SA2クラス岡本泰成選手が全日本選手権と合わせて2冠達成の快挙!

レポート ダートトライアル

2024年11月6日

10月26~27日、北海道砂川市のオートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコースで開催されたJAFカップオールジャパンダートトライアル。昨年までJMRC全国オールスターダートトライアルとの共催だったが、今年はJAFカップのみで開催となった。

2024年JAFカップオールジャパンダートトライアル in 北海道
開催日:2024年10月26~27日
開催地:オートスポーツランドスナガワ ダートトライアルコース(北海道砂川市)
主催:AG.MSC北海道

 当初、昨年のカレンダー発表の時点で開催地および主催者がなかなか決まらず、JAFが再募集を公示したうえで北海道での開催が決まるという紆余曲折があった今年のJAFカップオールジャパンダートトライアル。暫定で52台のエントリーに留まった。

 また全日本ダートトライアル選手権最終戦で、JAFカップオールジャパンダートトライアルのDクラスに出場を予定していた2台のエントラントが転倒。そのためJAFカップへの出場が不可能となり、Dクラスのエントリー台数が3台となった。

 主催者はJAFから「各クラス3台以上の出走をもって成立」という特認を得たが、Dクラスを含めて7台の欠場があり、出走台数は45台に減少。その結果、PNE1、PNE2、SC1、SC2、Dクラスの5クラスが不成立となり、成立したクラスはPN1、PN2、PN3、N、SA1、SA2クラスで、この6クラスで競われることとなった。

 コースは全日本同様にスナガワの上下段を使用したレイアウトが採られた。長雨の影響により、開催直前まで下段の一部が冠水した状況だったが、主催者はポンプを使用して決勝が行われる日曜日までに排水。下段の一部はショートカットされてはいるものの、ダイナミックなハイスピードコースが設定された。

 天候は終日曇り。朝の気温が5度以下、最高気温も20度に届かなかったことが影響し、路面は終日湿った状態のダンプコンディション。さらに、コースの一部は雨の影響が残ったウェット路面が残るコンディションの中、決勝ヒートがスタートした。

2024年のJAFカップオールジャパンダートトライアルの舞台となったのは北海道のスナガワ。各地の精鋭ダートトライアラーたちによる、栄えあるJAFカップを手にするための戦いが始まった。
気温が低いうえに曇り空だったこともあり、路面は湿り気を帯びたダンプコンディション。場所によっては水たまりも散見されるほどだった。
スピードが乗る上段外周のストレートを一気に駆け抜けて下段へ。下段のショートカットを抜けて再び上段へ戻り、テクニカルなコースを攻めてフィニッシュ。全体的にハイスピードな設定だ。

PN1クラス

 第1ヒートを制した北海道の大場元貴選手(ホンダ・フィット)が、第2ヒートもベストタイムを0.079秒更新したPN1クラス。「来年は全日本にも何戦か出場しようと思い、9月にフィットでPN車両をつくりました。第2ヒートは下段の路面に大きな穴があったのですが、攻めて走ることができました」と、両ヒートを制する走りでJAFカップ優勝を果たした。

 2位は「第2ヒートで逆転したかったんですけど、下段のギャップで飛ばされ、気づいたら草むらまで飛ばされていました……」という北海道の竹花豪起選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得。3位には「第2ヒートは前半の穴で抑えすぎてしまいました。後半はそれなりに走れたけど、前半のタイムが悪すぎですね」という全日本の工藤清美選手(ホンダ・フィット)が入賞した。

優勝は大場元貴選手(DL・ルート6Pガレ・フィット)。
地元の大場選手が両ヒートを制して勝利。2025年の全日本選手権での活躍に期待がかかる。
2位は竹花豪起選手(PガレYHMoty'sスイフト)、3位は工藤清美選手(工藤ホンダDLワコーズフィット)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の土佐岡慎選手、2位の竹花選手、1位の大場選手、3位の工藤選手、5位の内山壮真選手、6位の峯岸伸也選手。

PN2クラス

 出場する全選手が北海道勢で構成されたPN2クラスは、今シーズンから全日本を転戦している張間健太選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「第1ヒートも第2ヒートも、イメージどおりに走ることができたと思います」と両ヒートでベストタイムをマークして優勝をつかんだ。

 2位には「JAFカップは20年くらい前に丸和に出て以来です」という柴田純選手(スズキ・スイフトスポーツ)が入賞。3位は「第2ヒートはもう少しタイムが上がる予定でしたけど、今まであまり経験していない路面コンディションで、思ったよりタイムアップしませんでした」という全日本レギュラー参戦の山田将崇選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得した。

優勝は張間健太選手(DLクスコWM・ラブカスイフト)。
全日本選手権開幕戦の京都コスモスで表彰台を獲得した張間選手がPN2クラスを制圧。
2位は柴田純選手(ADVAN・サポートスイフト)、3位は山田将崇選手(AIG☆TS-S☆DLスイフト)。
PN2クラス表彰の各選手。

PN3クラス

 北海道勢と中部勢の対決となったPN3クラスは、第1ヒートのトップタイムを奪った北海道在住で全日本レギュラーの和泉泰至選手(トヨタ・GR86)が、「今シーズンは全日本の成績が悪くシードから外れてしまったので、ここで(JAFカップ)で勝たないと表彰式に呼ばれないと思い、第2ヒートも必死に走りました」と、第2ヒートもベストタイムを更新。

