新潟地方カート選手権FP-3部門はシリーズ全勝で菅原伸選手が堂々のタイトル確定!
2024年11月15日
誕生から2シーズン目を迎えた地方カート選手権 新潟シリーズ。その2024シーズンを締めくくる第2戦が、11月3日に新潟県胎内市のスピードパーク新潟で開催された。決勝ではトップが二転三転するバトルの末に菅原伸選手が勝利を飾り、4戦全勝達成と同時にシリーズチャンピオンを確定させた。
2024年JAF地方カート選手権 新潟シリーズ 第2戦
(2024 2&4 SPN SERIES Rd.5内)
開催日:2024年11月3日
開催地:スピードパーク新潟(新潟県胎内市)
主催:SPN
スピードパーク新潟(SPN)で開催される2&4 SPNシリーズは、カートレースとミニバイクレースが同時に行われるいささか珍しいシリーズ戦で、パドックにカートドライバーたちとライダーたちが同時に闊歩している光景には、独独の和やかさが感じられる。この日、地方選手権の他に行われるカートレースは、MZ200スプリントとKARTのふたつだ。
決勝日の朝のドライバーズブリーフィングでは、今大会の大会審査委員長を務める株式会社スピードパーク新潟の中村寿和取締役社長から2025年の全日本/ジュニアカート選手権とJAFカップオールジャパンジムカーナの開催予定が発表され、このサーキットが全国規模の戦いの舞台へと成長しつつあることを実感させてくれた。
地方カート選手権 新潟シリーズ 第2戦
地方カート選手権 新潟シリーズは、スピードパーク新潟のローカルレースシリーズ、2&4 SPNシリーズと同時開催で行われるシリーズ戦。カテゴリーは100cc空冷エンジン・ワンメイクのFP-3部門だ。2024年のシリーズは全4戦で、そのうち3戦をすでに終了している。ただし、7月21日に予定されていた第2戦がこの日に変更されての開催となったため、今回のレースはシリーズ第2戦にして最終戦ということになる。
タイトル争いの状況は、菅原選手がここまで無敗の3戦全勝で75点を挙げてポイントをリード。昨年、このシリーズを制して初代王者となった小林留魁選手が3戦連続2位の66点でランキング2番手につけている。戴冠の権利を持っているのはこのふたりのみだ。
最終ランキングは4戦の合計ポイントで決まる。今大会は出走6台なので、菅原選手はポイント獲得圏内の3位以内でフィニッシュすれば、小林選手の成績に関わらずチャンピオン確定。一方、小林選手のシリーズ2連覇には自身が3位以上となって菅原選手が4位以下に終わることが必須だ。
前日に降った雨は夜のうちに止み、大会当日を迎えたサーキットの上空は快晴。濡れていた路面も公式スケジュール開始前にはすっかり乾き、絶好のレース日和の下で2024シリーズを締めくくる一戦が行われた。タイムトライアルでは、菅原選手が唯一52秒台に入るトップタイムをマークして予選のポールを獲得。約0.2秒差の2番手は小林選手。小林選手と僅差の3番手には久保勇真選手がつけた。
決勝のスターティンググリッドを決する予選は8周のヒート。コースは左回りなのだが、1コーナーが右ターンのためポールを始めとする奇数グリッドが右側列になるのはユニークなところだ。ヒートが始まると、スタート直後から菅原選手と小林選手が集団を抜け出して先頭争いを展開。菅原選手は背後に食い下がる小林選手を徐々に引き離し、決勝のポールを手に入れた。小林選手は決勝も2番グリッドに。その後方では、青木諒太選手がスタートを決めて3番手に浮上したが、これを久保選手が3周で逆転して3番グリッドとなった。
13時55分、いよいよ2024シリーズが決着する決勝が始まった。スタートでは久保選手が4番グリッドから抜群の加速を見せ、真っ先に1コーナーを抜けていく。だが、1周目の折り返し点で菅原選手が、その先のシケインで小林選手が、相次いで久保選手を抜き返して先頭と2番手に戻った。ここから王座をかけたトップ争いは迫真の熱闘となっていく。
