近畿ダートラ最終戦Nクラスは清水孝憲ブーンが僅差を制してタイトル確定!
2024年10月11日

近畿ダートトライアル選手権の第6戦が、第5戦の表彰式終了後、京都コスモスパークで開催された。今シーズンの最終戦となる第6戦は、第5戦の熱気冷めやらぬ中、参加確認受付、公式車検、そして慣熟歩行とスケジュールが進行した。
2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第6戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルチャンピオンシリーズ 第6戦
2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第6戦
FLEET ダートトライアル 2024in 京都 其ノ二
開催日:2024年9月29日
開催地:京都コスモスパーク(京都府京都市)
主催:TEAM FLEET
近畿ダートトライアル最終戦では、競技のインターバル間に小雨が降るも短時間で上がり、路面は変わらずドライコンディション。定刻の午後1時20分に第1ヒートのスタートフラッグが振られた。
その京都コスモスパークも2024年度をもって閉鎖が発表されており、近畿地区戦においては、この第6戦がコスモスパークの最後の競技となる。数十年に渡り、近畿地区戰のメイン会場、そして全日本選手権シリーズの1戦に組み込まれ、数々の名勝負が繰り広げられてきた会場の閉鎖は非常に残念だが、最後となったタイムアタックは各車豪快な土煙を上げ、全クラスで第2ヒートが決勝タイムとなる熱いバトルが展開された。


2024年JAF近畿ダートトライアル選手権 第6戦
AE・PNクラス
第5戦でシリーズチャンピオンとシリーズ2位が決まっているAE・PNクラスは第1ヒート、シリーズ4番手につける原真司選手が1分18秒台でトップタイムを刻む。原選手にとっては最終戦でシリーズ順位を1つ上げたいところだが、続く第2ヒート、ほとんどの選手が自己タイムは更新してくるものの、原選手のタイムは更新されず。さらに原選手は1分17秒台までタイムを詰め、逃げ切り体制となった。だが、それを許さなかったのが第5戦の覇者、眞砂徳亮選手。原選手のタイムを約0.8秒上回る1分16秒台に突入し、逆転で優勝を決めた。
「攻め切れてないところが若干あったので心配はしてましたが、最後のコスモスパークで優勝することができて感慨深いです」と笑顔で語った眞砂選手。2連戦を連勝で締めくくった。



RWDクラス
RWDクラスは、第1ヒートでイデブロック選手が第5戦覇者の前田蔵人選手に約1.3秒の差を付け、トップで折り返す。イデブロック選手は、第2ヒートでもおよそ1秒のタイムアップを果たして1分17秒台をマーク、トップを保持して後続のタイムを待つ。そのタイムを更新したのがラス前ゼッケン、トヨタ・アルテッツァを駆る杉田聡選手。杉田選手は第1ヒートで10番手と大きく出遅れていたが、イデブロック選手を約0.6秒上回りトップに踊り出る。そして連勝を狙うラストゼッケン前田選手の走りが注目されたものの、タイムは1分18秒台の3番手となり、杉田選手が最終戦で今季初優勝を飾った。
「第5戦はタイヤ選択を失敗したかな。今回(第6戦)の1本目はギア抜けでロスしちゃったので、2本目はきっちり確認しながら走りました。最後の最後に勝てて良かった(笑)」と杉田選手。この優勝で、シリーズ順位は前田選手を抜いて2番手に上がった。



Nクラス
藤嶋義孝選手と清水孝憲選手が同ポイントで迎えた最終戦。その第1ヒートは、シリーズ3番手の木村剛士選手と4番手の山本浩司選手も交えた超接戦となった。
トップタイムを刻んだのは木村選手で、タイムは1分18秒289。2番手には約0.17秒遅れで山本選手。そして3番手には山本選手から約0.09秒遅れで清水選手。藤嶋選手は清水選手から0.002秒遅れの4番手と、4人の選手が僅差という展開に。ちなみに、藤嶋選手、清水選手ともに優勝以外ではポイントが加算できないため、第1ヒートの順位では優勝回数、2位の回数も同じ同点となる。
しかし、第2ヒートでこの均衡を破ったのが、1分16秒台に突入した清水選手。藤嶋選手もタイムアップを果たすが1分17秒台の3番手タイムとなり、清水選手が第5戦に続く連勝でタイトル確定となった。
「今回も1本目は焦りましたね。このクラスは毎回接戦になって、みんなでロガーを見て検証してるのですが、2本目はその修正が上手くいったという感じでしょうか。でも最後は死ぬ気で走りました(笑)」と清水選手、安堵の笑顔で戦いを振り返った。




S1クラス
第1ヒートから1分16秒台の戦いとなったS1クラスは、スズキ・スイフトを駆る執行翔太選手が1分16秒536でトップタイムをマークした。以降0.1秒ほどの間隔で倉持陣之介選手、浅野翔己選手、瀧岡琉選手と続く。
そして第2ヒート。前半ゼッケンの瀧岡選手が1分16秒011までタイムを上げてトップが入れ替わると、中盤以降の選手も続々と1分16秒台を刻んでくる。しかし、瀧岡選手のタイムは更新されないままラストゼッケン倉持選手が出走。午前中の第5戦では3位に終った倉持選手だが、叩き出したタイムは1分14秒755。最後にシリーズチャンピオンが意地を見せて逆転で優勝を決めた。
「最後は勝ってシリーズを終りたかったので、死ぬ気でアクセル踏みました(笑)。1本目で失敗したところも修正できて、100点に近い走りができたと思います」と笑顔で語った倉持選手は、この優勝で今シーズン4勝目を挙げ、満点チャンピオンも決めた。



