SF富士2連戦の初戦、7番手スタートの坪井翔選手が逆転して今季2勝目を飾る

レポート レース

2024年10月21日

全日本スーパーフォーミュラ選手権は、シーズン2度目の富士ラウンドを迎えた。今大会は1大会2レース制。その初戦となる第6戦は、福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)が今シーズン2度目のポールポジションを獲得。決勝では予選7番手から坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM'S)が逆転勝利を飾った。

2024年JAF全日本スーパーフォーミュラ選手権 第6戦
開催日:2024年10月11~13日
開催地:富士スピードウェイ(静岡県小山町)
主催:富士スピードウェイ株式会社、FISCO-C

 前戦から1か月以上のインターバルをおいて、スーパーフォーミュラのシーズン後半戦がスタートした。シリーズ全9戦のうち、約半分となる後半4戦は2レース制のフォーマットで戦うことになる。今回はその1大会目で、タイトル争いにおいて非常に重要なレースウィークとなる。

決勝前には、株式会社日本レースプロモーションの近藤真彦会長が、SF23「赤寅」をドライブ。観客の前で迫力のデモランを披露した。ちなみにカーナンバーは近藤会長の還暦祝いとなる60番。
決勝後にはホームストレートで「SF大運動会 200mスーパー綱引き」が行われた。トヨタ陣営やホンダ陣営と各陣営を応援する観客らが綱引きで対決したほか、子供100人とトヨタヴェルブリッツ(ラグビー部)10人が対決した。
第5戦もてぎで優勝目前でスピンによりコースアウトした太田格之進選手。この模様をスタンドで観戦していたファンの少年が、大号泣する様子が公式映像で流れ話題になっていた。この号泣している映像を見た太田選手が、関係者らの協力を得てこの少年をサーキットへ招待した。憧れの太田選手と対面してちょっと緊張気味の兄だいきさんと弟よしきさん。

予選

 第6戦を前に行われた専有走行では佐藤蓮選手(PONOS NAKAJIMA RACING)がトップタイムをマーク。2番手には岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)、3番手には福住選手と続いていたが、その福住選手が予選では光る速さを見せた。朝一番のセッションとなったQ1では、路面コンディションとマシンがマッチせずに6番手タイムとギリギリでQ2進出となったが、短いインターバルの間に行ったアジャストが功を奏し、Q1でのタイムから約1秒削って堂々のトップタイム。第4戦富士大会に続きシーズン2度目のポールポジションを獲得した。

 2番手には福住選手に0.004秒差まで迫った太田格之進選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3番手には野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が続き、以下、岩佐選手、阪口晴南選手(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、佐藤選手というトップ6。坪井選手は福住選手から約0.4秒差で7番手となった。

ポールポジションを獲得した福住仁嶺選手(Kids com Team KCMG)と土居隆二監督。

決勝

 迎えた決勝は、抜群のスタートダッシュを切った岩佐選手がまずはトップに立つが、3度の王者経験者でチームメイトの野尻選手が襲い掛かる。野尻選手のプレッシャーに屈した岩佐選手は2周目のコカ・コーラコーナーでオーバーシュートし、この後3番手にドロップ。野尻選手の後ろには、岩佐選手と同じく好スタートを切って大きくポジションを上げた坪井選手が迫っていた。

 レースが10周目を迎えると、ポジションを下げていた岩佐選手、5番手を走行していた太田選手が真っ先にタイヤ交換に向かう。フレッシュタイヤでプッシュすると、21周目にピットインした野尻選手を抜いて岩佐選手と太田選手がタイヤ交換組のトップと2番手に浮上した。また、岩佐選手たちの翌周にピットに入っていたのが小林可夢偉選手(Kids com Team KCMG)で、アウトラップの野尻選手を豪快にオーバーテイクして見せた。ただし翌周には野尻選手もタイヤが温まったことでペースアップ。小林選手を抜き返して順位を取り戻している。

 ピットインした野尻選手に代わってトップに立った坪井選手は、その3周後、24周を終えるところでピットイン。岩佐選手と太田選手には先行されたが、3番手でコースに復帰する。背後からは野尻選手が迫ってきたが、坪井選手はまだ冷えたタイヤで応戦。野尻選手はアドバンコーナーで一気に坪井選手に追いついたものの、オーバーテイクするにはわずかに足らず、逆に後方から近づいてきていた小林選手に追いつかれてしまう。ピットアウト後のバトルでは小林選手を抜き返してポジションを守っていた野尻選手だったが、この戦いでは小林選手に軍配が上がり、翌周のホームストレートで一気に並びかけ、鮮やかにオーバーテイク。野尻選手の猛追を抑え切った坪井選手は、その後27周目のTGRコーナーで太田選手をとらえて2番手に浮上した。

 全車がピット作業を終えたのは27周目で、この時点では岩佐選手、坪井選手、太田選手、小林選手、野尻選手というトップ5だった。序盤にタイヤを交換した岩佐選手に対し、10周以上のマージンを持つ坪井選手は着実に岩佐選手との差を詰めていく。31周目のホームストレートで並びかけると、サイドバイサイドのままTGRコーナーへと飛び込んでいった。ここでは岩佐選手がポジションを守るが、100Rでアウト側に位置した坪井選手が一気に岩佐選手を抜き去り、トップが入れ替わることに。

 坪井選手はさらにペースを上げてギャップを築くと、堂々のトップチェッカー。今季2勝目を挙げることとなった。岩佐選手は約4.4秒差の2位。3位には野尻選手をかわした小林選手が入り、2019年第5戦以来のスーパーフォーミュラ表彰台を獲得した。野尻選手は最終的に6位フィニッシュ。優勝してシリーズポイントを20ポイント加算した坪井選手に対し0.5ポイント差で首位を死守した。

約5年振りの表彰台となった小林可夢偉選手(Kids com Team KCMG)が3位。
迫る坪井翔選手(VANTELIN TEAM TOM'S)を抑えていた岩佐歩夢選手(TEAM MUGEN)だが、終盤にオーバーテイクされ2位。
7番手スタートからの逆転勝利で今季2勝目を挙げた坪井選手。
スーパーフォーミュラ第6戦の表彰式。左から2位の岩佐選手、1位の坪井選手とVANTELIN TEAM TOM'S舘信秀チーム監督、3位の小林選手。
予選前の会場では、実車を使用したレスキュー訓練がオフィシャルらにより実施された。アクシデント時の救出方法や手順を参加者間で共有していた。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/浅見理美、JAFスポーツ編集部

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