DENSO LEXUS RC F GT3がポール・トゥ・ウィンで、小山美姫選手がS耐初の女性ドライバー総合優勝

レポート レース JAFWIM

2024年10月9日

9月27~29日、鈴鹿サーキットで5時間レースとして開催されたスーパー耐久シリーズ 第5戦「SUZUKA S耐」は全8クラス56台の車両が出走。DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀組)がポール・トゥ・フィニッシュで今季初優勝を決めた。小山選手は1993年N1耐久シリーズの佐藤久実選手以来、女性ドライバーとして2人目の総合優勝を遂げた。1998年にスーパー耐久シリーズとなってからは初となる。

ENEOS スーパー耐久シリーズ 2024 Empowered by BRIDGESTONE 第5戦「SUZUKA S耐」
開催日:2024年9月27~29日
開催地:鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)
主催:NRC、SMSC、ホンダモビリティランド株式会社

 秋の彼岸を過ぎたにもかかわらず、蒸し暑い28日午後に行われた公式予選。今回もA/Bドライバーのベストタイム合算で争われたが、DENSO LEXUS RC F GT3が今季初のポールポジションを獲得した。これに開幕連勝後、2戦を休んでいた中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也組)が続く。

 第3戦オートポリスで初優勝したCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー・ジェフリー/太田格之進/チェン・ディーン/リアン・ジャトン組)、今季優勝はないもののポイントリーダーであるTKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴組)、そして第4戦もてぎで優勝したDAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月組)の順となった。

 29日は決勝レースの前に1時間ほどの降雨があり、一時は土砂降りでコースはウェットコンディションとなったが、各車両がコースインするころには雨は上がった。決勝スタート時のコースはウェットコンディションだったが、天気は回復傾向にあり、多くのチームが早めに乾くと判断してスリックタイヤを選択している。曇天で気温24度の11時50分に5時間の耐久レースはスタートした。

ST-Xクラス

 ST-Xクラス(全5台)はCraft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3とTKRI松永建設AMG GT3の2台のメルセデスが、ジェントルマンドライバーからスタートを切っている。DENSO LEXUS RC F GT3の小高選手が後続を見る見る間に引き離しにかかった。

 TKRI松永建設AMG GT3は6周でピットインし、スリックタイヤに交換してドライバーもDAISUKE選手から元嶋選手へ交代。2番手の中升 ROOKIE AMG GT3のアレジ選手に順位を上げたDAISHIN GT-R GT3の藤波選手が追いつき、21周目の1コーナーでパス。しかしすでにDENSO LEXUS RC F GT3とは25秒近いギャップがあった。

 32周でDENSO LEXUS RC F GT3がピットインし、ジェントルマンドライバーの永井選手に交代すると、DAISHIN GT-R GT3がトップに立つ。35周でDAISHIN GT-R GT3、中升 ROOKIE AMG GT3がピットインすると、トップは再びDENSO LEXUS RC F GT3で、2番手はTKRI松永建設AMG GT3。その直後にDAISHIN GT-R GT3の坂口選手、中升 ROOKIE AMG GT3の片岡選手が続いた。

 スタートから1時間が経つ前の44周でTKRI松永建設AMG GT3がピットインすると、DAISHIN GT-R GT3と中升 ROOKIE AMG GT3の順位が繰り上がった。50周を過ぎるとトップのDENSO LEXUS RC F GT3に後続の2台が追いつき3台によるトップ争いとなった。55周目のスプーン1個目で中升 ROOKIE AMG GT3が2番手に順位を上げ、57周目の130Rでついにトップを奪う。

 DAISHIN GT-R GT3も58周目のNIPPOコーナーで2番手に順位を上げた。62周でDENSO LEXUS RC F GT3、70周で中升 ROOKIE AMG GT3、そして71周でDAISHIN GT-R GT3が2回目のピットイン。ここからのトップ争いに注目が集まったが、DAISHIN GT-R GT3はジェントルマンドライバーの今田選手が130Rでバックマーカーと接触してコースアウトからスポンジバリアにクラッシュ。コースに復帰はできたが順位を4番手に落とすことになった。

 74周目に中升 ROOKIE AMG GT3のジェントルマンドライバー鵜飼選手をDENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨選手がかわしてトップを奪うと、2番手以下を引き離し始めた。96周でトップのDENSO LEXUS RC F GT3が最後のピットインをして小山選手に交代。

 104周目に中升 ROOKIE AMG GT3がピットインして蒲生選手に交代したが、トップとの差は47秒ほどもあった。DAISHIN GT-R GT3は103周でピットインして藤波選手に交代したが、105周で緊急ピットイン。クラッチのトラブルで修復して再びコースインしたが、108周目の130Rでストップした。

 レースはDENSO LEXUS RC F GT3の小山選手がトップを守って今季初優勝。小山選手はST-Xクラスで初めて優勝した女性ドライバーとなった。また女性ドライバーが総合優勝を飾ったのは、1993年N1耐久シリーズ筑波ナイター12時間での佐藤久実選手(ニチレイ・アセロラ・GT-R)以来、31年ぶり2人目で、1998年にスーパー耐久シリーズと名称が変更されて以降は初。

ST-Xクラス優勝は#31 aprのDENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀組)。
2位は#1 中升 ROOKIE Racingの中升 ROOKIE AMG GT3、3位は#23 TKRIのTKRI松永建設AMG GT3。
ST-Xクラス表彰の各選手。

