DUNLOPが「ピンクリボン月間」に先駆けてキックオフイベントを開催

ニュース JAFWIM その他

2024年10月4日

DUNLOPブランドのタイヤをモータースポーツ界に供給する住友ゴム工業株式会社が、9月23日に東京都江東区のシティサーキット東京ベイで、「ピンクリボン運動」のキックオフイベントを開催した。

 ピンクリボン運動は、乳がんの早期発見・早期治療を推進する世界規模のキャンペーンだ。住友ゴム工業株式会社は、モータースポーツ界でも女性ドライバーが増加していることなどを鑑み、この運動に賛同し、啓発活動をサポートしている。

 今回は10月の「ピンクリボン月間」に先駆けて行われる、初めてのキックオフイベントとなった。会場は、全日本カート選手権 EV部門 第4戦が開催されたシティサーキット東京ベイ。住友ゴム工業株式会社はこのEV部門のワンメイクタイヤとしてサステナブル原材料比率43%のDUNLOPカートタイヤ(略称:サステナブルタイヤ)を供給している。

 サーキットにはDUNLOPブースが出展され、ピンクリボン運動を象徴するピンク色のぼりが立ち並んだ。この日のレースに参加するドライバーやスタッフには、ピンク色のリストバンドが配布された。さらに、全日本に出場するマシンに装着されたタイヤのサイドウオールのDUNLOPロゴは、いつもの黄色からピンク色のスペシャルカラーに変更。マシン全車のフロントフェアリング先端にも、ピンク色のDUNLOPステッカーが貼られた。

ピンクリボン運動のキックオフイベントに合わせて、DUNLOPロゴマークがイエローベースからピンクに変更されている。
全日本カート選手権 EV部門で使用される、DUNLOPのサステナブルタイヤを履くTOM'S EVK22も、今大会限定でDUNLOPのロゴマークがピンクに。
特設ブースではDUNLOPブランドのタイヤを装着したデモカーを始め、高性能なスポーツタイヤなどが展示された。
サステナブル原材料のサンプルを紹介する、住友ゴム工業株式会社タイヤ事業本部 材料開発本部 材料第四部に所属の鳥田一哉氏と河津朱里氏。

 全日本カート選手権の来場者向けイベントが終了した14時すぎ、コース上では2名のレーシングドライバーによる一般カートタイヤとサステナブルタイヤの比較走行が行われた。

 比較対象となった一般カートタイヤは、上級カテゴリーのカートレースなどで使用されている通称“セミハイグリップタイヤ”のSL6。これらのタイヤを履かせたカートは、全日本カート選手権 EV部門のワンメイクマシンであるEVカートTOM'S EVK22。

 テストドライバーを担当したのは、2003年の全日本カート選手権でICA部門のチャンピオンに輝き、現在はスーパーGTなどの四輪レースでDUNLOPタイヤのユーザーとして活躍する山内英輝選手と、2023年の全日本カート選手権 EV部門で同選手権史上初の女性チャンピオンとなり、今季はKYOJO CUPなどの四輪レースで活躍する翁長実希選手だ。

 サーキットのピットロードにはそれぞれサステナブルタイヤとSL6を装着した2台のマシンが用意された。まずは山内選手がSL6装着車に、翁長選手がサステナブルタイヤ装着車に乗ってコースを走行する。その後、ふたりがピットロードに戻ってマシンを交換し、再度テストドライブを行う手順だ。

 山内選手はほぼ3年ぶりのカートドライブながら、初めて操縦するEVのハイパフォーマンスカートで堂々のドライビングを披露。翁長選手も11か月ぶりに乗る全日本仕様のEVカートをきっちり操ってタイヤの感触を確かめていく。

 タンデム状態でコースを走るふたりは、たびたびオーバーテイクを披露してギャラリーを楽しませながら、無事にテスト走行を終了。マシンを降りた山内選手からは「腕がヤバい!」との悲鳴も上がっていた。