 2位には「優勝の和泉選手とはもう少しタイム差を詰めたかったんですけど、今年の全日本の成績を考えると上出来です」という全日本の齊藤道夫選手(トヨタ・GR86)が入賞。3位は「初めてのスナガワだったんですけど、めちゃめちゃ楽しいですね(笑)。3位入賞はうれしいんですけど、全日本の選手とは4秒以上の差があったので、来年の課題として頑張ります」という中部の上角好孝選手(トヨタ・GR86)が獲得した。

優勝は和泉泰至選手(DLクスコXP・GR86)。
和泉選手は2019年以来となる、自身3回目のJAFカップを手にした。
2位は齊藤道夫選手(DLカムGワコーズITO☆86)、3位は上角好孝選手(アンテロープ DL GR86)。
PN3クラス表彰の各選手。

Nクラス

 Nクラスは、地元のベテランと全日本上位ランカーが0.1秒を競う好勝負を展開した。第1ヒートは北海道の小林茂則選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が1分18秒972のベストタイムを刻むと、クラス最終走者で全日本2位確定の岸山信之選手(トヨタ・GRヤリス)が小林選手のタイムを0.307秒上回り、第1ヒートのベストタイムを獲得。第2ヒートは小林選手がベストタイムを1分16秒台に引き上げてくると、岸山選手もふたたび小林選手のタイムを0.082秒更新し、Nクラス優勝を飾った。

 新型GRヤリスを投入し、全日本の最終戦タカタに続いてJAFカップも制した岸山選手は、「来年に向けて最高の形でシーズンを締めくくることができました」とコメント。2位の小林選手は「地元だから勝ちたかったんですけど、なかなか簡単には勝たせてくれませんね」と脱帽。3位には2022年のJAFカップを制した大橋邦彦選手(三菱・ランサーエボリューションIX)が入賞した。

優勝は岸山信之選手(BRIDE☆DL☆GRFヤリス)。
岸山選手は「今回、また新しい走らせ方を見つけることができました」と収穫を得たJAFカップだったようだ。
2位は小林茂則選手(TRSシーンDLランサー)、3位は大橋邦彦選手(YH大翔SRSボーエムランサー)。
Nクラス表彰の各選手。

SA1クラス

 SA1クラスは、第1ヒートで2番手に3秒近くの大差をつけた北海道在住で全日本レギュラーの内藤修一選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、第2ヒートでも2位を4秒近く引き離す走りで完勝。2019年のJAFカップ以来、二度目のJAFカップ優勝を果たした。

 2位には、「仕事の関係で、ダートトライアルは今回でひとまずお休みする予定です」という、昨年に続き二度目のJAFカップ出場となる北海道の宇野哲哉選手(スズキ・スイフトスポーツ)が、「第2ヒートは悔いのないように走ろうと思い、攻めて走ることができたと思います」と大きくポジションアップ。表彰台の一角をつかんだ。3位は「5年ぶりの北海道だったのですが、第2ヒートはギヤの選択ミスが多かったのが残念です。悔しいですね」という東北のベテラン・竹村由彦選手(スズキ・スイフトスポーツ)が獲得した。

優勝は内藤修一選手(DL☆XP☆SCENEスイフト)。
地元の内藤選手が得意なスナガワを制した。2019年のJAFカップも同コースで優勝している。
2位は宇野哲哉選手(TRSスイフト)、3位は竹村由彦選手(HC大曲・Ω・DL・スイフト)。
SA1クラス表彰の各選手。

SA2クラス

 13台がエントリーしたSA2クラスは、北海道の若手・笠原陸玖選手(三菱・ランサーエボリューションVI)と、今年初めて全日本チャンピオンを確定させた岡本泰成選手(三菱・ランサーエボリューションIX)との20代ドライバー対決となった。

 第1ヒートは、笠原選手がマークした1分16秒886のベストタイムがなかなか更新されない展開が続いたが、クラス最終走者の岡本選手が1分15秒934をマークし、ベストタイム更新。第2ヒートは、笠原選手がベストタイムを1分14秒台に引き上げてくるものの、岡本選手がふたたびベストタイムを0.309秒更新。

「今シーズンは全日本第5戦切谷内に向けて超硬質路面用タイヤでタイムが出せるように練習したんですが、結果的に走りの引き出しが増えました。超硬質路面用のタイヤだけではなく、硬質路面用タイヤや軟質路面用タイヤにも応用できるようになったのが、勝因だと思います」と、全日本の快進撃に続きJAFカップ優勝の勝因を語った岡本選手。全日本とJAFカップの二冠獲得を達成した。

優勝は岡本泰成選手(DLアルテックおかつねランサー)。
「クラス最終ゼッケンという経験が初めてでプレッシャーがありました」と明かした岡本選手。
2位は笠原陸玖選手(TRSクスコHR・DLランサー)、3位は黒木陽介選手(MJT五十嵐クスコKDLヤリス)。
SA2クラスの表彰式。左から4位の増村淳選手、2位の笠原選手、1位の岡本選手、3位の黒木選手、5位の井上博保選手、6位の村上周選手。

タイムアップバトル

 各クラスの優勝者を対象としたタイムアップバトルが行われた。この順位決定は優勝時のタイムをターゲットに、もっとも縮めた(あるいはもっとも遅れが少ない)タイムを計測した選手が勝者となるものだ。各選手ベストな走りを披露する中、PN3クラスの和泉選手が自身のターゲットタイムを上回って勝者となった。

1分24秒337のタイムで優勝した和泉選手はタイムアップバトルで1分23秒693のタイムを叩き出して更新。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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