歴代チャンピオン対決となったJAFカップPN2クラスは若林隼人選手が制す!

レポート ジムカーナ JAFWIM

2024年11月13日

JAFカップオールジャパンジムカーナ/JMRC全国オールスタージムカーナ in 近畿が、11月2~3日にかけて、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット南コースで開催された。全日本選手権と地方選手権の上位選手が一堂に会し、スラローマーたちの熱き戦いが繰り広げられた。

2024年JAFカップオールジャパンジムカーナ
JMRC全国オールスタージムカーナ in 近畿

開催日:2024年11月2~3日
開催地:鈴鹿サーキット南コース(三重県鈴鹿市)
主催:チーム淀

 今シーズンの全日本ジムカーナ選手権で各クラスシリーズ10位以内に入賞した選手と、全国8地区に分けられた地方選手権およびJMRC各地区シリーズで各クラスシリーズ6位以内に入賞した選手が出場権を持つJAFカップオールジャパンジムカーナ。規定されている最大参加台数の180台がエントリーし、さらにアディショナルクラスとして追加されたSLW(スーパーライトウェイト)クラスと箱Dクラスを合わせ、計198台がエントリーリストに名を連ねた。

 公開練習が行われた2日は秋雨前線が会場周辺を通過したことにより終日雨が降り続け、路面はウェットコンディションだった。だが決勝ヒートが行われた3日は朝から雲ひとつない快晴に恵まれ、終日ドライコンディションでの戦いに。この日の最高気温は20度、午後の路面温度も30度前後に留まり、第1ヒートと第2ヒートのタイム差が少ない選手が多く、第2ヒート終盤まで激戦が展開された。

富山県南砺市のイオックスアローザスポーツランド、福島県二本松市のエビスサーキット、北海道千歳市の新千歳モーターランドといった開催地を経て、今年は三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキット南コースがJAFカップの舞台となった。
開会式では、近畿地区からPN2クラスに出場する山村一真選手と、WOMENクラスに出場するかつこ選手が、ジムカーナへの情熱とユーモアが溢れる選手宣誓を行い、選手や大会関係者からの拍手を集めた。
2023年のJMRC全国オールスターの地区対抗戦を制したJMRC関東から、大会長の梅津祐実氏に優勝旗が返還された。
南コースを逆走させるコースに沿った形でレイアウトしつつ、その道中にはコース上やエスケープゾーンにパイロンが配置された。

PE1クラス

 PE1クラスは、両ヒートでベストタイムをマークした全日本2位確定の大橋政哉選手(アピーヌ・A110S)が、全日本6位確定の飯野弘之選手(アルピーヌ・A110R)に0.407秒差をつけて優勝。2022年、2023年に続きJAFカップ3連覇を達成した。2位に入賞した飯野選手は、第1ヒートは大橋選手に0.163秒差に迫る健闘を見せている。3位は「第2ヒートは限界付近まで攻めることができたと思います」という全日本の深川敬暢選手(テスラ・モデル3)が獲得した。

優勝は大橋政哉選手(DLμG-LFWA110S)。
両ヒートでベストタイムを叩き出して勝利した大橋選手。2022年からJAFカップ3連覇を達成して笑顔を見せた。
2位は飯野弘之選手(いいの眼科DLμA110R)、3位は深川敬暢選手(GEPARDエナペタルモデル3)。
PE1クラスの表彰式。左から4位の段上泰之選手、2位の飯野選手、1位の大橋選手、3位の深川選手、5位の古谷知久選手、6位の古田孝一選手。

PE2クラス

 第1ヒートのタイムで逃げ切った全日本チャンピオン確定の高屋隆一選手(スバル・BRZ)が、2位に2.791秒の大差をつけて優勝したPE2クラス。全日本選手権とJAFカップのダブルタイトルを獲得した。2位は近畿地区5位確定の樋口智哉選手(フォルクスワーゲン・ポロ)が獲得。3位には全日本5位確定の大川裕選手(フォルクスワーゲン・ポロ)が入賞した。

優勝は高屋隆一選手(BSぢっぷすNT☆CP2BRZ)。
全日本PE2クラスでチャンピオンを確定させている高屋選手が、その実力を存分に発揮して勝利。
2位は樋口智哉選手(ADVAN Basis ポロ)、3位は大川裕選手(T新潟SJFセラメタポロGTI)。
PE2クラスの表彰式。左から4位の砂田光恵選手、2位の樋口選手、1位の高屋選手、3位の大川選手、5位の大橋政人選手、6位の島村茂選手。