ST-Zクラス

 ST-Z(全13台)クラスは、EBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凛太郎/山野直也/岩澤優吾組)が、終盤の101周目にTECHNO FIRST R8 LMS GT4(加納政樹/平安山良馬/安田裕信/大草りき組)からトップを奪い、2022年最終戦鈴鹿以来2年ぶりの優勝を飾った。

 3位はraffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4(植松忠雄/松田次生/佐藤公哉/名取鉄平組)。ポイントリーダーで60kgのウェイトハンデを積みながらクラスポールを獲得した埼玉GB GR Supra GT4(山﨑学/吉田広樹/服部尚貴/野中誠太組)はペナルティもあり4位に留まった。

ST-Zクラス優勝は#22 Porsche Team EBIのEBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凛太郎/山野直也/岩澤優吾組)。
2位は#34 TECHNO FIRSTのTECHNO FIRST R8 LMS GT4、3位は#25 TEAM ZEROONEのraffinée日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4。
ST-Zクラス表彰の各選手。

ST-TCRクラス

 ST-TCRクラス(全3台)は、97号車のRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/辻本始温/桝本隆介組)と98号車のRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚組)のチームメイト同士でのバトルが続いたが、残り3周となった終盤の114周目に97号車のRacer ホンダカーズ桶川 CIVICの山本選手が逆転し初優勝を遂げた。

ST-TCRクラス優勝は#98 M&K RacingのRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ・ジョンウ/山本聖渚組)。
2位は#97 M&K RacingのRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC、3位は#430 Audi Team SHOW APEXのエヴァRT初号機 RS3 LMS。
ST-TCRクラス表彰の各選手。

ST-1クラス

 ST-1クラス(全1台)はシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)が完走で5連勝。総合でも9位でゴールした。

ST-1クラス優勝は#2 Ksフロンティア KTMカーズのシンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹組)。

ST-2クラス

 ST-2クラス(全8台)は序盤からSPOONリジカラCIVIC(山田英二/小出峻/ピストン西沢/三井優介組)がトップを守っていたが、接触によるマシンダメージがありピットイン。KTMS GR YARIS(一條憲吾/奥本隼士/小林利徠斗組)が今季4戦で3勝目を挙げ、タイトル争いに大きく前進した。

ST-2クラス優勝は#225 KTMSのKTMS GR YARIS(一條挙吾/奥本隼士/小林利徠斗組)。
2位は#72 日本自動車大学校のOHLINS CIVIC NATS、3位は#13 ENDLESS SPORTSのENDLESS GRヤリス。
ST-2クラス表彰の各選手。

ST-3クラス

 ST-3クラス(全4台)は、今回ST-4クラスが休みとなったため、前戦までST-4クラスをドライブしていた冨林勇佑選手が助っ人として加わったエアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/冨林組)が今季2勝目を挙げた。

ST-3クラス優勝は#39 TRACY SPORTS with DELTAのエアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/冨林勇佑組)。
2位は#38 TRACY SPORTS with DELTAのTRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS、3位は#16 OKABEJIDOSHA motorsportの岡部自動車Z34。
ST-3クラス表彰の各選手。

ST-5クラス

 最激戦区のST-5クラス(全15台)は、ポールスタートの村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平組)が3時間過ぎまでトップを走行していたが、マシントラブルのためにピット作業に時間を要し、DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦組)がトップに立った。しかしレース最終盤、残り2周でodula TONE 制動屋 ROADSTER(太田達也/外園秋一郎/黒沼聖那/池田拓馬組)が逆転して初優勝を飾った。

ST-5クラス優勝は#65 OVER DRIVEのodula TONE 制動屋 ROADSTER(太田達也/外園秋一郎/黒沼聖那/池田拓馬組)。
2位は#17 TEAM NOPROのDXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2、3位は#88 村上モータースの村上モータースMAZDAロードスター。
ST-5クラス表彰の各選手。

ST-Qクラス

 トヨタ、ホンダ、スバル、マツダの、4メーカーの開発車両によるST-Qクラス(全7台)は、MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept(川田浩史/阪口良平/堤優威組)、ロボットが製作したロールケージを使用したORC ROOKIE GR Yaris DAT concept(MORIZO/佐々木雅弘/石浦宏明/小倉康弘組)、MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男組)、SUBARU HighPerformanceX Future Concept(伊藤和広/山内英輝/井口卓人/花沢雅史組)、GR Supra Racing Concept(加藤恵三/松井孝允/河野駿佑/山下健太組)は完走して多くのデータを収穫。しかしORC ROOKIE GR86 CNF concept(佐々木栄輔/坪井翔/大嶋和也/豊田大輔組)は、燃料系のトラブルでスタートできずリタイアとなった。

ST-Qクラスで1番目にゴールした#92 GR team SPIRITのGR Supra Racing Concept(加藤恵三/松井孝允/河野駿佑/山下健太組)。
2番目にゴールした#271 Team HRCのHonda CIVIC TYPE R CNF-R、3番目にゴールした#61 Team SDA EngineeringのSUBARU HighPerformanceX Future Concept。
ST-Qクラスのセレモニー。
Aドライバー登録規定の基準を満たしたドライバーを3名以上登録し走行するチームがあった場合、その各クラス最上位チームに与えられるジェントルマン賞は、ST-2クラス#7 シンリョウレーシングチームの新菱オートVARIS☆DXL☆EVO10、ST-5クラス#4 チームBRIDEのTHE BRIDE FITが受賞。

フォト/吉見幸夫 レポート/皆越和也、JAFスポーツ編集部

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