S2クラス
S2クラスは、第5戦で優勝してシリーズチャンピオンを決めた藤本隆選手が、第1ヒートで1分11秒台のトップタイムをマーク。2番手には約0.33秒差で松原実選手がつける。
そして第2ヒート。トップ2台のタイムは膠着状態のまま競技が進行していくが、それを塗り替えたのがラスト3、寺岡知展選手。1分10秒台に突入し、ここでトップが入れ替わる。更に次ゼッケン松原選手が、寺岡選手のタイムを約0.12秒更新して再びトップが入れ替わり、ラストゼッケン藤本選手の出走。第5戦は第1ヒートのタイムで逃げ切れたが、今回はこの時点で3番手だ。0.5秒以上のタイムアップも必須。しかし藤本選手は痛恨のタイムダウンを喫する。この結果、松原選手が第2ヒートの逆転で優勝となった。
「コスモスパークは、ようやく分かってきたという感じですね。競技会の度に走ったことがないところを走るので、結局攻略できなかったということです」と語る松原選手は、中部地区のトップドライバー。今シーズンは近畿地区戦が主戦場となり、これまでの5戦は未勝利に甘んじていたが、それでもシリーズ2位が確定。「(タイヤは)いつもは2本目にスーパードライを履いてたのですが、それに対応しきれてなかったので、今回(第6戦)は1本目から練習のつもりで、スーパードライでいきました。守り過ぎず攻めたのが良かったのではないでしょうか(笑)」と松原選手。最終戦で近畿勢に一矢報いる勝利を挙げ、シリーズを締めくくった。



Dクラス
第3戦からの3連勝で、シリーズチャンピオン争いを最終戦まで持ち込んだDクラスの金井宏文選手。参加台数の関係から、完走すればそのポイントでタイトル獲得となるが、そこは手を緩めることなく第1ヒートからトップタイムを刻む。さらに、第2ヒートでもおよそ0.6秒のタイムアップを果たし、2位との差を3秒以上つけて優勝でチャンピオン確定となった。
「昨年、一昨年とインプレッサでタイトルを獲ったので、今年は過去に父達がつくったこのクルマで参戦しました。パワーがある分、丁寧なコントロールが必要ですが、大きなトラブルもなく、上手くいけたと思います」と金井選手。ボディはヴィッツのイメージだが、エンジンをリアに搭載したパイプフレームに4WDシステムを組み合わせたD車両を操り、シリーズ3連覇を達成した。




2024年JMRC近畿ダートトライアルジュニアシリーズ 第5戦
JPN+クラス
島田正樹選手、近藤大介選手、加藤輝選手の3選手によるタイトル争いとなったJPN+クラスの最終戦。ポイント差は5ポイントと、全く予断を許さない状況だが、第1ヒートをトップで折り返したのは加藤選手で、タイムは1分21秒024。2番手には約0.7秒遅れで島田選手。そして3番手には1分22秒台で近藤選手が続き、加藤選手がタイトル獲得に王手をかける。
しかし第2ヒート。加藤選手はコース途中で止まってしまい大幅なタイムダウンを喫してしまう。そのチャンスを逃さなかったのは島田選手で、1分19秒台までタイムを更新してトップを奪う。これでラストゼッケン近藤選手との勝負となった。近藤選手はタイムアップを果たすも1分21秒台で及ばず、島田選手が優勝でシリーズチャンピオンとなった。
「2本目に加藤選手が止まってしまったのを車内で聞いて、1本目の加藤選手のタイムを抜けないと恥ずかしいなと思っていたので、何とかタイムが出て良かったです。48年間の人生においてタイトルというものを初めて獲ったのでとてもうれしいです(笑)」と、島田選手が笑顔で喜びを語った。



J1クラス
「まさか連勝できるとは思ってなかったので、とてもうれしいです」と語ったのは第5戦で優勝してシリーズチャンピオンを決めた本田柊太選手。第1ヒートは塩道永悟選手にトップタイムを許したものの、第2ヒートは約1.6秒のタイムアップで逆転。2連戦を2連勝で飾った。
優勝の本田選手は「2本目は排気漏れがひどくて、パワーも落ちてる感じでしたが、アクセルを踏めるだけ踏んで、なんとか走りました(笑)。来シーズンは、地区戦のS1クラスになりますが、そこでもポイント争いができるよう頑張ります」と、力強く豊富を語った。



J2クラス
タイトル争いは、星住祐弥選手と近藤俊之の一騎打ちとなったJ2クラス。午前中に行われた第5戦では、シーソーゲームのような展開で、近藤選手がポイントリーダーの星住選手に迫ったが、今回の第6戦で先手を取ったのは星住選手。近藤選手は2番手につけるも、タイムは約2.1秒遅れと劣勢状態。
そして第2ヒート。近藤選手はタイムアップを果たすも、第1ヒートの星選手のタイムには届かず、星住選手の優勝とタイトルが確定。ウィニングランとなった星住選手は、第2ヒートでも自己タイムを更新して完全勝利となった。
「近藤選手が最後まで食らいついてきて、第5戦では負けてしまったので、最終戦は緊張しました。なんとか勝ち切ることができて良かったです」と語った星住選手はダートトライアル歴4年の25歳。来シーズンからは地区戦にステップアップして上位を狙う。




フォト/谷内壽隆、友田宏之 レポート/友田宏之、JAFスポーツ編集部