寺島知毅選手がFP-3部門で連勝! 怒涛のシリーズ5連勝でチャンピオン確定

レポート カート

2024年10月2日

全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門の2024シリーズを締めくくる第5戦/第6戦が9月21~22日、岡山県和気町の中山カートウェイで開催。FP-3部門では寺島知毅選手が2連勝を飾り、新チャンピオンを確定させた。

2024年JAF全日本カート選手権 FS-125部門/FP-3部門 第5戦/第6戦
開催日:2024年9月21~22日
開催地:中山カートウェイ(岡山県和気町)
主催:株式会社山陽スポーツランド

 中山カートウェイはシリーズの中で最西端に位置する開催地。740mの全長は、シリーズを構成する3つのサーキットの中でもっとも短いものだ。そのため周回数も他のサーキットでの大会に比べて多く、ここでのレースは体力面の厳しさでも知られている。

 なお同時開催が予定されていたジュニアカート選手権ラウンドシリーズ2の第5戦/第6戦は、ジュニア部門/ジュニアカデット部門ともに不成立となった。この結果、ジュニア部門では今季2勝の元田心絆選手が、2023年のジュニアカデット部門に続くチャンピオンに確定。ジュニアカデット部門は選手権が成立しなかった。

中山カートウェイはさまざまな名勝負が繰り広げられてきた歴史あるカートコース。全日本カート選手権の最終戦に相応しい舞台となった。
第5戦/第6戦が不成立となったジュニア部門は、元田心絆選手(AP SPEED)がタイトル確定となった。

全日本カート選手権FP-3部門 第5戦/第6戦

 100cc空冷エンジンがワンメイク指定されるFP-3部門には7台が参加した。チャンピオン争いをリードするのは、ここまでの4戦で3つの勝利とひとつの2位を獲得している寺島選手だ。ほかにチャンピオンの可能性を持つのは、ランキング2番手につける高島恒太選手のみ。高島選手が逆転チャンピオンを獲るためには、ふたつの予選で1番手と2番手以上になり、決勝を2連勝することが必須だ。

 決勝日、前夜から降り出した雨は早朝のうちに止み、最初の走行セッションである公式練習はドライコンディションで行われた。しかし、続くタイムトライアルの終盤にふたたび雨粒が落ち始めると、その雨は間もなく本降りになり、午前の第5戦はウェットレースとなってしまう。

 タイムトライアルで後続に0.2秒以上もの差をつけるトップタイムをマークし、ふたつの予選ヒートのポールを獲得したのは寺島選手だ。高島選手が2番手につけ、アウェーの地となる初の中山でのレースに臨むふたりが予選のフロントローを占めた。

 第5戦の予選では、寺島選手が序盤から後続を引き離してトップのままゴールし、決勝のポールを獲得した。一方、高島選手は6番グリッドから追い上げてきた塚本聖成選手に逆転を許し、3番手のゴールに。だが、塚本選手にフロントフェアリングのペナルティが課されたことで高島選手は2番手に繰り上がり、一旦は決着したかに思われたチャンピオン争いは決勝に持ち越されることとなった。

 全車がウェットタイヤに履き替えて迎えた第5戦の決勝。スタートを決めて30周のレースをトップで発進したのは高島選手だった。寺島選手に一矢報いるべく奮闘する高島選手は、2周で1秒近いリードを築いた。そこにレースラップに自信を持つ寺島選手が、ひたひたと近づいていく。

 10周目に入ると、寺島選手はもう高島選手のテールに手が届く位置に。そして13周目、寺島選手が一発で逆転に成功してトップに返り咲いた。水煙を立てながらトップを疾走する寺島選手に、高島選手は0.6~0.7秒差で食い下がる。

 だが、レースが残り3分の1に入ると、路面にフィットした走りをつかんだか、寺島選手が一気にペースアップ、リードを毎周0.5秒ずつ広げていった。背後に4秒以上のギャップを広げた寺島選手は、ピットサインレーンで待ち受ける仲間たちにガッツポーズを披露しながら4連勝のチェッカーをくぐった。17歳の寺島選手、全日本フル参戦1年目での戴冠確定の瞬間だ。

 高島選手は王座と2勝目こそ獲り逃したが、前日から痛めていた脇腹の負傷を感じさせない力走で2位フィニッシュ。3位には第3戦から全日本カート選手権に参戦開始した、eモータースポーツで名を馳せる石野弘貴選手が入り、初表彰台に立った。

FP-3部門 第5戦優勝は寺島知毅選手(Formula Blue with GMS)。
「昨年、鈴鹿でYAMAHA SSクラスのチャンピオンを獲り逃しているので、今回はしっかり決め切ることができてうれしいです」と並々ならぬ想いで挑んだ寺島選手。「スタートはちょっと失敗したなと思ったんですけど、ペースはあるからしっかり運転していれば相手に追いついて抜けると分かっていたんで、落ち着いてミスなく走るように頑張りました」とコメント。「第6戦でも予選も決勝も勝って、いい締めくくりにしたいと思います」
2位は高島恒太選手(チーム エッフェガーラ)、3位は石野弘貴選手(チームナガオ)。
FP-3部門 第5戦表彰の各選手。

