3年目を迎えたTGRラリチャレ利府は、3つのステージでホットバトルが展開!
2024年10月9日

TOYOTA GAZOO Racing Rally Challengeは、9月28~29日に、シリーズ第10戦が宮城県利府町を拠点に開催された。
TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2024 in 利府
開催日:2024年9月28~29日
開催場所:宮城県利府町周辺
主催:T-PROCREWS
宮城県利府町でのTGRラリーチャレンジは3年連続の開催。昨年は7月に開催されたが、今年は9月に行われた。8月31日~9月1日に佐賀県唐津市で開催される予定だった前回の一戦が台風10号の接近により、開催中止を余儀なくされたため、今回の一戦は実質的にはシリーズ9戦目の開催となる。
ラリーのHQ、サービスパークが置かれたのは利府町にある「グランディ21」の愛称で知られている宮城県総合運動公園。大会当日の29日にはサービスパークに隣接するイベント広場で行われた様々な催し物や、セレモニアルスタートに多くのギャラリーが詰めかけ、大盛況の一日となった。ラリーの方も、昨年より10台増の64台が参加。9クラスに分かれて熱戦を展開した。
SSは「MORIGO」1.31km、「HAMADA」1.50km、「GRANDE・21」0.50kmの3本を45分のサービスを挟んでふたつのセクションで1回ずつ走る計6SS、6.62kmで競われた。3ステージとも昨年もSSとして使用されたが、MORIGOは、利府町で毎年開催されている「利府ラリー」でも使われてきた名物ステージ。舗装ではあるが、一部、舗装が剥がれた箇所があるほか、砂が乗ったコーナーもあり、非常にリスキーなステージだ。
対照的にHAMADAは同じ舗装ではあるが、前半は片側一車線の高速セクションを経た後に林道セクションに入る、良好な路面が続くステージ。そしてGRANDE・21は、グランディ21内にあるグラベルの広場で行われるSSで、今回、ラリーの拠点となった第7駐車場からも至近の距離にあるため、今年も多くのギャラリーで賑わった。

E-4クラス
9台が参加したE-4クラスは、SS1 MORIGOで、13年ぶりにラリーに復帰した地元宮城の綾部匡/山口清組がベストタイムをマークする。が、SS2 HAMADAでは、千明正信/林浩次組が綾部/山口組を5.6秒突き離すベストをマークして首位に浮上。SS3 GRANDE・21では綾部/山口組が0.8秒競り勝つが、千明/林組が3.5秒のリードを築いてセクション1を終えた。
SS4 MORIGOでは再び、綾部/山口組がベストを奪って千明/林組に1.7秒差まで迫るが、続くSS5 HAMADAではまたも千明/林組が5.1秒差で綾部/山口組を振り切る圧巻のベストをマーク。最終のSS6 GRANDE・21では、綾部/山口組がこの日、4度目のベストで上がるが、千明/林組がトータル4.8秒差で逃げ切った。
今季5勝目をマークした千明選手は、「タイヤ選択がすべてでしたね。綾部選手は通常の硬質路用のドライタイヤだったみたいですけど、僕はHAMADAが勝負所と踏んで超硬質路用のスーパードライタイヤを選択しました。ダートのGRANDE・21は特に厳しかったけど、それも承知の上でのチョイスだったので、やはりHAMADAで狙った通りのベストを取れたのが大きかったと思います」と振り返った。
一方の綾部選手は、「スーパードライタイヤも考えましたが、MORIGOが思ったよりも道が荒れていたので、GRANDE・21もあったし、平均値を取ってドライタイヤにしました。やっぱりHAMADAはタイヤ的に厳しかったですね。ただ初めて乗るクルマで初めてダートを走った割には思った以上に走れたので、今日の結果を今後に繋げたい。GRヤリスはまだまだ速くなると思います」と、好感触を得た様子だった。



