FIA-F4もてぎの3連戦で野村勇斗選手が3連勝!

レポート レース

2024年11月8日

2024年のFIA-F4は、メインレースのスーパーGTともども悪天候に翻弄され続けた。鈴鹿サーキットの第7・8戦が台風接近で延期になったのを皮切りに、続くスポーツランドSUGOでは第10戦が初めて2クラスに分けられたのだが、いずれもセーフティカー(SC)スタートとなり、インディペンデントクラスは4周で赤旗終了。それでもハーフポイントながら成立したが、チャンピオンクラスは1周で赤旗終了とされ、不成立となってしまう。そして、オートポリスの第11・12戦に至っては、土曜日のスケジュールがすべてキャンセルされて、予選とレース1(第11戦)がついに行われず。こうも続くと、モビリティリゾートもてぎの第7大会も、まだ何が起こるか分からないと心配された。実際、直前の天気予報では土曜日に雨マーク。今回も天候の影響が気になるラウンドとなった。

2024年FIA-F4地方選手権 第11・13・14戦
(2024 SUPER GT Round 8内)

開催日:2024年11月1~3日
開催地:モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)
主催:ホンダモビリティランド株式会社、M.O.S.C、株式会社GTアソシエイション

予選

 キャンセルされたオートポリス第11戦の代替レースがもてぎで行われることとなり、3レース開催となった。予選は金曜日の午後に行われ、第11戦決勝は土曜日の午前、第13戦が午後、そして第14戦は日曜日の午前に実施という変則的なスケジュールが組まれた。ちなみに予選は1回のみ実施され、ベストタイムで第11戦のスターティンググリッドが、セカンドベストタイムで第13戦のグリッドが決定する。そして第11戦における個々のベストで第14戦のグリッドが決まる。

 予選は無事、ドライコンディションの下で行われ、チャンピオンクラスはベスト、セカンドベストとも洞地遼大選手がトップ。「SUGOやオートポリスではあんまり調子良くなくて、もてぎも最初は微妙だなという感じだったんですが、今日の朝でだいぶ調子が出てきて、予選でしっかりまとめられたという感じです。クルマは途中で少し変えたんですが、結局戻したので、乗り方と路面の違いだと思います。明日は雨でどうなるかわからないですが、自分のベストを尽くします」と洞地選手。

 2番手は第11戦が新原光太郎選手で、第13戦はポイントリーダーの野村勇斗選手。3番手は、このふたりが入れ替わり、4番手は2戦ともルーキーの白崎稜選手。インディペンデントクラスでは、ベストではポイントリーダーのDRAGON選手が、セカンドベストでは今田信宏選手がそれぞれトップだった。

チャンピオンクラス第11戦と第13戦のポールポジション(PP)は洞地遼大選手(HFDP with B-Max Racing)。
インディペンデントクラス第11戦のPPはDRAGON選手(B-MAX TEAM DRAGON)、第13戦のPPは今田信宏選手(JMS RACING with B-MAX)。

第11戦 決勝

 土曜は朝からあいにくの雨模様。いつもなら予選を行う時間帯に、第11戦のスタート進行が開始されるも、雨はさほど強くない。そのため、セーフティカー(SC)スタートではなく、久々のスタンディングスタートとなった。

 ポールシッターの洞地選手が出遅れ、ホールショットを決めたのは新原選手だった。しかし、野村選手が食らいついて離れず、5コーナーで並び、S字コーナーでトップに浮上。どうやら、その際に新原選手はフロントウィングを傷めたようで、90度コーナーでオーバーシュートして洞地選手が前に出た。それから間もなくビクトリーコーナーでのアクシデントで止まった車両があり、SCが導入された。

 雨も強くなっていたため、SCの先導は6周目まで続き、再開した直後の3コーナー脇に止まった車両があり、またしてもSCが導入される。13周で争われるはずだったレースは、規定の30分間に達し、10周目を終えたところでチェッカーが振られた。