 昼前に雨は止み、午後のサーキットはドライコンディションに一変。第6戦は全車スリックタイヤでのレースになった。予選ではスタートで先頭に立った高島選手を、寺島選手が序盤のうちに逆転して、今度も決勝のポールを獲得。寺島選手は2番グリッドから決勝を迎えることとなった。

 そして2024シリーズ最後のレース、第6戦の決勝が始まった。3番グリッドの山代諭和選手はローリング中にトラブルで停止し、6台での戦いに変わる。寺島選手は今度こそうまくスタートを決め、トップのまま発進。そこに高島選手、新谷昇馬選手、石野選手がピタリと続く。

 5周目、新谷選手が高島選手をかわして2番手に上がると、ここで寺島選手と後続の間隔がわずかに広がった。だが、新谷選手以下の3台はそのギャップを間もなく削り取り、先頭争いの4台はまたも一列に連なった。緊迫の接近戦が続く中、寺島選手は背後のマシンにアタックのチャンスを与えることなくラップを重ねていく。

 そして先頭集団はそのままチェッカーへ。寺島選手がチャンピオン確定に華を添える勝利を飾った。第1戦こそ高島選手に勝利を譲ったものの、第2戦からは5連勝、そして第3戦以降はすべてポール・トゥ・ウィンという堂々の戦績だった。2位の新谷選手は初の表彰台獲得。高島選手は3位に終わるも、ランキング2位を確定させた。

FP-3部門 第6戦優勝は寺島選手(Formula Blue with GMS)。
第5戦でチャンピオンを確定させた寺島選手は「第6戦はしっかり落ち着いてミスなく勝ちに行こうと思ってスタートしました。勝ててうれしかったです」と有終の美を飾った。レースについては、「(後続が追いすがっていて)けっこうプレッシャーは感じましたね。でも、絶対にミスしないって気持ちで、そのとおり走り切ることができたので、いい成長ができたレースだったと思います」と、レースをとおして自らの成長を実感していた。
2位は新谷昇馬選手(N・フォース SPS川口)、3位は高島選手(チーム エッフェガーラ)。
FP-3部門 第6戦表彰の各選手。
寺島選手がFP-3部門のチャンピオンを確定させた。

全日本カート選手権FS-125部門 第5戦/第6戦

 水冷125ccエンジンのワンメイクレースであるFS-125部門では、酒井龍太郎選手が開幕4連勝で満点のシリーズポイントを獲得し、すでにチャンピオンを確定させている。その酒井選手は今回の大会を欠場、参加14台でのレースとなった。タイトル争いこそ決したとはいえ、限定Aライセンスの獲得を目指すドライバーたちは、未来をつかむための戦いの真っ最中だ。

 酒井選手不在のレースで速さを見せつけたのは、全日本2年目の塩田惣一朗選手だった。雨中の第5戦予選では2番グリッドの小野大地選手がスタートで先頭に立ったが、その小野選手がアクシデントで順位を下げると、ポールスタートの塩田選手はトップに戻って独走ゴールを遂げた。

 ほぼ雨が止んだ中でのウェットレースとなった決勝でも塩田選手の勢いは止まらず、スタート直後に後続を引き離すと、そのままゴールまで突っ走って初優勝を果たした。単独走行で2位フィニッシュの石部壮太郎選手は自己最上位をひとつ更新。土屋拓心選手は高田陽大選手の追い上げから逃げ切って3位を獲得し、初表彰台に立った。

FS-125部門 第5戦優勝は塩田惣一朗選手(HRS JAPAN)。
難しいコンディションの中、「どんどん晴れていってレース中盤からペースが速くなっていって、乾いていく路面のどこが一番乾いているのかを常に探しながら走りました。そうしたらラップタイムも向上していって、そこにタイヤのエア圧もマッチして、全体的に自分のベストを尽くせたレースだったと思います」と塩田選手。「初めての中山で、チームのモットーである『来た、見た、勝った』を実現できたことを誇りに思います」
2位は石部壮太郎選手(ERS with SACCESS)、3位は土屋拓心選手(RT WORLD)。
FS-125部門 第5戦表彰の各選手。

 第5戦の勝利で弾みがついたか、第6戦の塩田選手はさらに他を圧倒する走りを披露。予選を独走で制すると、決勝でも1周目から後続を引き離し、最後は約6秒までリードを広げてフィニッシュ、ポイントランキングも急上昇してシリーズ3位を確定させた。

 塩田選手の後方では、時に10台が一列に連なる大きなセカンドグループが熱闘を繰り広げた。この集団から高田選手が終盤に抜け出して2位でチェッカーを受け、ランキング2位を確定。木幡直生選手が3位に入って初表彰台をゲットした。

FS-125部門 第6戦優勝は塩田選手(ERS with SACCESS)。
「レース前に服部チーム代表から『30周あるから最初の10周に全集中して、2番手に追いつく気力をなくさせるくらい引き離せ』って言われて、前半は本当にフルプッシュして、そこから体力温存っていう形でレースを構成していこうと思ったんですけど、後ろをしっかり引き離すっていう目標を実現でしたんで、すごくうれしいです」と2連勝の塩田選手。「中山で結果も内容もいいレースができて良かったと思います」と総括した。
2位は髙田陽大選手(SuperRacingJunkie!)、3位は木幡直生選手(SuperRacingJunkie!)。
FS-125部門 第6戦表彰の各選手。

フォト/JAPANKART、今村壮希、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