E-3クラス
E-4クラス同様の展開となったのが、参加19台と今回最大の激戦区となったE-3クラス。スーパードライタイヤを選択した細谷裕一/蔭山恵組が、HAMADAで大量リードを築いて逃げ切った。昨年はGRANDE・21のSSで痛恨のパイロンペナルティで勝利を逃した細谷選手は、「去年のこともあるので(笑)、GRANDE・21でギリギリの勝負をしたくなかった。HAMADAで勝負を賭けようと思ってスーパードライを選択したのが当たりましたね」と、千明選手同様、作戦勝ちを強調した。
タイヤ的に不利だったSS1 MORIGOでもベストを獲れたことについては、「MORIGOは毎年、利府ラリーでも走っていて勝手知ったるステージなので、セッティングも含め、経験を活かせた結果だと思います」と振り返った。



C-2クラス
参加12台と今回2番目の激戦区となったC-2クラスは、NCP131/NCP91型ヴィッツに乗る初中級者対象のクラス。今年からラリーを始めた檮木太一/檮木奈菜子組がラリー5戦目で初優勝を達成した。「好きなタイプの道ということもあって、イメージ通りに走れました」というHAMADAでの快走がやはり勝利を引き寄せた形となったが、E-3クラスの細谷選手同様、スーパードライタイヤでMORIGOのSS1ベストを奪うなど新人らしからぬ高い適応力も光った。
「MORIGOは怖い道でしたけど、その分、踏んで入っていけるコーナーと、そうでないコーナーをノートにしっかり書き分けて走ったのが良かったと思います」と檮木選手。このSS1で檮木/檮木組と同秒ベストを刻み、SS5 HAMADAでは檮木/檮木組を0.7秒差に下すベストをマークした山口大輝/福地祐人組は、逆転を期した最終SSで痛恨のミスコース。4番手にポジションを落としてラリーを終えた。



C-3クラス
初代トヨタ86(ZN6型)限定のC-3クラスは、ドライタイヤをチョイスした乙津竜馬/矢部直人組が優勝。SS1、SS3、SS6とタイヤのアドバンテージを生かせるステージでベストタイムを連発して、後続に10秒差をつけて逃げ切った。
「スーパードライタイヤも持ってきてはいたんですが、MORIGOがレッキの段階で泥が出ていたのでドライタイヤにしました」とは乙津選手。「ただ初めて履くタイヤだったので、最初は様子見してしまいましたね。最後のSS6で結構タイムを稼げたので、結果的にはドライタイヤで正解だったかな、と。SS2とSS5は我慢の走りだったけど、特にSS5はきつかったですね」と、最後は苦笑で締めくくるラリーとなった。


C-4クラス
最終のSS6でドラマが起きたのが、ヤリスの入門クラスであるC-4クラス。セクション1をTOPで折り返した伊藤祐哉/渡部世李香が、SS5でもベストを奪って勝利へ向けて盤石の構えに入ったと思われた。しかし、SS6でタイヤトラブルが発生して大きくタイムロス。このSSをベストで上がったnaosan/kasabow組に勝利が転がり込んだ。



E-2クラス、E-1クラス
E-2クラスは、SS2で総合でもセカンドベストとなる好タイムをマークした境一輝/森田真組が、SS6まで連続ベストを叩き出して、後続に27.6秒の大差をつけて快勝した。またE-1クラスでは、前日の土曜日に結婚式を挙げたばかりの“超”新婚クルーの高橋響/高橋彩組が、グラベルのSS3、SS6で獲得したスーパーベストが効いて優勝をさらっている。




C-1クラス、OPEN-C/Eクラス
アクア限定のC-1クラスでも、2本のグラベルSSでリードを広げた大塚祐樹/前花亮平組が、今大会最も僅差となる3.2秒差で大門正義/荒川知真組を振り切った。OPEN-C/Eクラスではミライースの相原泰祐/上原あずみ組が、ノアでアグレッシブな走りを見せた喜多見孝弘/浦雅史組を4.7秒差で抑え込んで優勝を飾った。



フォト/田代康 レポート/田代康、JAFスポーツ編集部
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