PN1クラス

 PN1クラスは、中部地区6位確定の金澤和幸選手(トヨタ・ヤリス)が第1ヒートのタイムで逃げ切り、自身初となるJAFカップ優勝を果たした。「中部地区戦のシリーズ序盤は86で走っていて、中盤からヤリスに乗り換えました。自分ではドライ路面が苦手だと思っていたので、今日の結果には自分が一番驚いています(笑)」と金澤選手。2位には全日本の中根康仁選手(トヨタ・ヤリス)が入賞。3位は全日本5位確定の井上賢二選手(トヨタ・ヤリス)が獲得している。

優勝は金澤和幸選手(URG西三ゴムDLヤリス)。
金澤選手は全日本ドライバーを相手に大健闘。初のJAFカップ優勝を遂げた。
2位は中根康仁選手(DLwmRYP兄ヤリスITO)、3位は井上賢二選手(ワコーズアクティブヤリス)。
PN1クラスの表彰式。左から4位の矢島融選手、2位の中根康仁選手、1位の金澤選手、3位の井上選手、5位の渋谷達也選手、6位の菅沼隆一選手。

PN2クラス

 これまで5回の全日本チャンピオンを獲得しているユウ選手、3回のチャンピオンを獲得している若林隼人選手が、それぞれ関東の地方選手権で活躍する選手のロードスターでダブルエントリーしたPN2クラス。また、今年の全日本PN4クラスを制した奥井優介選手もロードスターをレンタルして出場と、注目を集めた。

 若林選手が第1ヒートではクラス唯一となる1分10秒台のタイムでトップ。0.517秒差で奥井選手が2番手につける。第2ヒートは、第1ヒートをパイロンペナルティで下位に沈んでいたユウ選手が、若林選手がマークした第1ヒートのベストタイムを0.491秒更新してトップに立つが、すかさず若林選手もベストタイムを0.036秒更新し、ふたたびトップを奪い返す。

 その後、若林選手のタイムを更新する選手は現れず、若林選手が5年ぶり2回目となるJAFカップ優勝を獲得した。そしてユウ選手とダブルエントリーで出場した関東地区2位確定の藤井裕斗選手が、ユウ選手とまったく同じタイムの1分10秒072でフィニッシュ。規定により、セカンドタイムが上のユウ選手が2位、藤井選手が3位という結果になった。

優勝は若林隼人選手(DL若自SDJ速心ロードスター)。
イトウヨウイチ選手とダブルエントリーした若林選手が僅差の勝負を制した。
2位はユウ選手(藤井選手のロードスター)、3位は藤井裕斗選手(BSコサリックワンロードスター)。
PN2クラスの表彰式。左から4位の奥井優介選手、2位のユウ選手、1位の若林選手、3位の藤井選手、5位の米澤匠選手、6位の鰐部光二選手。

PN3クラス

 PN3クラスは、中部地区1位確定の森嶋昭時選手(トヨタ・GR86)が第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝。2003年に初めてJAFカップを制した森嶋選手は、今回で通算6回目のJAFカップ優勝となる。2位には「1か所ミスしてしまい、その差が結果に響いた」という中部地区6位確定の永川悠太選手(トヨタ・GR86)が入賞。3位は「鈴鹿は初めてです」という関東地区の徳冨太一選手が、第1ヒート8番手から第2ヒートで追い上げ、表彰台の一角をつかんだ。

優勝は森嶋昭時選手(K1ルブロスDL・S+GR86)。
今シーズンの中部ジムカーナ選手権の鈴鹿南で強さを見せた森嶋選手。JAFカップの舞台でもやはり強かった。
2位は永川悠太選手(DL K-one GR86)、3位は徳冨太一選手(DLモティーズ犬プロμGR86)。
PN3クラスの表彰式。左から4位の黒水泰峻選手、2位の永川選手、1位の森嶋選手、3位の徳冨選手、5位の岡野博史選手、6位の鈴木勇一郎選手。

