがっとる(傾いている)のが、めちゃくちゃ面白かった」と興奮冷めやらぬ様子で、特別な体験を振り返った。

 最後は、小・中学校の全児童・生徒が勝田範彦選手を囲んで記念撮影。その光景を見ていた関係者の一人は、「こうした機会を通して、中学生と小学生がより一体感を深めてもらえたら嬉しい限りです」と話した。最後に挨拶に立った勝田範彦選手も、「今日は僕も元気をもらえた一日でした。また機会があれば訪れたいです」と語り、児童・生徒たちとの交流に名残惜しそうな表情を見せていた。

 なお、ラリージャパン2024実行委員会では今後も10月末まで、ラリージャパン2024の開催市町を含む7市町(愛知県豊田市、新城市、岡崎市、名古屋市、設楽町、岐阜県中津川市、恵那市)で計9回のラリー教室を開催するほか、10月27日には全国の小・中学生を対象として、オンラインで参加できる「バーチャルラリー教室」の開催も予定されている。ラリー本番を前に、子どもたちにラリーの魅力を発信し、ファンを増やしていく予定だ。

授業の場は校庭に移り、勝田範彦選手がGRヤリスの競技車両に乗り込み、デモランを披露。豪快に砂埃を巻き上げながら駆け抜ける勝田範彦選手の走りに、児童・生徒たちは喝采をあげて大興奮の様子だった。
いよいよ同乗走行の時が迫り、ヘルメットを被る姿に緊張の色が見える児童・生徒も。勝田範彦選手は選ばれた9名の児童・生徒を順番に載せてデモランさながらに砂埃を上げてドライブ。児童・生徒たちは走行後、興奮冷めやらぬ表情で車両から降りてきていた。
校庭には、2023シーズンの全日本ラリーで勝田範彦選手が駆った、GR YARIS JP4-Rally2も展示され、児童・生徒たちはドライバー、コ・ドライバーになりきった様子でシートに座った。ラリー教室の開催が、被災して辛い思いをしているであろう児童・生徒たちの活力になったことが、笑顔から伺いしれた。

FIA世界ラリー選手権フォーラムエイト・ラリージャパン2024 公式ウェブサイト
https://rally-japan.jp/

フォト/田代康 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部

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