2周目、最終コーナー手前のシケイン入口で小林選手が菅原選手をオーバーテイク。2番手に下がった菅原選手は焦って再逆転を仕掛けることなく小林選手の真後ろに続いていく。そして6周目、菅原選手は右ヘアピンの11コーナーで小林選手を攻略してトップに戻ると、ストレートで上体を伏せて逃げを図った。
しかし、今季の初勝利に意欲を燃やす小林選手は、菅原選手のテールにぴったり張りついてリードの拡大を許さず、7周目のシケイン入口でまたも菅原選手の前へ。これに菅原選手も応戦して、8周目の3~4コーナーでトップを奪還。するとこの周、小林選手が三たび11コーナーで先頭に浮上。9周目、菅原選手が3コーナーでトップを奪い返す。互いの得意なコーナーでオーバーテイクの応酬を繰り返す2台に、3番手の久保選手が急接近、ラスト4周は3台一列のトップ争いが展開された。
残り3周、菅原選手が小林選手をじわりと引き離す。その背中を懸命に追う小林選手だが、もう届かない。最終ラップを先頭のままで終えてコントロールラインに戻ってきた菅原選手は、両手を挙げて勝利のチェッカーをくぐった。無敵のシリーズ4戦全勝、そしてチャンピオンを確定させる優勝だった。
小林選手は4戦連続の2位に終わったが、逆転優勝にあと一歩の好走で場内を沸かせた。小林選手から1秒強遅れてフィニッシュした久保選手は、自己最上位を更新して初の表彰台へ。その後方では、スタートで5番手に後退した青木選手がラスト2周で今瀬統哉選手を抜き返して4位でレースを終えた。
MZ200スプリント
エンジョイ指向のレースとしてここ数年人気が高まっているMZ200スプリントは、汎用エンジンベースの4ストローク200ccエンジンをワンメイク無改造で使用する。レースはタイムトライアル→12周の決勝というシンプルなフォーマットだ。エントリーは10台。これに賞典外で飛び入り参加の2台を加えた12台でレースが行われた。
ポールの横内充秀選手は1周で1秒半ものリードを築いたが、そこにレース中盤から宮嶋将選手が急接近。賞典外参加で重量規定に縛られないマシンを駆る宮嶋選手は、残り4周で横内選手のテールを捕らえたが、横内選手はこの猛追を跳ね除けて勝利を飾った。トップ争いの後方では、帆苅忠康選手が9番グリッドからの6台抜きを演じて2位を獲得し、3位には峰本信雄選手が入賞。12台全車がチェッカーを受けて、笑顔の溢れるレースは無事に幕を閉じた。
SLカートミーティング YAMAHA SS/YAMAHA スーパーSS
KARTは地方カート選手権FP-3部門と同じ100cc空冷のレーシングエンジンを使用するワンメイクレース。小学6年生以上が対象のYAMAHA SSと30歳以上が対象のYAMAHA スーパーSSの2クラス混走で行われる。レースフォーマットも地方選手権と同じくタイムトライアル→予選(8周)→決勝(12周)の流れだ。この日はYAMAHA SSに18台、YAMAHA スーパーSSに6台の参加があった。
決勝は12周。YAMAHA SSでは髙井翼選手がポールから独走し、オーバーオールの1位でフィニッシュして今季3勝目を挙げた。その後方では齋藤瑠哉選手と小林選手が2番手争いを繰り広げたが、2台は残り3周で接触。齋藤選手は大きくポジションを下げ、すぐレースに復帰した小林選手もナリ選手に抜かれてしまった。この結果、2位はナリ選手のものに。小林選手はプッシングのペナルティを受け、久保選手が繰り上がりで3位となった。
YAMAHA スーパーSSでは、クラス最上位の総合6番グリッドに着いた坂井和彦選手がスタートで順位を下げ、代わって田中豊選手がこのクラスのラップリーダーに。レース中盤には坂井選手が田中選手のすぐ後ろまで迫ってきたが、田中選手が逃げ切って堂々の総合4位でレースを終え、クラス優勝を果たした。坂井選手は田中選手と約1秒半差のクラス2位でフィニッシュ。坂井選手とともにスタートでポジションダウンを喫した泉田茂和選手が、総合8位まで挽回してクラス3位に入賞した。
フォト/長谷川拓司、JAFスポーツ編集部 レポート/水谷一夫、JAFスポーツ編集部