ウェット&ドライのオートポリス乱戦で日比野哲也選手&齋藤太吾選手がシーズン3勝目をゲット!

レポート ドリフト

2024年11月1日

第7戦と第8戦の舞台はD1グランプリでもおなじみオートポリス。最終コーナーを逆走で使うレイアウトは例年同様だが、通過指定ゾーンの位置を小変更し、前ラウンドから採用された「ゾーンは最初から最後まで通過すること」というルールは踏襲された。第7戦は予選中に刻々とコンディションが変わるウェット、第8戦は完全ドライで多くのドライバーがその攻略にてこずる連戦となった。

2024年日本ドリフト選手権
D1グランプリシリーズRd7/Rd8
オートポリス大会

開催日:2024年10月25~27日
開催地:オートポリス(大分県日田市)
主催:株式会社サンプロス

第7戦

単走部門

 金曜日の練習走行はドライ、翌日の本番はウェットで、しかもその度合いが刻々と変わるため、出走グループごとに上位4台が予選通過する通常とは異なる方式で予選が始まった。

 中村直樹選手(TEAM VALINO×N-STYLE)、横井昌志選手(D-MAX RACING TEAM)、川畑真人選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)、齋藤太吾選手(FAT FIVE RACING)らチャンピオン経験者が揃って予選不通過という予想外の事態の中、最高得点をマークしたのは上野高広選手(TEAM VERTEX NEXZTER D2D)。予選の組分けは6グループで事前のクジ引きで決まるため、昨季ここで単走2連勝した中村選手が90.42点で落ち、目桑宏次郎選手(TOP Team G-meister)が88.8点で16位通過ということを考えると、勝ち残るには「運も必要」と言える結果となった。

スタート位置は昨季と変わらず。ドライでの進入速度は上位陣で時速150km中盤、ウェットでは時速130km以下となった。
単走部門優勝は上野高広選手(TEAM VERTEX NEXZTER D2D)。上野選手が駆るレクサスRCは事前の車重計測でいつも最重量級。それでも92.65点をマークし、本人も「いつぶりか覚えてない」と語るほど久しぶりの快挙となった。

追走部門

 決勝が始まるころには路面はドライとなったが、ベスト4のタイミングで再び雨が降りウェットに。いつもの上位陣が予選落ち、さらにベスト16では単走順位が下位の選手の勝ち上がりが目立つ下剋上ムードの中、ベテランの意地を見せた藤野秀之選手(TEAM TOYO TIRES DRIFT)が田野結希選手(TEAM D-MAX RACING)、蕎麦切広大選手(SHIBATA RACING TEAM)と若い世代を撃破して準決勝に進出。

 しかし、昨季のオートポリスで惜しくも初優勝を逃した田中省己選手(SEIMI STYLE SHIBATIRE DRIFT)にその先を阻まれる。再びこの地で念願の優勝が目前となった田中選手の対戦相手は、すでに今季2勝を挙げている日比野哲也選手(SHIBATA RACING TEAM)。この戦いは後追いで田中選手が優勢だったが、ベースとなるDOSS得点で日比野選手が上回り、さらには両者ともに先行でコースオフがあったため、総合判定で日比野選手に軍配が上がった。

決勝前にエアチェックするGR86の日比野哲也選手とシルビアの田中省己選手。両者の車両は違うものの搭載するエンジンは同じ2JZ改で、タイヤメーカーも同じシバタイヤ。日比野選手がシバタイヤワークスなのに対し、田中選手はプライベート参戦だ。
追走部門優勝は日比野選手(TEAM SHIBATIRE RACING)。
今回の勝利で日比野選手は3勝目となりシリーズランキングもトップに。タイヤ戦争といった感もあるD1グランプリで、かつて無敵と呼ばれたトーヨー勢は今季まだ優勝がない。対してシバタイヤ勢は6勝目を挙げた。日比野GR86に搭載されている2JZ改エンジンは、3.4LでタービンはG40の1000馬力仕様だ。
第7戦の優勝は日比野選手、2位は田中選手、3位は藤野秀之選手、4位は松山北斗選手、5位は蕎麦切広大選手、6位は川畑真人選手、7位は松川和也選手、8位は目桑宏次郎選手、9位は上野選手、10位は石川隼也選手、11位は茂木武士選手、12位は植尾勝浩選手、13位は米内寿斗選手、14位は岩井照宜選手、15位は田野結希選手、16位は田所義文選手。

