東北ダートラ第7戦は3クラスでタイトルが確定!
2024年10月3日

東北ダートトライアル選手権の第7戦が、9月21日に福島県二本松市のエビスサーキット新南コーススライドパークで開催された。全8戦のシリーズも大詰めを迎え、残るはあと2戦。その2戦は、今回の第7戦が土曜日、そして翌日の日曜日に同じく新南コースで最終戦と、2日連続で行われる。
2024年JAF東北ダートトライアル選手権 第7戦
2024年JMRC東北ダートトライアルシリーズ第7戦
SiF ダートトライアル 2024
開催日:2024年9月21~22日
開催地:エビスサーキット新南コース スライドパーク
主催:SiF
全5クラス中、前回の第6戦でシリーズチャンピオンが確定しているのは、2WD-1クラスのみで、4クラスのタイトル争いが、この2日間で展開される。
2連戦初日となる第7戦のコースは、新南コースでは今年度初開催となった全日本選手権の公開練習で採用されたレイアウト。
あいにくの雨模様となった当日は、その雨に加えて気温も20度にも満たず、つい先日までの猛暑から一転して、肌寒さも感じる中で競技がスタート。コースコンディションは終日ウェットとなったが、その天候とは裏腹に、各クラスでタイトルを巡る熱いバトルが繰り広げられた。


FRクラス
今シーズンは前回までの第6戦までで、切谷内ラウンドの3戦が不成立となったため、丸和ラウンドとエビスラウンドの3戦でポイント争いが展開されてきたFRクラス。そのポイントリーダーは、これまでスバル・インプレッサで旧S-2クラスから昨年の4WD-2クラスまで連覇を重ねてきた東北の雄、加藤琢選手。加藤選手は今シーズンからリア駆動のスバル・BRZに乗り換えてFRクラスに参戦、すでに3勝を挙げ、タイトルに王手をかけている。しかし今回、その加藤選手の前に立ちはだかったのは、レディースドライバーのみっちー選手。第1ヒートで加藤選手に約0.5秒の差をつけてトップタイムをマークする。
第2ヒートになると、みっちー選手は自己タイムを2秒以上更新してアドバンテージを確保。一方の加藤選手は、シリーズチャンピオンが確定しているが、目下の課題はみっちー選手に勝つこと。しかし、中間計測地点で0.9秒ほどの遅れをとった加藤選手は、後半区間でも取り戻すことができずゴールタイムはおよそ1.4秒遅れの2位。強敵加藤選手の追撃をもろともせず、みっちー選手が優勝を飾った。
「これまで、レディースクラスの優勝はあったのですが、選手権クラスの優勝は初めてなので、とてもうれしいです」と優勝のみっちー選手。続けて、「加藤選手からクルマをもっとインにつけろというアドバイスを頂いたので、2本目はそれを意識して走ったのが良かったと思います。ただ、まだ甘いところもあったので、明日(第8戦)はもっと攻めます」と力強いコメント。
今季、ホームコースのエビスで加藤選手に2連敗を喫したみっちー選手だが、その雪辱を果たし、地区戦初優勝も勝ち獲った。
そして、敵に塩を送るかたちで2位となった加藤選手は「FRは、ドライビングもセッティングも最近ようやくまとまってきた感じですね。まだ試していることも多いですが、今日は今までの中で一番良いパッケージだと思います。走りの方は、決して自分が遅かったわけではなく、みっちー選手の練習の成果ですね。競争相手が速いほど楽しいので良かったです。ただ、明日は負けないよう頑張ります」と、みっちー選手の健闘を称えるとともに、リベンジを誓った。



2WD-1クラス
工藤清美選手が、怒濤の6連勝でシリーズチャンピオンを確定させている2WD-1クラス。今回工藤選手は欠場となったが、その第1ヒートでトップタイムをマークしたのはシリーズ4番手、今季3戦目となる柳本弘信選手。2番手にはシリーズ6番手の早坂多門選手がつける。
第2ヒートになると、柳本選手は1.6秒ほどのタイムアップを果たしてトップを保持。早坂選手は約0.4秒まで迫るも及ばず2位止まりとなり、柳本選手が優勝となった。
「今回は我慢の走りでした。2本目はタイムアップしましたが、場所によってすごく滑る箇所があって、ちょっと失敗しましたね。ただ、1日中雨が降っているにもかかわらず、タイムアップできるコースって他ではないですよね。(新南コースは)新時代のダートラ場ですね(笑)」と優勝の柳本選手。今回のポイントでシリーズ順位を1つ上げ、3番手に浮上。早坂選手は4番手に、そして3位の星光行選手は、ポジションを1つ上げシリーズ6番手と入れ替わった。



2WD-2クラス
ポイントリーダーの古川雄貴選手、シリーズ2番手武蔵真生人選手、そして同ポイントでシリーズ3番手の竹村由彦選手と佐藤史彦選手までがタイトル獲得の権利を有している2WD-2クラス。その中で自力チャンピオンが可能なのが古川選手と武蔵選手。接戦で迎えた今回、この勝負に他の選手がどう絡んでくるかも勝負の行方を左右する。
その第1ヒートをトップで折り返したのは、1分34秒台をマークした佐藤選手。2番手に1分35秒台で武蔵選手、古川選手は1分37秒台と、やや離された状態で4番手につける。
そして第2ヒート。第1ヒートで3番手につけていた越川善正選手が1分33秒740でトップタイムを塗り替えるが、すぐさま佐藤選手が1分33秒080を刻んでトップ奪回。続く武蔵選手は佐藤選手に約0.08秒まで迫るも届かず2番手。ラストゼッケン古川選手は、中間計測地点はベストタイムで通過したものの、後半区間で遅れて1分34秒台で4位。その結果、上位陣は第1ヒートの順位が変わらず、佐藤選手が優勝となった。
「東北地区戦は以前は全戦追っていたのですが、近年はエビスや丸和の南東北のみ参戦してます。今回は雨ということで、軽量のミラージュ勢にやられると思っていたのですが、なんとかドライタイヤを使いこなせて勝てました(笑)」と佐藤選手。全日本選手権を主戦場としているだけに、雨のエビスでもその強さを発揮しての優勝となったが、武蔵選手と古川選手がそれぞれ2位、4位に入ったため、タイトル争いからは離脱。そのタイトルは今回決まらなかったものの、武蔵選手が古川選手を抜いてシリーズトップに立ち、2人の選手による最終戦勝負となった。



