近畿ダートラ第5戦でS2藤本隆選手が2年連続シリーズタイトル確定!

レポート ダートトライアル

2024年10月10日

近畿ダートトライアル選手権の第5戦と第6戦が、9月29日に京都府京都市右京区の京都コスモスパークで開催された。全6戦のシリーズも今回を含めて残り2戦。いよいよ大詰めを迎えた。

2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第5戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルチャンピオンシリーズ 第5戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第5戦
FLEET ダートトライアル 2024in 京都 其ノ一

開催日:2024年9月29日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:TEAM FLEET

 シーズン最後の2戦となった今大会は、同日に2戦開催というダートトライアル競技においては、過去に例を見ないスケジュールでの開催となった。

「近畿地区でダートトライアルの地方選手権を開催できるクラブの数と、それに応じた日程を鑑みて、シリーズを6戦組むにはどうしたら良いかと考えた結果、今回の1日に2戦というスケジュールになりました」と語ったのは、近畿地区ダートトライアル部会の田岡一浩部会長。続けて、「過去に例のないことですので、果たしてそれが可能なのかというところから始まり、他地区の方々にも相談しながら試行錯誤してきました。主催は、全日本選手権も主催しているベテランのフリートさんにお願いして、そのおかげで特例として開催できることになりました」と田岡部会長。

 今シーズン、近畿地区戦は能登半島の地震の影響で、中部地区から参加のドライバーも多く、100台を超える参加となっていたが、今回の2連戦は1戦につき80台のエントリーで締め切られた。

 第5戦は、朝7時40分に第1ヒートがスタート。天候は曇りだが幸い雨の心配はなく、コースコンディションはドライ。コースは2連戦ということもあって、通常よりも若干短めに設定された。

天候は曇りだったが路面のコンディションはドライ。
低速から高速までコスモスパークを存分に攻めるレイアウトとなり、各クラスで僅差の争いが展開された。

2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第5戦

AE・PNクラス

 今季2勝、2位2回の成績で、坂田智選手がシリーズチャンピオンを確定させているAE・PNクラス。

「フラットになった路面に合わせ、足回りのセッティングを変更しました。と言っても、ショックを微調整する程度ですが、良い感じでシーズンを戦うことができました。コスモスパーク最後の年でチャンピオンを獲れて良かったです」という坂田選手は、今回の2連戦は第6戦のS1クラスにエントリー。

 チャンピオン不在となったAE・PNクラスは、第1ヒートでシリーズ2番手の眞砂徳亮選手が唯一1分19秒台をマークし、トップで折り返す。そして眞砂選手は、タイムアップ路面となった第2ヒートでも、1分18秒から1分19秒台で推移していた上位争い一蹴する1分16秒台を叩き出して、今季初勝利を挙げた。

「今回はシリーズ2位を確実に決めるために来ました。坂田選手がいなかったので、落ち着いて走ることができましたね(笑)」という眞砂選手。この優勝でシリーズ2番手が確定となった。

AE・PNクラス優勝は眞砂徳亮選手(ファイナリストM5スイフト)。
2位は原真司選手(HARD 33スイフト)、3位は入谷有星選手(YHPureハムスタースイフト)。
AE・PNクラスの表彰式。左から4位の宮子祐輔選手、2位の原選手、1位の眞砂選手、3位の入谷選手、5位の岩田直也選手。

RWDクラス

 今季2勝を挙げてシリーズチャンピオンを確定させている山口順平選手、そしてシリーズ2番手につけている横内由充選手とともに欠場となったRWDクラス。

 そのRWDクラスは、シリーズ3番手につけている前田蔵人選手が、1分21秒台の接戦となった第1ヒートでトップに立つ。第2ヒートになると、上位陣は1分19秒台の争いとなったが、前田選手は唯一1分18秒台を叩き出し、今季初優勝を挙げた。

「久しぶりの優勝でうれしいです。旧型の86でも新型のGR86に勝てることを証明しました(笑)。アクセル全開でシフトアップすることでタイムが出るということが分かりました」と勝因を語った前田選手は、ポイントランキングを2つ上げ、2番手に浮上した。

RWDクラス優勝は前田蔵人選手(ライズWMクスコDLuce86)。
2位は仲村柊太選手(PureAPU BRZ)、3位はイデブロック選手(TガレライズCTベルテBRZ)。
RWDクラスの表彰式。左から4位の杉田聡選手、2位の仲村選手、1位の前田選手、3位のイデブロック選手、5位の須川裕二選手。