PN4クラス

「サイドブレーキが効かず、ターンセクションで失敗しました」と第1ヒート後に語ったPN4クラスの津川信次選手(トヨタ・GRヤリス)は第2ヒートで挽回し、逆転優勝。2007年のJAFカップで優勝して以来、17年ぶりの出場となった今回のJAFカップで、自身2回目となるJAFカップ優勝を果たした。

 一方、第1ヒートのベストタイムをマークした松本敏選手(トヨタ・GRヤリスGRMN)は、第2ヒートの途中でエンジンチェックランプが点灯し、フェイルセーフ機能によりエンジン回転が上がらずタイムダウン。第1ヒートのタイムで2位となった。3位は第2ヒートで0.284秒のタイムアップを果たした上本昌彦選手(トヨタ・GRヤリス)が獲得。

優勝は津川信次選手(DL☆BRIDE☆URGヤリス)。
久々にJAFカップにエントリーした津川選手が今シーズンの全日本選手権の鬱憤を晴らす逆転劇を演じた。
2位は松本敏選手(ADVICS☆TJ☆ヤリス)、3位は上本昌彦選手(ルブロスK1レイズDLヤリス)。
PN4クラスの表彰式。左から4位の大脇理選手、2位の松本選手、1位の津川選手、3位の上本選手、5位の島田直樹選手、6位の佃真治選手。

BC1クラス

 第1ヒートでは全日本2位確定の神里義嗣選手(ホンダ・CR-X)と、関東地区1位確定の若手・伊藤眞央選手(ホンダ・インテグラ)、中部地区1位確定の小武拓矢選手(スズキ・スイフトスポーツ)が1分08秒台に並ぶという僅差の争いとなったBC1クラス。

 第2ヒートは、第1ヒート3番手の伊藤選手がベストタイムを更新してくるが、クラス最終ゼッケンの神里選手がベストタイムを1分07秒台に叩き込み、再逆転。全日本の壁の厚さを見せつけるJAFカップ優勝を果たした。2位は第2ヒートで神里選手のタイムを聞いた途端、「これ以上、どこでタイムを削ればいいんだぁ!」と嘆いた伊藤選手が獲得。3位には全日本の清水翔太選手(ホンダ・インテグラ)が入賞した。

優勝は神里義嗣選手(DLMotys渦RACCR-X)。
神里選手は第2ヒートでクラス唯一の1分7秒台に突入し、盤石の勝利を手繰り寄せた。
2位は伊藤眞央選手(YHセラ桐生SPMインテグラ渦)、3位は清水翔太選手(ローリングYHインテグラ)。
BC1クラスの表彰式。左から4位の小武拓矢選手、2位の伊藤選手、1位の神里選手、3位の清水選手、5位の齋藤寿選手、6位の近藤岳士選手。

BC2クラス

 BC2クラスは、第2ヒートのタイムアタック中にブレーキトラブルのためリタイアとなった全日本2位確定の広瀬献選手(ホンダ・S2000)が、第1ヒートのタイムで逃げ切り優勝。2位には全日本3位確定の藤井雅裕選手(マツダ・RX-7)が、両ヒートでコンスタントに1分08秒台のタイムを刻み入賞。3位は中国地区5位確定の坂本稔和選手とダブルエントリーで出場した全日本2位確定(PN2クラス)の小林規敏選手(マツダ・RX-7)が、第2ヒートでタイムアップを果たして入賞した。

優勝は広瀬献選手(WMマロヤBS林歯科S二千亜舎)。
第1ヒートで叩き出したベストタイムで逃げ切り勝利を遂げた広瀬選手。
2位は藤井雅裕選手(BPF☆TY☆マジックRX-7)、3位は小林規敏選手(石原製作所BS紅RX-7)。
BC2クラスの表彰式。左から4位の岩崎玲生選手、2位の藤井選手、1位の広瀬選手、3位の小林選手、5位の梅村伸一郎選手、6位の前島孝光選手。

BC3クラス

 今シーズンの全日本を制した菱井将文選手(トヨタ・GRヤリス)が第1ヒートのトップを奪ったBC3クラス。第2ヒートは、全日本2位確定の大橋渡選手(スバル・インプレッサWRX)が0.144秒差まで迫るものの、菱井選手が第1ヒートのタイムで逃げ切った。

