再び悪天候に見舞われたFIA-F4、雨と濃霧で第11戦は中止も第12戦が激戦に!
2024年10月25日
2024シーズンはスーパーGTシリーズに限らず、併せて行われるFIA-F4地方選手権も天候に翻弄され続けている。鈴鹿サーキットを舞台とした第7・8戦は、台風接近の影響により延期に。続くスポーツランドSUGOでの第9・10戦は、雨天で第10戦のチャンピオンクラスが不成立になってしまった。そして迎えた第11・12戦の舞台となるオートポリスもSUGOと同じように山の中にあり、800m強の高地にあるだけに天候が変わりやすいことで知られている。このため、雨と霧の繰り返しでスケジュールの大幅な変更を余儀なくされたことが、過去に少なからずあったオートポリス。この2連戦は果たしてどうなることか……。
2024年FIA-F4地方選手権 第11・12戦
(2024 SUPER GT Round 7内)
開催日:2024年10月18~20日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:APC、株式会社GTアソシエイション、株式会社オートポリス
最初に結論から言えば、予選は霧のためにキャンセルされてしまった。そのため、第11戦決勝のスターティンググリッドは、金曜日に3回行われた専有走行のタイムで決定された。午前中の早い時間だった1回目と2回目はクラスを分けて実施し、後に2クラス合わせて行われた3回目では気温が高くなっていた。
そのため、概ね1回目と2回目にしっかりタイムを出していたドライバーが上位につけた格好だ。ちなみに18日まではドライコンディションが保たれていた一方で、予報で雨が告げられていた19日の天気はそのとおり雨天となった。
「走り出しから好調で、ドライでもレインでも行ける自信はありました。オートポリスは霧とか多いということで、金曜日の時点で予選想定のアタックをやっていたので、それが功を奏したかたちです」と語っていたのは、ポールポジションを獲得した野村勇斗選手。雨の予選がぶっつけ本番になることは覚悟していたものの、よもや中止になるとは…… と思っていたドライバーも多かったようで、ハッキリ明暗が分かれていた。
インディペンデントクラスでトップを獲得したDRAGON選手も、「予選がキャンセルになる可能性は事前の天気予報から推測できたので、練習走行からベストを出しにいって、そこは狙いどおりでしたね」と語ったように、状況を的確に予想したドライバーが好位置を掴んだようだ。
ただ、第11戦決勝までキャンセルされるとは、誰も願ってはいなかったのではないだろう。決勝前に強い雨が降り出して雷までも鳴り響くようになり、コースには水が流れて太い“川”ができ、エスケープソーンのグラベルから土や砂が流れ出した。ゆえにドライバーだけではなく、観客やオフィシャルの安全も重視したため、土曜日は全ての競技がキャンセルに。結局、スーパーGTのドライバーも含め、誰も走れずじまいとなった。
第12戦決勝
日曜日のオートポリスも早朝から霧に覆われていたが、第12戦決勝の前に行われたスーパーGT 第7戦の予選が始まる頃には、ギリギリ視界が確保されるほど回復。しかも、スーパーGT車両が1時間走行したことで、路面もほぼ乾かしてくれた。
グリッドは第11戦で用いられるはずだった順番が適用され、野村選手の隣につけたのは佐野雄城選手。以下、洞地遼大選手、新原光太郎選手、梅垣清選手、そして鈴木斗輝哉選手の順で並んだ。
全車両が新品ドライタイヤを履き、路面の一部にウェットパッチが残っていたこともあり、セーフティカー(SC)先導によるスタートとなった。4周目に切られたリスタートの1コーナーでは上位陣に入れ替わりはなかったものの、1周戻ってくると野村選手のリードが早くもほぼ1秒に開いた。野村選手を追う佐野選手もまた、洞地選手をほぼ1秒引き離していた。
6周目のジェットコースターストレートの先で、洞地選手がオーバーラン。これで新原選手が3番手に浮上し、洞地選手は梅垣選手と鈴木選手の先行までは許さず4番手に留まるも、大宮賢人選手も近づき、3番手争いが一層激しくなった。
そして野村選手のリードは8周目の1秒2をピークに、ジワジワと佐野選手が差を詰めてテール・トゥ・ノーズに迫った。しかし「ペースが良かったから追いつけたんですけど、あそこぐらい(の間隔)からダウンフォース抜けがあって、けっこう難しかったです」と、佐野選手はオーバーテイクには至らず。
一方、野村選手は「ショートランに関しては自信あったんですけど、ロングランに関しては他者に比べて遅れている部分はあったので、想定内ではありました。でも、佐野君は後半速かったですね」と、プレッシャーに屈することなく2024シーズン3勝目をゲット。そして「しっかり、ここで流れをこっちに引き戻せたので、このままの勢いでもてぎも連勝します!」とランキングトップに返り咲き、次の2連戦に向けて意気込んでいた。
2位の佐野選手は、「今までドライコンディションだと苦労していて、それがオートポリスに来て、いいかたちでレースウィークを過ごせました。抜くのが難しいサーキットで、ああやって野村選手に近づいていけたのは、今後に向けては良い内容だったと思います」と野村選手に敗れたものの、実りあるレースだったことを明かしてくれた。
3位は新原選手が獲得。最後まで洞地選手を抑え切り、鈴鹿での第3戦以来の表彰台に上がることとなった。「トップ2とは離されてしまったんですが、ちょっとセット変更したのがあまり良い方向には出ませんでした。でも、今まで色々試行錯誤していて違う方向にいっていたのを少し戻せたという感じなので、もっと上を目指して頑張りたいと思います」と、反省点とともに光明を見出せたようだ。
インディペンデントクラスでは、SCが先導したスタートでクラス4番グリッドのKENTARO選手が動き出せず、またSC先導中に3番手の鳥羽豊選手がスピンを喫するハプニングから始まった。リスタート後は強敵ふたりの脱落で精神的にも楽になったDRAGON選手が、続くKEN ALEX選手と今田信宏選手を引き離す格好となった。
しかし、フィニッシュ後にDRAGON選手は「オートポリスでは自分がミスさえしなければ、抜かれることはないと思っていましたが、黄旗区間でラップダウンの車両に詰まって、後ろ2台が接近するドラマがあってドキドキしました。なんとか逃げ切れて良かったです」と、“あわや”の状況があったことを明らかに。その中でも野村選手と同じく今季3勝目を挙げ、ランキングトップを守り抜いた。
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フォト/遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部