4WD-1クラス
4台で争われた4WD-1クラスは、欠場した第3戦を除き、今季全勝の5勝を挙げている伊藤久選手がポイントリーダー。シリーズ2番手の太田敏明選手にも、かろうじてチャンピオンの可能性が残っているが、2連勝が絶対条件に加えて、伊藤選手がこの2連戦でノーポイントとならない限り望みはなく、かなり厳しい状況だ。その第1ヒートでトップタイムを刻んだのは、スポット参戦で突如現れた全日本ドライバー増村淳選手。伊藤選手はおよそ2.2秒遅れの4番と、最下位で折り返す。
第2ヒートになると、クラスファーストゼッケンの林健一選手が増村選手のタイムを約1.2秒更新し、完全な第2ヒート勝負となる。続くゼッケン、第1ヒートで2番手につけていた太田選手は、自己タイムを更新することができず暫定3番手。そして伊藤選手の第2ヒート。今回勝てば満点チャンピオンを決めることができるが、中間計測では林選手を僅かに上回るものの、ゴールタイムは約0.4秒及ばず暫定2番手。ラストゼッケンの増村選手はコース前半の島回りでスピンを喫してしまい第1ヒートのタイムで3番手となり、林選手がタイムを守り切り、今季初優勝を飾った。
「優勝は昨年の最終戦振りです。久しぶりに勝てました(笑)。かなりミスがあり、負けても仕方ないなという走りだったので、結果オーライですね。他の選手のミスに助けられました。今日の失敗を修正し、ブラッシュアップして明日につなげようと思います」と、優勝の林選手。
そして優勝は逃してしまったものの、2位でタイトルを確定させた伊藤選手は、「今シーズンはクルマ自体は良くなってきてますが、それに対してドライバーがついていけなかったりして、ミスも多かったですね。今回の2本目は、そこそこのタイムがでましたが、勝てませんでした。全日本(Nクラス)では今年1ポイントも獲れてませんが、地区戦はなんとかカタチになりました(笑)」と、苦笑いの伊藤選手だが、昨年に続く2連覇が確定となった。



4WD-2クラス
4WD-2クラスは、関東地区のドライバー宮地雅弘選手がポイントリーダー、2番手には金田一聡選手が3ポイント差で追う展開となっている。翌日の関東地区第6戦に出場する宮地選手は、最終戦を戦うことができないため、今回は是が非でも優勝ポイントを獲得したいところだが、第1ヒート、1分27秒017のタイムを刻みトップで折り返したのが四戸岳也選手。宮地選手は100分の4秒ほどの遅れで2番手につけ、金田一選手は1分28秒台の5番手で第1ヒートを終える。
続く第2ヒート。四戸選手は中間計測で自己タイムから0.3秒の遅れをとり、後半区間で巻き返すも約0.05秒届かずタイムダウンとなったが、トップは変わらず第1ヒートのタイムで後続4台の走りを見守る。今季勝ち星がない四戸選手は、このまま逃げ切りたいところで、次ゼッケンの柿本拓自選手、そして遠藤誠選手ともにタイムダウン。
ラス前、金田一選手はタイムアップを果たすも第1ヒートと同じく1分28秒台。そしてラストゼッケン宮地選手のみとなったが、ここで宮地選手は中間計測をベストで通過。さらにゴールタイムは1分25秒588を叩き出し、逆転で優勝となった。
「1本目は(タイヤは)ウェットでいったのですが、ドライの方が良いとのアドバイスを受けて変えました。走行フィーリングは、タイムが出ているとは思いませんでしたね。ゴールタイムを聞いてびっくりしました(笑)。トップタイムはうれしいのですが、不思議な感覚ですね」という宮地選手は、この優勝で有効92ポイントを獲得。今回5位の金田一選手が翌日優勝しても有効ポイントが届かないため、最終戦を待たずして宮地選手のシリーズチャンピオンが確定した。
惜しくもチャンピオンを逃した金田一選手は「(地元の)切谷内以外のポイントが低いので、しようがないですね。細かいターンが苦手なので、エビスも練習しようと思います。関東地区のドライバーにチャンピオンを持っていかれないよう、東北勢ももっと頑張らないといけませんね」と締めくくった。



クローズドクラス
進藤意織選手の三菱・ミラージュと、菅生大介選手のスバル・BRZの2台で争われたクローズド1クラスは、進藤選手が第1ヒートでトップタイムを刻む。第2ヒートはタイムダウンとなってしまった進藤選手に対し、菅生選手は3秒以上のタイムアップを果たすも約0.5秒及ばす、進藤選手が逃げ切っての勝利。
同じく2台で争われたクローズド2クラス。第1ヒートトップは、トヨタ・GRヤリスの菊田真弥選手だが、三菱・ランサーの久保勝選手も約0.03秒まで迫る接戦を展開。しかし第2ヒートで久保選手はミスコースを喫してしまい逆転ならず、菊田選手は自己タイムを約1秒更新し勝利した。


フォト/友田宏之 レポート/友田 宏之、JAFスポーツ編集部