Nクラス

 ポイントリーダーの藤嶋義孝選手、シリーズ2番手の清水孝憲選手、そしてシリーズ3番手の木村剛士選手の3選手がタイトル獲得の権利を有するNクラス。

 第1ヒートでトップタイムを刻んだのは、シリーズ4番手の山本浩司選手。山本選手はタイトル争いからは離脱しているが、今季初優勝を掴みたいところ。しかし山本選手は第2ヒートで痛恨のタイムダウンを喫してしまう。続くゼッケン木村選手が山本選手のタイムを更新してトップが入れ替わるが、その木村選手のタイムを1.6秒以上更新したのが清水選手。ラストゼッケン藤嶋選手は4番手タイムに終わり、清水選手が逆転で優勝となった。

「1本目は山本選手が速くて、これではマズいと思い、2本目は突っ込み過ぎの走りになってしまいましたが、逆にそれが良かったのではないかと思います。今回勝てなかったら、シリーズチャンピオンの望みがなくなるので、気合いで走りました(笑)」という清水選手は、この優勝で有効ポイントが藤嶋選手と同点になり、タイトル争いはこの二人に絞られた。

Nクラス優勝は清水孝憲選手(ダイハツ技術研究会Nブーン)。
2位は木村剛士選手(DLシューFORTECブーン)、3位は山本浩司選手(ファイナリストブーボストーリア)。
Nクラス表彰の各選手。

S1クラス

 今季3勝を挙げた倉持陣之介選手がシリーズチャンピオンを決めているS1クラス。「今年は毎戦、慣熟歩行をしっかりやって、そのイメージ通りに走ることができたので、結果もついてきたと思ってます」と、シーズンを振り返った倉持選手。満点チャンピオンまであと1勝だが、第1ヒートでトップタイムをマークしたのは、昨年のJ1クラスからステップアップした一宮悠人選手。2番手にはシリーズでも2番手につけている宮西怜選手。そして3番手に倉持選手という順位で折り返す。

 第2ヒートになると、一宮選手はおよそ1.8秒のタイムアップを果たし1分15秒台でトップをキープ。後続のシリーズ上位陣もこのタイムには及ばず1分16秒台に留まり、一宮選手の完全勝利となった。

「今日は朝からメンタル的にすごく良くて、イケる!という感じをそのまま出せて走ることができました(笑)。コスモスパーク最後の年で、地区戦で勝てて良かったです」という一宮選手は、19歳でありながらダートトライアル歴7年のドライバー。シリーズ上位陣を打ち破り、地区戦初優勝を飾った。

S1クラス優勝は一宮悠人選手(ファインアートインテグラ)。
2位は宮西怜選手(YHファイナリストM2シビック)、3位は倉持陣之介選手(KUAC☆ミラージュハッチ)。
S1クラスの表彰式。左から4位の執行信児選手、2位の宮西選手、1位の一宮選手、3位の倉持選手、5位の瀧岡琉選手、6位の竹中雅哉選手。

S2クラス

 S2クラスは、第4戦までのポイントで3番手の三浦陸選手が欠場となったため、ポイントリーダー藤本隆選手、2番手の松原実選手、そして4番手の寺岡知展選手によるチャンピオン争いとなった。

 その第1ヒート、1分10秒台のトップタイムを刻んだのは藤本選手。2番手には1分13秒台の松原選手。寺岡選手は1分15秒台の5番手と出遅れてしまう。松原選手、寺岡選手ともに優勝以外、チャンピオンの望みがなくなってしまうため、正念場となった第2ヒートだが、寺岡選手は1分12秒台まで自己タイムを更新するも及ばず。松原選手も1分11秒台までタイムを詰めるも約0.17秒届かず2番手タイムとなり、藤本選手の第2ヒートはウィニングランとなった。

「2本目はちょっと失敗したのと、ホコリで前が見えずタイムダウンとなってしまいましたので、1本目のタイムで逃げ切れて助かりました。コスモスパーク最後の年でチャンピオンを獲りたいと思ってたので、実現できてうれしいです」という藤本選手が優勝でチャンピオンが確定。昨年に続く2連覇を達成した。

S2クラス優勝は藤本隆選手(YHワークS+APYランサー)。
2位は松原実選手(レプソルプロテック男義ランサー)、3位は寺岡知展選手(DL田中自LubEXDランサー)。
S2クラスの表彰式。左から4位の辰巳浩一郎選手、2位の松原選手、1位の藤本選手、3位の寺岡選手、5位の大下剛選手。
藤本選手がSC2クラスのチャンピオンを確定させた。