第8戦

単走部門

 翌日の第8戦はドライ。予選で久しぶりの100点が蕎麦切選手によって叩き出されて会場が興奮に包まれる中、前日優勝の日比野選手や単走優勝の上野選手が予選落ちする事態に。また、前日のウェットで通過した選手たちがドライで落ちるという、普段の練習ができず「コース攻略が難しい」と言われるオートポリスならではの予測不能な結果となった。

単走部門で優勝した蕎麦切選手は、昨季のオートポリス連戦で単走2位&3位をインフィニティQ60で獲得している。今季から乗り換えたGR86(搭載エンジンはQ60と同じVR38改4.3L仕様)はそれを上回る性能であることを証明した形だ。

追走部門

 予測不能な事態は追走部門でも起きた。単走優勝の蕎麦切選手、前戦追走2位の田中選手がベスト16で敗退したのだ。森孝弘選手(GP SPORTS × GreenTop)がその田中選手を、山口孝二選手(TOP Team G-meister)がルーキーオブザイヤー最右翼の田野選手を破りベスト8に進出し、それぞれ川畑選手、中村選手に敗れるも自身最上位を記録した。そして今年デビューの山中真生選手(ウエインズトヨタ神奈川 × 俺だっ!レーシング)が田野選手に負けじとベスト4まで勝ち上がってきたのだ。

 しかし、決勝戦に残ったのはやはりD1グランプリが誇るベテランドライバーのふたり。ともにD1グランプリチャンピオン経験者であり、歴史の中で「因縁の対決」とされる川畑選手と齋藤選手。久しぶりの対決にスタート前から緊張が走る。

 結果は齋藤選手の勝利。川畑選手先行の1本目は齋藤選手が衝突、齋藤選手先行の2本目は川畑選手が衝突とまさに肉弾戦となったが、1本目は川畑選手が減速したことが原因、2本目は川畑選手が距離感を見誤ったと判断が下り、齋藤選手が今季3勝目を挙げた。

 日本ドリフト選手権の総合部門シリーズランキングは中村選手が3位に入ったことで首位に返り咲き、次いで日比野選手が5ポイント差、齋藤選手が7ポイント差で追う。次戦お台場まで2週間、勝負は最終戦にもつれ込むこととなった。

追走部門優勝は齋藤選手(FAT FIVE RACING)。
齋藤選手は金曜日の練習走行でエンジンブロー、2JZ改3.4L仕様からスペアの3L仕様に載せ換えて大幅パワーダウン。「D1GPじゃ3.4Lや3.6Lしか乗ったことない」とトルクのなさに苦慮していた。
優勝した齋藤選手は「久しぶりに川畑選手と対決なのでお互い気合いが入りすぎになると思っていたし、こうなることはちょっと予想していました」と苦笑い。これでシバタイヤ装着車が7勝となり、2位のトーヨーを履く川畑選手、3位のヴァリノを履く中村選手は複雑な胸中だったと思われる。
第8戦の優勝は齋藤選手、2位は川畑選手、3位は中村直樹選手、4位は山中真生選手、5位は森孝弘選手、6位は山口孝二選手、7位は横井昌志選手、8位はヴィトー博貴選手、9位は蕎麦切選手、10位は村上満選手、11位は藤野選手、12位は田野選手、13位は米内選手、14位は田中選手、15位は石川選手、16位は松山選手。

期待のルーキー、山中真生選手が2ラウンド連続で4位に!

今年デビューのルーキーとして田野選手に遅れをとっていた感のある山中選手が、エビスラウンドに続き4位。お台場ラウンドに向けてふたりによる「ルーキーオブザイヤー」の座をかけた戦いも見どころのひとつだ。

フォト/SKILLD、サンプロス レポート/SKILLD、JAFスポーツ編集部

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