 菱井選手は1999年以来25年ぶりに出場したJAFカップで通算4回目の優勝を飾るとともに、全日本チャンピオンとのダブルタイトルを確定。2位に大橋選手、3位には第1ヒートでのミスコースを第2ヒートでリカバリーした中部地区1位の鳥居孝成選手(三菱・ランサーエボリューションVI)が入賞した。

優勝は菱井将文選手(BS・クスコGRヤリス)。
強者ぞろいのBC3クラスの勝者は菱井選手。全日本&JAFカップの両タイトルを確定させた。
2位は大橋渡選手(DLプレジャーインプレッサ)、3位は鳥居孝成選手(MSftTOYOitoランサー)。
BC3クラスの表彰式。左から4位の大澤勝紀選手、2位の大橋選手、1位の菱井選手、3位の鳥居選手、5位の堂本直史選手、6位の佐藤英樹選手。

WOMENクラス

 WOMENクラスは、第1ヒートで近畿地区1位確定のかつこ選手(トヨタ・86)がマークしたベストタイムを、第2ヒートで近畿地区5位確定のみさき選手(マツダ・ロードスター)が逆転するものの、かつこ選手が再逆転。かつこ選手が両ヒートを制する走りでJAFカップ優勝を果たした。

「今まで、JAFカップに向けて準備不足の部分があったのですが、今年はしっかりと準備することができました」とかつこ選手。2位には「第2ヒートは優勝目指して一生懸命走りました」というみさき選手が入賞。3位は「第2ヒートで攻めたけど、自分の走りはできませんでした」という武田ともこ選手(トヨタ・GR86)が獲得した。

優勝はかつこ選手(DL犬フォーチュン86)。
万全の準備で臨んだJAFカップで勝利をつかみ、かつこ選手はサムズアップで喜びを爆発させた。
2位はみさき選手(ブリッド陶プロμ♡ロードスター)、3位は武田ともこ選手(DL・チャレ・ITO・GR86)。
WOMENクラスの表彰式。左から4位の佐伯希選手、2位のみさき選手、1位のかつこ選手、3位の武田選手、5位の梅田久美選手、6位の芳賀絢音選手。

SLWクラス

 JMRC全国オールスタージムカーナのクラスとして編入されたスーパーライトウェイト(SLW)クラスには、8台のスーパーセブンがエントリー。その中、第1ヒートで1分08秒台、第2ヒートで1分07秒台の好タイムをマークした齋藤達也選手が入賞した。

優勝は齋藤達也選手(コサ犬ケントSスーパー7UPS)。
ライバルが1分11秒台のタイムで伸び悩む中、齋藤選手は1分7秒台で圧勝。
2位は藤井孝輔選手(スーパーでスペシャルなBDR7)、3位は東海林宏一選手(スーパーセブン R300)。
SLWクラス表彰の各選手。

箱Dクラス

 同じくJMRC全国オールスタージムカーナのクラスとして編入された箱Dクラスは、第1ヒートで川上実選手(トヨタ・カローラレビン)がベストタイムをマークするが、第2ヒートは痛恨のパイロンペナルティ。第2ヒートで追い上げた大井貴之選手(トヨタ・カローラレビン)が逆転優勝を果たした。

優勝は大井貴之選手(YSSK1DL箱DSPサニー)。
大井選手は第1ヒートが1分12秒320で4番手タイムだったが、第2ヒートで2.8秒もタイムを縮め勝利した。
2位は川上実選手(エナペLBK-1YSSレビン)、3位は山梨俊二選手(エナペLBK-1YSSレビン)。
箱Dクラス表彰の各選手。

箱Dクラスに電撃参戦!

日本ドリフト選手権に参戦する川畑真人選手がAE86レビン、株式会社キャロッセの社長・長瀬努選手がGA2シティで箱Dクラスにエントリーを果たした。 川畑選手は6位、長瀬選手は9位。

 全国8地区によるJMRC全国オールスタージムカーナの地区対抗戦は、中国地区が優勝、2位に四国地区、3位に中部地区がそれぞれ入賞した。

JMRC全国オールスタージムカーナの表彰式。JMRC中国の難波眞ジムカーナ部会長が優勝旗を受け取り、故郷に錦を飾った。

フォト/CINQ、大野洋介 レポート/CINQ、JAFスポーツ編集部

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