「予選では本当に悔しい思いをしていたので、『絶対行くぞ!』って気持ちで臨みました。途中で雨量増えちゃいましたが、もうちょっとレースしたかったですね。レインのデータを取りたかったというのもあるし。でも、勝てて良かったです。午後のレースも頑張ります」とはレース後の野村選手。2位は洞地選手で、3位は予選8番手ながら、1周目のうちに4番手に上がっていた佐野雄城選手。対して、新原選手は2回目のリスタート後に相次いで抜かれ、7位でのゴールに甘んじた。

 インディペンデントクラスでは「スタートで前の車がストールして詰まり、今田選手に抜かれてしまいましたが、2コーナーでのポジションニングが良かったおかげで、再び前に出ることができました」と語るDRAGON選手が逃げ切りに成功。今田選手、鳥羽豊選手の順でチェッカーを受けたが、鳥羽選手はスタート手順違反のペナルティで9位に降格。繰り上がって3位を植田正幸選手が獲得した。

第11戦チャンピオンクラス優勝は野村勇斗選手(HFDP with B-Max Racing)。
3番手スタートからの逆転勝利となった野村選手。
2位は洞地選手、3位は佐野雄城選手(TGR‐DC RS F4)。
第11戦チャンピオンクラス表彰の各選手。
第11戦インディペンデントクラス優勝はDRAGON選手。
2位は今田選手、3位は植田正幸選手(Rn-sports MCS4)。
第11戦インディペンデントクラス表彰の各選手。

第13戦 決勝

 午後の第13戦も、引き続き雨に見舞われていたものの、再びスタンディングスタートで始まった。レース後に「ウェットのスタートは鬼門です」と語った洞地選手は、またしても出遅れてしまい、野村選手の先行を許す。そして1コーナーの立ち上がりでは新原選手も2番手に浮上。さらにその後方では2コーナーで大宮賢人選手が、白崎選手を抜いて4番手となる。

 1周目を終えた時点ではトップ3が一列に連なる状態だったが、次の周には野村選手のリードが1秒を超える。だが、4周目のビクトリーコーナーでアクシデントが発生。1台がグラベルに捕まってしまったため、2周に渡ってSCが導入された。しかし、リスタート後にもヘアピン脇で車両が止まり、またもやSCの出番となった。そのままタイムアップでチェッカーかと思われたものの、11周目からの2周でレースが再開。

 しかし、野村選手は何事もなかったかのようにリードを広げて5勝目をマーク。「第11戦と同じように、スタートはまたうまくいきました。できればSCが出ず、そのままレースしたかったんですが。でも、リスタートもうまく対処できたと思います。明日も、このまま勝てるように頑張ります」と完全勝利宣言まで飛び出した。2位はリベンジを果たした新原選手が獲得し、3位は洞地選手となった。

 インディペンデントクラスでは、スタートで今田選手をDRAGON選手がかわし、その後はチャンピオンクラスの車両も抜いて周回を重ねていたが、最初のリスタート後に「1コーナーの看板を見誤って」オーバーシュートして今田選手に抜き返されてしまう。5コーナーで再逆転を試みるも、寄せられて逃げたところが縁石の上でスピンを喫し、大きく順位を落としてしまった。これで今田選手がトップでフィニッシュ。「DRAGONさんがチャンピオンクラスを抜かしていったけど、自分は抜かすスピードがなく走っていたところで、DRAGONさんは滑ってしまって。労せずしてトップに立てました。久々の優勝です」とレースを振り返った。2位は、ファイナルラップにKEN ALEX選手をかわした鳥羽豊選手が獲得した。

第13戦チャンピオンクラス優勝は野村選手。
野村選手は何度もSCが導入される展開を制して優勝した。
2位は新原光太郎選手(YBS Verve 影山 MCS4)、3位は洞地選手。
第13戦チャンピオンクラス表彰の各選手。
第13戦インディペンデントクラス優勝は今田選手。
2位は鳥羽豊選手(HELM MOTORSPORTS F4)、3位はKEN ALEX(BUZZ RACING)。
第13戦インディペンデントクラス表彰の各選手。

第14戦 決勝

 日曜のもてぎは天気が一転し、朝から青空がサーキット上空に広がった。路面も一部にウェットパッチを残していたが、レコードライン上は乾いていた。グリッドは第11戦のベストで決められたが、SC中のタイムは除外。PPは野村選手が獲得し、3連勝へのお膳立ては整えられた。しかし、洞地選手、新原選手、佐野選手の順で、土曜に表彰台に立ったドライバーがしっかり続いている状況でもあった。