Dクラス

 今季第4戦まで優勝こそないものの、全て2位の成績を収めてきた絹川雅之選手がポイントリーダーに立っているDクラス。だが注目は、前半2戦を休戦していたディフェンディングチャンピオンの金井宏文選手。昨年までのスバル・インプレッサからヴィッツボディのセンターコクピットマシンにチェンジして、復帰以降、第3戦と第4戦を連勝して迎えた今回、第1ヒートをトップで折り返す。さらに第2ヒートでは自己タイムを3秒以上更新して優勝。3連勝を決めた。

「オーバーオールタイムは厳しかったのですが、バランスよく走ることができました。第6戦も壊さず、安定した走りでチャンピオンを獲りたいですね」という金井選手は、これで絹川選手と同ポイントに並び、最終戦は完走すればチャンピオン確定という状況になった。

Dクラス優勝は金井宏文選手(ADVANピロットクルブびっつ)。
2位は山口幸男選手(ロッキーたままるミラジュー2DX)、3位は絹川雅之選手(レソルテワコーズ駆ランサー)。
Dクラス表彰の各選手。

2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第5戦

JPN+クラス

 JPN+クラスは、シリーズ4番手につけている加藤輝選手が第1ヒートでトップタイムを刻む。加藤選手は第2ヒートでも自己タイムを約1.6秒更新してトップをキープ。後続のシリーズ2番手の島田正樹選手は約0.03秒差まで迫るも2番手タイム。ポイントリーダーの近藤大介選手は3番手タイムに終わり、加藤選手が逃げ切っての優勝となった。

「1本目はリアのスライドが収まらず、必死でカウンターを当てる走りになってしまいました。緊張し過ぎて、タイヤの空気圧をチェックし忘れたのが原因かもしれません(笑)。2本目はタイムアップしましたが、なんとかギリギリで勝つことができました」と優勝の加藤選手。これで加藤選手はシリーズ順位を1つ上げて3番手に浮上。今回2位の島田選手が近藤選手を抜いてポイントリーダーとなり、最終戦はこの3選手のタイトル争いとなった。

JPN+クラス優勝は加藤輝選手(加藤スイフト)。
2位は島田正樹選手(eXr・S+モチュールスイフト)、3位は近藤大介選手(OUAC91ヴィッツ)。
JPN+クラス表彰の各選手。

J1クラス

 今回勝てばシリーズチャンピオンが決まるJ1クラスの本田柊太選手は、第1ヒートから1分19秒台のトップタイムをマークする。第2ヒートでも自己タイムを3以上更新した本田選手は、S1クラスでも3位に入るタイムを叩き出し、完全勝利でタイトル確定となった。

「今年からダートトライアルを始めたので、当初はシリーズチャンピオンも獲れるとは思ってなかったのでうれしいです。タイム的にも自信がつきました」と笑顔で語った本田選手は20歳の大学生ドライバー。表彰式では「チャンピオン獲得の喜びを、『堂福みこと』ちゃん(推しのアイドル)に伝えたいです」と、若者らしい?コメントも。

J1クラス優勝は本田柊太選手(KUAC☆チキリインテグラ)。
2位は塩道永悟選手(DLレソルテこれ好きミラージュ)、3位は川口晴彦選手(TOF息子のシビック)。
J1クラス表彰の各選手。
本田選手がJ1クラスのチャンピオンを確定させた。

J2クラス

 ポイントリーダーの星住祐弥選手とシリーズ2番手の近藤俊之選手のタイトル争いとなっているJ2クラス。その第1ヒートで先手を取ったのが星住選手。近藤選手は約0.2秒遅れの2番手につける。しかし第2ヒートになると立場が逆転、近藤選手が星住選手のタイムを抜いてトップに立つと、星住選手は0.2秒及ばず2番手タイムに終わり、近藤選手が僅差の勝負を制した。

「1本1本、ライン取りを大事に心掛けて走りました。2本目も良いラインで走れたと思います」と優勝の近藤選手。シリーズ順位は変わらないものの、星住選手との差を5ポイントまで詰めて、最終戦のタイトル争いに駒を進めた。

J2クラス優勝は近藤俊之選手(ストレンジャーランサー8)。
2位は星住祐弥選手(杉尾G藤大ランサー)、3位は笠井敏行選手(39コスモスパークインプレッサ)。
J2クラスの表彰式。左から2位の星住選手、1位の近藤選手、3位の笠井選手、5位の村田康貴選手。4位の達富公平選手は欠席。

フォト/谷内壽隆、友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部

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