セミハイグリップタイヤのSL6と、サステナブル原材料比率43%のサステナブルタイヤの2種類を、TOM'S EVK22に装着して比較。
走行を担当したのは山内英輝選手と翁長実希選手。比較対象のSL6とサステナブルタイヤが装着された2台のマシンを途中で交代しながら走行し、感触を確かめていた。

 テスト走行が終わると屋内のCYBER TRACKにあるステージにて、カーライフ・エッセイストの吉田由美氏の司会進行によるDUMLOPの記者発表会が開催された。さまざまな報道関係者の注目が集まる中、まずは山内選手と翁長選手が登壇。

「サステナブルタイヤは一般のカートタイヤとまったく遜色がなく、むしろサステナブルタイヤの方がグリップが高いんじゃないかと感じるくらいでした。今のカートのタイヤはこんなに性能が高いのかと驚きました」とは山内選手のコメントだ。

 翁長選手は「それぞれのタイヤの違いがよく分かりました。サステナブルタイヤの方がより高いスピードでコーナーを回れたり短い距離でブレーキングができたりして、高いパフォーマンスを実感できました」と、先の比較走行の感想を発表した。

 両名のインプレッションに続いて、住友ゴム工業株式会社 モータースポーツ部の菅野展寛氏もステージに上がり、サステナブルタイヤの開発の経緯やその技術について説明を行った。今後、CO2削減を目指し、サステナブル原材料比率を高めていくという目標が明かされた。

 感想を求められた山内選手がステージ脇に展示されていたボードに目を留め、「そこに書かれているサステナブル原材料比率76%の(スーパーGT用の)タイヤは、もう走っているんですか? そのタイヤで走ったドライバーのコメントにすごく興味があります!」と興奮気味に逆質問をぶつけるひと幕もあった。

タイヤ比較の走行を終えたばかりの山内選手と翁長選手が、サステナブルタイヤのインプレッションを発表。

 菅野氏の説明が終わると、続いてKYOJO CUPに参戦中の平川真子選手、萩原友美選手、金本きれい選手が壇上に上がり、このドライバー3名に山内選手、翁長選手を交えて、KYOJO CUPとピンクリボン運動についてのトークショーが催された。

「KYOJO CUPは参加ドライバーも多いですしレベルもアップしていて、すごく注目度の高いレースだと思います。みなさん“推し”を見つけにレースを観に来てください」と平川選手がKYOJOをアピールすれば、「昨年は出産でレースを1年間お休みして、今年復帰しました。結婚しても出産してもレースを続けられるんだよ、という道を示せるように頑張りたいと思います」と萩原選手が後輩に向けてエールを送る。

 また「4歳からレーシングカートをやってきて、男性に交じってレースをすることは私の中では当たり前のことだったんですが、女性向けのレースにはまた違った緊張感がありますし、KYOJO CUPはもっと盛り上がってほしいと思っています」と金本選手がコメント。3名はそれぞれの言葉でKYOJO CUPへの思いを語った。

 話題がピンクリボン運動に移ると、吉田氏から「乳がんは女性の9人にひとりがかかるが、早めの発見・治療で命に関わるものではなくなる」、「実は男性も乳がんにかかる」など、意外に知られていない乳がんの知識が語られた。ドライバーたちからも、住友ゴム工業株式会社がこれまで続けてきたピンクリボン運動に賛同する活動に触れて乳がん検診への関心が高まったことなど、ピンクリボン運動への思いが披露された。

KYOJO CUPに参戦する女性ドライバーたちが、モータースポーツやピンクリボン運動について語った。

 ステージイベントが終わると、レーシングコースでは全日本カート選手権 EV部門 第4戦の決勝がスタート。DUNLOPのサステナブルタイヤを装着した12台のマシンによって熱戦が繰り広げられた。こうして住友ゴム工業株式会社の「ピンクリボン運動」キックオフイベントは、人々に強い印象を残して幕を閉じた。この日シティサーキット東京ベイを訪れた多くの人々には、乳がんの早期発見・治療についての関心が広まったのではないだろうか。

フォト/今村壮希、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部

ページ
トップへ