 ここでも野村選手は好スタートを切り、トップで1コーナーを駆け抜けたのに対し、洞地選手は3コーナーから並ばれた新原選手に5コーナーで前に出られてしまう。その激しい2番手争いの間に、野村選手は逃げて1周戻ってくると、ほぼ2秒のリードを築いていた。しかし、それがすぐリセットされることに。2周目の3コーナーとビクトリーコーナーでコースアウトが相次いだからだ。

 この時のSC先導は2周で終わったものの、今度は新原選手が野村選手に食らいついて離れない。そのままトップ争いが繰り広げられる展開が期待されたが、それもまた2周で断ち切られる。6周目の3コーナーでコースアウトした車両が横転していたからだ。幸いドライバーは無事だったが、そこからSCの先導が長かった。11周目にようやくリスタートが切られると、やはり新原選手がすぐ後ろにつける。必死に追いかけた新原選手だったが、12周目でまたしてもタイムアップ! 3戦ともフルディスタンスを走ることは許されなかった。

 野村選手は、これで今年6勝目、4連勝も果たして、もう勢いが止まらない状況だ。「この週末、3戦あるということで『3連勝するんだ!』と挑んだんですが、予選の悔しさをレースで挽回できて、チャンピオンシップにおいてもいい週末でした。ドライはもともと自信があって、レインはどうかなって、ぶっつけ本番みたいな感じで行ったんですが、レインでもいい走りができてマシンも良かったです。まだ(チャンピオンが)決まっているわけではないので油断せず、残りも頑張っていきたいと思います。もちろん(獲れる)自信はあります!」と野村選手はきっぱり。このまま“有言実行の男”であり続けられるか、大いに注目されるところだ。

 晴々とした表情の野村選手に対し、敗れた新原選手は悔しそうな表情を隠さなかった。「悔しいですよ。レースラップが短くて、チャンスはあったんですがそこで決め切ることができなかった自分の実力不足を感じています。次の鈴鹿は初優勝目指して今回のような後悔のないように、ガツガツ攻めていきたいと思います」と語っていた。

 3位は12周目の1コーナーで洞地選手を抜いた佐野選手が獲得。しかしながら、ランキング3番手の佐野選手は王座獲得の権利を失い、洞地選手だけが野村選手を逆転できる存在となった。

 インディペンデントクラスは、まるで前戦の今田選手とDRAGON選手の立場が入れ替わったかのような展開となった。スタート直後の3コーナーで今田選手が前に出るも、翌周の同じ場所でコースアウトしてしまったのだ。これでDRAGON選手がトップに立ち、その後はチャンピオンクラスの車両も盾にして逃げ切りに成功。今年5勝目を挙げて、悲願のチャンピオンにリーチをかけた。

「今田さんに先行かれたけど、『冷静に行こう』って見ていたら、2周目の1コーナーで今田さんがたぶんブレーキングをミスって、けっこうオーバーランしたんですね。抜けはしなかったですが、そこで差が詰まって焦ったのか、スピンしてコースアウト。そこからはさらに冷静になりました。チャンピオンシップをリードしながら鈴鹿に行けるので、強い気持ちで守るんじゃなく攻める考え方で獲りたいと思います」とDRAGON選手。こちらも有言実行なるか注目だ。

 2位は植田選手で、この週末は2戦で表彰台に登壇。そして3位はIKARI選手で、第1戦以来の表彰台に立つこととなった。

第14戦チャンピオンクラス優勝は野村選手。
今大会の3戦を含めて4連勝を飾った野村選手。
2位は新原選手、3位は佐野選手。
第14戦チャンピオンクラス表彰の各選手。
第14戦インディペンデントクラス優勝はDRAGON選手。
2位は植田選手、3位はIKARI選手(Bionic Jack Racing)
第14戦インディペンデントクラス表彰の各選手。
会場では、実車を使用したレスキュー訓練がドクターやオフィシャルらにより実施された。

フォト/石原康、遠藤樹弥 レポート/はた☆なおゆき、JAFスポーツ編集部

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